最近気づきました、ナツちゃんって死ぬほど可愛いのだと。だからあのハロウィン衣装をくださいお願いします。
『そう言えば、カズサさんは放課後スイーツ部と呼ばれる部活に所属しているようで、一度話を伺ってみてはいかがでしょうか』
(――と、スズミちゃんに言われたのでスイーツ部の部室へとやってきましたけど)
「さあ、白状するんだ先生。彼女らの事を」
「正直に答えてよね!」
「ふ、二人とも、流石に失礼だよ」
「ならアイリはこのまま彼女らに負けっぱなしでいいのかい?」
「そもそも勝負なんてしてないと思うけど……」
(なんで開幕早々に僕は縛られてるの?)
準備を重ねた後、マッシュは日を改め、カズサが所属している部活『放課後スイーツ部』を訪問することとなったのだが……。
『すみませーん、シャーレの先生、マッシュ・バーンデッドなんですけどー』コンコン
『うむ、入りたまえ』
『失礼します』
『いまだ、確保ぉ!!』
『えっ』
室内に足を踏み入れた瞬間、マッシュは二名の生徒達に飛びかかられ、縄で捕えられてしまった。解くのも逃げ出すのも簡単だが、あえて彼は彼女達に乗り、色々と探ろうとしていた。
そもそも自分を捕らえた理由が気になって仕方ないというのもある。
「しかし敵の巣窟に一人で乗り込んでくるとは、迂闊」
「敵って何」
「しかし我々も鬼ではない、情報を話してくれれば、そのガチガチに固めている縄を解いてあげよう」
「情報って……ごめん、話が見えてこないんだけど」
「あんた、シュークリームクラブの顧問なんでしょ? だから顧問を先生を捕まえて、色々話を聞こうとしてるの」
「こんな方法じゃなくて、もっとこう、穏便に済まそうって言ったのに……カズサちゃんにバレたら大変なことになるよ?」
「心配ない、最悪シャーレに逃げ込もう」
「捕まえた相手の住処に逃げ込んで助けてもらえるとでも? 助けるけど」
「助けるんですね!?」
スイーツ部の面々は、どうやらマッシュがシュークリームクラブの顧問だと勘違いを起こしているようだった。確かに関係性が深海よりも深く、ほぼ他人とは思えないほどの距離感だが、決して顧問では無い……実際の顧問、と言うよりかは、顧問っぽい立ち位置はロボ店長である。
「そう言えばまだ名乗っていなかったね、私は
「
「
「うーんこれまた癖が強い」
「先生ほどでは無いと思うけどね」
ロマンチスト哲学的少女に、テンプレツンデレ少女に…平凡、のはずの少女。個性的な面々にあえてマッシュは嬉しく思うが、尚更なんで捕らえているのかわからなくなってきた。
「僕は、別にシュークリームクラブの顧問教師とかじゃ無いよ? 僕はシャーレの顧問だし」
「ふっふっふっ、そう言うと思って……我々は証拠を持っているのだよ」
「証拠?」
「これ、先生でしょ」
「どれど――――オーマイガー」
「隠し撮りになっちゃってたんですけど……その、私達見ちゃったんです。先生が、シュークリームクラブの一員として、悪徳銀行に乗り込んで行っている様子を」
「なんてこったパンナコッタ……」
随分前の話になるが、マッシュとシュークリームクラブはシュークリームカップル団として、悪徳銀行に恩人であるロボ店長を騙しに騙し、暴力まで振るわれたので、その報復とばかりにその企業の悪事を暴いた。
その時の様子を、なんと彼女らは見てしまった……つまりはシュークリームカップル団のシュー君の正体がバレてしまったのだ。
「これは、先生だね?」
「いいいいいいやややややちがちががががいますすすけどどどど?」
「わかりやすいぐらいに動揺してる!」
「世間にバラす気はないが……これでもなお、シュークリームクラブの顧問とは認めないのかい?」
「……認めるも何も、あの子達は同じスイーツを食べる仲間。ただそれだけだよ」
「にしては距離感が近すぎる気もするけど」
「まあもっと距離感が近い子はいるし……そもそも、なんでそこまであの子達に?」
「……数週間前のことだ、我々は優勝商品である限定レモンシュークリームを食べるために、とあるスイーツ早食い競争に参加した。普段からスイーツを食べまくっている我々にとって、この競争は勝ったも同然――だったのに」
『悪いな、この勝負……貰ったぜ』
『ふぅ〜食った食ったー』
『意外と楽勝だったな』
「あのシュークリームクラブにボコボコにやられてしまったのさ」
「あれま……それで次は負けまいと?」
「そう――同じスイーツを愛するものとして、負けたくは無いんだ」
「あそこまでボッコボコにやられて、はい終わり……じゃ納得できないの!」
「カズサちゃんはそこまでだったみたいだけど………ごめんなさい先生、こんなことで捕まえちゃったりたりして」
「何をいうんだアイリ、君だって彼女らのことが憎いんだろ?」
「に、憎くは無いよ!……ただ……えっと、嫌だなーって思っただけで…」
スイーツ部は早食い競争でシュークリームクラブに負けた、それが悔しくて仕方がなく、彼女らにリベンジするために、彼女らの弱点やらを教えて貰おうとマッシュを捕まえたのだ。
しかしアイリだけは、少し違った様子。
「私はただ……『チョコミントは美味しい』って認めてもらいたいだけで…」
「チョコミントって……あの口当たりがスッキリする奴?」
「そ、そうです!甘くて口の中がさっぱりになる、その感覚が癖になって……でもそれを……あの人達は、言ってはならないことをって言ったんです。あんなことを言われたら……――我慢、できません!」
「そう言えばチョコミント味のシュークリームって、あんまり見かけないな……チョコミントって確か、歯――」
そこまで言ったところで、何かがマッシュの口に突っ込まれた。彼の口元にあったのはミント味のアイスクリーム……その目の前にいたのは、何故か目にハイライトが無いアイリ。
「先生、今、なんとおっしゃいましたか?……まさか、チョコミントは歯磨き粉の味……だなんて言いませんよね?」
「――――イイマセン、口元サッパリするのは少し苦手だなーッてイイマシタ」
「―――好き嫌いは誰でもあるので、仕方ありませんよね」
「ウン、ソウソウ」
(あーアイリの地雷踏んじゃったなぁ先生…)
(うむ、正直アイリを怒らせるのが一番怖い)
苦手嫌い云々ではなくて、歯磨き粉の味と言われること自体が地雷だったようで、怒ったアイリを沈ませようとマッシュは誤魔化した。
そして、場も少し馴染んできたところで……マッシュは交渉を呼びかける。
「……数量限定・レモンシュークリーム」
「!」
「そのレシピを僕は持っている、つまりそれをいくらでも作れる」
「シュークリームクラブ達が働いてるお店で売っている、例のあれか」
「シュークリームクラブの子達はとかかなり親密な関係にあるから、許可をもらえればいくらでも作れるし――競争の場を作ることもできる」
「……ほほう――これは交渉というやつかな?」
(何この雰囲気)
「取引って感じが一番近いかも……僕が知りたいのは一つ、カズサちゃんのこと」
「杏山カズサの?」
「聞きたいことがあってさ、それを教えてくれたら……作ってあげる」
「我々に友を売れと?」
「変なことを聞くわけじゃ無いよ……それで、どうするの?」
(だから何かの雰囲気、後なんで先生はそんなシリアスな顔してるの!?)
カズサのことを教えてくれた暁には、レモンシュークリームを自分が作り、皆に食べさせてあげる、という交渉をマッシュは持ちかけた。会話の内容はそこまで深刻では無いはずなのに、何故かシリアスな感じになる。
「……どう思う、二人」
「どうって言われても……先生って聞く限り、やましい心が一切ない無知無知な男の人って話だし……そんなに警戒しなくてもいいんじゃないの?」
「レモンシュークリームも、食べてみたかったしね……というかそもそも勝手に勘違いをして勝手に色々とやっちゃった私たちが圧倒的に悪い気がする……から、交渉を可決してもいいんじゃないかな」
「ふーむ……二人がそういうのなら、教えよう」
「ありがとう……じゃあこれはいらないね、えいっ」
マッシュは自分の体に縛り上げられた縄を力づくで引きちぎり、その場に落とす。その時間わずは1秒、あまりの速さに言葉を失う3人。
「――それで、カズサちゃんのことなんだけど」
「……ふっ、降参だ先生。デコピン一発で勘弁してもらえると嬉しい」
「別に何もしないよ、そこまでキツくも無かったし」
「限界まで縛り上げたのに…?」
「本当に噂通りの人だったね…」
「それで……杏山カズサのことだね?」
「うん、色々と教えて欲しいんだ。今後のためにも」
「……では答えよう」
「ありがとう、まず最初に」
「杏山カズサ、16歳、誕生日・8月5日、身長・155cm」
「…ん?」
聞いてもいないのにカズサの個人情報を漏らしてきたナツ、多分『カズサのこと(聞きたいこと)を教えて欲しい』が、『カズサの詳しい詳細を教えて欲しい』になってしまったのだ。
「体重もバストも言えないが、最近太ってきたらしい」
「あんた何言ってんの!?」
「それと猫耳が特徴的なのに猫が嫌いらしい、なのに本人は特定の人に甘々な態度をとっている。例えばここにいるアイリとか」
「ナツちゃん!?」
「待って待ってそういうことを聞きたいんじゃなくて」
「さらに最近、宇沢レイサという生徒とよく喧嘩をしているそう」
「それ、それ系統のことが知りたかったんだ」
「……なんだ、それならそうと言ってほしかった」
「聞いてない情報をめちゃくちゃ話してきたのはそっちじゃん」
様々な情報を聞かされた中で、最近レイサという生徒と喧嘩をよくしている……と言う情報が手に入ったマッシュ。彼はもう少し深く聞いてみる。
「よく、って言うけど、どれくらい?」
「週に2、3回程度かな」
「多いな」
「下手に、喧嘩なんて普通のことじゃない? それにあの子短気だし、敵が多くても不思議じゃないわ。自業自得よ、自業自得……だから、友達には愛想良くしてればよかったのに」
「……ちょっと見えてきた」
彼女らは『キャスパリーグ』としてのカズサを知らない、何故カズサがレイサに勝負を挑まれているのか……敵が多いのか、それを知らなかったため、ただの喧嘩として認識されていた。
アイリは少し違った雰囲気を感じ取っていたようだが、真意が分からず困っている様子もあった。
「そこまで彼女のことを気にすると言うことは……訳ありなんだね?」
「それなりには」
「……そうか、私たちにも隠している何かを、先生は知っている……それを私達は知らない。――だが、秘密がどうであれ、彼女は彼女だ、否定も何もしない」
「…その通りです。どんな秘密を持っていても、カズサちゃんはカズサちゃんですからね」
「先生は、私たちがその秘密を知っているんじゃないかと思って、尋ねて来たんだね? 燃えたコインの裏側、それを知り、私たちの間に何か亀裂が入ってしまっているんじゃないか……と」
「深読みされまくっちゃってた……けど、その通り――でも何も問題はなさそうだね」
知られていない秘密、それを知り彼女らがカズサに対して何か違った思いを抱いているのではないか、友情に何か支障をきたしているのではないか――そして真実を知った時、彼女らの友情が壊れてしまうのでないか、マッシュは少し不安だったため、今回足を運んできたのだ。
「様々な種類の素材を集めることによって、スイーツは完成する……少し違った何かがあった程度で、スイーツの味は崩れたりしない」
「だから、もしカズサちゃんに何かがあったときは、いつでも相談してください。どんな時でも、何があっても力になりますから」
「………え、さっきから、何この雰囲気……ただの喧嘩の話よね?」
「君は君のままでいいよ」
「どう言う意味よナツ‼︎」
友情乾杯、心の中で祝杯をあげたマッシュは、もうここに自分は必要ないなと思いその場を去ろうとする――――そしてそこで問題が発生。
「……?先生、何か落としたわよ?」
「えっ…………―――あっ、待って、それ拾っちゃダメ」
「この服装は、よくあるスケバン………―――この、耳と顔つきは…」
「………これって、カズサちゃん?」
マッシュは、カズサから自分のことを忘れないようにと渡されていたスケバン時代の写真を、地面に落としてしまった……そしてそれをスイーツ部の面々に見られてしまった。――これはつまり
(―――腹切り案件だ、これ)
責任を取らなければいけない事態へと、なってしまった。
どうも、久しぶりに兄妹でカツ丼を食べに行ったのですが。調子に乗って3人が3人大盛りを頼み、めちゃくちゃ胃もたれを起こしてしまった作者です。
歳なんてもうとりたかねぇ、まじで。
スイーツ部イベントも、そろそろ終わる頃合い……こっから湿度が高くなってきたりますので、ご注意くださいませ。
百花繚乱後に見たい話
-
まだ交流がない生徒との話
-
アイデェア箱から選んだお話
-
ラビット2章
-
愛が重い生徒との話