透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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長くなりましたが……いよいよラビットが次回開始します、本当にお待たせいたしました。


マッシュ・バーンデッドと殻破り狂犬

 

 

 

 

 

「――――犬小屋に入って一生を終えてしまいたい」

 

「誰だってテンションに身を任せる時はありますよ」

 

 

 

 

 トラックから降り、物陰に隠れたカンナは、羞恥のあまり顔を赤く染めていた。殻を破って自分自身を取り戻した彼女だったが、一時のとんでもないテンションに身を任せてしまったのは事実であり、冷静になるとともにそれを恥じるだけの情緒を取り戻したらしい。

 

 

 

 

「先生、さっきのは忘れてください」

 

「鳥頭なので、多分大丈夫です」

 

「別の意味で心配になってきました」

 

「それで、目の前にあるアレが隠れ家みたいですが」

 

「切り替えの速さははやぶさですね」

 

 

 

 

 

 

 物陰に隠れながら、敵の隠れ家である工場を覗き込むマッシュ達。二人がやってきたのは一つの工場地帯、そこで行われていたのはシュークリームの具材なんて甘い物ではなく――鉄臭い集積物資だった。

 

 

 

 

 

「……キヴォトスでは取引が禁じられている武器に、弾薬、開発禁止の兵器に……違法薬物の数々」

 

「グレーどころか真っ黒でしたね、シュークリームの具材はカモフラージュ……ってところでしょうか」

 

「……そうか、今やシュークリームは先生の影響で、存在感が膨れ上がっている。故に食材を非合法のルートで密輸して、誰かが先生を誘き寄せている……なんて大々的な物でカモフラージュして───」

 

「要するにシュークリームは利用されたと、怒りメーター1000超えです」

 

「いくらが最大値なのかは分かりませんが……これは、由々しき事態です」

 

 

 

 

 

 二人は音を立てないよう、滑るような速さで工場へと近づく。内部を覗き込んだ二人が見たのは、おそらくは指揮官であろう存在と――その手から放たれた一発の弾丸。

 

 

 

 

(っ!?)

 

 

 

 驚愕の顔したまま止まっていたカンナの眉間に向かって放たれた弾丸を、咄嗟に腕を出して裏拳で弾くマッシュ。

 

 

 

 

「やはりそう来たな、マッシュ・バーンデッド」

 

(カンナさんの気配を察知し撃った、しかもここまで正確に)

 

「君は何かを守るために、後先考えずに動いてしまう癖がある……その狂犬はキヴォトス人、故に助けずとも無事だったはず、それを忘れるとは……呆れるほどのお人好しだ」

 

 

 

 

 カンナに向けて弾丸を放ったのは、軍服を着たロボットの姿をしている一際周りとは違う者。カイザーPMCの幹部にして、実働部隊の司令官・ジェネラル。

 

 

 

 

「初めましてだな。私はジェネラル、カイザーPMCの元理事が世話になった様で……いつか礼をしたいと思っていたんだ」

 

「カンナさん、怪我は」

 

「問題ありません……しかし、バレてしまいましたね」

 

「……いや、多分ですけど。僕達が尾行をしていた、ここに来るって事は……最初からわかってたんだと思います」

 

「その通り、聞いていた話よりも随分と頭が良さそうだな」

 

「褒めてもシュークリームしか出ないよ』

 

「シュークリームは出してくるのか」   

 

 

 

 

 

 カンナはそんなバカな、と表情を固まらせたまま愛用武器・第17号ヴァルキューレ制式拳銃を強く握る。ジェネラルは少し笑ったかの様な態度を見せ、口を開いていく。

 

 

 

 

「君達が来るのを待っていたよ……ああ、本当にね。秘密裏に動かしていたこの作業も、わざわざこうして君たちの目につくように仕立て直したのだ。苦労の甲斐があった」

 

「目的はなんだ」

 

「そこにいる男の命、とでもいえば満足かな?」

 

「やはり……狙いは先生か、しかしここからどうする気だ。この先生を、お前達程度で止められると思うか」

 

「思わないさ、絶対に………真正面からはな」

 

 

 

 

 

 次の瞬間、工場内の地面が割れたと思った瞬間、そこから一本の巨大なドリルが現れる。マッシュはカンナを放り投げて回避しつつ工場内から飛び出し、周囲に出現した影を見渡す。

 

 先ほどのドリル戦車に加え、様々な種類の武器を装備している30を超えるゴリアテ。大剣、槍、ハンマー、モーニングスターなど、おおよそゴリアテの武器とは思えない接近戦に特化した装備が、殺意を前面に押し出している。

 

 

 

 

 

「……成程、めんどくさいなコレ」

 

「対マッシュ・バーンデッド専用兵器、通称DKM達だ」

 

「DKM…?」

 

「――Definitely kill Mash(マッシュ絶対◯す)の略だよ……やれ‼︎」

 

「そこまで嫌われてるとなんか悲しいんだけど……」

 

 

 

 

 

 大剣を持つゴリアテが最初に動き出し、マッシュに向けて刃を振るう。彼はいつも通りそれを拳で壊そうと振るうが――その瞬間に感じたのは違和感。

 

 

 

 

「……なんだコレ」

 

「貴様の相手をするために我が社が用意した超硬合金だ。我が系列企業・カイザーインダストリーが長らく研究してきた金属加工技術の集大成を元手に、お前の肉体を破壊できる強度・お前の攻撃を防ぎ止める靭性・そして究極の耐熱耐弾性能を与えるべく研究を重ねた、超高強度耐熱耐弾高純度単結晶合金────戦車のRHA(均質圧延装甲)や一般的なベトン程度では、その攻撃を防ぐことは出来ない!壊せるなら試してみたらどうだ?その暇もなく攻撃が振り下ろされるその状態で、反撃の余裕があるというのならば、だが」

 

「殺意が高すぎる」

 

「加えて、合金結晶の組成を制御することでちょっとした細工も可能となったものでなぁ……まぁそれはそれとして、ゴリアテの出力で上空に弾き上げられてしまえば、そう易々と動けまい…ましてや反撃の隙もない攻撃の連鎖の前ではな!」

 

 

 

 

 

 ツーインパクトのパンチで大剣を弾いた後、大剣持ちのゴリアテに向かって飛びかかるマッシュ。しかし、今度ハルベルトのような大槍を手にしたゴリアテ2体が、槍を振り回してマッシュを妨げる…が、

 

 

 

 

「あぶね…と」

 

 

 

 それをさらに空中回転で回避し、槍の鋒を踏み台にして大ジャンプ。そこから思い切り力を込めたかかと落としで地面ごと破壊しようとした……そこへまたしても邪魔が入る。

 

 

 

 

 

「――ゴリアテって空飛べるんだ……あっやべ感心してる場合じゃない」

 

「くたばれ、マッシュ・バーンデッド!!」

 

「そして中に人は入っていると……本当に厄介」

 

 

 

 

 

 なんと空中に向かって、ゴリアテが飛んできた。背部のジェットパックに似たスラスターを吹かしたゴリアテが、ホバリングしながら両腕に格納されたガトリング砲を唸らせ、無数の徹甲弾を放つ。無論、この弾薬も単なる量産品ではなかった。

 その弾速と弾道特性に直感的な違和感を感じ取ったマッシュは、あえて一発だけを裏拳で粉砕し、割れた弾芯を素早く掴み取って着地する。ゴリアテから距離を取り、ガトリング砲のクールダウンによる隙をついて遮蔽物に隠れたマッシュは、掴んだ破片を確認して直感の正しさを再確認した。

 

 

 

 

 

「うわ、弾までさっきの合金だ。どんだけ僕のこと嫌いなんだ………そんでもって、他のゴリアテも飛んでくると―――上等」

 

 

 

 

 マッシュはそのまま、空に飛んできたゴリアテ達と戦闘を開始した、プログラムされたゴリアテならなんの問題もなく対処できるが、相手は専念されたカイザーの兵士達が乗っている機械……一筋縄ではいかない、これまでのように簡単に倒れてくれるわけでもない相手である。

 

 

 

 

「――まあ負ける気無いけどね、カモン」

 

『上等だクソガキがぁぁぁぁぁっっ!!』

 

 

 

 されどマッシュは、殺意に乱れているカイザー兵士を前に余裕の表情を浮かべたまま、相手を煽ってみせていた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「先生……っ!」

 

 

 

 

 空中で行われている激しい戦闘、そこに自分が入る術はなく、少しでも彼の助けになればとカンナは上層部と連絡を取った。

 

 

 

 

 

「こちら尾刃…!現在、マッシュ・バーンデッド先生が武装組織の機動兵器多数と交戦中、敵は先生を排除するための兵器を多数装備している!至急応援を!!」

 

『却下です』

 

「いくら先生といえどあの数相手は危険です!ヴァルキューレが動かせないのなら、シャーレに──」

 

『応援を呼ぶことは許しません、それにカンナ局長……貴女の任務はなんでしたか?』

 

「今はそんなことを言っている場合では『貴女の上官が聞いているのですよ?』──っ…!!」

 

 

 

 

 

 

『貴女の任務はなんだった、と』

 

 

 

 

 

 

 耳が凍り、背筋が石化する様な声……この声だ、自分よりも弱く、小さいはずの相手から発せられる子の声……今まで彼女は、その声に怯えていた。

 

 

 

 

 

「……シャーレの先生の、弱みを握ること」

 

『そうです。それだけ激しい戦闘なのです、彼の弱点や、不利な交戦相手など把握できるはずでしょう?』

 

「弱みを握る前に……握る前に先生が、負ける可能性だってあるではありませんか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁ、全く話が通じませんね……だからなんだというのですか』

 

「…………………は?」

 

『邪魔者が一人消えるのです、別に大した問題ではありませんよ。忘れてはいませんか?――シャーレの先生はあなた方ヴァルキューレの地位を、名誉を、尊厳を奪った張本人……いわば敵なのですよ?』

 

「……………」

 

『それが消えて……なんの問題があるのでしょうか。我々上層部が、そして私が、それを望んでいるのです』

 

 

 

 

 

 

 

 ヴァルキューレ上層部、さらにその上に立つ存在が……マッシュが消えることを願っている。彼女らに取って彼は邪魔でしかなく、鬱陶しくて仕方のない者、早めに消えてくれることを……何よりも望んでいた。

 

 

 

 

 

『それに大丈夫でしょう、彼は……なんでしたっけ?…あっそうそう、キヴォトスの英雄なのでしょう?ちょっとやそっとじゃ死にはしませんよ。まぁ、全身不随で一生寝たきりになってもらうくらいかもしれませんが』

 

「………そんな、事は」 

 

「おや、どうしたのかね?……もしや、応援が呼ばないと来たか?」

 

 

 

 

 

 煽る様な声で擦り寄ってくるジェネラル、すぐさまカンナは彼を撃とうとするが――それを止める声。

 

 

 

 

『カンナ局長、その場にいるカイザーは無視して構いません。先生に集中してください』

 

「っ!? ふざけるのも大概にしてください‼︎ 犯罪者を見逃すなどと──『局長』」

 

『コレは命令です………黙って頷いていなさい』

 

「上司からの指示だぞ?………従わなくてどうするんだ?」

 

 

 

 

 

 電話越しに聞こえてくる笑い声、煽る様なジェネラルの声……まるで手を組んでいる様な、まるで協力して自分を追い詰めている様な気がした………その瞬間、カンナの心の中にある線が……

 

 

 

プツン……

 

 

 

と切れた音がした。

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ……ははっ、さて狂犬。君は黙ってここで見て『――れ』……ん?なんだ?良く聞こえな――」

 

 

 

 

 ジェネラルが顔を向けた瞬間、まるで獣の爪の様な手がアイアンクローとなり、彼の顔を力強く握り潰した。その速度と威力は凄まじく、ジェネラルの顔面に無数の亀裂と激痛が走る。

 

 

 

 

 

「ンガハッッ!!?」

 

「黙れと言っているんだ――この、犯罪者がぁっ!!!!

 

「んんんごぁぁっっ!!??!???」

 

 

 

 

 ジェネナルの顔を地面に思いっきり叩きつけ、蒸気を噴くような声とともに息を吐くカンナ。電話口からは、カンナに向けて癇癪を起こしたように怒鳴り始める雑音が漏れ始めた。

 

 

 

 

『―なっ、何をしているんですかあなたは!!? それには手を出すなと、先程命令を』

 

「ああ申し訳ありません、半分以上聞いてきませんでした」

 

『なっ……!?』

 

「私は貴女と違ってとっっっても忙しいのです、暇人と話している時間は無いんですよ」

 

『ひ……暇人、また暇人と!! 私は貴女の』

 

 

 

 

 

「だからなんだ!!!??」

 

『ヒイッ!?』︎

 

 

 

 ジェネラルの頭をコンクリートに打ち付け、電話を耳に銃のリロードを行うカンナ。一時のテンションに身を任せるのは良く無い……それはわかっているが……もう限界だった。

 

 

 

 

「犯罪者を見逃し、一つの命が危険に晒されているというのに…邪魔者を排除することだけに専念している上官なんぞ……私にはいらん!!」

 

『そんな態度をとっていいと思っているのですか…⁉︎私の力があれば、貴女をクビに』

 

「やるのなら好きにするといい……私や先生の代わりが、今のキヴォトスにいればの話だがな」

 

『っ‼︎』

 

「私に頼り切っていたツケ、払うのなら今だ………それともし今回が最後ならば、一言言わせてもらう」

 

 

 

 

カンナは大きく息を吸い、できるだけ大きな声で怒鳴った。

 

 

 

 

 

 

「たまには自分の手を動かせェッ!!!!」

 

 

 

 

 それだけ良い、カンナは端末を地面へと叩きつけた。……しばらく荒い息を吐いた後、マッシュの方を向く。

 

 

 

 

「………ハハっ、やってしまったな」

 

「やってしまいましたね」

 

「うわぁ!?」

 

「命令違反にあの態度……うふふっ、解雇されても知りませんよ?」

 

「……そうだな――しかし、もうそれでも良い」

 

「おや」

 

 

 

 

 いつの間にか現れていたワカモに対し、カンナは特に恨み言や憎しみなんて向けず、むしろ清々しい気分で告げる。

 

 

 

「ヴァルキューレじゃなくとも正義の味方にはなれる……なってやるさ。先生の様なな」

 

「うふふっ……迷いは晴れましたか?」

 

「ああ、狂犬らしく吠え、噛み付いたらスッキリしたさ」

 

「それはそれは……いいですよ、その目。ヴァルキューレの狂犬、悪を許さず善を守るためなら誰にだって噛み付く……それが貴女、尾刃カンナなのですから」

 

「小っ恥ずかしいな」

 

 

 

 

 光を取り戻し、自分のあり方を思い出した彼女は――今こそ、本物の正義のヒーローになるべく動き出す。

 

 

 

 

「……所で、お前は何をしていたんだ?」

 

「もうすぐ分かりますよ」

 

「…?」

 

 

 

 そうワカモが呟き、何かのボタンを押し込んだ瞬間。

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっっ!!?」

 

「うふふふふふっ…!! とっても……良い気分です」

 

 

 

 

工場が爆発を起こし、積み上げられていた武器や弾薬が丸ごと消し飛ぶのであった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『こ、工場が…密輸品が‼︎』

 

「うわすごい爆発……さてはワカモちゃんだな」

 

 

 

 

 密輸品の全爆破、工場が消し飛び黒い煙が立ち上る。それを見たゴリアテ達は動きを停止させ慌てる――そこがチャンス。

 

 

 

 

「これモーライ」

 

『あっ、しまっ…‼︎』

 

「マッスル――カリバ〜」

 

 

 

 

 

 マッシュは大剣ゴリアテの剣を奪い去り、空中でそれを横長に振るう。数体のゴリアテを切り裂き爆破せた後、彼はその剣を大いに振るい暴れる。

 

 

 

 

「固いものには固いものをぶつける、するとあら不思議。簡単に壊れる……イッツマッスルターイム」

 

『関係ねえだろそれ‼︎』

 

『お、落ち着け‼︎、いいか?こっちにはまだ数があるんだ、そう簡単に――』ガァァァァン!!

 

『そ、狙撃だと!?』

 

『下だ!…あいつらだ‼︎』

 

 

 

 

 上に飛んでいる鳥を仕留めるが如く、ワカモとカンナはスナイパーを使い狙撃。ゴリアテは確かに硬い……だがそれは武器だけ、本体は少し硬い鉄程度しかない。

 

 

 

 

「だったら、我々が撃ち抜く事になんの問題はありません♡」

 

「いくら数を積み先生を追い込んだ所で、視覚外からの攻撃には疎い……フッ、対戦相手を一人としか仮定しなかったお前達の負けだ」

 

「ちなみにそのスナイパー、工場内にあった違法兵器です♡」

 

「先にいえ‼︎……いや、もう使うしかないか‼︎」

 

 

 

 

 

 ジェット部分にうまいこと当てられ、どんどん地面へと落ちてゆくゴリアテ集団。さらに追加で反撃の隙を与え得てしまったマッシュからの反撃。

 

 

 

 

 

『――クソ、クソっ‼︎勝てるって言ってたじゃねえか、こいつに……こいつに‼︎ あの野郎、嘘をつきやがったなぁ‼︎』

 

「君達に一言アドバイス」

 

 

 

 

 マッシュは残る一体のゴリアテにの上に乗り、拳を振り上げ、力一杯繰り出し破壊

 

 

 

 

 

「僕を倒したいのなら、軍隊でも連れて来てよ」

 

 

 

 

そのまま地面に着地し、爆発を背に歩くのであった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……申し訳ありません先生、ジェネラルを逃してしまいました」

 

「大丈夫ですよ、密輸は止められたわけですし」

 

「シュークリームの具材の件もご安心を、密輸している工場に向けて、ヴァルキューレや関係者を向かわせましたので」

 

「……まさかサオリさん達が?」

 

「いえ、シュークリームカップル団の皆様方が」

 

「納得しちゃった」

 

 

 

 

 ジェネラルの逃走を許してしまったが……兎にも角にもこれで事件は解決。大量にあった違法品もワカモが全て爆破してしまったので、カイザーからしてみても痛手だろう。

 

残る問題は……カンナ。

 

 

 

 

「……さて、これからのことを考えなければ」

 

「貴女の処遇の件ですが……おそらくは、何も無いとは思いますよ?」

 

「……はい?」

 

「なんと、先程、たまたま……七神行政官が、シャーレの下にヴァルキューレをつけることを検討しているという情報が入ってきたのです」

 

「―――はい⁉︎」

 

「えっ、まじで?」

 

 

 

 

 たまたま、リンがヴァルキューレに関与し出した。つまりはヴァルキューレの内部事情に片足をつけ出したということ……上層部はその対応に追われ、カンナ一人の処遇に時間を割いている時間も無くなってしまった――いな、そもそもできない。

 

 

 

 

「人手不足にもつながるでしょうからねぇ……まあせいぜい、これからも足掻いてくださいね♡……カンナさん?」

 

「……感謝する……ワカモ、先生も、今回の件、本当にありがとうございました」

 

「――はてさてなんのことやら」

 

「………ん?」

 

「僕はシュークリームの具材を救いにきただけです、違法兵器の件は全部カンナさん一人で解決したんですよね?」

 

「は、はい⁉︎」

 

「さあ、帰ってシュークリームの準備をしないと」

 

 

 

 

 

マッシュはそう言ってワナモと共に去ろうとする、そしてカンナはこの時察した――全ての手柄をヴァルキューレに持たせ、ヴァルキューレの信頼向上にも繋がらせてくれたのだと。

  

 

 

 

「――っ先生‼︎私は、私は忘れません‼︎ これは貴方の活躍、貴方の手柄ということを……忘れません‼︎貴方の言葉を‼︎――貴方の生き方に、本官は敬意を称します‼︎」

 

「――僕も、カンナさんの正義に、敬意を称します」

 

 

 

 

去り行くマッシュに向けて敬礼を行い、マッシュは無言で拳を上げ続ける。長きにわたる首輪……命令に従うだけの犬からの卒業。

 

 

 

 

 

「マッシュ、ありがとう」

 

 

 

カンナは局長としてではなく、一生徒として、彼の友人として……心から、感謝を行ったのであった。    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――せっかく……わざわざ、違法兵器の取引まで許したというのに……あの女に目をつけられるは、弱みも握れず、取引相手には怒鳴られるわ…………っあああーーもう‼︎――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポッと出の紛い物のくせに、異端者のくせに、私の努力も知らないくせに………あの人にも……あの女にも、認められている、貴方が!!大っ嫌いですよ……マッシュ・バーンデッド‼︎」






まじでお待たせ致しました、次回、ラビット編が開始します。

ラビットのみんながマッシュくんのことをどう思っていくのか、カンナさんがかっこよくなるのか、それとも悪党が酷い目に遭うのか……乞うご期待‼︎

そしてさらにその次は……パヴァーヌ二章です、お楽しみに‼︎

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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