百合の間に挟まる男は◯罪、どうも作者です。
ホシヒナの間に挟まり出そうとする弟を処して来たので、今回はテンションおかしいです。それでは本編へ……どうぞ
「つ……ついに手に入りました……。ゲヘナ、トリニティ……そしてミレニアムとたらい回しにされながらも、必死で食らいつき、やっとの思いで手に入れた幻の一冊……‼」
レッドウィンター連邦学園・図書室。
ここに住み込む形で図書館を管理・運営している図書委員会に該当する組織が、知識解放戦線である。
「トリニティの図書館……そこの奥深くに隠されていた一冊の本……これを手に入れるため、ありとあらゆる手を尽くしてきたのです‼︎…えへ…えへへ」
そして何やら紫とピンク色の禍々しいオーラを放っている、分厚い一冊の本を手に持っているまるで雪ん子のような見た目の生徒、
彼女はその本をこっそりと開き、中を拝見する。
「なるほどなるほど……主人公はいい身分のお姫様、周りからの人気も良く、友達や家族との関係も陽光なお姫様、まあ良くある設定ですね」
いわゆる少女、女性用もしくは青年漫画なその作品、設定的に言えば良くあるお嬢様物なのだが――問題はその設定。
「えーしかし……周りにいる友達は彼女の性格や容姿では無く、持っている権力や財力目当て……心の底から友だなんて思っておらず、主人公本人もそれを自覚している―――重い…後、こう……リアル‼︎」
読めば読むほど、品の高い位の貴族や政治家の闇が現実的に描写されているのが分かる。
「お話の内容は分かりましたが、目的がわかりませんね……物語というのは、何か一つの目的に向かって進行してくわけで、それがわからないと………――ん⁇」
そんな設定をぶった斬るかのような展開が突如として描写されていた……それは物語の序盤、主人公がそんな日々苦しんでいる闇を晴らそうと、自然豊かな山へと向かった場面、そこに描写されていたのは
『フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンッ―……ん?誰ですか、貴女』
『………えっ、と……何してるの?』
『筋トレ』
『筋トレ…筋トレ…⁇』
山奥で巨大なバーベルを持ち上げ、高速で上下させることでトレーニングを行っている一人の男の姿であった。さっきまで完全なるお嬢様系の漫画だった内容が一変、このキャラのせいでジャンルがギャグに変わってしまった。
「なんでいきなり筋トレをしている男性が? 後なんで山奥で⁇ そしてなんで筋肉の絵が妙にリアルなんですか⁉︎」
『あの、シュークリーム食べます?』
「そしてなんで懐からシュークリーム⁉︎」
『キュン…』
「キュン要素どこ⁉︎……というか、本当に筋肉の並びが綺麗ですね。漫画の筋肉キャラって大体のイメージとか、筋肉の構造が適当だったりするんですけど…この人の場合は違う、モデルの人がいるんじゃないかってぐらい綺麗―――っていうかこの人だけ画質違いますよね⁉︎」
お嬢様もののファンタジー作品の画風と、男キャラの画風はまっっったく違っている。例えるなら、主人公も含めたキャラクターや背景などは全て黒◯事や◯う大天使なのだが……
『こっちはケビン、こっちはマイク……ああ、ごめん。僕の筋肉なんて興味ないよね』
この筋肉キャラに関しては完全に◯牙の画風で構成されており、より明確に例えるなら地上最強の男の息子に近い……しかしながら、ヒロインに引けを取らない美形であることは確かである。
「キャラの画風を違って描くだなんて普通の人ならまずできないし、凄いことなんですけど……恋愛系でこういうことします?」ペラッ
『シュークリーム美味しい?……あっほら――口元にシュークリームの皮がついてるよ』
「クリームじゃないんだ……いや筋肉隆々の相手にこれされても怖いだけ」
『キュン…‼︎』
「惚れやすいなー大丈夫かなーこの人‼︎」
モミジは早速、主人公が心配になってきていた。そこからの展開はお嬢様の執事としてその筋肉キャラを雇うことが決まったのだが、山籠りのせいで世間知らずなことが仇となり、お茶を淹れようとしてカップを割ってしまったり、肩や背中を揉んでくれと頼んだら骨を折りそうな勢いで力を入れたりなど、ハチャメチャな騒動を引き起こす。
「…でも、でもなぁ……」
しかし、ここぞという山場ではギャグキャラであることを忘れさせる活躍を見せ、主人公が悪事に手を染めようとした際には命も顧みずに殴り合って阻止して見せる。逆に主人公が嫌がらせに遭ったり、罪をなすりつけられて土下座を強要されている時は、その身を乗り出し──
『─―謝るのは、お前の方』
土下座を強要してきた真犯人の頭を地面に叩きつけたりし、主人公を守るために色々と頑張っていた……ここまで見てモミジが見て思った感想は『めちゃくちゃだが面白い』である。
「――…買ってよかったです。明日は特に大事な仕事もありませんし……ゆっくりと、ゆっっくりとこの本を呼んで………所でこの筋肉キャラの人、どこかで見たことある様な…」
「あれ、僕が漫画の世界で動いてる」
「うっひゃぁぁぁぁぁぁ!!!?」
「わぷっ」
「先生、気配を消して背後に立つ練習しなくていいから」
「だだだ誰ですか貴方ぁ⁉︎」
「多分このキャラクターのモデルです。そしてこちら長期の移動により疲れが出てしまい、眠ってしまっていたチェリノ会長です」
「むにゃ………なんだ、カムラッド、もうついたのか?」
いつの間にかモミジの背に回り、漫画を盗み見ていたマッシュと彼に抱えられているチェリノ。前からはミサキとトモエがやってきていた。
「お久しぶりですモミジさん、今よろしいですか?」
「トモエさんまで……な、何事ですか?……そちらの方は…」
「彼女はシャーレに所属されている、アリウス分校の戒野ミサキさんです。今回は折り合って知能解放戦線の皆さんにお願いがあり、ここへと足を運んだ次第です」
「ということは……こちらの方が」
「マッシュ・バーンデッド先生です」
「ども」
「じゃ、じゃあ貴方があの同人誌の…‼︎」
「どうじんし?」
「あっ――いやなんでもありません‼︎」
頭に『?』を浮かべたままチェリノを地面へと降ろし、辺りを見渡すマッシュ。見たこともない量のありとあらゆるジャンルの本がずらりと並んでおり、部屋の広さも異次元レベル。シャーレにも本を保管する場所はあるが、ここまでの広さはない。
「本当にいろんな本があるんですね、それに広い」
「ここはレッドウィンターが他から取り入れた本もたくさん保管してあるし、何より在籍している生徒の数が多い……多いが、ずっとここに引きこもって本を読んでいるばかり、流石に心配になるレベルだ」
「放っておいてください、それが私たち知識解放戦線なんですから…」
「……さっきから気になっていたが、その本はなんだ?その謎に禍々しいオーラを放っているそれは」
「ト、トリニティの図書室から手に入れた幻の本です‼︎怪しいものではありませんよ!」
「そのオーラは確実に怪しいものだぞ……どれ、少し見せてみろ……」
「勝手にとらないでくださいよ‼︎」
チェリノはモミジが先程から呼んでいた本をじっくりと読む、話の内容自体は理解したし、面白いと思ったが――問題はそのモデルだ。
「この筋肉キャラ……完全にカムラッドではないか?」
「何それ…――うわ…ほんとだ、そっくりだ……まって、この主人公の見た目……何処かで」
「これミカさんじゃないかな。ここまで綺麗なお姫様ってミカさんぐらいでしたし……あとなんか、髪色と髪型と…性格?もなんか似てる様な気がする」
「ミカ……と言えば、トリニティのトップ、ティーパーティーのホストであるあの聖園ミカか⁇」
「さ、作者名などは……」
「それはありませんでした……けど……あのこれってつまり」
おそらくこの漫画を書いた作者は、自身を主人公として投影し、おそらくは惚れているであろう相手を漫画の中に描き、漫画の中で自身がモデルのヒロインと相手をいい感じに描いている……ということになる。
「ミカさん……―そんなに僕に執事をやって欲しいのかな」
「ポジティブすぎるぞカムラッド!? これアレだろ、絶対にアレだろう⁉︎ やばいやつがやる行動なんだぞ⁉︎」
「筋肉の画質が妙にリアルなのはそれが理由だったんですね」
「そもそもモデル相手に許可取らずに書くのはダメでしょ」
「でも◯魂の人はそれでも大丈夫だったって」
「あの人は特例中や特例だし、周りの人がちゃんと怒られてたんだってば……でも…あの姫様がこんな物書くのかな……少なくても自分では絶対に描かない様な気がする」
「じゃあミカさんを昔からよく知ってる人……かな」
ミカの色恋沙汰云々は置いておいて、問題はモデル相手がマッシュだということと、本人がそれを許可していないという点。普通ならば怒ってもいいし、モデルを変える様にいうのも納得がいくのだが。
「僕が漫画の世界に……なんだか照れますな」
「いやあんた漫画の世界、しかも大手の出身でしょ。アニメ化までされてるし」
「マッシュル一期・二期、みんな見てね」
「メタいですよミサキさんに先生」
「じゃあ先生は、別に、漫画のモデルになってることには怒らないんですよね?」
「そこまでかな。むしろちょっと嬉しい」
「そ、そうなんですね……よかった、じゃあこの本が見つかっても大丈夫ですね…」
「この本って……何、まだ何かあるの⁇」
「ちちちちちがいますよ!?――あっ、私、本の整理をしないと⁉︎」
モミジは急にどこかへ行こうと走り込むが、途中で地面に落ちている本につまづいてしまい前に倒れる。その時、モミジの懐からは複数の本が現れ、バラバラに散らばってしまった。
「おおい!道端に本は危ないだろう!?」
「大丈夫ですかモミジさん」
「だ、大丈夫です………あっ本⁉︎あの本は――」
「なに……この本」
「あ、あぁぁぁ見ちゃダメです!!!特にシャーレの皆さんは!!!!!!」
ミサキが拾い上げた本……そこの表紙にのタイトルは―――
『禁断の恋‼︎ 仲良し姉妹のお遊び本』
「――――なっ……ななななな…ななななっ……⁉︎」
「隠す気がないレベルだぞぉこれは‼︎」
「しっかりとミサキさんですね……そしてこちらの方々は……お仲間さんですね」
「あれ、サオリさんやアツコちゃん、ヒヨリちゃんまでいる。みんなもモデルになってたんだ……どれどれ」
「待ってください先生中はみちゃダメです‼︎」
顔が真っ赤の状態で止まっているミサキの手元から本を取り、マッシュは中身を確認。内容に至ってはシンプルで、ただただ仲良くシャーレのメンバー達が過ごしているだけなのだが……所々でイチャつき始め、いい雰囲気となっていた。いわゆる…百合展開。
「まあみんな家族だし、仲良くで当然だよね」
「いやーカムラッド、多分その描写は恋愛本面だと思うが」
「……?家族を愛すのは普通では?」
「同性愛には突っ込まないのか!?」
「愛の形って人それぞれですし……おっ、この描写は上手いな。ミサキちゃんのサオリさんへのツンデレ具合をうまいこと―『ぁぁぁぁぁああっ!!!』」
ミサキは声を上げ、マッシュが読んでいたその本を取り上げると空高く投げ、そのままミサイルで撃ち燃やし尽くした。そりゃそうである。
「――これ書いたのどこのどいつ⁉︎」
「ヒェェェごめんなさい知らないです‼︎」
「まあまあミサキちゃん」
「か………勘違いしないでよね先生‼︎ リーダーとは何も無いからただの……ただの……えっ…と……仲間、そう仲間だから!」
「家族では無いの?」
「それは……リーダーが勝手に言ってるだけ、私達はただ同じスクワッドのメンバーってだけで本当の家族じゃないし……姉さんの事だって―――あっ」
「言ったね」
「言いましたね」
「家族は思いなのはいいことだぞ付き人よ‼︎」
「うるさぁぁぁぁぁぁい‼︎」
ニヤニヤと温かい目でミサキを見るマッシュ達、これで問題が終わりならばよかったのだが、地面に散らばっている本のほとんどは、ミサキが燃やした本と同じ様な本ばかりであり、いわゆるカップルリングが別のものばかり。
「サオリさんとアツコちゃん……騎士と姫の設定……なんでかしっかりとくる。あとはヒヨリちゃんとミサキちゃん泣き虫な妹に構うお姉ちゃん……良きかな。――あれワカモちゃんとイズナちゃんのもある」
「数多いな?」
「…じ、じつは……その、これらの本は全て、世に出てから2日で連邦生徒会に没収された本でして……ここにある数冊は貴重中の貴重品でして…」
「とりあえず作者は見つけ出して埋める」
「ミサキちゃんが殺意の波動に目覚めそうだから一旦しまおう」
マッシュが地面に散らばっている本を丁寧に持ちながらモミジの元へと運んだ後、残りの本も渡そうと拾っていく中……2冊、嫌な予感がする本を見つけ、中身を拝見した。
「…………………」
「…先生、どうしたの。また何か変な本でも――」
次の瞬間、マッシュがその2冊の本を宙に浮かせた。一冊の本は彼の拳に貫かれ、もう一冊の本は中指の第二関節を突出させた状態で拳を握り、それを高速で振ることによってバラバラにされてしまった。
「この男探し出して埋めてきます」
「ど、どうしたんだカムラッド⁉︎」
「あっ…あの本は…」
「……また何か変な本?」
「いやその………あ、あれはいわゆる……NTR本…でして」
「寝取られ?」
「つまり――付き合っていた恋人を、どこも誰かもわからない相手に奪われる……みたいた、感じのジャンルでして」
マッシュが読んだ2冊の本、とっても簡単にいうと『百合の間に挟まる男』本である。しかも百合側が同意していない、完全なるNTR。
「見つけ次第地面に埋めてやる」
「待てぇカムラッド‼︎洒落にならない‼︎カムラッドのそれは洒落にならないぞ!!」
「先生これ二次元だから、現実にいないから」
「姉妹の愛の中にはたとえ僕でも介入してはならないんだ」
「と、とりあえず落ち着きましょう⁇ フィクションと現実は違うと言いますので」
「それもそうですね」
『素直か‼︎』
チェリノとミサキの意見がフィットした瞬間である。モミジは一人とんでもない量の冷や汗をかき始めていた、それは彼女がまだ隠し持っていた本にある……
(ま、まずい。あの本でこの反応なら……絶対にこの本はまずい‼︎ メアリー先生が密かに書いていたこの本……先生は、ともかく……あのミサキさんって人には―――)
「あっモミジちゃーん‼︎そろそろあの本貸してよ〜」
「うっひゃぁ!?」
「あの本…?」
「……あんたまだ何か隠してたの?」
知能開放戦線の所属生徒が一人、モミジに対してある本を貸してくれと頼んできた。それを聞いてミサキは彼女の元へと歩き、手を出す。
「出して、隠してる本」
「な、何を怪しいものではありませんよ!」
「燃やしたりしないから貸して……あと別に怪しく無いのなら見せれるでしょ」
「―そ、それでも――守りたい本があるんだぁぁ!!」
モミジは隙をつき逃げようとするが、相手は百戦錬磨の元アリウス生である以上逃げられるはずがない。難なく捉えられ、隠していた本を取り上げられる。
「これね」
「ほ、本当にダメです‼︎その本はあまりにも…‼︎」
ミサキは取り上げた本の中身を確認―――その本……それは。
『ドキッ‼︎ 男だらけの大人の筋トレ本‼︎ バーニャもあるよ‼︎』
ありとあらゆるジャンルの男の筋肉が鮮明に描かれている、成人向けの同人誌。わかりやすく言えば、◯ー◯◯ンカムイを更に濃厚にし、男色の度合いを強めたようなものか。
「グルァァァァッッ!!!?」
「ミサキちゃんがクマみたいな叫び声をあげて本を投げ捨てた」
「――何処の誰……これ、書いたのはぁ‼︎」
「作者の人逃げてぇぇ‼︎」
「まずい今度はミサキちゃんが暴走し始めた」
顔を真っ赤にしたまま暴れそうになるミサキを、両手で止め落ち着かせるマッシュ。マッシュをモデルにした相手がいた上、薔薇の色をした香ばしい描写を匂わせる……いわゆるナマモノと呼ばれるジャンルであり、マッシュとつながりが強い人間にとっては地雷にほかならなかった。
「トモエ、おいら達は何をしにきたんだっけ?」
「協力の要請……のはずです」
作者……誰なんでしょうね〜(すっとぼけ)
皆さんもぜひ予想してみてください、コメントに書いてくれても全然いいですしむしろくだs…
ラビット編が本当にマッシュ君無双になりかけてる作者ですが、今後ともどうぞよろしくおねがいします
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