透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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短めです、次回でがっつり長く書くので…。


弟『あ、兄者‼︎どうしたんだ!?』
妹『YouTubeショートの便利屋68達のクリスマスソングを聴いて、尊みを感じ倒れたんだ!』
私『………一人だけ、ASMRやん……ガクッ』



それでは本編へ、どうぞ


マッシュ・バーンデッドと仕事内容の決定

 

 

 

 

 

 

ジャァァァァァァァッッッ!!!!

 

 

 

 

「水圧強いな」

 

 

 

 

 マッシュ・バーンデッドはRABBIT小隊を撃破し、ヴァルキューレ警察学校本庁に立ち寄った。

 今のマッシュはヴァルキューレのシャワー室で、ドローンの爆発による煤や砂埃などで汚れてしまった体を洗い流していた。シャーレのシャワー室よりも水道の水圧が強いことに驚いていたが、わざわざ文句をつけるような理由もない。

 

 

 

 

 

(にしてもみんな強かったかったな〜、ミユちゃんの気配の消し方と射撃の腕は完全に僕以上だし。あれだけの数の弾薬やドローンを操作して、状況を把握して瞬時に行動に移せる判断力も凄かった。サキちゃんとミヤコちゃん……あの二人の身体能力はとても良い…………けどなあ)

 

 

 

 

 褒めるところが多い分、マッシュとしては改善の余地があると思える部分も少なくない。

 部隊を構成する個人の能力は見事であり、マッシュはSRTという学園の生徒達の能力が平均しても高い水準にあったことを改めて理解した……
しかし、隊員たち一人ひとりの我が強すぎて協調性がなく、加えてそれぞれの能力が特定方向に突出しているため纏まりにも欠ける。アリウススクワッドのように各員の能力を相互の援護に活かそうとせず、互いの足を引っ張り合っていたのが残念なところか。

 

 

 

 

(ヴァルキューレの時はちゃんと取れてたらしいんだけど、そこからの僕の登場で焦って……って感じかな……にしても喧嘩はしてたけど)キュッ!

 

「あなた様の力を前に、各々考えていること、やりたいことがバラバラになってしまった……それが原因でしょうね」

 

「なにナチュラルに中に入って来てるの?」

 

「ご心配なく、見えておりません」

 

「見えてたら大問題だからね?ここのシャワー室がカーテン付きで本当によかったよ……というか見てたの?」

 

「はい…例の狂犬はウサギたちを殺気立たせては、あなた様のお手を煩わせてしまうと思い、気取られぬよう遠目から眺めていたですが……それはしっかりと」

 

 

 

 

 

 青いカーテン越しに見えるワカモの影、蛍光灯を背にして立つシルエットは明らかな薄着である。

 シャワールームに鍵をかけている上、そもそもここはヴァルキューレ警察学校の校舎内にもかかわらず、どうやって入って来たのかは全く不明……いずれにせよ、あらゆる意味で危険な状態にあることは間違いない。*1

 

 

 

 

「鍵どうしたの」

 

「軽く捻ったら壊れてしまいました」

 

「これ僕の責任かな」

 

「それで、先ほどの話の続きですが」

 

「この状態で続けるつもり?」

 

「あなた様という敵を前にして、あの子ウサギ達はこう思っていたはずでしょう。

『戦うのが怖い、だから隠れよう、そして援護だけに徹しよう』
『先生の武器が見たい、それだけのために火力を全部使おう』
『先生という誰もが認める最強の存在に挑み、勝ちたい』
『彼自身の正義がどれくらいのものなのか、確かめたい』
……この通り、バラバラです」

 

「そんな感じはしたね」

 

「統率を取ろうと必死になっている相手、それにも従わず各々個人で動く……そんなものであなた様に―─―その全身をキヴォトス最強の鉾にして盾とする御方に、勝てるわけもありません」

 

 

 

 

 

 当然の顛末といった形で、小隊の失敗をあげつらうように告げるワカモ。

 各員が自分の思惑で動くのではなく、全小隊員が力を合わせて挑まないと倒せない相手……RABBIT小隊から見たマッシュは一種のレイドボスであり、総力戦のボスキャラクターとも言える存在だった。

 

 そんな相手を前にして、学園や部隊のプライドや責任、そんなものを考えて戦っていられるのか……本当に何をすべきなのか、それを彼女らはわかっていなかった。

 理想、敵愾心、道楽、不安───青臭さが抜けていない、それがワカモの総評だった。

 

 

 

 

「……そうか、ありがとうワカモちゃん。やるべきことが増えたよ、後で何か奢らせてね」

 

「お役に立ててよかったです。私はあなた様の役に立てるというだけで幸せ……特別何かが欲しいわけではありません――が、強いていうならあなた―」

 

 

 

 

バンッ!!!!

 

 

 

 

「狐坂ワカモォ!!貴様、遂にラインを超えたなッ!!!」

 

「狂犬めが…!!もう匂いを嗅ぎつけましたか!!―─―別に触れてもいませんし、手を出してもいません!!」

 

「入浴中の先生と同じ空間に入った時点で事由は十分だ!!貴様を現行犯逮捕する!!!」

 

「ただの夫婦の嗜みです!部外者には邪魔をしないでもらいましょうか…!」

 

「夫婦ではないよね」

 

「とにかく……こっちに来いッ!!」

 

「わーん助けてくださいあなた様〜!凶暴な犬に乱暴されてしまいます〜!」

 

「貴様なんぞに誰がするかぁっ!!……先生、大変お騒がせしました。失礼します」

 

「あっはい」

 
 駆けつけたカンナは、ワカモを強制的に引き摺りながらシャワー室から消えた。

 

 

 

 

 

 

「最近は先生に惚れてすり寄ってくる泥棒猫や女狐が増えているのです!!先生が奪わ…他の女の毒牙に掛かる前に、私がお守りしなくてはならないのですぅぅぅぅ!!」

 
「続きを喚くなら独房に入ってからしろ!!というかどこからここまで入ったんだ!!」
 
「離しなさいっ、今しかないのです!!理由をつけて逮捕だのなんのと宣っていますが、結局貴女も先生に惚れて、私を妬ましく思っているだけなのでしょう!?」
 
「がっ……!?やかましいぞ大馬鹿者がっ!!」
 
 シャワーの更に奥、扉の向こうから何やら不毛な言い争いが聞こえてくるが、今は聞かなかったことにして、泡を洗い流す。

 

 

 

 

 

「――さーて、忙しくなるぞー」

 

 

 

 

 

 次のアクションを決めたマッシュは、これまで以上のやる気に満ち溢れていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

(………こんなところに閉じ込めても、私は何も話さないぞ)

 

 

 

 

 ヴァルキューレ内部、取調室内にて、空井サキは一人ポツンとその場に座っていた。少し偉そうに、少し太々しく。

 

 

 

(――ミヤコが一瞬で落とされた……私が模擬戦で勝てなかった相手が……ああも簡単に………くそっ…くそっ…‼︎)

 

 

 

 サキは内心穏やかでは無かった、自分の中でライバル視していた相手が他人に最も簡単に倒された……しかもそのライバルは、4対1の状態でも自分達に対して相当に手加減していた。鍛え上げた能力も、磨き上げた自信もプライドもへし折られたからには、精神は簡単に荒みきってしまう。

 

 

 

 

(……もう……いい、今は、この時間について考えるんだ。相手だ誰であれ、どんな奴であれ……私は屈しない、拷問や尋問への対処は習ってある――来るなら来い狂犬、せめてお前には……絶対に負けない…‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうも、尋問役のマッシュ・バーンデッドです」

 

「なんっっっっっでお前なんだよ‼︎あとなんかほかほかしてるな⁉︎」

 

「さっきまでシャワー中だったんだ、あっ、これシュークリームの差し入れ」

 

「呑気だなぁ本当に‼︎返せ、私の緊張を返せ‼︎」

 

「折り紙ならあるけど」

 

「金の鳥じゃない‼︎緊張、だ‼︎」

 

「……ふむふむ、ツッコミ適正S、ようこそこちら側(ギャグ)へ」

 

「どっち側だァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 尋問官、それにしては随分とほかほかとして緊張感がない相手マッシュ・バーンデッド……彼のその目は、自分のことを敵とも見ていないそんな目だった――それがまた

 

 

 

 

(――私は、眼中になしなのか…‼︎)

 

 

 

 

彼女を苛立たせていた。

*1
良い子は真似しないようにしてください








ここからコミカルが増えていきます、増えていきますよ〜。

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