なんか、書いてたらじいちゃんがハーレム状態になっちゃってマッシュくんが空気に……。
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それでは本編へ、どうぞ!
『――ん…』
な…なんじゃぁ……? まだ起きる時間じゃないじゃろマッシュ……まさかまたドアを壊したのか?
『――いさん!』
いきなりどうしたんじゃマッシュ、わしのことをさん付けなんかして……これは夢か?夢なのか?…夢じゃな、わしってよくうたた寝することあるし
『おじいさん!』
「ぬぉぉい!?」
「よかった……意識が戻られたようですね」
「……ここは」
長く髭が伸びた青服の老人が、とある部屋で少女に起こされて目を覚ました。自分のぎこちない体を起こした彼は、周囲を見渡して目をぱちくりと瞬かせ、見覚えのない光景に戸惑う。
「な……なんじゃ、ここ……」
「大丈夫ですか?」
「ああ…あぁ…すまんのお嬢さんや、ここは一体どこ…って、天使の輪!!?」
「天使の輪…もしかして、このヘイローのことですか?」
「ま、ままままさかここはあの世なのか!?え、なに、わしいつのまにか死んでたの!?健康には結構気をつけてたのに!わしの孫はどうすればいいんじゃぁぁぁぁっ!!?」
「あの、落ち着いてください……ほら、体温を感じるでしょ?」
「……ほんとじゃ…本当に、どうなっとるんじゃ? わしはどうしてここに…」
「今日、私がここに入った時には既に……貴方はここで眠っていました」
「………うーむ…空間転移の魔法か?少なくとも、ワシにそんなものをかける意味が……む?」
老人は立ち上がるとともに窓の外を見渡す。天を衝くような建物が並ぶ街、天使の輪が浮かんだような空……
「―ど……どう、なっとるんじゃ?」
「失礼ですが、おじいさん……まずは、状況説明のために自己紹介をさせていただきます。私はここ──学園都市キヴォトスの運営に従事する中央行政組織『連邦生徒会』の首席行政官・七神リンです」
「キヴォトスに、連邦生徒会……?魔法局絡みの組織じゃないなら、聞いたことがないのぉ……──と言うか、首席行政官!?ってことは、お嬢さんは政府のお偉いさんってことか…!?いやはや、なんともそれは……その年でなんともまぁ、大変じゃろうに…」
「ええ……まあ…かなり」
「ああすまん、こちらも名乗るのが礼儀じゃの…わしはレグロ・バーンデッド…まあ、ただのしがない老人じゃよ」
「……
リンはバーンデッドと言う姓に、真っ先に思い当たる相手がいた。「もしや…?」という小さな確信とともに、レグロに対してある青年の名を訊く。
「あの、おじいさん…マッシュ・バーンデッド、という青年を知っていますか?」
「マッシュ?マッシュは、わしの孫ですが……マッシュが何か?」
「――や……やはり!マッシュ先生の、お祖父様…!!」
「マッシュ…………先生!?え、なに!?先生!!?マッシュが…!?」
レグロとリンは、互いに驚愕のあまり硬直した。リンはマッシュの祖父がキヴォトスに現れたことに対し、レグロはまさか自分の孫が先生になっていた事実に脳天を叩かれたような衝撃を覚えた。
「あ、あの、マッシュは今どこに」
バキャァッ!!!!!
「あ゙ぁっ!?これ知ってる音だ!?」「……知ってる、音?」
「おはようございますリンさん、この書類を届けるように言われて………あれ、じいちゃん?」
「ま―───マッシュゥゥゥゥ!!??」
(………扉…また壊されちゃったんですけど)
レグロ・バーンデッドinキヴォトス。マッシュは、離れていた自分の家族と再会した。
「───つまり、ここはわしらが住む世界とはまた別の世界で……マッシュはここの先生、と言うことですかな?」
「はい……連邦生徒会長は先生の就任以前より、度々突飛なことをする傾向があったのですが──まさか、先生の就任について保護者であるレグロさんが何も把握されていなかったとは……ご家族に対して勝手に役職を与えてしまい、本当に申し訳ありません。連邦生徒会長の不手際について、行政官として深くお詫び申し上げます」
「いえいえ、顔を上げてくれリンさん。そちらにもきっと、なにかしらの事情があったんじゃろうし……連邦生徒会長さんも、きっと考えがあったんじゃろう。結果的にマッシュの面倒を見てくれて、マッシュが問題なく生活できとるなら、こっちがとやかくいうことじゃない」
「じいちゃん、勝手にいなくなってごめん……あれから一ヶ月ぐらいは経ってるから」
「一ヶ月…?え、一ヶ月もここで過ごしてたのか?いや、こっちじゃとまだ数分と経っておらんぞ?昨日みたいに、『筋トレに行ってくる』とだけ言って森に入ったから、わしは家でコーヒー淹れて待ってたんじゃ」
「え」
「……どうやら、キヴォトスと先生方の出身地の間では、時間の流れ方に大きな差が存在するようですね」
「まじか」
マッシュがシャーレの先生として働いていた期間はおおよそ一ヶ月。しかしレグロの視点から見た時間の進み方に準拠した場合、魔法界ではまだ一時間も経っていなかった計算になる。
「それにしても、まさかあのマッシュがこんな大きな街の先生とはのぉ……リンさんや、マッシュが何か粗相を起こしてはおりませんか?」
「いえ、別にこれといった問題はありませんし、なんならいつも真面目に仕事をして」
「あーいやそうではなくての…その、物…とか」
「……あっ(推察)」
「知っておるかもしれんが、マッシュはかなりの筋力を持っていての……それで、備品とか大事なものを壊してないかな〜……なんて」
「……生徒会本庁のドアや、シャーレ部室のあらゆるドアを幾度となく破壊されました」
「うちの孫が本当にすみませんでしたぁ!!!」
「ご、ごめんなさい……覚えられなくって、迷惑かけちゃって」(平謝り)
「な、直してもらってはいるので…大丈夫です。先生の手先の器用さには、助けられた生徒も多いと聞きますから」
レグロは平謝りで額を床に叩きつけ、マッシュもレグロの謝りように押される形で頭を下げる。レグロからしてみれば、自分の息子が人様に迷惑をかけていることにほかならない。育て親として申し訳無さが先行してしまったのだろう。
「……しかし、マッシュ先生がこのキヴォトスに来てから一ヶ月、D.U.を中心に大きな変化がありました」
「変化……とは?」
「そうですね、まず一つ目に…マッシュ先生がシャーレ顧問として活動を開始されてから一ヶ月、治安が少し良くなりました」
「え」
「そして、今まで逮捕しても勾留しても反省しなかった連邦矯正局の不良生徒達が次々と自らの行いを猛省し、今や真面目に勉強に励んで優秀な成績を示しています」
「へ??」
「そして、悪質な商法や架空請求で生徒を騙して問題を起こしてきた業者や企業を次々と無力化し、『二度とこんなことはしない』とまで言わしめて、この広大な都市で私達の手が届かない生徒達の安全を確保してもらっています」
「待って待って待って!!?!?!?!!?」
「なんなら、これまで処理が追いつかなかった私の仕事が大いに減っておりまして、正直…もうこれ以上なく助かっています…ほんとに」
「よくわかんないけど……リンさんの助けになってるなら、よかった」
「いやいやいや!?…じ、自衛のためを思って筋トレさせてたのはワシだけど、なる!?そこまで!!──マッシュ、お前本当にここで一体何をしたんじゃ!!?」
「暴れた」
「そっか〜、暴れたのかぁ〜…」
「本当に……連邦生徒会一同、先生には感謝しても仕切れません」
レグロはリンの表情を見て、マッシュがここに来てどれだけのことをやってのけたのか大体わかった。
マッシュが、この子を──いや、この世界に生きる多くの子供たちを助けた、ということを。
「マッシュよ……よく頑張ったのぉ」
「うん、なんか…そうっぽい……また会えて嬉しいよじいちゃん…話したいことも伝えたいことも色々あるし、紹介したい生徒の皆にも会ってもらいたいんだ」
「そうじゃな…折角、孫にとっての初仕事の場に来たんじゃ。ゆっくり巡りながら聞くとするかのぉ」
「では、私は業務に戻ります…先生、本日の業務は私に任せて、おじいさまとごゆっくりとお話しください」
「ああ、リンさんや」
「?」
「わしの孫の面倒を見てくれて、本当にありがとうございました……マッシュのことは、これからもよろしくお願いします」
「……勿論です。どうか、お任せ下さい」
リンは穏やかな笑みとともに、その場から去って行った。残ったマッシュはどこか嬉しそうに、キヴォトスで出会った友達や、キヴォトスで使われている様々な武器について話す。そんなマッシュの話を、レグロは時に微笑ましそうに、時に驚愕とともに、退屈という言葉が無縁な時間とともに聞き続けたのであった。
その後、話が一段落して正午が近づいた頃。せっかくレグロがキヴォトスに来たと言うことで、マッシュに関わった生徒達を紹介するため、2人はマッシュの初任務地であるアビドスへと向かっていた。
「……のおマッシュよ」
「どうしたのじいちゃん」
「迷ったじゃろ」
「…そんなことないよ」
「あるよね!?!?これ明らかに迷っとるじゃろ!!さっきから同じところぐるぐる回ってるし!!」
「おかしいな、地図は…あ、逆だった」
「マッシュゥゥ!!!!こんなだだっ広い所で遭難とかありえないよ!!?」
「大丈夫、シュークリームはたくさん持ってきた」
「遭難中それで凌げと!?わしの衰えた胃じゃ無理じゃからね!?」
レグロがワーと悩んでいた時、背後からマッシュが知っている声が聞こえた。
「―ん、先生!!」
「あ、シロコちゃん」
「狼の耳が生えている子供とは……本当に、魔法界よりもファンタジーじゃな……」
シロコがロードバイクを漕ぎながらマッシュに近づく、それも嬉しそうな笑顔を向け耳をぴこぴこと動かしながら。
レグロはその姿が、まるで飼い主の来訪に喜ぶハスキーのように見えて仕方なかった。
「ん…久しぶり、先生」
「久しぶり、元気だった?」
「勿論……けど、寂しかった」
「なかなか行けなくてごめん、お詫びのシュークリーム」
「ありがとう…で、そっちの人は誰?」
「僕のおじいちゃん、レグロ・バーンデッドだよ」
「おじいちゃん……つまりこの人が、
「なんじゃって?」
「なんでもない」
シロコの認識では、マッシュと言う人間兵器を育て上げた凄い人、と言う形になっている。勿論、リンを含む多くの生徒会役員にとっても、内心そのような認識で相違なかった。
「アビドスに行くんだよね?案内する」
「おお〜それは助かる……あいたたた」
「大丈夫?」
「うぅむ…少し歩きすぎたか……」
「ん…なら私が背負っていく」
「いやいや、これぐらいなんとも『ビキッ』あいだだ!」
「ほら、無理しちゃダメ」
「とはいえか弱い女の子に運んでもらうのは」
ヒョイ
「!?」
「大丈夫、キヴォトス人は強いから」
「わし…軽々と持ち上げられた……なんかショック」
「ん、こっちだよ」
「…あ、待ってシロコちゃん、じいちゃんは僕みたいに体が強くないからゆっくりと」
ビュン!!
『ギャァァァァァァァッ!!!?』
「……行っちゃった、ついていかないと」
レグロはシロコに背負われたまま、首がぐわんぐわんと揺さぶられ、着く頃には白目を剥いて昏倒していた。
「―――――」
「…………ごめんなさい」
「き…気にすることはないぞ〜? ―ウゴッフゴッフ」
「全然無事に見えないよ」
マッシュはレグロを担ぎ、シロコと共に久しく校舎内へと足を踏み入れた。
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱ………い?」
対策委員会部屋の扉をシロコが開くと、いつも通りアビドスの生徒たちが揃っていた。しかし今回は初期とは違い、久しく顔を見せたマッシュへの大歓迎ムードである。
「マッシュ先生!」
「あ、マッシュ先生お久しぶり〜元気だったー?」
「バッチグー」
「あら? そちらのお年寄りの方は?」
「僕のじいちゃんだよ」
「マッシュ先生のおじいさん‼?」
「れ、レグロ・バーンデッドです…ゴホッゴホッ」
「なんか死にかけてるんだけど!?」
「お、お水を持ってきます!」
椅子から跳ね上がったアヤネがペットボトルの水を持ち出す。ボトルを受け取ったレグロは息絶え絶えに水を口に運び、アビドスの乾燥した風に晒された体を生き永らえさせた。大きく息を吐いたレグロは、ノノミに案内されながら椅子へと座る。
「いやぁ〜助かった……危うく昇天する所じゃったわい」
「そもそもなんで…? そんなふうに?」
「かくかくしかじか」
「シロコ先輩なにやってるの‼?」
「反省してます…」
「ハッハッハ…この世界の常識で考えただけなんじゃし、そう気を落とさんでくれシロコさんや」
「…ん」
「えーそれで…ここの皆は、マッシュの生徒さん……ということでいいんじゃよな?」
「はい! 私は二年生の十六夜ノノミといいます。左から、一年生の黒見セリカちゃんに奥空アヤネちゃん。そして、二年生の砂狼シロコちゃんに、三年生の小鳥遊ホシノ先輩です♪」
「みーんなマッシュ先生に助けられたんだよね〜」
それぞれの自己紹介を聞いたレグロは、「この子達はいい子だ」と確信する。
「マッシュとはどんな事を一緒に?」
「そうだね〜…まずは、ここにある借金を返すために頑張ったり」
「借金……え?借金?生徒が?学校の?借金を?」
「ここを襲撃してきた武装集団を追い払ったりもしましたよ♪ ほとんど先生が倒してくれましたけど」
「武装集団が襲撃!!?!??」
「私が攫われた時に助けてくれました」
「助けた…それは、まあ」
「後は一緒に銀行強盗をした」
「そうかそうか銀行強盗、銀行強盗!?」
「悪質な借金取りを砂漠に埋めたり」
「砂漠に‼? 埋めた‼⁉‼?」
「あとは、おじさんを騙そうとしてた悪い大人をボコボコにしたりねぇ〜」
「ボコ、ボコボコ‼? ま、マッシュ‼ 一体ここで何があったんじゃ!? お前ほんとに何をした!?」
「大変な事をいっぱい」
「それはわかっとるわい‼‼」
「あ、あの! 私が改めてご説明します!」
困惑するレグロを見かねたアヤネが一から十まで、アビドスで起こった全てを話すこととなった。彼女たちが置かれていた状況、それを助けるためにマッシュが奮闘してくれた事、銀行強盗について……その全てを、詳細に伝える。
最初こそ驚愕するばかりだったレグロは、アヤネの語る内容が深刻なものとなっていくにつれて、沈痛な顔でその話を聞いていた。
「なるほど……なるほどのぉ〜…お嬢さん方、それはそれは大変じゃったじゃろうに」
「はい、とてもじゃありませんが……未来が全く見えてませんでした」
「けど、先生が来てくれたおかげで色々変わった」
「おじさんも助かったし、借金も半額以下になったし。それに借金相手の不正も明らかになって『みんな万々歳‼』って感じなんだ〜」
「結構頑張った。皆も勿論、かなり頑張ったよ?」
「マッシュと皆が一丸となって、巨悪を討ち取ったのか……それも」
レグロは近くにいたホシノの手を取り、ぎゅっと握る。皺が刻まれた大きな手が、小さく滑らかな手を暖かく包んだ。
「こんなに小さい手で一生懸命……頑張ったんじゃなぁ」
「ぁ……」
「マッシュ、よくこの子達を救った…さすがは、わしの自慢の息子じゃ」
「…うん」
「皆も、今まで本当によく頑張った。理不尽に負けず、しがみつき…諦めずに抗い続けた―─
君らは立派じゃ。胸を張って、自慢してもいいんじゃぞ?」
レグロは微笑みながら、まるで包み込むように、暖かくそう言った。それを聞いた生徒達は、今まで励まし合う傍らで心に押し込めていた何かが溢れる感覚とともに、熱くなった目頭を手で覆う。ホシノは掴まれた手を離さないまま、座り込む。
「おじいちゃん……わたし、がんばったよ?」
「うんうん…よしよし、本当によく頑張ったな、ホシノちゃん。えらいぞ〜?」
レグロは孫をあやすかのようにホシノの頭を撫でる。ホシノは一気に感情が溢れたのか、これまで見せたことのなかった涙をこぼした。
「…グスッ」
「……女泣かせじいちゃん」
「人聞き悪くない!!?」
「あとじいちゃん、僕も頑張ったから撫でて」
「おおそうじゃの、マッシュも──って近い近い近い!!」
「ん、私も」
「ま、待つんじゃみんな!膝は二つしかない、だから──ってコラァ、取り合わない!!」
「私もお願いしてもいいですか〜?」
「わ、私も……!」
「私も、お願いしていいですか……?」
「な、なんじゃ?そんなに撫でられるのが嬉しいのか?それならワシのような老耄ではなく、歳の近いマッシュに──」
「「「「「レグロおじいちゃんがいいの!!!」」」」」
「食い気味‼ わ、わかったわかった……ハッハッ、まるで孫が増えたようじゃな」
レグロは親らしい顔を見せ、皆を撫でた、この世界にいる子供達は頑張っている。
しかしそれを褒め、慰めてくれる大人は少ない。
レグロ・バーンデッドと息子の友達、次回へ続く。
内容薄くなったまった、じいちゃんは次の話が終わったら帰っちゃうのですが、パヴァーヌ、エデン条約をクリアした後も出てくるのでその時までお待ちください。
祖父、祖父母特有の謎の安心感、あれなんなんですかね。
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