今回カオスは控えめです、ここからガンガン増えていきますので、一旦セーブをね、ね?
「今更なんですが、何故付き添い人がミサキさんだけなのですか?」
連邦生徒会・会長室内にて。30を超える書類をテキパキと処理して行っているリンと、同じくそれと同じ様な量の仕事をこなしているサオリ。作業中に聞かれたその問いに対し、彼女は手を止めてはっきりと答えた。
「愚問だな、七神行政官。理由は単純――」
「ツッコミ役をミサキ一人に押し付けてきただけだ」
「なんて残酷な!!?」
「冗談だ。単に一番頼りになる相手に先生を任せただけだ」
レッドウィンターはゲヘナとは異なり、クーデターが日常茶飯事として発生するカオスな学園だ。そこへマッシュを送り込むことについて、心配しない者などいない。
なら皆で行けばいいではないか、とリンは思っていたのだが……それが禁忌である理由をサオリが説明し始めた。
「みんなで行くのもいい……けど考えて見てくれシャーレ生──もとい今のアリウス生のことを、その性格を」
「性格……」
「そう性格だ。まず最初にヒヨリ、先生のことを守ると豪語しているし実力も申し分ない彼女だが……」
『寒いですね……冬のアリウスのこれぐらいの寒さでしたね……懐かしいですね。凍ったパン、水道が固まっててろくに水分が取れなくて……えへへ、みんなでよく溶かそうと頑張ってましたね………もしかしてこのまま遭難して死んじゃったり……えへ、えへへへ』
「必ずネガティブ思考に走って、言わなくてもいいことをべらべらと喋り始める」
「先生も確実に怒りが再燃するでしょうし、各方面における地雷原でタップダンスを繰り返し、空気も雰囲気も凍る……確かに外交の場に持ち出してはダメですね」
完全に板についてしまったヒヨリのネガティブ思考は健在であり、確実に場が凍る様な体験談を当たり前のように言ってしまう。
「で、ではアツコさんはいかがですか?戦場の状況把握や支援が得意分野だと聞いたのですが」
「知識も豊富だから先生を助けることも多々あるだろう……でも、でもそれ以上にアツコは先生の天然ぶりと波長が同期している上、ヒヨリと並びアリウスの末っ子と呼べるほどの幼さと悪戯心もある……つまりだ」
『先生見て、おっきな雪だるま作った』
『凄いなアツコちゃん……でもこれで満足?』
『全然……どうせならもっとおっきな物が作りたい――お城とか』
『いいね。終わったら雪合戦しようよ』
『いいね、ウフフフ』
『よし、僕も頑張っちゃうぞ』
「確実に仕事を放棄して雪で遊び始める」
「流石にそんなことはしな――何故でしょう、しないとも言い切れない……寧ろ遊び始める可能性のほうが高い気がしてきました」
アツコはアリウス生徒の中で、あのアズサの次にマッシュと気が合う生徒である。雪原が広がっている学園を見れば確実に好奇心が勝ち、仕事を忘れて遊びだしてしまうだろう。
「それ以前に、アツコもまた先生に救われたアリウス分校の一人。もしも向こうの生徒が何か先生に非礼を働けば……確実にやり返す、しかも徹底的に」
「彼女ああ見えて肉食なんですね」
「次にニーナだが、彼女はシンプルだ。ニーナは我がシャーレの中では私の次に常識人、これ以上狂わせるわけにはいかない。他の者達も同様だ」
「……サオリさんが常識人かどうかは置いておいて、確かにレッドウィンターは彼女に取ってはあまりにも刺激が強すぎますね」
「イズナは今忙しいらしいからな、わざわざ呼ぶわけにもいかない」
ニーナとイズナは単純に「外的要因から守るため」という理由から、レッドウィンターへと向かうことを止められていた。
「そしてワカモは………説明する必要ないな」
『今、私の先生に不敬を働きましたか?』
「確実に外交問題による武力衝突に発展しかねないから、外交の場には絶対に連れて行かない。山海経の時も大変だったからな」
「申谷カイを本気で再起不能にする気でいましたからね……ついでに玄龍門の皆さんも」
「ちなみに私も先生に敵対するものは徹底排除を辞さない精神だぞ」
「
「とにかく、これらの理由があって私たちはあそこへいけない……が、ミサキは別だ。歳上にも年下にも同い年にも問題児を抱えながらもこれまで生きてきたんだ、なんの問題もないだろう」
「問題児の自覚あるんですね」
「とにかく!今回はミサキが一番だと判断した上で、先生を任せたんだ。相手側が何か変なことを言ってきても、そんなに反応しないはず……それに、ミサキにはもっと色んな世界を見て回ってほしい。アリウス自治区のように灰色ではなく、色とりどりの他学園の世界を」
暗く厳しい環境で生きてきたミサキに、もっと明るく優しい世界を見てほしい、したいことや楽しい思いしてほしい、そんな気持ちがありサオリは彼女に任せた。
「……彼女はいいお姉さんをお持ちになられましたね」
「あぁ、私は世界一の姉を目指している。キヴォトス中のあらゆる姉を超え、キヴォトスで最もカッコよく可愛く面白く、弟妹LOVEを総ナメするつもりの錠前サオリだ。宜しく頼む」
「欲深すぎますね」
「まあ私のことはさておき……ミサキは今どうしているだろうな、案外楽しんで―」
その時、モモトークのメッセージ通知音が鳴り、サオリは『早速ミサキからだ』と嬉しそうに端末のメッセージを開く……送られてきたメッセージは一言。
『私にツッコミ任せたリーダー嫌い』
「ゴフェァッ!!!??!?!???」
「サオリさん!!?」
たった一言、そのメッセージを受け取りサオリは血反吐を吐きながら、椅子もろとも後ろへと倒れた。サオリはミサキに他学園を見せた上で、その地で新たな経験をして欲しいだけだったのだが、結局ミサキからしてみればツッコミを押し付けられただけだ。当然、こんなメッセージが来るのも頷ける。
「き、きら、きら……」
「お、落ち着いてくださいサオリさん…!!これはあれですよ、ただミサキさんが一時的に貴女に少しだけ文句を言いたくなっただけで、いわばプチ反抗期みたいな──」
「これが先生だと想像してみろ」
「ゴフェァッ!!!」
「ふっ、これでおあいこだ………―」ガクッ
この日、後に『首席行政官並びにシャーレの部長が心因性ショックによる喀血に倒れ、救護騎士団によって緊急搬送された』というニュースがクロノススクールから流れたという。
「フンッ……ちょっとはこれで私の怒りも伝わるでしょ」
「サオリさんこれ倒れないかな、僕なら多分血を吐いて死ぬよ」
「大丈夫だよ、うちのリーダーは先生や聖園ミカに負けないくらいにはしぶといし、それに私は先生にこんな事言わないし。あと先生が死ぬ時は私も死ぬし、一緒に同じ墓入れてもらうから」
「急に重いのやめて?できれば天命を全うしてね」
「ここレッドウィンター学園は、ご存知の通り所有地も生徒の数も多いのですが、生徒会自体はあまりにも人が足りておりません」
「そして貴女はさっきのを聞かされても正常運転なんですね」
レッドウィンター事務局の秘書室長・佐城トモエに案内を受け、この場所の説明を受けているミサキとマッシュ。そして外では、まるで当たり前のようにクーデター組織と事務局員の争いか繰り広げられていた。
「……あのクーデターって、これで何回目?」
「今年に入ってからでしたら、発生件数は90回を超えています」
「対策とか改革とかしなよそれは」
「特に変えるべき問題点もない、というのが生徒会長のご判断でして。何よりクーデターに参加している方々は、どちらかといえば『クーデターが趣味』なだけなので」
「先生帰ろう、ここまともじゃない」
「せっかく来たんだし、もう少しだけ。それに仕事は仕事だし」
「危なくなったら、即帰宅だからね」
「はーい」
「ふふっ、そう気構えないでください。……さぁ、目的地に到着しました。どうぞ中へ」
案内され、やってきたのはレッドウィンター事務局の会長執務室。何処となく万魔殿の会議室と様式が似ているが、部屋の温度は暖房によって保たれており、刺すような寒さを忘れさせる。
しかしミサキは装飾や部屋の温度よりも、部屋に飾ってある一つの肖像画に目が入っていた………それもそのはず、飾られていた肖像画は『白い髭を生やしたツインテールのおっさん』であるからだ。
「……なにあれ」
「あの方こそ、我がレッドウィンター学園の生徒会長であり――」
「――――環境美化部部長兼、書記長兼、運動部代表兼、清掃部代表兼、風紀委員長兼、給食部部長のチェリノ会長で御座います」
「それ全部ワンオペ!!?あらゆる役職を一人で請け負いすぎでしょ!!!?!!??!??」
「ほぼ全部だったね」
「それら役職を一手に引き受ける程、チェリノ会長は素晴らしく、とても立派なお方なのです」
「それってただただ人手が足りないってだけじゃ『チェリノ書記長。シャーレの先生と、付き人の方をお連れしました』結構雑に話を逸らしたね」
扉が開き、マッシュらの元へとやってきた一人の生徒。肖像画に描いてある通りのおっさんが出てくるものと思って身構えていた二人だったが……実際にやってきたのは、それと全く逆の容姿を持つ幼女。
「ご苦労、トモエ秘書室長。忠実な我が右腕よ……そして感謝するぞ、シャーレの先生とその部下よ。私こそ……この立派な髭を生やし、二人の前に堂々と立っている……私こそがチェリ――」
ステンッ!
「プギャッ!?」
(転んだ)
(顔からいった)
「チ、チェリノ会長!」
マッシュとミサキの元へ到達する前に、大きく前へと転んだレッドウィンターのトップ…連河チェリノ。『アイタタタッ……』と顔を手で押さえながら立ち上がり、「キッ!」とトモエの方を見る。
「ッ、トモエ!ここは滑りやすいからカーペットを引いておくようにと言っておいただろう!?粛清されたいのか!?」
「物騒すぎる単語が聞こえた」
「チ、チェリノちゃん!?お髭が!!」
「髭?……あっ…!?」
白い髭が取れていることに気づき、チェリノは慌ててそれを付け直す。白い髭がなくなった瞬間の彼女の顔はまさしく美少女、彼女はすぐに髭をつけ、気持ちを切り替えた。
「と……ともかく、よくきてくれたカムラッド」
「カムラッド…?」
「苦楽を共にする同志って意味…らしいよ」
「へぇ……えっ、初対面なのに?」
「細かいことは気にする必要はないだろう……そしてそっちが先生の……愛人だったか?」
「―――――は??????」
「あっ、すまない。間違えた間違えた、伴侶だったな」
「はぁ!!?」
「チェリノ会長、付き人です!」
「なに? 突き合う仲?……は、ハレンチだぞトモエ!!!」
「そっちの脳の方がハレンチでしょ!!?いきなり何言ってんのこのチビ!!マセガキ!!」
「だ、だ、だだだれがチビだぁぁ!!!??」
チビという発言に怒ったチェリノが飛び出し、ミサキの胸へとへばりつくと、そこで力一杯叫び始める。
「今を発言を取り消すんだ!オイラはチビじゃないっ!!」
「どっからどう見てもチビでしょ…!」
「違う! ただみんなよりも小さいだけだ!」
「それをチビだって言ってんの…!そんな髭までつけて……ない方が可愛いんじゃないの?」
「んなっ……そ、それは、貴様……
──メガネを着けている者に対して『メガネつけない方が可愛い』とか『メガネはデメリット』と言っているのと一緒だぞ!?先生の恋人のくせにモラルがないんだな!」
「クーデターが起こりまくる学園の生徒にモラル云々言われたくない!! あと先生とはそんな関係じゃないって!!」
マッシュの恋人として扱われて恥ずかしくなったミサキは、顔を真っ赤に染めながら思いついたままに叫ぶ。それに怒ったチェリノもまた、ひたすらに反発を繰り返す。
「っっっ!!!―─なぁんだ、ちょっと身長と贅肉が大きいからって偉そうに!」
「――贅肉!?今贅肉って言った!?」
「ああ言った!!言ってやったぞ!!?」
「私のどこに贅肉があるって言うの!!?これでも先生と一緒に鍛えてるし!!シャーレのなかじゃいっっっっっちばんシャープでスマートなんだけど!!!?!??!?」
「それはつまり一番魅力がないと言うことだな!!」
「その贅肉もないチビに言われたくないんだけど!!?!!!??!??」
「なんだと貴様ァ!?」
「ミサキちゃんブレーキ、ブレーキ踏もう」
「チ、チェリノちゃんもストップ!お二人共熱くなりすぎですよ!」
ヒートアップしお互いに喉を鳴らすチェリノとミサキ。チェリノはトモエが止め、ミサキはマッシュが止めるの、少し距離を空けさせる。
「うちのチェリノ会長がすみません……」
「グルルルルルッ!!」
「コラチェリノちゃん!」
「いや、こっちも結構言っちゃったので」
「ガヴルルルルルッ!!!」
「こらやめなさいミサキちゃん、どうどう」
カオスに染まりそうになるのは何もマッシュだけではない―…秘めたるストレスが爆発し、逆にそのカオスに飲まれることもある。
断言しよう……ミサキの苦労はここからである。
ぶっちゃけます、ここからもっともっとギャグしかなくなっていきます……今回はまだセーブしてる状態だぜ。
妹『お兄太ったねー』
私『いや妹も体重増えて』
妹『何か言った?』
私『いいえー!!』
弟先生は変わってないので、『お疲れw』と言って煽ってきました。なので、ひぐらしのなく頃にを強制的に見せました。
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