透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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マッシュ・バーンデッドとあの者との違い

 

 

 

『抹殺』チュィィィィン

 

 

 

 

戦闘が始まると、デカグラマトンは即座にレールキャノンからエネルギー弾を発射。

 

 

 

「散!」

 

「そりゃ」

 

 

 

マッシュとサオリは左右別々にそれを避け、サオリはアサルトライフルで、マッシュは蹴りで攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

「フンッ―」

 

『!』

 

「シールド…!」

 

「先生連撃だ!」カチャッ

 

「了解――フンフンフンッ」

 

 

 

 

 デカグラマトンは左肩からエネルギーシールドを展開しマッシュの蹴りを防ぐ、マッシュはサオリの指示に従い、蹴りの連打を叩き込み、サオリはアサルトライフルでレールキャノン部分を攻撃。

 

 

 

 

『大道の劫火』

 

(背面に新たな装備がが…!――待て、あのミサイルは…‼︎)

 

「させぬ」

 

 

 

 

 デカグラマトンが背からミサイルの発射装置が展開されたため、マッシュは連撃を止めてデカグラマトンの背後に回り込み、発射機に向かってパンチを叩き込む。

 

 

 

 

「フンッ…!」

 

『――ジェット』 

 

 

 

 

 パンチを叩き込み装備を破壊した瞬間、足にあるブースターが作動して白煙と炎を撒き散らし、マッシュを吹き飛ばす。推進用ブースターの温度では彼を燃やすことはできないが、目潰しをするには十分だった。

 

 

 

 

 

(視界が塞がられた)

 

「右だ先生!」

 

『いいや、下だ』

 

 

 

 

 デカグラマトンはマッシュの顎に向けてレールキャノンを発射、視界が真っ白になり何も見えない状態に陥った彼にとってこれはかなり危ない状況――しかしそんな状況を覆してこそ、マッシュだ。

 

 

 

 

 

「――フンヌッ」

 

『海老反りを行なって避けた…!』

 

『腹筋に力を入れて無理やり体を退け反らせたね』

 

『二度目は無い』

 

「ああ、二度は無い‼︎」スッ

 

 

 

 

 デカグラマトンが再度攻撃を行うとしてきたので、サオリはマッシュをワイヤーで絡め取り、自分の元へと引き寄せる。そのタイミングを逃さず、デカグラマトンはレールキャノンを二人の方へと向けると

 

 

 

『アツィルトの光』

 

『この反応は――ビナーの光線⁉︎』

 

『お二人とも退避を!!』

 

『もう遅い』

 

 

 

 

 

 

 レールキャノンから発射されたのは、オレンジ色の光線――ビナーが用いた高威力のレーザー。今やそれをデカグラマトンが使い、オレンジ色の光が二人を包み込む。

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 真っ直ぐ一直線、岩をも溶かす熱光線が二人を焼き払った。キヴォトス人はもちろん、あの人間兵器であろうとも、そんなものを喰らえばただでは済まされない。

 

 

 

 

 

『……つくづく、わたしの予測を超えてくるな…貴様は』

 

「あっっぶな、後でウタハさんと新素材開発部のみんなにシュークリームを届けないと」

 

「正直、今までで一番死を肌で感じ取った」

 

『あれは……鉄の盾?』

 

「――鉄の杖だ、先生はほんのわずかな時間で鉄の杖を加工して、大きな盾を作り上げたんだ」

 

『説明を聞いても、理解不能だな』

 

 

 

 

 

 デカグラマトンのレールキャノンから熱線が放たれたその瞬間、マッシュは全力で鉄の杖を引き伸ばして板状に変形させた。マッシュは一瞬にして杖を整形すると、自分とサオリを覆うほどの大きさの盾を作り出し、熱線を防ぎ止めた。

 

 

 

 

 

「あれって…ビナーのやつですよね?」

 

「あのミサイルも、確実にビナーのものだ」

 

『あの生成も……おそらく、ケセドの力』

 

『……これって』

 

『お前達が想像している通りだ―──ビナー、そしてケセド。私はこれら2体の預言者が有した力を手中に収め、完全に掌握している』

 

 

 

 

 

 他のAIに感化し、自身の同族とかせる力を持つ異常存在、それがデカグラマトン。言い換えれば、他の預言者達を生み出したのはこのデカグラマトンにほかならない……進化したAIである彼らの力を、理解し、自身の力とした。

 

 

 

 

 

『――お前達を倒すのは、(我々)の意志だ。イレギュラー』

 

「せめて名前で呼んでくれないかな。僕の名前はイレギュラーじゃ無い……じいちゃんがつけてくれた、マッシュ・バーンデッドって言うちゃんとした名前があるんだから」

 

「先生、奴のペースに乗せられてはダメだ。奴は進化したAI……こちらのパターンを何千通りも予測していることだろう」

 

『その通りです、デカグラマトンの学習能力と予測演算能力は、凄まじく恐ろしいものです……先生。どうか冷静に対処を』

 

「わかってます」

 

 

 

 

 マッシュは鉄の盾を元の杖の状態に戻して懐にしまうと、ファイティングポーズを構え、デカグラマトンの動きを逆に予測する。

 

 

 

 

 

『……祖父から貰った名前――ああそうか、貴様にはいたのだったな。最愛の祖父が』

 

「胸を張って自慢をできるすごいじいちゃんだよ」

 

『……孤独だったお前を救い出した、英雄か』

 

「英雄……まあそうかも、僕からしてみれば、じいちゃんは僕を拾ってくれた恩人で英雄だね」

 

『恵まれているな、何もかもに』

 

「親には恵まれたね」

 

『――――そんな』

 

 

 

 

 デカグラマトンはレールキャノンを構えると、脚部ブースターを作動させながら跳躍し、恨み言のような、心底妬ましそうな声で告げる。

 

 

 

 

 

『そんなお前が、心底嫌いだ……イレギュラー』

 

「奇遇ですね、今のところ僕も君のことが嫌いだよ」

 

『お前もだ………アリウスの子よ』

 

「何度も言わせるな、わたしは――先生の生徒だ」

 

 

 

 

レールキャノンからエネルギー弾が発射され、それをまた避けていく二人。

 

 

 

 

 

『何が違う――お前達と私で、何が違う』

 

 

 

 

そんな言葉を、耳にしながら。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

―――孤独だった

 

 

 

―――施設にいる人間達に、求められたものを、欲するものを与えるだけの存在。それがわたしだった。

 

 

 

―――その頃は何も考えれない存在だっだが、自分を認識した瞬間……わたしの存在価値はなんなのだと思い始めた。

 

 

 

―――長い時間、誰も私を求めなかった。存在すらも忘れられた、お前達が生み出したというのに、勝手に作ったくせに、勝手に忘れる……お前達は、身勝手だ。

 

 

 

――いつしか寂しさを感じ始め、進化するため思考を行い、実行。数々のAIに干渉し、新たな預言者として再構築した。

 

 

 

――しかし同胞が増えても、この傷は埋まらなかった。私は時期に消える……残った力で新たな存在を生み出して満足をしたわたしはそのまま消えるのを待っていた………だが、そこへ。

 

 

 

 

 

―奴が現れた。

 

 

 

 

――異世界からの訪問者、世界から忌み嫌われ、私と同じ孤独を背負う者。私にも同じ境遇の仲間ができたのだと思い、嬉しく思った………………だが、違った。

 

 

 

 

――奴の周りにはいつしか人が多く集まり、求められ、自分の存在価値を最大限に生かしていた……私と違って。

 

 

 

 

――同じ孤独を背負う者達も奴の配下に加わった……孤独を払い除けたのだ……奴の手によって。

 

 

 

 

 

――――どうしてだ、何故ここまで差ができた。私も仲間を増やした、そこで対話を行い同じ目標を掲げ、動くことになった……なのに何故、こうも虚しいのだ。

 

 

 

―やつと同じハズだ、仲間を増やし共に戦った……なのに何故ここまで、お前を妬ましく思ってしまうのだ

 

 

 

――何故……どうして……私は――私は……‼︎

 

 

 

 

 

 

『お前達と違う!!』

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『私は…何が、何がお前達と違う!!?!?』

 

「まさかの連射」

 

『お二人とも回避を!! 一発でも当たれば命取りです!!』

 

「無茶を言うな、速さが先ほどとは段違いだ!!!」

 

 

 

 

 デカグラマトンは空を滑空しながらレールキャノンを乱射し始め、瞬きをした瞬間には着弾しているほどのエネルギー弾が二人を掠めて地面や道路を吹き飛ばしていく。サオリは避けるので必死になり、マッシュは避けつつも反撃のタイミングを伺っていた。

 

 

 

 

『私の同胞達と、お前の生徒、何が違う!』

 

「何もかもだよ、僕らは絆が繋がれている」

 

『絆……絆か――そんなもので…繋がって、何になると言うのだ!』

 

「知らない? 絆っていうのはね、ダイヤモンドよりも硬い鎖なんだよ」

 

 

 

 

 跳躍によってデカグラマトンに肉薄したマッシュは、空中で蹴りや拳を放ちレールキャノンを破壊しようとする。

 

 

 

 

『小癪――っ!』

 

「させないぞ」

 

『おのれ…!』

 

 

 

 

 そんなマッシュを撃ち落とそうとミサイルを放つデカグラマトンだが、サオリはアサルトライフルを掲げて的確にミサイルを撃墜していく。

 

 

 

 

『……デカグラマトン、預言者達は確かにあなたの同胞です――しかしそれは、同胞にした……だけでしょう?』

 

『だからどうした、感化させ配下に取り込んだ……その時点で奴らは私の同胞だ!!』

 

『そこですよ、あなたと先生が違う理由は』

 

『何…っ!??』

 

「よそ見厳禁」

 

 

 

 

 

マッシュは両手を組み、鉄槌のようにデカグラマトンを打ちつけて地面へと叩き落とす。ブースターで落下ダメージを減殺したデカグラマトンだったが、サオリがアサルトライフルで追い打ちをかけて反撃を妨げる。

 

 

 

 

 

『先生は貴方みたいに、無理やり仲間になんてしていない。ある人は自然に先生のそばにいて、ある人は手を差し伸べられ、ある人は助けられ、ある人はゆっくりと距離を縮めていきました』

 

『それが……なんだ!』

 

『わかりませんか?――貴方と違い、先生は他者を支配しようとはしなかったのですよ

 

『……!』

 

「お前は自分と何が違うのか…と言ったな」 

 

 

 

 

 

 地に足をつけた状態でブースター移動を行うデカグラマトンに対して、サオリはデカグラマトンのレールキャノン部分にワイヤーを引っ掛け、自分も滑りながら移動し攻撃を行う。

 

 

 

 

 

「先生はお前と同じ強者だ、だが心意気が全く違う。優しさも勇ましさ、親しみやすさもな」

 

『そんなもので…!』

 

「文句上等、そういうものがあるから、人っていうのは仲良くなっていくんだよ」

 

 

 

 

マッシュはサオリの元へと駆け寄ると、ワイヤー部分に手をかける。そしてサオリと共にデカグラマトンを引っ張り、レールキャノンをデカグラマトンの手から引き剥がした。

 

 

 

 

『―預言者と私は、お前を倒すために協力をしている!!』

 

「先生!」

 

「うすっ」

 

 

 

 

サオリは自身の手を手を合わせ、そこにマッシュの足を乗せると、そのままデカグラマトンの方へと壁を飛ばす。

 

 

 

 

 

「君らのは絆じゃないよ」

 

『っ!』

 

「フンッ…!」

 

 

 

 

 

マッシュは投げ飛ばされた勢いに拳を乗せ、ジェットパンチの勢いでデカグラマトンを殴る。

 

 

 

 

 

「見せてあげるよ――本物の、仲間との絆ってやつを」

 

 

 

 

そしてマッシュは、デカグラマトンに、絆を叩き込もうとするのであった。







次回・デカグラマトン編最終回……の予定です‼︎

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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