透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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この度ファンアートを頂きました………しかも、ニーナちゃんです。もうとにかくすごい、そしてありがたい……ファンアートを貰えるだなんて思っていなかったので……感激です…‼︎




【挿絵表示】

https://syosetu.org/user/455148/この方が描きてくださいました。



そんなこんかい、ちょっとメタいです、ご了承くださいまけ。


閑話3
マッシュ・バーンデットと狂犬


 

 

 

 

 

――正義とはなんなのだろうか、いつからこんな事を考えだしただろうか。

 

 

――世界一かっこいい正義の味方……それに憧れていたのはいつ頃までだったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

『いいですかカンナさん、このまま彼の好きにさせていてはなりません。これはヴァルキューレの存在意義、誇りに関わる重要なことのです』

 

(……耳触りのいい御託ばかり並べて……素直にあの男が邪魔だといえばいいものを)

 

『貴女の任務は彼の監視、そして今よりも格段により良い関係を築き……彼の弱みを握るのです。そこに付け入れば、彼が来る前のキヴォトスに――貴女達の顔が立てられていた頃のキヴォトスに戻れるのです

 

(…………誰がそんな事を頼んだ、結局はそっちの立場としての問題じゃ無いか)

 

 

 

 

 

 

 

――少なくとも……今の、ただ命令に従っているだけの……

 

 

 

 

 

『よろしくお願い致しますね。公安局の狂犬さん』

 

「…………はい」

 

 

 

 

 

 

――今の私は、ただの忠犬だ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ヴァルキューレ警察学校

 

 

 その名の通り、キヴォトスにおける警察機関として治安維持と犯罪捜査を主な役目とし、そして警察官の育成を行う訓練校を兼ねる学園。その為、学生手帳のデザインも警察手帳として機能するものとなっている。

 

 

 キヴォトス内の様々な治安問題の対処に関わっている為、特定の自治区を持たない代わりに、各地に拠点が置かれている。

 

 

 在籍している生徒らはキヴォトスにおける警官としての役割を担っているのだが――ここ最近は、正直なところ目ぼしい活躍はない。

 

 

 

 

 

(……人間兵器…か)

 

 

 

 

 

 お察しの通り、マッシュの活躍のお陰でもあり、彼のせいでもある。学園間にまたがる大きな問題が起これば、ヴァルキューレが動く前にマッシュが動き出すか、そうでなくとも外部からシャーレへの救援要請が発されるためヴァルキューレが動く場はない。

 

 

 

 

 

(……彼がきて数ヶ月、キヴォトス全体における犯罪率が格段に下がってきている。数多くいるヘルメット団の解散に、悪徳企業達の撤退、そして不良生徒達の大規模な更生………これは全て、我々がやるべき事だったはずだ)

 

 

 

 

 しかしヴァルキューレはできなかったが、設立から今まで、上記のことを完璧に行ったことなどなかった……しかしマッシュはやってのけた、やってのけてしまった。

 

 

 

 

(だから権力を持つ者から嫌われ、連中は何とかして彼を出し抜こうと躍起になっている……馬鹿馬鹿しい。相手はまだ、16歳の子供だぞ)

 

 

 

 ヴァルキューレ警察学園の公安局長・尾刃カンナは、D.U.のメインストリートを歩いてシャーレへと向かっていた。長い金髪に犬耳、牙のように尖った犬歯と言った容姿から、彼女はその働きぶりに伴って「狂犬」という渾名を付けられるに至っている。

 

 

 

 

(……――行くか)

 

 

 

 

 彼女の任務は、“命令”通りマッシュとの交流を深め、何か弱みを手に入れること――上からの指示は絶対、逆らうことは許されない。その心情を胸に、彼女はシャーレのロビーを通り、彼のオフィスへと足を踏み入れることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっ……貴方様、今宵は誰の邪魔も入りません。……さあ、このワカモの温もりで、あなた様の肉体を温めて『ウワァァァァァッッ!!?』っ!!?」

 

 

 

 

 

 そこでカンナが目にしたのは、ソファで眠っているマッシュ───の体の上へ、ネグリジェを着て覆い被さろうとしているワカモの姿だった。何か著しい危険を察知した彼女は、ワカモに向かって思いっきり蹴りを放ったが、ワカモは猫のように跳ね上がってそれを回避する。

 

 

 

 

 

「貴女は確か……公安局の……いきなり何をするのですか?不躾な」

 

「それはこっちのセリフだが!?今先生に何をしようとしたッ!!今すぐ答えろォッ!!」

 

「……ただのお昼寝ですが?」

 

「ならば他のソファか仮眠室でも使えばいいだろう!?何故彼の上で寝る必要がある!!それにっ…なんなんだその際どい服は!?」

 

「寝間着など、別にどうでもいいではありませんか。……そもそも、貴女がここに来るような予定や任務はなかったはずです、不法侵入で排除致しましょうか?」

 

「その前にそっちを強制わいせつ罪でしょっぴいてやる!!」

 

 

 

 

 

 マッシュが眠るソファを挟んでバッチバチに睨み合う二人。そんな二人を他所に、アイマスクを着けて爆睡を決め込むマッシュ……この騒ぎで飛び起きないほど深い眠りに就いているというのは、少々警戒心が足りないようにも思える。

 

 

 

 

「災厄の狐と呼ばれた貴様が、先生に好意を抱いているというのは知っていたが……ここまでとはな」

 

「ヴァルキューレの犬っころは人の恋路を妨げる趣味でもあるのでしょうか、歩いて棒に当たるのは(あなた)だけでいいのです」

 

「付き合ってもいない相手に身体的接触を迫るような真似は不健全であると言っているんだ」

 

「私は先生の愛妻なのです、つまりただ夫婦がイチャイチャとしているだけです」

 

先生への名誉毀損と婚姻の詐称も罪状に追加する」

 

「先生からお許しをいただいておりますので」

 

「そんな訳あるか!絵面が完全に夜這いだろう、しかも未成年の少年が相手だぞ」

 

「お黙りなさりやがれませ」

 

 

 

 

 

 

 狐vs犬、そして普通に寝ているマッシュ。

 方や夫婦*1の時間を邪魔され怒っている者、方や犯罪が起きかけたので全力で止めた者。

 

 

 

 

 

「……あの頃よりも、随分と衰えた様に見えますが」

 

「…貴様には関係のないことだ……それに、貴様は随分と骨抜きにされた様だな。誰の下にもつかない、首輪も握らせない、天上天下唯我独尊……そんな貴様が今や、先生にのみ従うペットとは」

 

「随分と皮肉がお上手なのですね……ヴァルキューレの忠犬となった貴女自身を持ち上げるために、必死になっているようですが」

 

「――取り消せ、今の言葉を。私は」

 

「犬ではないと?――自分の正義も信じず、上の命令……それも無茶振りや正義のかけらもない物ばかり実行している……貴女が?」

 

「……何が……言いたい」

 

 

 

 

 ギザ歯を見せ、怒りの顔を必死に抑え拳を握りしめるカンナ。

 ワカモはそんな彼女のことを見て『……本当に変わった』と、皮肉交じりに呟いた。

 

 

 

 

 

 

「貴女だけではなく……ヴァルキューレの組織全体が胡座を欠いている……ああ、違いますね。―─先生のお力に頼り切って何もしていない、と言った方が正しかったですね♡

 

 

 

 

 

 カンナを煽ってみせた、ワカモは今のヴァルキューレ……かつての強敵に対して呆れを見せていた。自分のことを止めようと、更生させようと躍起になり、正義という名の力を振り翳していたあの鬱陶しい者たちは何処へやら……そう思っていた。

 対して、かつて激突した凶悪な脱獄囚からの痛烈な煽りを受けたカンナは――怒っていた。

 

 

 

「―――――何も」

 

 

 

 拳を握り、歯を見せ、狂犬と呼ばれるに相応しいその表情のままワカモに近づいてゆくカンナ。溜まっていた鬱憤が溢れ出てしまったのだろうか、彼女はワカモへと攻撃の体制を整える。

 

 

 

 

 

「何も知らないくせに……偉そうに――奴らと…同じ様なことを…‼︎」

 

「――久しぶりですね、この感覚……いいですよ、狂犬。久しぶりにやり合いましょうか、心ゆくまでに……互いが互いを――壊すつもりで♡」

 

 

 

 

 

 ワカモの表情にも、災厄の狐としての顔が張り付く。狂犬vs災厄……久方ぶり大乱闘が……今!

 

 

 

 

 

 

「コラ」

 

「あうっ…!」

 

「!」

 

「言い方に難ありだよ、ワカモちゃん」

 

「し、しかし貴方様…!」

 

「しかしも何もありません。失礼だよ」

 

 

 

 

 

───盛大に、始まらなかった。

 その勃発を前にして、マッシュが軽くワカモの額にチョップを落としたのである。これだけで七囚人の一角を止められる時点で、カンナは彼が異常なことを確信する。

 

 

 

 

 

「すみません、ワカモちゃん最近ピリピリしちゃってて」

 

「いえ……それよりも、いつからお目覚めに?」

 

「二人の……敵意、というか……ほぼ殺意…?それに似てる何かを感じ取って、ぱっと目が覚めました」

 

「……そうですか」

 

 

 

 

 

 

 カンナはマッシュの姿を見て少し冷静さを取り戻し、コホン……と小さな席をした後、名刺、というよりも警察手帳の様な物をマッシュに見せる。

 

 

 

 

 

「ヴァルキューレ警察学園、公安局局長の尾刃カンナです……お初にお目にかかりますね、先生。どうぞよろしくお願いします」

 

「マッシュ・バーンデッドです。現在新技を開発中です、楽しみにしててください」

 

「最後のはよくわかりませんが、今回訪れたのは」

 

「……僕何かやらかしちゃいましたか?」

 

「あーいえ、そういうわけでは」

 

「違うんです、僕はただ筋トレがしたかっただけなんです。遊具を壊すつもりはなかったんです」

 

「人の話は聞きましょう、違うと言ってるんです」

 

「それと、悪いやつをフルボッコにしてほぼスクラップに近い状態にしたのは、相手があまりにもやばいヤツだったからで」

 

「話を聞いてくださいっ!!!」

 

 

 

 

 

『はーい』とマイペースに答えるマッシュ、隣でニコニコとしているワカモに対して腹が立つが……今は我慢。

 

 

 

 

「…今回ここへお伺いしたのは、とある事件の調査、それの協力の要請を申し出るためです」

 

「オッケーです」

 

「早いです先生、もっとこう内容とか聞きましょうよ」

 

「僕に協力して貰うってことは、大抵やばいタイプの事件ってのは分かってるので」

 

「流石は貴方様♪……先生のご協力に感謝しなさい、狂犬」

 

「うるさいですよ恋愛クソ雑魚狐

 

「表に出なさい年齢詐称駄犬

 

「二人とも狭い、僕を挟まないで」

 

 

 

 

 

 マッシュを間に挟み言い争いを開始しそうになる二人、まあ元囚人と現警察官、相性が悪いのは明白。

 

 

 

 

 

「水着の立ち絵を貰ったからって調子に乗ってるんじゃありませんか?私の方が先に貰ったというのに」

 

「性能的に見れば私の方が優秀ですし、何よりも私はメインで活躍をしたのです……貴女とは違います」

 

「私は初期の頃からずっっと現役ですが?」

 

「その割にはストーリーでは影が薄いですよね……まあ私は? 公式から3Dモデルを貰ったのですが」

 

「あら〜ファンの間から『学生には見えない』『老けてない?』と言われているのには触れないのですかー?」

 

「表に出ろ」

 

「上等です」

 

「狭いしメタいよ、あっコラ引っ張り合わないの」

 

 

 

 

 

 

 まるでペットの喧嘩を止める飼い主の様に、マッシュは二人の襟首を掴み持ち上げ話を聞く。

 

 

 

 

 

「それでその事件とは?」

 

「簡単に言えば……密輸犯、その捕獲です」

 

「密輸犯……それはまた物騒な、ちなみに何を密輸してるんですか?」

 

「……簡単に、単純にまとめるのならば――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュークリームの材料です」

 

「最近シュークリームの数が減ってるし値段も上がってるな〜なんて思ったんだ、見つけ次第埋めてやる」

 

 

 

 

 

 

 こうしてカンナは、マッシュに犯人逮捕への協力を求め……それによって弱みを──あるいは何か、少しでもそれに近い、シャーレという組織を服従させるに足る要素を見つけ出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

(……闇深案件な気がするな、この人)

 

 

 

 

*1
事実無根





正直カンナさんのことを初めて見た時は、本当に学生とは思っていませんでした……まあリオさんほどではないんですが。

命令を出した人が誰かって?……さぁー誰でしょうか


ファンアートに関してはいつでもどこでも、どんな些細な物でも大歓迎です。……ちょっとだけ調子になっちゃいました。ごめんなさい

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