透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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夏にエアコンが壊れたと思い直したら、今度は暖房が付かなくなりました………畜生。

コタツを買おうと思ったんです、ニトリに行ったらアホみたいに高くてびっくりしました、なので仕方なく毛布を三人分買いました。とてもあったかくて良いのですが……出たくなくなるのが傷。


マッシュ・バーンデッドと理不尽下剋上

 

 

 

 

「お疲れ様でした、マリナ委員長!」

 

「お疲れ様……という感じではないな、ほとんど先生に持っていかれてしまった」

 

「それでも会長のために働いたのは事実です!我々は、何処までも貴女についていきます!」

 

「そ、そうか……ふむっ、頼んだぞ」

 

「「はっ、お任せ下さい!」」

 

 

 

 

 

 

 レッドウィンター連邦学園2年生、レッドウィンター事務局保安委員長・池倉マリナ。

 

 普段はチェリノの側近として行動を共にし、チェリノの「粛清だ!」の一言を聞けば、対象を速やかに制圧し捕らえる役割を担っているのだが……今回ばかりは全て、マッシュに出番を奪われている。

 

 

 

 

 

「私は少し用があるので、これで失礼する。皆、休息をしっかりと取っておく様に」

 

『ハッ!』

 

「それと、決して問題を起こさぬ様にな。―部下を捌きたくはない」

 

『は…ハヒィ!』

 

 

 

 

 

 コツコツとその場から去って行く、その後ろ姿に保安委員の生徒たちは見惚れ、骨を抜かれる。いわゆる人徳、崇拝といった様な感じだ。

 

 

 

 

 

「流石はマリナ委員長、私達のことを案じ、さらには大切にしてくださっている」

 

「やはり彼の方こそ、我々のトップだ」

 

「あ〜あ、もっとマリナ委員長に頼りにされたいなー」

 

「同じく」

 

「マリナ委員長に攻められたい、できれば厳しく見下されながら耳元で罵倒してほしい」

 

「おい誰かそいつを引っ叩け」

 

 

 

 

 

 

 マリナ自身、部下からの信頼や人徳が厚い。近いところで言うとシスターフッドだろうか、彼女の部下はチェリノではなくマリナに従っているといった方がただしい。

 

 

 

 

 

「……そんなマリナ様の出番を全て奪うだなんて…罪深い男だな、全く」

 

「出番を奪ったことに関しては誠に遺憾だが、チェリノ会長は最近になって粛清の頻度が多くなっている……それ故に私達の仕事も増える、だから今回ばかりは感謝しておかないとな」

 

「先生が粛清を止めてくれたおかげで仕事が減りましたもんねー」

 

「全く困った物だな、あの会長は」

 

「ほんとほんと、しかしああ言う俺様気質なちびっ子をわからせるのもまた一興」

 

「誰か、こいつを締め上げて天井にぶら下げろ」

 

 

 

 

 

 不満はある、会長だからと言って暴君気質な行動が容認されるはずがない、それならマリナ委員長に任せた方が絶対にいい、そう思う者達は多々いた。

 

 

 

 

 

「……あの妙な男、マッシュ・バーンデッドだったよな? 何者なんだ奴は」

 

「キヴォトスの英雄とか、全ての生徒の味方とか、ナチュラルボーンヒーローとか、脳内筋肉お化けとかシュークリーム狂信者などと言う噂は聞いたことがあるわ」

 

「後半のボキャブラリーはなんだ……まあ、何処か偉そうな感じはあったがな………歳は変わらぬはずなのに」

 

「あの筋肉で人を惑わし手駒を増やしているとは……恐れ入ったぞマッシュ・バーンデッド‼︎」

 

「貴様は見境なしか!!誰でもいいからそいつに口枷をつけろ、後人を惑わせたのは彼の筋肉ではない、人徳と信頼だろう……マリナ委員長の様な!!

 

「なんだったらあの先生を超え、キヴォトスのトップにでも登りつめてくれればいいのに〜!」

 

 

 

 

 

 

 廊下に響き渡る笑い声、チェリノやシャーレ生に聞かれでもしたら大変だが、現在チェリノは爆睡中でありなんの心配もない。

 そんな笑い声を背にマリナは、どんどんその場から離れていく。

 

 

 

 

「……ふっ、愛らしい奴らだな」

 

 

 

 

 部下を愛おしく思いながら、その場から離れていってる。冷静に、尚且つ厳格に……早歩きで、いや訂正しよう、もうほとんど走っているのと同じスピードで。

 

 

 

 

「ハァハァハァハァハァッ…!!」

 

 

 

 

 息切れを起こすレベルの走りを行った後、周りに人がいないことを確認し、誰もいなその廊下の端に座り込む。彼女は厳格で、冷静で、凛々しく、

 

 

 

 

 

 

(――怖かったァァァァァ!!)

 

 

 

 

 

とってもポンコツだった。簡単に言えばアルと同じタイプであり、クールに見えて実はポンのコツだ。両手で頭を抱えながら震え始める。

 

 

 

 

 

(なんなんだ、なんなんだあの男は!?チェリノ会長とは違った、また別の圧を感じたぞ!?な、なんだろうな……猫……熊――あっ違う、(アドラ)だ!!アレは確実に猛禽だ!!)

 

 

 

 

 

 強者ほど相手の力量がすぐにわかると言うが、まさにその通り。

 マリナはマッシュのトンデモオーラを感じ取っていた、かつて自分がチェリノから感じていた、あの謎の圧力を。しかし彼女が真に恐れているのは……

 

 

 

 

 

(あの付き人の生徒もだ!!なんだあの生徒、なんだあの目!?完全に「先生に何かしたらお前ら蹴散らすぞ」と言わんばかりの目だった…よかった、部下が変なことしなくてほんっっとによかった…!!!)

 

 

 

 

 

マッシュの付き人、戒野ミサキだった。

 ミサキは現在、シャーレで生活している範囲ではあり得ないほどに不機嫌な状態となっている。ツッコミ疲れもあるが、元々一人で過ごすことが好きな性分もあってか、校内のあらゆる場所で大多数に囲まれることが気に食わなかったらしい。

 

 当然マリナはそんなこと微塵子たりとも知らないので、ただただ目つきの悪い生徒だという印象から、偏見が過半数を占める判断しか下せないのだが。

 

 

 

 

 

「……何故チェリノ会長はあそこまでの圧を先生をここに招き入れたのだろうか。下手をすれば、我々が潰される可能性すらあるのに―――ダメだ、考えただけでも疲れる……今日はもう休もう」

 

 

 

 

自分の寝室へと向かうため、マリナは立ち上がり歩こうとした―その時、地面にあった空き缶を踏んでしまい、前へと転んでしまった。

 

 

 

 

「アイダッ!?――何故、床に空き缶が!美化委員は一体何を……あっっ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 マリナ、正気の大失態。偉大なるチェリノの銅像……それにぶつかってしまい、髭がポトリと取れてしまったのだ。あのプライドの高いチェリノの銅像を壊してしまった相手がどうなるのか――大体は想像がつく。

 

 

 

 

 

「し、しまった。誤って会長の銅像にヒビを入れてしまった‼︎……ど、どうしよう、このままじゃ私も粛清されて………いや待てよ?――」

 

 

 

 

 

 

 

この時、マリナの脳に電流が走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェリノ会長がいなければ怒られないし粛清されないし、自分がトップに立てるのでは?」

 

 

 

 

 

なんでやねんと思った方もいるだろうが、これが真のポンコツの恐ろしさである。ちゃんと謝ればいいものを、何故人はまた過ちを増やしてしまうのか……。

 

 

 

 

 

 

「い、いや待て、それをしてしまうと今度はシャーレの先生が………――いや待てよ?(2回目)」

 

 

 

 

 

 

またまたマリナの脳に、電流が走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついでに先生も校内に閉じ込めて、出られない様にして……『先生とその付き人はレッドウィンターが気に入った様で、しばらく残り続けることにした』と言うことにすれば私は怒られないのでは?―――ふっ、フフフフッ!我ながら完璧だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

んなわけねぇだろ

 

――――おっと、少々言葉が汚くなってしまった。訂正する、そんなわけないだろう

 

 

 

 

 

 

「――保安委員、全員集合‼︎」

 

「委員長、急にいかがなされましたん」

 

「色々考えていたんだ……しかしお前達のおかげで吹っ切れた。――これより我々は事務局へと進軍し、そして幹部達を全て引き摺り落とし、チェリノ会長を討つ!」

 

「委員長それはつまり――革命…ですか!?」

 

「そ、そうだ。これは革命だ!レボリューション、もしくはエボリューションだ!!」

 

 

 

 

 雄叫びに近い歓声が上がり、やる気満々……あまりにも流されやすい。せめてもう少し違和感とか、「それはダメのでは?」とか一ミリでもいいから疑問を感じてほしい。

 

 

 

 

「行くぞ…目指すはチェリノ会長、及び幹部ら引き摺り落とし。シャーレの先生とその付き人を投獄する!」

 

「あの先生をですか!?」

 

「そうだ、表向きではただの長い泊まりだと言い続ければいい。先生を引っ捕える――やってみる価値はある、そうとは思わないか? 魔王を倒す勇者……なりたくはないか?」

 

『なりたいです!』

 

「ならば私に続け!!敵は―─―事務局にあり!!」

 

『ウォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!』

 

 

 

 

 

 マリナへ続き、保安局の皆がクーデターを引き起こした――一度全国の保安局の皆さんに謝ってきてほしい。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「なんか騒がしくない?……あっ王手」

 

「先生これチェスなの、将棋じゃないの……でも、確かに騒がしいね……まだクーデターが続いてたの?」

 

「んなぁ……なんだ……?せっかくいい夢を見てたのに」

 

「あんたはいい加減先生の膝から降りて、いつまで寝てるの」

 

 

 

 

 

 マッシュの膝にもたれながら寝ていたチェリノと、マッシュとチェスをしていたミサキ。三人は外が騒がしくなっていることに気づきいて扉に目を向けるが、そこから飛び込んできたのはトモエだった。

 

 

 

 

「た、大変ですチェリノ会長!!」

 

「なんだ騒々しいぞトモエ……せっかくのお昼寝タイムだったと言うのに」

 

「申し訳ありません……ですが緊急事態です。武装をした生徒達が、こちらに向かって押し寄せてきています!」

 

「「――は?」」

 

「なにぃ?」

 

 

 

 

 

 マッシュとミサキは嘘だろ、と顔を見合わせ、チェリノは呆れた様子でトモエに問いかける。

 

 

 

 

 

「一体何処の派閥だ?チョコミント解放戦線か?唐揚げにレモンをかけることを許さない革命家集団か?

 

「何その意味不明な派閥」

 

「唐揚げにレモンをかけることは別に良くない⁇ 勝手にかけるのはダメだけど」

 

「どちらにせよ、そんなのはマリナ委員長と保安局の者達に任せておけばいいだろう?そんなことでいちいち騒がくとも『それが……』」

 

「………チェリノ会長―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クーデターを起こした人がその……他でもないマリナ保安委員長でして…

 

「世も末がすぎるでしょ!?」

 

「うっそだろマジか、クーデターを止めている人達がクーデターを起こすって何? どんなカオス?」

 

「な、なぜマリナがいきなりクーデターを!?この前、マリナが大事にとっておいたプリンを勝手に食べたからか!?それともマリナが大事にしてないクマのぬいぐるみを抱いて眠って、そのままよだれを垂らしてしまっていたからか!?」

 

「クーデターってなんだっけ」

 

「と、とにかくどうすれば……!!」

 

 

 

 

 

 

 ゲヘナ風紀委員会が万魔殿にクーデターを起こす様な物――これは例えが悪かった。

 正義実現委員会がティーパーティーにクーデター起こすに等しい状況が、現実に起こっていた。ミサキは他人事の様な態度をとりながら、差し入れられたエナジードリンクに口をつける。

 

 

 

 

 

(……大変だねそっちも、内輪揉めだし、私たちは深く干渉しないから勝手に解決して――)

 

「あっそれと、シャーレの先生とその付き人も拘束して監禁するとも言っていました」

 

ブッッハァッッ!!?

 

「わっ、エナドリが噴水の様に」

 

 

 

 

 ミサキはエナドリを吹き出しマッシュはそれを正拳突きの風圧で霧散させてかき消す。ミサキは咳き込みながら、眉間に皺を寄せて怒鳴った。

 

 

 

 

 

「ふっ――ざけないで!?」

 

「ミサキちゃん、それ多分違う人のセリフ」

 

「なんで私たちまでクーデターの対象になってるの!?おかしいでしょ!!部外者なんだよ私達!?……あーもういい、そっちがその気なら…!!!」

 

「ま、待て厨二よ!」

 

「厨二じゃないからッ!!」

 

「今回ばかりはまずい!!相手はレッドウィンターの局員、それもオイラ直属の部下だ……もし仮にここで戦闘を引き起こして、『レッドウィンター生徒が先生に手を出した』なんて世に知られれば……」

 

「関係者がこぞって報復しに来る、ってこと?……いやいや、流石にそれは言い過ぎじゃないかな?それに、秘密にして漏らさなければなんの問題も無いし、そこらへんのモラルは―──」

 

 

 

 

 

 

 

「我が校の生徒に秘密を守るようなモラルを持っている者がいるとでも?」

 

「どうしよう強く反論できない」

 

「学園として来なくとも、個人で動く奴らもいくらでもいる……ウチ(アリウス)なんて特にそう―――あぁぁぁもう!」

 

 

 

 

 

 

 人脈が増え、シャーレに対して友好関係や提携を築いた委員会や部活が多く出てきたこの頃。そんなシャーレのトップを監禁しようとしたり、襲ってきたりした……なんて知られれば、一体レッドウィンターはどれだけの敵を作ることになるだろうか。

 

 玄龍門における虚偽報道騒ぎやマッシュに対する排外的な行動については、外部に漏れたりはしなかった為に波風を立てなかったに過ぎず、ワカモなどに知られようものなら大惨事を引き起こすことは確実。

 

 

 

 

 

 

「とりあえず今は、ここから出ましょう」

 

「出ると言っても何処へ避難するのだ!?」

 

「レッドウィンターの外部付近にある、旧校舎へと向かいましょう。あそこに隠れれば、マリナ委員長も簡単には見つけられないかと」

 

「一時的な撤退……だな。決して逃げるわけでは無いぞ!?」

 

「出るなら窓からの方がいい。捕縛用のロープがあるから、それで出よう」

 

「それではお先に」

 

 

 

 

 

 マッシュは窓を突き破り地面へと着地すると、上から下ろされたロープを近くの電灯に巻き付ける。ミサキはチェリノを背に乗せ、トモエをお姫様抱っこしながら、そのロープ上をロールグライダーの要領で滑りながら移動し、地面へと降り立った。

 

 

 

 

 

「お疲れミサキちゃん。三人は大丈夫そ?」

 

「私は大丈夫。チビ、怪我は?」

 

「な……ない」

 

「そっちは」

 

「大丈夫です。旧校舎はあそこに見える森の方ですので、ご案内いたします」

 

「お願いします――なんかスパイ映画みたいでワクワクするね」

 

「ぜんっっぜんしないから、ほら、捕まってて。走るから」

 

「う…………うん」

 

 

 

 

 

 

 ミサキがチェリノを背負い、マッシュはトモエを横抱きで運びながら、トモエの案内を受けて旧校舎へと走り出した。

 

 

 






書いててなんだこれってなりました、まあいいや、これでこそマッシュル。

どうも、親戚の子供と一緒にポケモンをやっていたら『キュレムってなに?メガ進化って何?』と聞かれ、心臓が引き裂かれそうになった作者です。

皆さんは知ってますよねメガ進化!!キュレムも知ってますよね!!?いや知らない人もいるか。決めつけてごめんなさい。


今の子達ってイナイレ知らない子も多いらしんです……歳はとりたくねぇ。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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