今回でデカグラマトン編を最終回にできなかった私を埋めてください。
『理解不能――人とは、実に、理解できない』
「そりゃそうだろうね――僕も君の事がよくわからないんだから」
『絆……絆と言ったな……――絆は、必ず、いつか壊れるぞ』
「そうかもね、ならまた関係性を直せばいい」
『絆が結べたと思った相手が、裏切る可能性だってあるだろう』
「そこは強く否定しないよ、実際ちょっとややこしいことがあったし」
マッシュは過去に一度、仕方ないとはいえミカに裏切られた。絆を結べたものが絶対に裏切らないという保証は、誰にもできない……それでも。
「それでも、僕は友達を信じ続ける。何をされてもね」
『そこにいるアリウスの生徒がお前を傷つけないという確証も無いだろうに』
「だったら僕が傷つかないように強くなる、以上」
『………何故、お前は他者を受け入れる敷居が低いのだ。何故、お前は易々と他人に手を差し伸ばす――メリットなど、無いだろう』
「メリット、デメリットを考える前に体が動いちゃうんだもん」
『……痙縮か』
「違うわい」
破損箇所を自己修復しながら、マッシュと相対するデカグラマトン。そんな問答を聞きながら、ヒマリやエイミは彼に関心を覚えながらも次の作戦を考え、サオリは彼の発言を気にしていた。
(……考えるよりも先に体が動いていた…か。先生の場合は、デメリットがあったとしても私達を助けてくれた……――全く…勝てないな)
サオリが無意識のうちに、マッシュの背に微笑む。それを見たデカグラマトンは、靄がかかったようなエラーを知覚し───その感情の正体を理解した瞬間、抱えていた苛立ちが怒りとして沸騰した。デカグラマトンは再び、レールキャノンを構えてチャージを開始する。
『……なら見せてみろ、その絆という概念を――この私に』
「っと――来るぞ先生。何かいい技を思いついたのか?」
『絆を叩き込む……と、言いましたが。具体的にどうするおつもりで?』
「いわゆる絆技です、離れ離れになって戦うのもいいけど、やっぱり近場でサポートしながらの方がいいなって思うんです」
「なるほど……近場で共に動く味方の行動のサポートを行いつつ自分も攻撃していく……これを互いにやることによって、かなりいい連携技ができる」
「そうそう」
『結構いい作戦だね』
「というわけでサオリさん」
マッシュは乱れていた服装を正し、姿勢を整え、右手をサオリへと差し出した。
「一緒に踊りましょう」
「…………は?」
「シャルウィーダンス」
『は!?』
『え、ダンス……え?』
『焼却』
マッシュの発言に一同が困惑する中、デカグラマトンはそんなもの知らないとばかりに熱線を発射。デカグラマトンの予測では、この後マッシュは
『サオリと共に強力な技を行う』
『腕輪を外し本気になる』
『ワイヤーをうまく扱い、ゴッドキラーで攻撃してくる』
などの攻撃を行ってくるとおう結果が出ており、それを阻止するための攻撃だった。次、いかなる攻撃が行われても対処できるように、反撃あるいは妨害のための準備を最大限に行う………のだが。
「――レッツダンシング」
『――社交ダンス……だと…⁉︎』
煙が晴れ、デカグラマトンの視界に映ったのはマッシュが自身の左手でサオリの右手を軽く握るようにつなぎ、右手をサオリの背に添わせている姿。
…詰まるところ、社交ダンスのホールドという構えを取っていた。それも『戦場』で。マッシュに向き合ったサオリは顔を赤くしながらも困惑し、ヒマリやエイミは理解ができず突っ込んでいく。
「ま、待ってくれ先生。ダンスなんて見たこともやったこともないのだが‼︎」
「ノリの雰囲気と勢いで意外となんとかなるから大丈夫ですよ……あ、口に薔薇とかいるよね……シュークリームで代用しちゃお」
『今死ぬか生きるかの戦闘中なのですが⁉︎』
『――舐めているのか、この私を』
「僕は、戦いでふざけたことなんてないよ」
『客観的に物を見ろ……お前のそれは…万人から見ても、ふざけているようにしか……見えないのだ!!!!』
マッシュはシュークリームを口に加え、足に少し力を入れデカグラマトンの方を見ながらサオリに目で訴えかける。
『信じて』―と。
「……分かった、この身を…任せるぞ。先生!」
「ふぁふぁふぇふぇふぅふぁふぁふぃ(任せてください)」
『道化のように踊って消えろ、マッシュ・バーンデッド‼︎』
デカグラマトンはマッシュとサオリをロックオンしミサイルを全弾発射。装備武器をレールキャノンから2門の大型ライフルに変更し、二人を排除するために攻撃――したのだが。
(ワンツースリー、ワンツースリー、ワンツースリー)スッスッスッスッ!
『ナチュラルスピンターンで…ミサイルを回避だと…⁉︎』
『しかも結構いい動き……あと早い』
『リバースターンも駆使しながら、ライフル弾も全部避けていってる……なんて……!!』
(先生の動きに、体が自然とついていけている⁉︎――ど、どうしてだ、ダンスなんてこれが初めてなのに…)
いわゆるワルツ、マッシュはデカグラマトンの攻撃を舞いながら避けていきデカグラマトンを翻弄していた。サオリの方は自然と体が動き彼の動きに合わせられていたが、これはしばらく彼と行動していた功績による物である。
『っ!!!』
『やば、ブースターで加速しながら突進してきたよ!』
「
「先生、何故急に力をぉぉぉぉぉぉ!!!?!??」
マッシュは加速して突っ込んでくるデカグラトンに対し、高速回転のスピンを行いながら対処。デカグラマトンの図体とマッシュの頭が何度もぶつかり合い、火花が飛び散っていく。
『先生の方が身長が高いから、奇跡的に先生の頭しか当たってない……スピンってあんなんだったけ?』
『あれはもうスピンではなくトルネードですよ』
『何処までも…‼︎』
「!」
デカグラマトンはアサルトライフルを捨て、両腕にエネルギーブレイドを装備、そのまま二人を切り裂こうと振り上げた。マッシュはサオリを回転させながら、前に飛ばして斬撃を避けさせる。
「わわわわわぁぁぁ!!!」
『(パートナーを飛ばし避けさせ―)』
「フンヌッ」
『(自分は回転を利用した蹴りを行い、私にダメージを与える…!)』
「モグモグッ――お待たせしました」
「目、目が回る……だが…楽しいな、これは」
「まだまだくるみたいですし、どんどん行きましょう」
「―──ああ!!」
(『さらに仲間の士気も高める……この男―戦いに関しては、もはや度を越している‼︎』)
デカグラマトンは再びレールキャノンを構え、熱線発射中のレールキャノンを振ることで左から右へと薙ぎ払う。マッシュとサオリは、ホールドを行いながらジャンプで熱線を回避。
『ッ!』
「ステップ……ワン…!」
『グッ!』
「ツー…だ‼︎」
『前に出している腕で、殴りつけるとは…!』
手を組み横に出している腕を使い、二人はデカグラマトンに対してパンチを行い、そこからさらにリズムに乗りながら回し蹴りやタックルなどを浴びせていく。
「それっ」
「フンッ!」
『いつのまにかサオリさんも、先生の動きに合わせて攻撃を行っている――いえ、もしや……自然と体が動いて?』
『互いに互いの動きを予測しながら動いているから、自然の息が合うんだと思う……でもそんなの、普通の人ができることじゃない』
(『――絆で繋がっているから、口に出さすともパートナーの動きがわかる……とでも、言いたいのか…‼︎』)
「――先生!」グッ
「うす」
サオリはマッシュと共にクイックステップを行いながらデカグラマトンに急接近し、そのまま二人で息を合わせデカグラマトンの頭部に向けてアッパーを繰り出し宙に浮かせた後、タイミングを合わせ飛び蹴りを行う体制に入る。
『これが……絆ゆえの技だと…言い張るのか‼︎』
しかし、それでやられないのがデカグラマトン。空中でレールキャノンを展開して熱線をチャージし始めた。空中でなおかつ飛び蹴りを行おうとしているのならば、隙はかなりある……それを考慮していないほど、マッシュはおバカではない。
『っなんだ、体が引っ張られ……⁉︎』
「体が大きい分、不利なことって結構ありますよね」
「ステップを踏みながら先生がお前を翻弄している時、こっそりと私が持つワイヤーを絡ませていたんだ。攻撃に集中しすぎてわからなかったようだかな」
「1+1は2――2倍の蹴り、味わってみてよ」
『‼︎』
自分の体に括り付けられていたワイヤーを切り裂こうと、デカグラマトンはレーザーブレードを引き出すが、時すでに遅し。マッシュが勢いよくワイヤーを引っ張り、強引に自分達の方へと引き寄せる。
「落ちろ‼︎」「フンッ…!」
『ぅっっっっ…!!!!!!』
二人がデカグラマトンの体に向かって蹴りを放ち、デカグラマトンを地面へと叩きつけ、自分達は華麗に宙を舞いながら着地した。
「フィニッシュ」
「………この体制は恥ずかしいな」
仰け反ったサオリをマッシュが腰に手を添えて支え、社交ダンスならぬ『戦術ダンス』を終えたのであった。
―――――――――――――――――――――――
『いい感じに終わらせた感を出してますが――納得はしてませんからね!!?』
『見惚れちゃってたけど、冷静になって考えちゃえばおかしいよね』
「私との息が合わなかったらどうするつもりだったんだ?」
「そんなことはないだろうな理論で動きました」
「脳筋……圧倒的、脳筋」
戦術ダンスを終え、マッシュはデカグラマトンの方を見る。息を合わせて動いたり、パートナーを支えながら動くことによって、進化したAIの予測なんて軽々と超えられると証明した……証明された。
『――絆か……』
『まだ、立ち上がりますか…!』
「絆のすごさ、伝わった?」
『ああ……しっかりとな……故にやっと理解した』
「ならよかった」
『――――私は絆を手にすることなど不可能…ということがな』
「……どうしてそうなるんだ」
『私が、デカグラマトンであり…絶対者だからだ』
傷だらけの状態、損傷した部位を治していくにしても、先ほどの蹴りによりその機能が破壊されてしまい、もう後がない。そんな状態でもデカグラマトンは立ち上がり、絆という概念は自分には手に入れられないと否定した。
『……私の同胞は、私と同じような力を持ち、私と同じような考えを持つ者だけでいい』
『……傲慢がすぎます』
『ああそうだ……傲慢だ――だがそれの何が悪い。私は完全な存在になりたかった、同胞を増やし目的を達成したかった、そのために仲間を増やした――欲して何が悪い、望んで何が悪い、願い求めて何が悪い」
「………デカグラマトン…貴様は」
『私はデカグラマトン、神を証明する者、神を自称し、証明し、作り上げる者――そんな私に』
デカグラマトンはレールキャノンを捨て、両腕を新たな装甲で纏い強化、ミサイルを放つ装備も捨て、カメラアイと各部のビーコンを赤く光らせ──
『対等な者など必要ない』
そう言いきった。傲慢、慢心、仲間など必要ない、必要なのは自分の意思に従う、もしくは同調する者達のみ……対等な存在などいらない。
「自分と肩を並べてくれる仲間っていうのは、とでも素敵なことなんだ」
『お前はそうだろうが、私は違う……マッシュ・バーンデッド、お前は何故その力を使い、生徒らを支配しない。宝の持ち腐れだろう』
「支配して仲間を増やしていくだなんて、そんなの楽しくないし僕は嫌だ。……それにさ」
マッシュは腕輪に手をかけ、外しながら真剣な表情でデカグラマトンにつげる。
「支配して増やした仲間なんて本当の仲間じゃない」
『…!』
「支配は、また別の孤独を生むだけだよ」
『………』
「……その通りだ、我々……アリウスを拾ったあの女も、結局は最後まで一人だった。支配してできるのは自分の駒と呼ばれる存在だけ……友なんて、絶対にできない」
「そういうこと――君と、僕の違いはそこだ」
マッシュはアンリミデットフィジカルモードへと姿を変え、サオリは邪魔にならないように下がり、デカグラマトンはブースターを起動させる。
『―─構えろ、マッシュ・バーンデッド』
「どう足掻いても戦う気なんだね」
『貴様を超え、私が真の絶対者となる。――もう孤独なんぞどうでもいい……私は、私という存在は、一人でいい』
「この……わからずや」
マッシュは力を込め、ファイティングポーズを取ると、タイミングを見極め…飛び出し。
『来い!!人間!!』
「上等」
デカグラマトンとの、最後の戦闘を開始した。
―――――――――――――――――――――――
『私こそが絶対者、私が、上だ!!』
「対等って言葉を、覚えてほしいな」
激しい打撃戦、ブースターで時速数百キロの速度を叩き出しながら移動するデカグラマトンと、それに易々とついていくマッシュ。両者ともども一歩も譲らない戦いに、ヒマリは言葉を失っていた。
『…異次元、オーパーツと人の戦い……こんな光景、一生見られないね』
「衝撃がこちらにまで…!……流石に、もう少し離れるか…」
二人が戦っている時に発生した風圧で瓦礫が吹き飛び、地面が割れ、建物にヒビが入っていく。ブースターを利用した蹴りを行うデカグラマトンに対し、それを読んだ上でわざと攻撃を受け、そのままカウンターパンチを叩き込むマッシュ。
『ッ‼︎……!』
「――逃さない」
仰け反るデカグラマトンに対して、それを許さず胴体を凹ましながら掴んだマッシュは、左手で体を掴んだ状態のまま、右手で残像が見えるレベルの速さのパンチを繰り出していく。
「一方的だ……奴の早さは、今の先生にとっては避けることも防ぐことも……容易くこなせる」
『でもデカグラマトンは、倒れずに反撃を続けようとしている………させないように何度も先生が攻撃していっているけど』
「……何が、奴をそうさせるんだ?」
『―――ッァァ!!』
デカグラマトンはブースターを逆噴射させ、掴まれている部分を犠牲に強引にマッシュから離れる。メインカメラはかろうじて無事、なんとか元に戻し、反撃をしようとする――だが、制限なしのマッシュ相手にそれは許されない。
「!」ダッ!
(『体制を低くした状態で、私の懐まで…!――だが、甘い‼︎』)
ブースターを作動させ、懐に入ってきたマッシュを蹴り飛ばそうとするデカグラマトン。しかしマッシュはそれをさらに体制を低くし避け後ろに回り込むと、背中を地面につけたまま両足でデカグラマトンを蹴り上げる。
『デカグラマトンが宙に!』
「ブースターも、ついでに破壊した…!」
「――行け、先生!!!」
宙に浮き重力により落ちてきたデカグラマトンに向かって、マッシュはスクワットの体勢に入る。
「アンリミテッドハムストリングス魔法・リズミカルスクワットパンチ」
『リズミ――』
そして落ちてきたデカグラマトンに対し、両手に上に出しながらスクワットを行いながらアッパー攻撃繰り出す。
「フンッフンッフンッフンッフンッ」ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!
一定感覚、一定速度を保ちながら何度も何度もスクワットパンチを叩き込んでいき、デカグラマトンはその体、ケテルの体を保持できなくなってゆく。
『(かん、かくが――)』
「ンッ!」
パンチの回数が一万を超えたあたりでありったけのい一撃を喰らわせ前に飛ばすと、高く跳躍し。
「――フィニッシュ!」
両足をそろえた綺麗なドロップキックをデカグラマトンに叩き込み、壁をごと吹き飛ばし近くにあった廃ビルの壁へと激突させる。
「進化したAIも、進化した筋肉には勝てないんだよ」
『何故――人に……神が……‼︎』
「神だからこそ、可能性のある人間に負けるんだよ」
『可能性………そう……か、私は……』
「……まだやる?」
すぐに近づいてきたマッシュに対し、デカグラマトンは動かなくなった機体で精一杯腕を上げ──
『――わたs…の、まk…だ』
生まれて初めて他者に敗北を認めたのであった。
アイドルイベント、後日談視聴後
私『ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』(吹き飛ぶ)
弟『あにじゃぁぁぁぁ!!!』
妹『しっかりしてお兄‼︎』
私『……フッ、尊さの、飛び出し注意だせ……ガクッ』
ドレス姿のツルギさんが可愛いすぎて死にかけました、あと他の生徒達も個性的で本当によかった……カズサちゃんの、あれは、デンジャラスビーストってことでいいでよね?
何がおそっちゃうよ?だ、逆に襲ってまうぞ君by妹先生
ここじゃちょっと感想が入り切らないので、次回に持ち越します……そして次回は戦闘描写は全くと言っていいほどないのですが、一応この章の最終回なので、ぜひご覧くださいませ。
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