透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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話には関係ないのですが。


妹先生『お兄〜可愛いショタと可愛いロリが仲良くしてる作品って知らないー?』

私『メイドインアビス』

妹先生『何それ面白そう、ちょっと見てくるわ』


ってなことがあったのですが……嘘はついてませんよね?だって、ちゃんとロリもショタも出てきますもん、私悪くないもん。


それでは本編へ……どうぞ!


マッシュ・バーンデッドと門主様と尋問

 

 

 

 

 

「ウチと玄龍門は前々から仲違いを起こしてはいたんだけど、最近は特に酷くてね……その理由ってのが、どうも最近ウチに関する嫌な噂が出回ってるんだよね………ハイ、半チャンセットお待ち」

 

「嫌な噂?――いただきまーす」

 

「なぜ急にルミ会長の料理を?」

 

「シンプルにどんな感じの料理なんだろうな〜と思って……チャーハンってやついいですね、口が進む」

 

 

 

 

 

 マッシュは玄龍門2人を追い返した後、ルミの料理の味が気になり、半チャン…つまりはラーメンとチャーハンのセットを注文した。ラーメンの味は味噌ラーメン、百鬼夜行のような和の文化に親しみを覚えているマッシュにはピッタリの味である。

 

 

 

 

 

「それは嬉しいね……それで、話を戻すんだけどさ。山海経では萬年参って言う植物が取れるんだけど、収穫量が少なくて希少価値が高いから、持ち出しが厳しく制限されているんだ」

 

「……もしかして、それを無断で持ち出したのが玄武商会だって疑われてるんですか?――たまには油物もいいですな、チャーシュー旨し」

 

「その噂を起源に、玄龍門の構成員達が店内で調査と言う過程で止まっててね……そのせいか、店に来てくれるお客さんも減ってしまってるんだ」

 

「……僕のゴシップと言い今回の件と言い、ちょっと神経質になりすぎじゃないですか? 流されすぎと言うか」

 

 

 

 

 

 

「トップに位置する組織がそれでいいのか?」と、シャーレに長いこと所属しているマッシュにとってはそれが最大の疑問だった。しかし、当然玄龍門も昔からこのようなスタンスだったわけではない。

 

 

 

 

 

「確かに……最近の玄龍門は少し焦っているように見えます……特に門主様に関しては、焦りすぎているような…」

 

「門主様、って言うのは玄龍門のトップの人なんですよね? どんな人なんですか?」ズズズッ

 

山海経の黒い君主なんて呼ばれる程には、とんでもないカリスマ性の持ち主です」

 

 

 

 

 黒い君主、そう聞いて少し悩んだマッシュ。いままで数多くの強敵と戦いを繰り広げて来た彼だが、逆に物理攻撃で問題を解決できない場合や、殴り合いではなく駆け引きが求められる場面は未だに苦手なまま克服できない。特に、政治や権謀術数を特異とする相手に関しては、最悪マッシュの得意技全てが逆手に取られてしまうだろう。

 

 

 

 

 

「……兎にも角にも、話をしないと始まりませんよね」

 

「その通り、でも……うーん大丈夫かなぁ。さっきの態度見ただろう? 敵意丸出しで迎えられるの……嫌じゃない?」

 

「慣れてるのでお構いなく――ご馳走でした、ふぅー食べた食べた」

 

「慣れてる………か―――そういうことなら、もういっちゃおっか。このままとまってても何もならないし」

 

「では、私はルミさんの護衛に回ります、もちろん先生にも」

 

「それは心強い」

 

 

 

 

 

 

 マッシュは空になった皿を運んでいき、ググググッと体を伸ばす。黒い君主、気になる相手だが――敵対も辞さない態度の相手との対話は、もう慣れてしまった。どうするべきかもわかっている。

 

 

 

 

 

「まずは第一印象と菓子折りが大事」

 

「…待って、じゃああのシュークリーム全部渡す気?」

 

「ダメですか?」

 

「量が量だからね、せめて5個ぐらいにしておかないと」

 

「押し付けて仕舞えばいいのでは?」

 

「レイジョ、シュークリームまみれのトップ組織なんて見たく無いし、メンツが完全に潰れるよ」

 

「僕そのシャーレ(シュークリームまみれの組織)にいるんですけど」

 

 

 

 

 話をしないことには始まらない、マッシュは数個のシュークリームを袋に詰め、ルミ達と共に玄龍門・本拠地へと移動することにした。

 

そして先に言っておく

 

 

 

 

 

(僕頑張るよ、マイク)

 

 

 

 

 

この後マッシュは盛大にやらかす。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「これがトンファー、これがヌンチャク……かっこいいですね」

 

「トンファーが一番おすすめです、攻防共に優秀で、その気になれば相手の臓器にダメージを入れることも可能です」

 

「逆にヌンチャクは破壊力が凄まじい……使い方を間違えればその瞬間、使用者の骨が折れて最悪死ぬ…まあ僕は大丈夫か」

 

「先生のヌンチャクなら、相手の頭蓋骨程度なら簡単に破壊できますね」

 

「顔か体が、迷うな」

 

「ねえその物騒な会話は一旦やめにしない? わかってると思うけど、私そこまでの耐性ないから」

 

 

 

 

 

 物騒な会話を続けながら目的地に向かうレイジョとマッシュ。そして『あっ、自分はこの会話に入れないな』と自覚したルミ。

 

 

 

 

 

「……一応、忠告だけしておくね? 玄龍門の生徒らはみんな、門主であるキサキのことを心の底から尊敬してるんだ……キサキに対してもし何か失礼なことをしちゃったら、大変なことになる」

 

「だからくれぐれも失礼のないように…ですよね。任せてください、こう見えても他学園トップの人達とたくさんお話しして来てるので」

 

「ならいいけど……――おっと、これは意外」

 

「――お待ちしておりました、先生、玄武商会のお二人」

 

 

 

 

 

 玄龍門門前に立っていたのは、複数人の構成員たちだった。一様に慇懃なお辞儀を魅せ、マッシュと玄武商会の2人を迎え入れた。――不気味、玄武商会の2人が感じたのは、強い違和感だった。

 

 

 

 

「……どういう風の吹き回し?」

 

「先生前なのだから、失礼な態度は取るな…と、門主様からの言いつけですので」

 

「……要はゴマすりと言うことですか……わかりやすいですね」

 

「――勘違いするなよ、これは門主様の言いつけだから守っているだけだ……言いつけがなければ、お前たちをここに通すこともなかった…よく覚えておけ」

 

「はいはい、もうケンカはいいでしょ?先生の前なんだから、こう言うのは無し、いい?」

 

「……すみませんルミ会長」

 

「わかればよろしい♪――それで、案内はしてくれる?」

 

「勿論です……こちらへ」

 

 

 

 

 

 構成員達に連れられ、マッシュ達がやって来たのは高そうな家具や装飾がなされている一部屋。奥には仰々しい玉座が置かれ、後ろの壁面には力強く『玄』と書かれている。

 

 

 

 

「わっ高そうなものがいっぱい、マフィアの本拠地みたいな感じでかっこいいですね」

 

「先生、それ絶対キサキの前で言っちゃダメだよ?」

 

「うす」

 

 

 

 

 しばらくして、周りに玄龍門の構成員達が綺麗に並びだし、2人の生徒が息を吸い、大きな声で叫ぶ。

 

 

 

 

 

『門主様の、おなーりー!』

 

『おなーりー!』

 

「………おお」

 

 

 

 

 

――足音が響き、部屋の中へと1人の生徒がやってくる。ホシノやヒナのような小柄体型だが、ナギサ・リン・マコトにも似たトップの雰囲気と圧を感じ、なおかつ――身長に見合っていない色気を放つ1人の子供。

 

 

 

 

 

「山海経高級中学校・玄龍門門主、竜華キサキじゃ。話は聞いているぞ、シャーレの先生よ…あえて嬉しく思うが――できればこのような形であいとうなかった」

 

「どうも、キサキち――さん、シャーレ専属顧問・マッシュ・バーンデッドです。こちらこそ会えて光栄です」

 

「そう硬くならずとも良いぞ先生、妾は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでこっちがマイク、こっちがケビン、トムにキムにヤマダに……―どうぞよろしくお願いします」

 

(―――――自分の筋肉に…‼︎)

 

(名前…‼︎)

 

(付けてるぅぅぅぅ!!?)

 

(何やってるの先生ィィぃぃぃぃ‼︎‼︎)

 

「よろしくね」(裏声)

 

 

 

 

 

 盛大にマッシュはやらかした。いきなり服を脱ぎ捨てトレーニー姿となり、自分の筋肉達を紹介し始める。そんな奇行にルミやレイジョ、周りにいた玄龍門の生徒らも驚きを隠せずにいた。

 

 

 

 

 

「お、おいコラぁ‼︎」

 

「はい」

 

「い、いきなり……その、服なんて、脱いで……ふ、不埒だぞ‼︎」

 

「あっ、ごめんなさい。ついつい癖で」

 

「癖で脱ぐなぁ!」

 

「………所でどなたですか?」

 

「玄龍門執行部長の近衛ミナだ!門主様に呼ばれるのを門で待っていたのに、そっちがいま台無しにした‼︎」

 

「それはごめんなさい、お詫びの印にシュークリームを」

 

「いらん!!後どこから出したんだそれぇ!!」

 

 

 

 

 

 登場シーンをギャグで塗り替えられてしまった可哀想なキサキの側近、近衛ミナ。かっこいい登場はどうしようか、どんな態度で出てくれようか、そんなことを考えていたのに全部壊された。

 

 

 

 

「…………」プルプルプル

 

「あやば怒らせちゃったかも」 

 

「い、いやーごめんねキサ―門主様‼︎この子ったらすーぐ場を盛り上げようとしちゃって…! ほ、ほら、悪気があったわけじゃないんだ!子供らしい考えだから…ほら、ね?」

 

「お母さんみたいな口調になってますよ会長」

 

「も、門主様!すぐにこの無礼なものたちを………門主様?」

 

 

 

 

 

 プルプルと震え、顔を後ろに向けているキサキ。門主の怒りに触れたものと思った玄龍門の部下たちは一瞬で凍りついたが、よく見ると怒りの震えではなく

 

 

 

 

「―――ンフフフッ」

 

「……門主……様が……笑っている……だと?」

 

「今ので…!??」

 

「笑いの沸点低くありませんか?」

 

「ひ、人に対して…笑わない怪物のような扱いは辞めぬか……それに、妾は笑っておらぬ。ただ少し肌寒く感じただけで」

 

「………スゥゥ――ケビンだよ‼︎よろしくね‼︎」(裏声)

 

「ングッフフフッ…‼︎」

 

「笑ってますよね完全に」

 

 

 

 

 

 ついに吹き出してしまったキサキ、どうやら彼女にとってマッシュの筋肉ギャグ(本人自覚無し)はかなりのツボだったらしく、肩を振るわせてまで笑っていた。

 

 

 

 

「わ、笑ってなどおらん」

 

「口角上がったままですよ」

 

「た、たまたまじゃ」

 

「肩と声震えてますよ」

 

「寒気を感じておるだけじゃ…!」

 

「ここすごく暖かいですよ」

 

「―――――」

 

 

 

 

 完全敗北と言った方が良いのだろうか、威厳を保ったままにするつもりが笑いまくったことによりそれが保てなくなってしまった。これにより周りが自分に対しての忠誠心が薄れるなんてことはないが、これはこれで恥ずかしい。

 

 

 

 

「………妾笑ってないもん」

 

「そ、そうですよね!笑ってませんよね!――コルァ!門主様をいじめるんじゃない!!」

 

「いじめてるつもりは無かったんだけども、門主さんって意外と笑い上戸だったんですね」

 

「違うもん、違うもん」

 

「門主だけに?」

 

「ええい黙れ‼︎ も、門主様?大丈夫、大丈夫です、人なんて笑うことが当たり前なんですから、別にゲラ笑なんてことをしても恥ずかしい事じゃないですよー?」

 

「………ミナなんて嫌いじゃ」

 

「なぁぁぜぇ!?」

 

 

 

 

 

 カオス、椅子に体育座りをして拗ねているような態度を取るキサキとそれを慰めようとしているミナ。こんな光景は前代未聞であり、構成員達は驚き恐怖していた。

 

 

 

 

「あ、あの門主様を、まるで遊ぶように………っ、これがシャーレの…先生か!」

 

「許せん……やはり、今この場で!」

 

「やめろ!お前も飲み込まれるぞ!」

 

「しかし‼︎」

 

 

 

 

 振り回される玄龍門、あの威厳貫禄たっぷりの組織が一つのギャグでここまでになるとは……ルミもレイジョも全く思っていなかった。

 

 

 

 

「――そう、か。上手に出られる前に、こちらから会えて彼女の笑いをのツボを刺激し自分を飲み込まされないようにしたんですね……流石は、先生!」

 

「いや多分先生の天然とキサキが相性悪かったんだじゃないかな…?」

 

「……あ、悪印象ではないから……良し」

 

「良くないよ⁉︎」

 

 

 

 

 その後しばらく、キサキは笑いながら拗ね、収拾をつけるまでしばらくの時間がかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「筋肉に、名前…………ンブォッ…‼︎――っ、こんな、ことで……ククククッ…‼︎」

 

 

 

 

 

そして別の場所でも、笑いのツボを刺激されている者がいた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「―――コホンッ、さて……余興はこの辺にして、そろそろ本題に入るとするかの」

 

「その割には結構笑ってたし時間も食ってたような」

 

「ミナ、先生を縄で縛るのじゃ」

 

「お待ちください門主様、流石にそれは絵面がかなりアウト……というか、とんでもないことに」

 

「いいですよそれぐらい」

 

「少しは抵抗しろお前は‼︎」

 

 

 

 

 

 

 キサキはこれ以上話を遮られてはならないと思い、ミナに命令を出しマッシュの両足と両腕を縄で縛り上げた。断言するが、絵面は「1人の男の子に対して複数の女の子がなんかそういうプレイをしている」ようにしか見えない。しかしマッシュはその危険性を全く知らないので、良しとする。

 

 

 

 

 

「良しとしませんよ‼︎」

 

「………あー、門主様?とりあえず話を進めないかい?」

 

「……そうじゃな、縄で縛られている状態で地面を高速で這っている先生のことは一度忘れよう」

 

「知り合いに縛られた時の対処法を教えてもらってました」

 

「もうなんでもありだろあの男」

 

「てかこれなんの素材ですか?めちゃくちゃ硬いんですけど」

 

「ポリエステルとナイロンを組み合わせた繊維じゃ、そう簡単には切れまい」

 

「確かにめちゃくちゃ硬い」

 

「ならせめて困れ」

 

 

 

 

 

 

 ゴキブリに似た素早さと動きで地面を這い回っているマッシュを放置し、キサキは今回の件、つまりは本筋について話し始める。先ほどとは打って変わって真剣で、なおかつ門主らしく纏う空気が変わった。

 

 

 

 

 

「――私たちを疑っている、その根拠を教えて欲しい」

 

「……ミナ」

 

「………」ゴトッ

 

「――これは…?」

 

「見ての通りじゃ……まさか知らぬとは申すまい?」

 

 

 

 

 

 確固たる証拠、一つの段ボールの中に入っているもの、それこそが今回の事件に関わっている植物萬年参。――そしてそのダンボールこそ、キサキが玄武商会を疑った証拠。

 

 

 

 

「……玄武商会で扱ってるダンボールだね」

 

「ルミ会長…‼︎」

 

「これが証拠じゃよ、我らとて暇ではないからの。証拠もなく疑うような真似はせん。萬年参は山海経でも貴重ゆえ、採取するのにも許可が必要での、斯様な特産物が山海経の外に――それも玄龍門の預かり知らぬところで流れておると聞けば、当然、黙ってはおれん……門主として、看過するわけにもいかぬからな―して、何か申し開きはあるかの?」

 

 

 

 

 

 玄武商会のダンボールを使える、もしくは使うのは玄武商会だけ……ゆえに今回の件はどういうことだ?とキサキは聞いている、勿論ルミは反論。

 

 

 

 

「玄武商会のみんなのことなら、私がよく知っている。どの流通担当も扱ってなんかいないし、あたし隠れてそんなことをする子なんていない」

 

「もしも玄武商会内部で違法取引に手を出している者がいるのであれば……ここに必ず連れてきます。私の力にかけて」

 

「……期待はずれじゃの――此方は証拠を提示したのじゃ――であれば、其方も反証を示すのが道理ではないかえ?」

 

「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

「――これ以上何を聞くことがありますか、門主様‼︎」

 

「玄武商会は創作料理を出すことで有名ではありませんか!」

 

 

 

 

 

 ルミが何かを答える前に声を上げたのは、周りにいた玄龍門の構成員達。彼女らにとって玄武商会は、自分たちの守ってきた伝統や文化、そしてキサキ本人を汚した裏切り者も同然。口々に騒ぎ立てる暴論と邪推は、たちまち熱を帯びていく。

 

 

 

 

 

「あの植物だって、学外の食材を仕入れるための道具として使われたに違いありません!」

 

「受け継がれてきた伝統は、それ相応の価値と理由があるというのに!」

 

「伝統の大切さを理解できない奴らのことです、これ以上の申し開きなど不要‼︎」

 

「早く頭を垂れて謝罪しろ‼︎」

 

「――全部が全部否定できるわけじゃ無いかなぁ、伝統や文化を大切にしなきゃってのはわかるけど……変化を受け入れなきゃ、今のまま、ずっと、何も進歩できないよ」

 

「何を―」

 

 

 

 

 

 

「―――そこまで」

 

 

 

 

 

 言われっぱなしではいられないルミが反論し、それにまた反論で返そうと構成員達が声を上げようとするが、これ以上の口論は無用。キサキは厚みがかった声を上げ、口論を止める。

 

 

 

 

 

「今回ここに玄武商会を呼んだのは、自分たちにかかっている疑惑に関して申し開きを聞くための場じゃ。口論の場では無いぞ」

 

「甘い、甘すぎますよ門主様! 玄武商会が犯人に決まっています!!」

 

「そうです!! こんな犯罪者達の言うことなど、信用に値しません!」

 

「――さっきから、好き放題言って………そんなだから、いつまで経っても山海経は…!」

 

「レイジョ、ダメ、待って!」

 

 

 

 

 

 ヒートアップする場、互い互いに敵意を見出したままの口論。このままでは話が進まない、キサキはいい加減呆れが勝ち、その場を静止しようと声を出そうとした――その時。

 

 

 

 

 

「レイジョさんストップ」

 

「うわぁァァ先生ぃぃぃぃ!!??」

 

「ダメですよ、ステイステイ」

 

「その前にそれどうなってるの!?」

 

「シャーレの先生が、縄で縛られたまま――体全体で奴に巻きついている!?

 

「いや本当にどういうこと!?」

 

 

 

 

 

 マッシュは体をくねらせてレイジョに巻きつくことで彼女を制止した。組技を決めているわけではなく、蛇のように巻きついているのである。人の体が。

 

 

 

 

 

「――まさか、関節を外した状態で移動し、その状態のまま奴を制止したのか?」

 

「………ミナ、どういうことじゃ?」

 

「私にもわかりません…!!」

 

「最近ヨガとかやってまして」

 

「ヨガでそうはならないでしょ!?」

 

「とりあえずみんな落ち着いて欲しい、このままじゃ話も進まないし、また争いが生まれちゃうだけだから」

 

 

 

 

 

 マッシュはレイジョから離れると、そのまま関節を元に戻す。立ち上がった彼の体にはもうすでに縄はなく、綺麗に取れていた。関節を外したことにより縄自体がすり抜けたのだ。

 

 

 

 

 

「………先生よ、ここまで聞いて……何か、意見はあるかの?」

 

「難しい話ばっかりで混乱してたんですけど―――

 

 

 

 

 

 

 

要するに、犯人をとっ捕まえてここに連れてこればいいんですよね? そーいうのは得意なので任せてください」

 

「本当に話を聞いていたのか?」

 

「今その犯人が玄武商会って話をしてたんだが…?」

 

「なんで?」

 

「なんでって…そのダンボールが証拠だ! それは玄武商会でしか扱っていない!!」

 

「盗まれたとか全然あり得るし、そもそも玄武商会自体にメリットが無いのでは? お金とかに困ってるわけでも無いだろうし」

 

 

 

 

 

 マッシュは会話の内容を聞き、要するに「真犯人を見つけ出してキサキの前に突き出し、玄武商会の疑いを晴らすこと」が今回の仕事だと思っていた。実際にその通りだが。

 

 

 

 

 

「真犯人を見つけ出し、玄武商会の疑いを晴らす。そして玄龍門のメンツも取り戻す……それが今回の僕の仕事です」

 

「其方は、玄武商会が白だと言うのじゃな」

 

「YES」

 

「………生徒のことは絶対に信じる――噂通りの、変人じゃな」

 

「失敬な、僕は変人じゃありませんよ」

 

「自分の筋肉に名前をつけているものが変人じゃないわけ無かろうて………しかしの先生、生徒のことを信じると豪語しているが――妾のことは信じておらんのか?」

 

「信じてますよ、キサキさんはものすごくいい人だって」

 

「………なんじゃと?」

 

「嫌だでも安心しました、トリニティくらい腹の底が見えない人かなって思ってたんですけど、そうでもないようで」

 

「……先生、それどう言うこと?」

 

 

 

 

 

 

 マッシュはキョトンとしながらルミの方へと顔を向け、当たり前のように告げる。それは過去に何度も、彼がトップ達に言ってきたこと。

 

 

 

 

 

「自分の学園を愛している、その想いは本物だからです」

 

「……!」

 

「自分が守っている学園、そこにいる生徒達、自分の下にいるであろう組織の生徒達……その人達のことをキサキさんは信じてるんですよね?」

 

「……まさか先生を呼んだのって」

 

「――我々の身の潔白を、先生に証明してもらうため?」

 

「そして真犯人を捕らえさせ、あわよくば玄龍門と玄武商会の関係性をも修復してもらおうとした……っ門主様、もしや最初からそのつもりで先生を…‼︎」

 

「―――こう言うのは黙ってるのが鉄則じゃろうに……全てばらしよって…」

 

 

 

 

 

 

 

 照れくさそうに顔を逸らすキサキ。キサキは決して玄武商会を嫌ってはおらず、むしろ好感を感じていた。確かに、変革を重視し伝統に反することもあるが、山海経を盛り上げようとしている努力も、実績も知っている……故に可愛がってもいた。

 

 

 故に今回の事件は辛いものだった、そんなことをしているはずもないとキサキ自身も思い言いたかった――だがダメだ、それはトップとしてあってはならない。視野を広く持ち、山海経全体のことを思い行動をしなければならなかった。  

 

 

 だからこそ、キサキは助けを呼んだ――マッシュ・バーンデッドという人間の助けを。

 

 

 

 

 

「……何処で気付いたのじゃ?」

 

「なんとなく」

 

「恐ろしい目の持ち主じゃな」

 

「あと身近にツンデレの人がいたものでして」

 

「――べ、別に、玄武商会のことを最後まで信じたかったわけじゃないんだからね!……って何やらすのじゃ」

 

「乗った」  

 

「乗りましたね」

 

「意外とノリがいいね〜」

 

「ええいやめぬか!! 先生、さては妾で遊んでおるじゃろう!!?」

 

「――まあ積もるところ」

 

「話を逸らすでないっ!」

 

 

 

 

 

 マッシュはキサキに近づきくと、膝を折って目線を合わせ、優しく語りかけた。年齢の上では先輩だったとしても、生徒と先生の関係でもあるために、こういった形で接することもある。

 

 

 

 

 

「キサキさんは優しい人です。でも守るべきものが多いため、心を鬼にしなければならない……だから苦しかったんじゃないですか? さっきみたいな争いが起きるのが」

 

「………身内同士での争い、これ以上の拷問があるのかえ?……無い」

 

「も、門主さま……」

 

「妾自身を敵として扱い、そのまま事件解決をさせ、元の形に戻ろうとしたが――無駄じゃったな」

 

「………相変わらずの不器用さだね、先生にも負けないほどの甘さだ」

 

「何を言う。ここは我が宝、その宝を汚すものがいるのなら容赦無く妾は鬼となる……今回は、たまたまじゃ」

 

「ふーん♪」

 

「と……とにかく!」

 

 

 

 

 

 キサキは立ち上がると、腕を伸ばし力強くルミ達に命を出す。その瞬間のキサキは門主としての威厳に満ち、見違えるほど。

 

 

 

 

 

「其方らの疑いが晴れるまで、監視は続ける。疑いが晴れ次第すぐに取りやめるが……もしも悪化するようなことがあれば、その時は取り壊しも視野に入れさせてもらう―――良いな!」

 

「わかったよ、門主様」

 

「…はっ」

 

「うんうん、平和的に進みましたな」

 

 

 

 

 

 事は早く進み、平和的に解決……とまではいかないが少しばかり進歩した。マッシュという存在も大きいが、ひとえにキサキが情を出していたのもある。小柄な体だがしっかりとした考えを持ち、何かを抱えながらもそれに耐え、頑張っている……そんな姿を他生徒に重ねてしまったマッシュは――

 

 

 

 

 

 

「偉いですねキサキさん、よすよす」

 

「――――――は…?」

 

『はぁぁ!?』

 

「先……生…⁉︎」

 

「…………やべ」

 

 

 

 

 ヒナやホシノにやっているように頭を撫でてしまったマッシュ。レグロがかつて自分にしたように、過去に何度もそうしてきたように、彼はキサキに行ってしまった。体型が体型(幼女)なので自然とそうしてしまったのもある。

 

 

 

 

 

「んな………んななな………んななななななっっ…!?」

 

「門主様のお顔が真っ赤に‼︎」

 

「おのれマッシュ・バーンデッド‼︎」

 

「門主様に気安く、それも………頭を撫でるなどと‼︎」

 

「いや、別に変な気は起こしてないよ」

 

「ならその手を止めろ!いつまでやっているつもりだ!」

 

「撫で心地が良くて、ついつい」

 

「…………」プルプル

 

「あーほらまた震え出したよ!! 先生、ほら謝って!!」

 

「え、えっと、よ、よし」

 

 

 

 

 

 マッシュは何を思ったのか、撫でるのをやめキサキの脇を両手で持ちそのまま上へと持ち上げ。

 

 

 

 

 

「たかいたかーい、たかいたかーい」(悪気なし)

 

「―――――――――――」

 

『ゴルァァァァァ!!!!』

 

『先生ぃぃぃぃ!!!!』

 

 

 

 

 幼子をあやすかの如く、マッシュはキサキにたかいたかいを行った。身長が低い年上という生徒が今まで少なく、ほとんどが年下や同い年だったため、マッシュはその感覚のまま撫でたりたかいたかいを行ったりしてしまった……少しして、キサキは顔をイチゴの如く真っ赤にした後。

 

 

 

 

 

 

「っぅ―――出禁じゃ!!!先生はこの玄龍門に来ることを、しばらく禁ずる……!!」

 

「悪気はないんです」

 

「あっては困るわ馬鹿者ぉ!!――後いい加減降ろさんァァァァァ!!!!

 

 

 

 

 

 

 その後、ルミとレイジョは拘束されたマッシュを抱えたまま玄龍門を去っていき。キサキはしばらくその顔の赤さが治らなかった。

 

 

 

 

 

 

「妾……妾を……あんな――っ…ぅぅぅ…‼︎」

 

「ほ、ほら!別におかしかったわけではありませんし、それにほら!こんな感じで愛らしかったので…」

 

「ミナさんそれは」

 

「………撮ったのか?」

 

「はい、非常に可愛かったので」

 

「………ミナ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「しばらくノワール映画を視聴することを禁ずる、破ればもう口をきかぬ」

 

「なぁぁぜぇぇ⁉︎」

 

 

 

 

ミナはしばらくの間僅かに泣いたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フフフフハハハハハハハハハッ…!!!―ングッ、フフフフ!!!――アハハハハハハハッ!――ゴホッ、ゲホッ、……ヒィ〜……ヒィ〜…‼︎

 

 

 

 

 

そしてこのにも1人、キサキの醜態を見てしまった者が一人いた。

 







妹『お兄絶許、もう口聞かない』
私『面白かったでしょ?』
妹『映画も含めて面白かったけど……けどなんかぁ、胸糞が悪いが多いなぁ!なのになんで好きなのかなぁ!?』
私『ああ、愛ですよ、妹先生』
妹『次そのセリフ言ったらグーパン』
私『ごめん』


みんなもみようメイドインアビス、責任は取らないよ♡……なんでいきなりこんな話をしたのかって?好きなゲームとコラボしたからですね、はい。


書くことが無くなってきたんですよ、ほんとに、相談事もここに書くのは違うよなぁと思って来たのもあるのですがね……。


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