懺悔します、あまりにも和数が長いので、過去に投稿した何話かを合わせようと思っています、お許しください。
そして今回本編にも関わってきそうな重大なことが起きます……宣伝してなくてごめんなさい。
「おつかいは一人に任せたはずだが……」
「あ、えっと、シュ、シュー君がね! 夜道が怖いって言ってて、それでキキがついてきたの!」
「そうだったのか……無理はしなくてもいいんだぞ?」
「心配してくれてありがとうございます、でも怖い物を乗り越えていかないと人生ってうまくいけないと思うので」
「君ホントに6歳!?」
「――あっ、いや。キキちゃんがいるから怖くないよ」
園児姿のマッシュとキサキ(16歳と17歳)は、目の前にいる玄龍門の生徒を何とか騙そうと、必死で身分を誤魔化していた。作戦というのは、単にマッシュがサヤの薬で小さくなり、その状態で黒幕の元へと向かってから、後から合流したルミ達と撃退するという物。
しかしそこはマッシュ、演技力が皆無な上嘘をつけない性格のため、かなり怪しまれている。
「妙だな……君、本当に6歳か?」
「どこからどう見ても、僕は6歳で――だよ」
「貫禄というか言葉使いというか……そんな感じには見えない。……昔、 錬丹術研究会が肌を若返らせる薬品を作っている……と噂だか聞いたことがある」
『!』
「まさか……それで小さくなった学生――ではないだろうな」
流石は玄龍門所属の生徒、鋭すぎる指摘。まずい、あまりにも不味い、バレたら計画がおじゃんになるだけではなく、黒幕にも勘づかれればより一層大変なことになる。
「……もしもこれが事実なのであれば――容赦はできないぞ」
(やべ、そもそもキヴォトスに男の子っていなかったけ)
玄龍門生徒が銃を構え出し、かなり不味い状況になってしまった二人、マッシュは最悪このまま姿をバラしてしまおうかと考えていたが―その瞬間。
「しゅ、シュー君は、ギフテッドなの‼︎」
「…ギフテッドだと?」
「そ、そう!生まれつき、人よりも数倍頭がいいの!」
「えっ僕別に頭は『他の子達よりもずっと、ずっっと大人びているの!』ムゴォ」
キサキが導き出したのは、「シュー君がギフテッドである」という事にする事。ギフテッドとは、生まれつき知能や特定の能力が優れている人を指す言葉であり、マッシュがこんなにも大人びているのはギフデットであるからだと、キサキは説明していた。
「シュー君は、梅花園に来てからずっと大人みたいで……それでみんなから距離を置かれちゃって、それでよくいじめられてたりもして……」
(悲しい設定がついてしまった)
「でもシュー君は、キキの大事なお友達なの! だからお願い! 嫌わないで……(我ながら良い演技じゃ)」
(いやこれ、流石に騙されないんじゃ)
「…………――そうか、苦労したんだな。お前も」
(通じちゃった)
「分かった、そこまでいうのなら信用しよう。おつかい、頑張れるかな?」
「うん!」
「よしよし、えらいぞ」
そういい頭を撫でる玄龍門生徒、「そこまで悪い人ではないのでは…?」とマッシュは考えたのだが、よくよく考えてもみればそもそもそんなわけがなく、園児を利用している時点でもう悪人。
(心を痛める必要はないぞ先生、相手は悪人……故に気にする必要はない)
(そうです…かね)
「よし、とりあえずこの荷物をここにまで運んでくれるな?」
「任せて!」
「力仕事は大得意です」
玄武商会が使っているダンボールを持ち、そのまま移動させようとする二人。小さいダンボールを小さい二人が運んでいる、側から見れば微笑ましい光景だが。何度も言おう
中身は16と17である。
――――――――――――――――――――――――
「さあ、もう少しだぞ」
「あの人に渡せばいいのー?」
「その通り、ゆっくりな」
「はーい!(玄龍門の者では……ない、外部の者……さらに、妾の部下が数名……伝統と文化を重んじる玄龍門が、何というザマじゃ)」
(なんか見たことあるなぁって思ったら、初めてキサキさんと会った場所で、やたらの敵意をむき出しにしてた人達か)
目的地に着くと、そこにいたのは一人のロボットのブローカーと、数十名にも及ぶ玄龍門も生徒達。しかも彼女らは、始めてマッシュが玄龍門へとやってきた時に、やたらの敵意を向け罵詈雑言を浴びせていた者達である。
「……黄龍は一度に飛び去って」
「二度と帰らない」
「後はつけられていないな?」
「勿論……そして、これが今回の品だ」
「二つ……フフッ、良いな。これは良い……しかし何故園児二人を連れてきた? 計画がバレたらどうする」
「だから例の薬を使うのだろう? 園児の記憶なんて、いつでも消せる」
「それもそうか」
記憶を消す、そんな単語に耳を疑うキサキとマッシュ。ブローカーが取り出したのは一本の注射器―――何故園児達が安全に帰ってきていたのか、何故園児達が彼女らのことを知らないのか、それは彼女らが園児達の記憶を消していたからだ。
(―――大馬鹿者どもが…)
(グレーどころか真っ黒でしたね)
「……あの方は、今どうしている」
「今現在も、実験室に篭りっぱなしだ……呆れたよ、そうまでして『あの男』を欲しいのかね」
「我々素人にはわからんが、あの人にとってあの男――マッシュ・バーンデッドはとても良い被検体なのだろうさ」
被検体、それを聞きマッシュは『えーまたこのパターン…?』っと呆れ、キサキは『……まさか…』と顔を強張らせていた。二人の言うあの方とは今回の黒幕のこと……その黒幕の目的は、マッシュ本人。
「これをつかいある薬を作る、そしてその実験台として欲しがっている……と、これであっているか?」
「少し違うな、これで作る薬はどうやらマッシュ・バーンデッドには使わないらしい……使うのは別の、趣味で作りまくった薬だ」
「何でまた」
「だから言っただろう?良い被検体なんだって」
マッシュの体は驚異的、ならその肉体はありとあらゆる実験に使えるほど都合の良い素材。酸で溶けるのか、毒は効くのか、それを調べ上げるだけでも楽しいと……黒幕は思っているようだった。
「……と、喋りすぎたな。ともかくこれを外へと運び出すぞ……その前に、こいつらだな」
「ありがとう二人とも、二人のおかげでお姉ちゃん達は助かった」
「気にしないでください。誰かの役に立てるのなら本望です」
「何だこの園児」
「ギフデットだそうだ」
「それは大変だ……よし、抑えろ」
ブローカーの指示通り、マッシュとキキは捕まり、羽交締めにされその腕を出される。そして構えるは一本の注射器、『怖くなーい怖くなーい』と心にもないことを何度も言いながら、それを近づけていく。
「ごめんな……これも――目的の為なんだ」
ここまでの悪事を働かなければいけない程の目的、キサキの心を騙し汚すまでに至った目的……そんな目的なんぞ
―――くだらない、これの一言に尽きる。
「……まだ数を数え切れるほどの知識しかない童を騙し、利用する必要のある目的……なんと虚しい」
「……なに?」
「玄龍門……いや、山海経にとって子は宝じゃ、園児なんぞだから以上、もはや家宝や財宝よりも大切にしなければならぬ物じゃと……何だ妾が教えたことか」
「妾……?」
「……もう信用どころの話では無い、呆れ……いや、もう何も思わん。――主らのような者に、玄龍門の衣服を着る資格はない」
「こ……の、知ったような口を…‼︎」
一人の生徒が注射器をキサキの腕に刺そうとした、その瞬間。マッシュが羽交締めされていた状態から腕力だけで抜け出し、その生徒に向けて飛び蹴りを放った。
「んべっ⁉︎」
「な、何をしてるんだ!」
「違う!力入れてた…入れてたのに抜け出された!!」
「何を馬鹿な…‼︎」
「馬鹿なことを……か、まあそこには同意するぞ、馬鹿者ども」
いつのまにかマッシュにお姫様抱っこされていたキサキ、もといキキ。園児とは思えない程の圧と貫禄を出し、悪人達を睨みつける。
―――――――――――――――――――――――
「お、お前達は……なんだ?ただの園児じゃないだろう!!」
「そろそろ種明かしですね……えーコホン――」
マッシュは一息をつき、喉の調子を整えると、キサキを下ろしカンペを見ながら告げ、どこで作ったのかもわからない玄と文字の入っている印籠を悪人達に向ける。
「ええい控え控え、此方に座すお方を何方と心得る。恐れ多くも玄龍門が門主――竜華キサキ様で有らせられるぞ」
「待て何じゃその口ぶり、作戦にそんなもの無かったじゃろ」
ファ〜〜〜〜ン♪*1
「どこから流れたんじゃこの曲!!」
「キ、キサキ様だと…!?」
「ば、馬鹿な、そんなはずは!」
「しかしあのお姿は…!」
「……ほれ」
『キ、キサキ様…!!?』
「妾ってそんなに幼児が似合っておるのか?」
キサキの登場に驚愕、戦慄しその場に固まる悪人ら、しかしこれだけでは終わらない。続々と足音が聞こえ
「門主様の御前である、控えおろう‼︎」
「何言っとるんじゃミナ!」
『ハハッー!!!!』
「やらんで良い‼︎あと文化違うじゃろこれ!」
「先生お疲れ様、はいこれ解毒剤入りシュークリーム」
「わーい」
「あっ先生、これ着替えなのだ」
「ありがと……なんか服違くない?」
「雰囲気に回せて、功夫服を用意してみました」
「まいっか」
幼児化を解除するようの薬を入っているシュークリームを食べ、その身を元の姿へと戻すマッシュと、キサキの方へ頭を垂れている悪人達。
そしてマッシュらの元へとやってきたレイジョ・ミナ・ルミ・サヤの面々。
「何故……どう、やって…!」
「最初から後をつけていたんです……あまりにも濃い園児であるシュー君に気を取られすぎていたようですね」
「同じ玄龍門の身でありながら……幹部でありながら―っ情けない…!」
「くっ…!」
「いえ、何が目的でこんなことを……何故、門主様の顔に泥を塗るようなことを!!」
「……お前のせいだ――お前のせいなんだよ、近衛ミナ!!」
一番前にひれ伏していた生徒が顔をあげ、敵意や憎悪に満ち溢れた顔と目でミナを睨みつけ、叫ぶ。
「前々から目障りだっだんだ…どうにかしてお前を陥れようと思ったが、そのためには莫大な資金が必要だ。それで今回の事件を起こした」
「私が何か、お前にしたのか?」
「門主様のそばにずっといて、実質山海経のナンバーツーにまでなって……門主様と、イチャイチャまでして…‼︎」
「――は?」
「一緒に街を歩き回ったり、玄武商会で食べ物を食べあったり、楽しそうに話を広げたりして……毎日、毎日――毎日毎日毎日!!ずっと見せびらかすように!!」
一言で言えば嫉妬、ミナはキサキの護衛。常日頃からキサキの側に付き働いている……それが他の者からしてみればただただ鬱陶しく妬ましかった。
だからこそ、一人を筆頭にしたメンバー達が立ち上がり、今回の事件を引き起こした。
「私の方がキサキ様を思う気持ちが上なはずだ!!なのに、なのに何故……何故お前ばかり‼」
「――そんなくだらない理由で、今回のことを起こしたとでも言うのか…? お前達も、こんな、こんなことで…‼︎」
「こんなこととは何だ!」
「私達は真面目にやっているんだ‼︎」
「お前が門主様とイチャコラしなければこんなことには!」
「イチャコラはしてない!!」
「ああ、お可愛い門主様……門主様を真に愛し、役に立てるのはこの私だ……この私が誰よりも、誰よりも門主様を愛しているのだ!!」
重すぎる愛……マッシュはもう既視感感じまくりだった。シャーレ内にも愛が重い生徒らはいる、彼は知らないが、彼の知らないところで互いに思い人を取り合ったりもしている。
上を慕う者は大きく分けて三つ、一つ目はごくごく普通に、相手を尊敬しついていく者。
二つ目は、尊敬なんて一切せず、ただただその相手の権力と金目的についていく者。
そして三つ目は、その相手を心から愛し、その者の全てを肯定しその者を意見に反す者、もしくはその者のためなら死ねると心から思っている狂信的な者。
キサキの下についているのは、三つ目。
「…………」(ドン引きの目)
「ああ門主様、そのような目で私を……もっと見てください!!」
「心中お察しします」
「せずとも良いわ」
「いいか近衛ミナ‼︎貴様と同じように、私も門主様愛している‼︎貴様の愛なんかよりも、私の方が―」
一閃。突如としてレイジョが飛び出し、その生徒の顔をカンフーの蹴りで蹴り飛ばす。顔から血を流し、後方へと他人を巻きこんで飛ばされる生徒。
「あっ…ぎっ……何を…‼︎」
「貴女とこの人が一緒…? バカも休み休み言ってください……貴女の愛なんて、薄っぺらい、自己満足でしかない」
「…何だと⁉︎」
「レイジョ…お前」
レイジョは生徒へと近づきながら、淡々と言葉を述べていく。啀み合い仲の悪い二人、しかし互いに慕う者への思いは同じ――故に相手側の愛を受け入れられなかった。
「彼女は情熱バカで、すぐに調子に乗って、カッコつけて、意味のわからない言葉を淡々と述べる厨二病患者」
「レイジョさん言い過ぎ言い過ぎ」
「それでも……門主様を慕う気持ちや、情熱、それには感心せざるおえませんでした」
「…!」
「門主様を愛している…?――ならば何故その門主様が悲しむようなことをするのですか‼︎ 理解できませんしたくもありません‼︎ 彼女を見てください、一度も、一度たりとも、門主様を泣かせるようなことをしましたか!!?」
「………お前……」
まさに正論。愛している者のために働くのは結構、行動するのは大いに結構……しかし慕っている相手を裏切り悲しませるなんて、論外中の論外。
「門主様に従っている者が、玄龍門としての誇りを、山海経の生徒としての誇りを捨て、身勝手な行動に園児達を巻き込み、利用するなど言語道断!!」
「キサキさんのことを本当に愛しているのなら、キサキが悲しむようなことなんてしないはずだよ……貴女達のそれは――キサキのことを愛している自分に酔っているだけだよ」
「……妾が口を出すまでの無かったの」
正論に次ぐ正論、レイジョとマッシュの正論パンチを喰らい撃沈した悪人達。ブローカーには何の響きもないが、玄龍門生徒らにとっては心に来すぎていた。
「僕にも慕ってくれる人達がいます、でもその人達が、貴女達と同じようなことをした時は……正直、ちょっとだけ引きますし、泣きそうにもなりますよ」
「妾のことを愛おしく思ってくれること、それは感謝する」
「門主様…!」
「しかしじゃ、玄龍門の伝統を捨て、文化を捨て、外道の道に進んでしまったお主らに……妾の下に付く資格は無い」
「―それ、それって……嘘ですよね……?冗談ですよね!?」
キサキは冷徹に、冷酷に、辛そうにその事実を告げる。
「……今日限りで、主らは破門じゃ。二度と玄龍門の門を潜ることは許さん」
「そんな―――わ、私は、貴女のために『妾は』」
「そのようなことを望んでおらん……自惚れるのも……大概にせい」
「―――――」
「………真実を告げれば罪は軽くしてやろう、取引の相手はそれは誰じゃ――いや、おおかた検討はついておるが……述べよ、その者の名を。言っておくれ……妾の最後の願いじゃ」
「………その…人の……名は…」
次の瞬間、告げようとしていた主犯格の生徒が突然震え始め、立ち上がり、全身の力を抜いたかのような動きをし……顔をあげる。
『実験、ダイセイコウ』
「な、なんだ!?」
『いやぁ、ジツニイイ、ヤハリ魔法界ノ虫ハ扱イヤスク強力だ――アーキコエテイルカナ? イマ、彼女ノ首元ニハ、特殊ナ虫ガツイテイテネ、ソコヲトトシテワタシハシャベッテイル』
「見たことのない症状なのだ‼︎」
「……誰ですか貴方は」
『コレハシッケイ……山海経――いや』
『七囚人・五塵ノ獼猴……"申谷カイ"。アエテ光栄ダヨ、"シャーレの先生"……イヤ………
"魔法界の異端者"ッテ呼ンダ方ガイイノカナ?』
お察しの方がいるかもしれませんが、一応全部ベアオバとイノセントゼロの際です。詳しくはネタバレになるので言えませんが、とりあえず全部あの二人のせいです。
魔法界って科学者からしてみたら実験の宝箱ですよね。
百花繚乱後に見たい話
-
まだ交流がない生徒との話
-
アイデェア箱から選んだお話
-
ラビット2章
-
愛が重い生徒との話