もう12月です、早いですね……サンタさんへ、今年のプレゼントはサンタワカモさんかサンタミカさんをください。
あと贅沢は言わないのでセイアさんを実装してください。
「それで、なんで先生を呼んだのかもう一度聞いてもいい? おチビ」
「近々レッドウィンターでは『イワン・クパーラ』という祭を開くのだが、カムラッドには是非それを楽しんでもらい。あわよくば、我々と緊密な関係となり、我が校の専属顧問―――いやなんでもないぞ、狂犬」
「喧嘩しないの。……それにしてもイワンコフクンダーラって何するんですか?」
「イワン・クパーラです。花輪を編んで被ったり、焚き火を飛び越えたり、川で泳いだり、校歌を歌ったり、 ダンスを踊り明かす…つまり、祭りの期間中は行楽を絶やさない、といった形になるのです」
俄然睨み合っているチェリノとミサキの襟首を掴み持ち上げながら祭りの話を聞くマッシュ。他文化の祭り事などは魔法界に存在しないため、視察の機会を楽しみにしていたマッシュからは好奇心が溢れ出ていた。
が、逆にミサキは警戒を一層強めていた。それっぽい説明で誤魔化してこそいるが、要するに今回マッシュを呼んだのは『シャーレの先生を買収する』ためである。そんなことを黙って許すわけにはいかない手前、さっさと帰るに限る……と思っていたのだが。
「お祭り、ワクワクっ✨✨」
(目が輝きすぎでしょ、そんな初めておもちゃをもらった子供みたいな……)
「マッシュ、お祭りが好き」
(なんで超能力者の幼女みたいなことになってんの、てか別の作品の台詞でしょそれ)
両手を握り、顔の近くで『ワクワク』と棒読みで呟いているマッシュ。そんな様子を見て『本当に子供なんだから……』と思い、ミサキは少しだけ笑みを浮かべた。
「今回はカムラッドが来てくれると知ってな、皆が張り切って準備を急いでいる。だから是非とも、校内を見てまわってほしい――あと、できれば泊まっていってほしい!!」
「いいわけないでしょ」
「それは流石にダメかな、今回は祭りの視察ってことできただけなので、泊まるわけにはいけませんね」
「もし泊まってくれたら、レッドウィンター特製のシュークリームを50個提供しよう」
「2泊3日でいいですか?」
「そんなもので買収されないでよ!?」
この男、シュークリームにはあまりにの目が無いので簡単に買収されてしまった。そんなマッシュに対し、ミサキは彼に襟首を掴まれて持ち上げられた状態のまま怒鳴る。
「何シュークリームで他学園に買収されてるの! というかそんなものでホイホイ生徒に従わないでくれない!?今までいろんな学園が先生のことを引き込もうとして大騒ぎになったの覚えてないの!?他の生徒が馬鹿みたいじゃん!!」
「別に泊まるだけならいいかなーって」
「よくないからっ!?もしもそれで拉致監禁とかされたらどうするの!?シャーレだけじゃなくてゲヘナやトリニティだって突撃してくるんだからさ!!大戦が起こるよ!?マジでエデン条約の意味消えるよ!?」
「流石に我がレッドウィンターでもそんなことしないわっ!!」
「シュークリームがお気に召さないのであれば、我が校自慢の白い髭三種類を」
「いらないってばそんなの! ……てか見た目同じでしょこれ」
「知りませんか?白というのは200種類あるのですよ?」
「白以外のバリエーションを持ってきてから出直して来て!!!!」
荒い息を立てながら、地面へと降ろされるミサキ。マッシュは外交に関してあまりにも甘すぎる、というよりも自分を甘く売りすぎている。
マッシュの価値を例えるならば『学園の首脳部そのもの』、なのに彼自身がそこまで重く思っていない……これは危険だ。
(何がなんでも先生を守らないと…)
「見て見てミサキちゃん。髭をつけて……ほら、ダンディーマッシュだよ」
(ついでにこのボケ渋滞から抜け出すためにも…!)
「―さて、そろそろ我が校を案内しなければな。カムラッド、祭りを盛り上げようとしている生徒たちの姿を目に焼き付けて来てほしい!!!」
「拝見させていただきますね」
「トモエ、留守を頼むぞ!」
「お任せください……ミサキさん、紅茶をお淹れしたのですか…召し上がられますか?」
「…………紅茶よりも、エナジードリンクがいい。この先に待ち受けるカオスに耐えるためにも……」
マッシュはチェリノを床に下ろし、彼女の背にルンルンでついていく。ミサキはトモエからドリンクの缶を受け取りそれを飲み干すと、鍛えた握力で握り潰してそのまま彼についていくのであった。
「これ何味?やけに甘ったるいけど……」
「プリン味ですね」
「プリンの味がするエナドリって何……?」
最初にやって来たのは、レッドウィンター学園の食堂。明るい照明に学園独自の文化を楽しめるような装飾、そそてメニュー豊富な食事にマッシュは魅了されていた。
「食事は生命活動の根幹。身分の高い低いによって食事内容を差別されるなんてことは、あってはならない。そこで我がレッドウィンター連邦学園では、全ての生徒たちに皆同じ量が配られている!しかしこのチェリノ様だけは、プリンを一つ、多く食べられるのだ!それ以外は皆と同じだがな!ぶははは!」
「微笑ましいほどのわがまま」
「みんなで平等……か、それはいい考えかも知れないけど、足りない場合とかはどうするの?」
「心配しなくても大丈夫、そうならない様に、量は最初から多めに設定してある。食べきれない場合は、残すのではなく分け与える様な形で補う様にしていてな、我が校は食材を無駄にしないことも心がけているんだ」
感心。その一言に尽きる、身分や立場は違えど食事は皆同じ、皆同じものを、同じ量、同じ質の料理が食べられる…なんと素晴らしいことか。
「カムラッドよ、我が校のプリンを食べてみるか?」
「いいんですか?やったー」
「思う存分食べるといい!付き人よ、そちらも食べるといい」
「……まあ食べるくらいなら」
「料理長、少しばかり味見をさせてもらうぞ!」
「あっ、は、はい……」
プリンを作っていた生徒たちのリーダーである料理長に許可をもらい、彼女らが作ったプリンを一口食べたマッシュ達……その味は。
「────うっっっす…………!!!!?」
「食べられないことはないけど、なんというか素朴な感じだ。これがここのプリンなんですか?」
「違う!こんなものプリンではない!―料理長、これはどういうことだ!!?」
「も、申し訳ありませんチェリノ会長!! 生産量を増やす様にとのご指示はあったものの、食材をこれ以上追加することはできないとのことでしたので……どうしても牛乳が足りず、それでも量を増やすわけにもいかず……やむを得ず、水で嵩増しを…」
「プリンに、水だと!?…な……なんと罪深いことを!―言語道断、不届千万!粛清、粛清だ!マリナ!!」
「ハッ!」
「何処から現れたの今」
突然現れたのは金髪短髪な、凛とした顔をしている生徒。料理長を拘束した彼女は、チェリノの元へと料理長を連行する。
「お、お許しくださいチェリノ会長!」
「ならん!プリンに水を混ぜるなどと、その様なことが許されてはならない!! 故に罰として――」
「まあまあチェリノさん、落ち着いてください」
「な、なんだカムラッド!今からこの者を粛清しようとしているのに!」
「確かにプリンに水を混ぜるのはダメな事かもしれないけど、でも皆なりに作れる量を増やそうとしたんだから、ここは多めに見てあげてほしいな」
「そもそも材料の量を増やせばいいだけの話でしょ。ちゃんと指示をしなかったそっちも悪い」
「ぐ、ぐぬっ……言われてみれば………し、仕方ない。これより、プリンに使う材料の量を増やすことを許す!これからは二度とこのような真似をしないように!」
「は、はい!!ご慈悲に感謝いたします!!!」
「よろしいのですか?」
「わざわざ来てもらってすまないが……そういうことだ」
「では、私はこれで」
粛清を免れた生徒と、マリナは元いた場所へと帰っていき。事態は丸く治った……しかしながら、この学園にとって最大の問題点を、早速見せつけられてしまった二人。
「粛清って言ってましたけど……あれって?」
「ん?ああ、我がレッドウィンターでは罪を働いたものに対してそれなりの罰を与えることにしているのだ」
「その罰ってなに?」
「…ふふ、聞いて驚き、恐れ慄くがいい……我が校の粛清…それは!!」
「「……」」ゴクッ
「1ヶ月おやつ抜き!トイレ掃除1週間!1ヶ月間グラウンドの草むしりだ!!」
「小学生のお仕置き!!?」
「あらかわいい」
もはや罰ゲーム、なんとも可愛い罰なのだろうか……二人は緊張が一気にほぐれ、顔が緩む。
「何その小学生に与える様な罰……ぜんぜん罰じゃないでしょ」
「これ以上に恐ろしい罰があるというのか?」
「鞭打ちとか、バーナーで火炙りとか、髪とか指を切ったりとか……色々あるでしょ。せめて一週間食事抜きとかさ」
「な――なぜそんなにひどいことを!!?」
「それが一般的()な粛清レベルの罰なの!!」
「そんな非道な事をなぜ思い浮かべられるんだ!? 悪魔め!」
「プリンに水混ぜたぐらいで粛清するアンタに言われたくないわ!!てか考えたの私じゃないからね!?」
内容が何処か生々しく重いミサキ、そんな彼女の言葉に恐れを覚えるチェリノ……その反応は本当に幼気だった。ヒナやホシノも身長は低いが、まだ年上っぽい感じはあったのだが……チェリノにはトップの威厳や風格が薄い。
「それとカムラッド、さっきからなぜそんな顔をしているんだ……?言っていいのかわからないが……怖いぞ?」
「気にしないでください、どうやったら地獄への日帰り旅行が出来るかなって考えてるだけなので」
「ごめん先生、私が悪かったから。だから冥府に行ってまであいつを殴ろうとするのはやめて、それはもう死体蹴りなんてレベルじゃないから」
「な、なんだが訳ありの様だな……とりあえず、次の場所へと向かうとしよう!次は我がレッドウィンターが誇る広報活動の要、中央報道部の印刷所だ!」
「印刷所……要は集英社ね」
「流石にもう粛清をする様な者はいないだろうから、安心してほしい!」
「できるかなぁ」
「なっ、なんだこの記事は!?オイラが写っていないではないか!」
「し、集合写真となると、どうしても……」
「ええい粛清だ!オイラを侮辱するなど!」
「ストップストップ、まだ外に出したりしてないんだから、これから修正すればいい……だよね?」
「っ……カムラッドが、そういうのであれば」
「それってやってることクロノスと変わらないんじゃないの?」
「道端に空き缶を放置するなどと…環境美化部の名が泣いてしまうではないか!直ちに粛清を―─」
「捨てればいいだけだよ、ほらこの通り」ベキッ!
「――空き缶がほぼ平らに!?」
「それスチール缶なんだけど…?」
突然できるわけもなく、チェリノは何か不手際があれば、すぐにそれを起こした生徒らを粛清して行っていたため、マッシュがなんとかそれを阻止……悪いことをすれば即粛清、ここでミサキは理解した。
(人手が足りないんじゃ無くて……粛清しまくってるから人が居ないってことじゃん――この会長バカだ、先生以上の大馬鹿だ!! 暴君だ!!!!)
「ムゥ、今日は不届きものが多いな……カムラッドが居なければみんな粛清していたぞ」
「粛清ってそんな簡単に使っていい単語だったっけ」
「ともかく一通り回れたな……少し休憩を挟むとしよう二人とも」
「――っし!!」
「すごい勢いのガッツポーズだ……なんかごめん」
レッドウィンター内を一通り回って思ったのは、あのクーデターが趣味の組織以外、ほとんどがまともだということ……つまりおかしいのは生徒会の会長であるチェリノとその直属の部下。
「粛清か……シャーレにも罰則とか加えてみようかな。一週間シュークリーム禁止とか、接触禁止命令とか」
「シュークリーム禁止はいいけど接触禁止は確実に死人が出るからやめて、マジであの子達のメンタルが折れるから」
そしてこれらを全て『これも異文化か』と少し納得しているマッシュ自身である。ミサキの胃は再び、キリキリと呻きを上げた。
「し、しまった!!誤って会長の銅像にヒビを入れてしまった!!……ど、どうしよう、このままじゃ私も粛清されて………いや待てよ?――」
「――チェリノ会長がいなければ怒られないし粛清されないし、自分がトップに立てるのでは?」
そしてここにも、カオスな考えを持つ者が一人……。
ラストのやつに関しては本当になんでやねんと思いました、素直に謝ろうって。
パヴァーヌ二章をクリアした二人の反応は
『報連相ちゃんとしようよみんな………あとリオちゃん不器用すぎる優しさじゃん』
『何かが起こる前に対処するってのはわかる、ならせめて一言声かけよう?いきなりアリスちゃんを連れ去って、話を理解してねは多分無理よゲーム開発部のみんなには‼︎ でもミレニアムを愛してるってことは伝わったよ‼︎』
この作品では結構救いますけどね、原作でも救われそうでよかったです。
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