私『おすすめの作品を教えてくれい』
妹『ゴールデンカムイ』
てことで一気見してきました、なんかもう面白すぎて泣きそうになりましたね……アイヌ料理が食べたくなってきました。
『――七囚人のカイが、魔法界と繋がりがあった…と?』
「あの人は僕があの世界での異端者ってことを知ってました。それに…多分魔法界のアレコレも持ってましたし……確定かなと」
『レグロさんがこちらへ迷い込んだように……カイも魔法界へ迷い込んだ…?』
「可能性はゼロじゃ無いです」
『……カイの過去の動向を調べ、纏めておきます。帰宅後にご確認を』
「お手数をおかけします」
七囚人の一人、申谷カイ。魔法界に迷い込んだのか、それとも魔法界の人間と関わりがあったのか、はたまたたまたまそういったことを耳にしたのか…それはわからないが。絶対に何かよからぬことを企んでいることは確かであり、念のためこれをマッシュはリンに報告した。
『……しかしまずは、お疲れ様でした。エデン条約以上に濃い問題をよく解決されましたね』
「完全にってわけじゃ無いですけどね」
『それも、ただただ突っ込むのではなく周りの人と考えて……成長しましたね、先生』
「お母さんみたいなコメント」
「―先生、キサキからのお呼び出しだよ」
「あっはい、すぐ行きます。じゃあまた後で連絡しますね」
『ええ、お気をつけて』
通信が切れ、マッシュは端末をしまい部屋へ呼びにきてくれたルミの元へと歩くが、その途中で膝をつき口元を抑える。
「ウェ気持ち悪い…」
「カッコつけて無理するから〜」
「これが二日酔いか……大人になった気分だ」
「ただ目を回しまくった結果、その後遺症が残ってるだけだけどね?」
「シュークリーム食べたら治りますかね」
「お医者さん案件だから無理だよ」
「そっか〜」
目を回して戦ったせいで、マッシュは未だ平衡感覚が取り戻せていなかった。今回は全力で目を回したため、その分のダメージを引きずっている。リンの前ではいつもどおりの姿を見せるため無理をしたが、結果的に悪化してしまった……母親の前でカッコつける子供と同じ、というのは言わない約束である。
「私とキサキ、先生の三人での対談……なんだか緊張しちゃうね」
「ミナさんとレイジョさんは来ちゃダメなんですか?」
「今二人とも、事態の収集に回ってくれているからね。その間トップは大事なお話ってことだよ」
「成程成程」
「……先生、改めてお礼を言わせて。ありがとう、先生のおかげで私達の解散は免れた」
「いえいえ、僕は……いやここは、素直に受け止めた方がいいのか」
「そうだよ〜人のお礼は素直に受け取っておかなきゃ〜」
マッシュの前を歩き、笑顔を装うルミ。しかし少し前に進んだところで一度振り返り、彼の方に問いかける。
「先生はさ、大人になりたいの?」
「なりたいというか自然となるというか」
「……私はなってほしくない」
「そんな無茶な」
「年齢的な意味じゃなくて、精神的な意味で」
「精神?」
「素直で心優しい、純粋無垢なマッシュ君――私はずっと、ずっとそうであって欲しい。……なんなら、私と同じ生徒であって欲しいかな!」
目に光がないようにも見えるルミ。カイがマッシュの肉体を狙っていること、まるで道具のように扱うつもりでいること、異端者という発言……それらを聞いた彼女の心は穏やかではなかった。
「もうウチに来ない? 衣食住の全てはもちろん揃えるし、必要なものは用意する。お給料だって弾むし、商会の皆なら守ってあげたりもできる………だからマッシュ君、もう先生なんてやめて─―」
「ごめんなさいルミさん、それはできません」
「……命を狙われ続けているのに、先生であり続けるの? なんのために? 連邦生徒会長に任命されたから?」
「僕を必要としてくれている人のために、ついでに僕が先生と言うのをやりたいからです。後は僕の狙っている人に知らしめるためですね――『僕の命を狙ってきても、ビビらないぞ』って感じで」
「…………君がこの重みを背負い続ける意味なんて無いのに?」
「一人で背負い込むのは止めました、友達と、仲間と、一緒に背負っていきます。それに意味ならたくさんあります……例えば、これから先ずっとルミさんみたいな人に会える……とか」
命を狙われようが関係ない、今のマッシュは先生としての人生を楽しんでいる。周りがどうこうでなく自分がやりたいからやる、それだけだ。
デメリットもある、しかし彼からしてみればメリットの方が遥かに多く、デメリットなんて気にも留めていなかった――何故なら先生を続ければ、友や仲間が増えていくから。
寂しい思いをしなくて済むから。
「心配してくれてありがとうございます、でも僕は平気です。だって僕、強いので、命を狙われようが肉体を欲しがられようが関係無い――向かってくるものは全部グーパンで蹴散らしますし」
「――――そっか、それが、マッシュ君の選択なんだね」
「はい」
「……なら、心配する方が失礼か。これからも頑張ってね――頑張りすぎない程度に」
「うす」
ルミは思う。マッシュはまだ子供、でもその強さは大人以上……子供大人ならぬ大人子供、玄武商会のトップである以上、上に立つものの辛さや負担は知っている……だがそれらをマッシュは普通に耐えている。
強くて優しくて、いい子……それぞマッシュ。
(――あーあ、先生じゃなくて、私の後輩ならな〜)
先生と言う職業についていることを、少しだが、残念に思ってしまったルミであった。
――――――――――――――――――――――――
「……改めて謝罪をさせてもらう。身も蓋もない汚名を着せ、玄武商会にも先生にも、多大な迷惑を――」
「キキちゃん」
「キキちゃんはやめい!!!」
「その話はもう無しにしません?いつまでも引きずってちゃ、前に進めないし気まずいだけです。僕そんなに気にしてないし」
「そうだね。わざとでは無いんだし、もう気にしなくてもいいよ」
「……ハァァ、お主らは本当に……本当に」
最初に対談した室内にて、マッシュ・キサキ・ルミの3名は互いに杏仁豆腐を食べながら今回の事を話し合っていた。キサキは自分の部下のやらかしを恥じ、謝っていたが、もう気にする必要はないと二人はバッサリと切り、他の話題へと持っていくことにした。
「あの者達はすでに罰しており、しばらくの間停学、並びに牢内での生活をしてもらうことにした」
「停学……か」
「園児達を使った、その時点で山海経にとっては恥晒しも同然……しばらくは、外の光を浴びせることは許されぬ。そこは了承してくれぬな、先生」
「残念ですけど……仕方、無いか」
「カイの行方は?」
「いまだに不明じゃ。検討すらもついておらぬ……ああ、例のゴシップに関しては安心せい。玄龍門内であの話題を持ち出すのは禁句とし、嘘偽りしかない物だと注意しておいた」
「それはありがとうございます」
「あとはそうじゃな……其方らがこっそりと撮影していた、妾の園児姿の写真を消してくれれば今回の一件は幕引きじゃ」
「ええーだめー?」
「ダメに決まっておるわ、アレを見たせいで『幼児姿の門主様』と言うダメな性癖に目覚めたものがあるのじゃぞ、身内で」
今外に出たとしても、噂は瞬く間に広まっているため、きっと民衆から塩を贈られることは確定している。それを避けるためにキサキは彼女らを謹慎及び停学。
カイに関しては完全に消息不明、あのブローカーに聞いても使える情報は無く、完全に逃したと言える。
関係無いが、玄龍門内にて園児姿のキサキといった新たなジャンルが開いたようで、生きた心地がしないそうだ。(原因、右腕)
「あれからミナが『こちらの服を‼︎』と、園児用の服をどんどん持ってくるのじゃぞ……しかも梅花園の幼児たちが使っているかのような奴‼︎」
「わあ」
「正直カイよりも身内が怖い……」
「まぁ、可愛かったのは事実ですし。元気出してくださいよキキちゃん」
「次その名で呼べば、マジビンタじゃぞ」
「大丈夫なんですか? キサキさんの方が」
「ぬぅこの肉体スペック化け物め…‼︎」
「…なんだがキサキ、明るくなったね。とっても楽しそう」
「……言われてみれば」
「……共通の話題、共通の何かをする相手がおらなかっただけじゃ。お主らのようなな」
トップ同士、されど友同士。対等な相手というのが今までそんなにいなかったキサキにとって、マッシュとルミは良い友達であり仲間であった。
「思えば早いものですね、ここでの時間も」
「そうじゃな……ふふっ、なんじゃ、寂しいのか?」
「とっても」
「……素直じゃな、いつでもくるといい。山海経はいつでも其方を迎え入れる―今度はちゃんとした客人でしての?」
「それはそれは……楽しみだな」
短い間であったが、マッシュにとっての山海経はまだ見ぬ世界であり、多くの知り合いと友ができたいい場所……彼の中でのお気に入りランキング三位にも入った。
(…………すまんの先生、其方が次、ここへくる時は……妾は妾で無いかも知れぬ。その時は……ここを、どうか頼みたいのじゃ……お主もじゃ、ルミ)
キサキにとってマッシュは、ルミは
(山海経が発展する未来と、理想の……妾が描く、皆を引っ張れる体型なのじゃ……)
かけがえのない――未来なのだ。
龍武同舟 ~思い描くは、ひとつの未来と理想の体型
完
「ああぁぁぁぁぁ………欲しいなぁ――欲しいなぁ…‼︎君の全てが……欲しいよ、マッシュ・バーンデッド…君♪」
作者のお気に入りは鶴見中尉です、声ともう何もかもが好き。妹先生は牛山さんです。
という事で山海経、一旦終了です……長かった。
次回はレッドウィンター………うーんもう、ね、ハイ。大変なことになりますよ
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