この作品においての強さランクみたいなのが、そろそろ難しくなってきた作者です。ラビット小隊のみんなを振り返っていくうちに『……この子達やばくね?』って思ったのです……まあ、マッシュくんは負けませんがね‼︎
それでは本編へ、どうぞ
ps寒すぎて執筆する手が震えてます
「ヴァルキューレの部隊が歯が立たず、全滅……ですか」
「は、はい……どうやら、SRT特殊学園の生徒が学園の閉鎖を撤回させるべく、武力を用いたデモを行っていると……」
「……まあ、予測はできた事ですね」
「SRT特殊学園?」
「あぁ、そうでした……先生はあの会議の時、例の機神と戦っていたんでしたね。お話しします……SRT特殊学園、そこは既に、閉校が決まってしまった学園です」
「………まじか」
ヴァルキューレからの救援要請というだけあってマッシュは乗り気だったが、SRTの廃校が決まったという話は予想外だった。
「なんで廃校なんかに?」
「SRT特殊学園、『
「ヴァルキューレとは違うんですか?
「一般的な治安維持業務にあたるヴァルキューレ警察学校が連邦生徒会、言ってしまえば行政委員会の防衛室の管轄であることから、キヴォトスの各学園が持つ自治権を理由に活動を制限される場面が多い点を鑑み、ヴァルキューレでは対応できない案件を担うための特殊部隊の運用と養成を主目的とした学園で………あっ」
「――――――――」
「き、気絶してる!!?」
「久々に見ましたね」
「―――はっ、いけない……要するに、頭のいい子達が集まるすごい学園だったって事ですね」
「まぁ…そう言う事です。あの三大校ですら、正面から荒事を構えることを控えるレベルと言える程には強力でした」
キヴォトス全土から選りすぐりのエリートが結集され、後進として更にエリートを育て上げる、治安維持活動と特別作戦における文字通りの最高学府。
「SRTは、キヴォトスの
「その連邦生徒会長は、現在行方不明……SRTの活動に対して責任を負う存在が不在となってしまったことから、宙吊りとなったSRTの武力に危機感をもった連邦生徒会内での協議の末に、閉鎖が決定されてしまったんです」
アユムの説明を聞かされたマッシュは、複雑そうな顔でSRTの顛末を聞き届けた。
話を少し変えて例えるならば、ゲヘナ最強と言われる空崎ヒナ、トリニティの戦略兵器・剣先ツルギ、マッシュと殴り合える神秘の持ち主である聖園ミカ、マッシュが強いと確信している小鳥遊ホシノと美甘ネル……これらの生徒が集まり一つの組織が出来上がったとしよう。
―――そんなとんでもない武力を持つ集団が、誰の下につくまでも無く、自由に存在しているのだ……警戒しない訳がない。
「あれ、でも今のトップはリンさんなんですよね?ならリンさんがその権利を貰っちゃえばいいんじゃ」
「私はあくまでも代行です、生徒会長
「ふむぅ……あっ、ならシャーレで「無理です」即答?」
「確かに先生に任せれば安心はできるでしょう……が、問題はSRTから見てのシャーレ、そして先生に抱く印象にあります」
「と言うと…?」
マッシュが真っ先に思いつくのは、エデン条約事件前後でシャーレに所属した生徒達───七囚人の一角だった狐坂ワカモ、そしてエデン条約事件を引き起こしたアリウス分校の生徒達だった。
「……やっぱりあれですか?ワカモちゃんとか、アリウスの皆とか……悪いことをした生徒をシャーレで引き取ってるのが、良くなかったり?」
「そう思う生徒もいたらしいのですが……根本は違います」
「違う……うーん、他に心当たりがないんですけど」
「まあ……はっきり言いますと」
リンは溜息を漏らしながらも、あえて直接的に告げることを選んだ。
「“シャーレに関わると人格が歪んで洗脳される”という噂が、SRTを中心に出回ってしまっていまして」
「本ッッッ当に心当たり無いんですけど」
「あ、あの……おそらくなんですが───空崎ヒナさんや、桐藤ナギサさんに、それにリン行政官の性格が少し変わった、というトコロが原因なのでは無いかと…」
「私は変わっていませんが?」
「皆のお母さんっぽくなってることに気付いてください…!!最近は役員の皆が、これまで知らなかった行政官の母性と包容力に戸惑ってるんです…!!」
そう、連邦捜査部シャーレに関わると人が変わる。
「先生、最近の空崎ヒナさんがゲヘナでどのような存在として見られているか…知っていますか?」
「風紀委員長、ゲヘナ最強……とかでは?すっごく強いし」
「ゲヘナ最強のアイドル、愛称はゲヘナシロモップです」
「何それ僕知らない」
「周囲からの評価が激変したのは、エデン条約調印式前後……恐らく、以前お話いただいた夏休みの頃からでしょう。強さや勤勉さだけでなく、部下への気配りや学園への思いが風紀委員を通して学園内外に知られ、皆からの信頼や人気を獲得してからは、その人格に目を向ける生徒も増えたようでして。皆のために働く健気さ、時々見せる可愛気によるギャップ萌え、そして先生に比肩する戦闘能力、共にパラダイス機構を支えた実績……まさに、ゲヘナにおける完璧で究極のアイドル……らしいです」
「アイドル……アイドルでいいんですかね」
「対するマコト議長はこれまでゲヘナアホマコトと呼ばれていたのですが、今ではゲヘナの恐るべき魔王となってます」
「マコトさん、カリスマっぽいポテンシャルはありましたもんね……エデン条約のときにめちゃくちゃ株が上がった、って感じかなぁ」
恐れられていたヒナが周りから愛され始めた、周りから見向きもされず空気だったマコトが崇拝され始めた、しかもそのタイミングはマッシュとの接触や共闘を経てからの話である。
「そして、ゲヘナと双璧をなすトリニティ総合学園……その戦略兵器、もしくは顔面凶器の狂人と呼ばれていた剣先ツルギさんですが、最近の巷ではピュアピュアな乙女として評価が裏返ったようです」
「事実じゃないですか」
「そうなのですが、狂人と呼ばれていた生徒が、先生と関わった瞬間急に乙女らしくなった……それこそ、先生がツルギさんにナニカしたと思われても、仕方ないかと」
「ただ普通に接しただけなんだけどなぁ」
「接し方の問題ではありませんか?例えば、無意識に勘違いさせるようなことを言っていたり…だとか」
「リンさん拗ねてます?」
「別にそんなことはありません」(早口)
ツルギは変わったのでは無く、元々そういう生徒だったのが周りに広まっただけ。
「他にも色々と変わったと言われている生徒達はたくさんいますが、人格を曲げられ洗脳されるとまで言われ始めたのは……恐らく、ワカモさんを引き入れてからだと」
「あー…………それは……うん」
「ワカモさんの場合は……その、何かご活躍される都度『先生の愛妻として当然です♡』だったり、『あの子の姉として、あの人の妻として、当然です♡』と、周りに公言されていますから……それが原因かと」
「ここへ来た時も自慢げに言っていますからね」
「過去に何があったのかは教えてくれて無いんですけど。僕、と言うかシャーレに来てから色んな人と関わり出して、身内への愛が増した……と言うか、愛に飢える獣と化した…って本人が言ってましたね」
「そのせいで身内から引かれているのは、どうにかしたほうがいいと思いますが」
「ワカモちゃんもピュアないい子ですよ?」
「ピュアな生徒は先生の寝床に入ろうとしませんし、いい子ならイズナさんに対して護衛を名目にした監視を行うこともないでしょう」
元々周りからは距離を置かれ、愛を知らなかったとも言えるワカモだったが……
それも仕方のない事だろう。
「ヴァルキューレに何度も叱責され、厳罰を課され、忠告を受けても変わらなかった不良が急に普通になったり、突如として更生し出した……まあ、洗脳や催眠の類を疑うのも仕方ないとは思います」
「考えすぎだと思うんですけど」
「SRTの皆さんはエリートに育て上げられていた逸材、言わば堅物です。状況を分析して実直かつ冷静に判断できるからこそ、その枠組を超越した先生という存在が現れた結果、思い込みや疑心暗鬼が激しくなってしまっているのでしょう。集団パニックや恐慌状態に近いかもしれません」
「えぇー……要するに僕と関わったら洗脳される、そう思い込んじゃって、怖がって、敵視していると…」
「そうなります」
「僕泣きそうです」
マッシュは体育座りをしたまま、表情筋が動いていないにも関わらず目に見えるほどにテンションを下げて縮こまった。あわあわとしながら膝を折ったアユムが、彼を慰めようとその背をさする。
「公園でデモを起こしている生徒達の要求は、閉校を取りやめさせることなんですよね、ソレってどうにかできないんですか?」
「はっきりと言いますが、現段階では無理です……いえ、正確には無理になったと言うべきでしょうか」
「どう言う?」
「ヴァルキューレの戦力が歯が立たず、先生を頼る他ないほどの力を持っている生徒。そんな生徒達が多くいる学園を自由にさせていいものか、という安全保障上の問題があります」
「……無理ですね、シャーレを上につけようにも本人達がそれを拒否―――頭痛くなってきた」
デモを起こせば何とかなる……成功する場合はあるが*1今回は完全に失敗していた。力を示してしまった事により、閉校を撤回する機会が事実上立ち消えたのである。
「一応、SRTの皆さんには、閉校後ヴァルキューレに転校してもらう予定だったのですが……駄目でしたか」
「デモを起こしている生徒達は何人くらいですか?」
「四人です。その四人を相手に……ヴァルキューレは苦戦を強いられているようでして」
「四人でそこまで……そりゃあ警戒もしますよね……よし決めた」
マッシュは服装を整え、軽い準備運動を決めると。リンに告げた。
「僕がそのデモを一度取り止めさせます。そして何とかして、SRTとシャーレの関係を少しでも良くして、形だけでもいいから同盟を組ませます。お仕事、帰ってきてからまたやりますね」
「……先生ならばそうおっしゃると、思っていました。職務についてはご心配なく、私達が片付けておきますので」
「ありがとうございます、リンさん。それで……要は、デモを起こしている子達を説得して、『その子達が上に反乱を起こすつもりも、他の学園を襲撃するつもりもない』って証明すればいい、ってことですよね?」
「俯瞰的に見れば、そのような認識で間違いないでしょう。ですが、これはエデン条約に絡んだ問題とは方向性が違います。これは……いわば、キヴォトス全土の安全保障にも関係した難しい案件です。それでも、請け負いますか?」
「勿論ですよ。必死に争っている生徒の気持ち、それに寄り添うのが僕の仕事なので。ヴァルキューレに入りたくない理由も、きっとあるでしょうし」
久しぶりの大仕事、だが今回は、エデン条約調印式の二の舞を踏むつもりはない。
「シャーレの先生、いきまーす」
マッシュは生徒を助けるべく、またその肉体を使うのであった。
まだだ……まだギャグやハジケは置いておくんだ、じゃないとネタが持たない……!!
お知らせになるんですが、私のもう一つの作品、透き通る世界で拳を一つ・超外伝にてクリスマス回、並びに年賀状回出そうと考えておりますので、どうかお楽しみに。
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