弟先生『くっ、待ってくれよ俺の財布‼︎10000円だァァァ!』
妹先生『私の財布の残量は……5000円です』
私『周年前に金を溶かすお前達はお笑いだったぜ』
「――いきなり…何を…」
「FOX小隊……SRT特殊学園の3年生によって結成された、文字通り狐の耳を持つ者たちの最精鋭部隊。かつての私を捕縛するまでに至ったほどの実力者……しかし今は消息不明、SRT閉校直前には足取りが消え、現在の所在も、一体何をしているのかも不明なまま……首席行政官である七神リンですら、その行方を掴むことはできていないようですね」
「……シャーレの一員として、それは知っておきたいと」
「その通りです。先生のお手を煩わせる前に、私が彼女達を探し出してしまおうかと思いまして」
「探し出してどうするつもりなのですか……まさか、捕らえられたことを逆恨みして報復でもするつもりですかっ!!?」
「そんな事をする気つもりはありませんよ。そんな暇があったら、先生の傍らにいた方が余程有意義です」
ちょこん…と互いに椅子に見合って座っているミヤコとワカモ。FOX小隊、その名を聞きミヤコは心臓をうるさく鳴らせており、それを見ているワカモはどこか楽しそうだった。
「……今の貴女の話を聞いて、先輩達は驚いていました。『災厄の狐』、そう呼ばれてい貴女が、誰かの下で……それも年下のどこの誰かもわからない相手に動かされる駒になっているだなんて……――!」
「傘下……駒――あの方は生徒をそのように扱ったりなんて、絶対にしません……何も知らない……あの女狐めが…」
「……っ」
「……あら、ごめんなさい。ついカッとなってしまいました。貴女には怒っていないのでお気になさらず♡」
(雰囲気の変わりようが凄い…!)
ワカモにとって、『マッシュがワカモをこき使っている』や『マッシュがワカモを駒にしている』という発言は完全なる地雷、もし目の前にいるミヤコがこれを踏んだのなら、きっとまずいことになるだろう。
「FOX小隊……先輩達が、なぜ先生の敵に…?」
「とある噂を耳にしましてね。連邦生徒会幹部・不知火カヤ、彼女の下にFOX小隊はいる…と」
「連邦生徒会の……下に……?な、なぜ? どうして──」
「あくまでも噂、という話です……その様子だと、彼女らの行方は知らぬようですね。尾刃カンナ、私が言いたいことはこれで終わりです。時間をとらせてしまって申し訳ありませんでしたね」
『思ってもいないようなことを…』
「あら心外……うふふっ、それでは」
「――ま、待ってください…!」
ワカモは立ち上がり、その場を立ち去ろうとする。けれどミヤコがそれを止め、今思っていることを話す。
「もし……もしも、FOX小隊が先生の敵となった場合……どうする気…なんですか」
「ふふ、決まってますでしょう?───私も彼女らの敵となります……そして彼女らが、もし先生の命を狙って動き出したならば、その時は――――私はもう、シャーレにはいられない立場にいるでしょう」
「っっっ…‼︎」
狐の仮面が少し外れ、見えるその顔はまさに妖狐。マッシュを守るためならば外道に落ちる、落ちてもいいというその覚悟が目に見えてわかった。
『ワカモ』
「その時は、よろしくお願いしますね……カンナ」
『……そうならないようにまずは努力をしろ、そして第一に先生や他の部員を頼れ───先生の、ためにも』
「…うふふ、そうですね。……私にとって先生は……マッシュ様は絶対に守らねばならない方。あの人を護ること…それが――私の正義ですので」
「……!!」
「改めて、失礼します」
仮面を着け直し、外にいるカンナと共にその場を去るワカモ。マッシュを、思い人を守る事……それが彼女にとっての正義……自分が思っていた正義とは違った別の正義。
「……SRTの正義と、あの人の正義……どちらが正しいのでしょうか」
それだけがしこりのように心に残ってしまい、ミヤコは胸の中で煙のように立ち込める疑念と懊悩を振り払うことができなくなった。彼女は知らない……正義という言葉は、“善悪”や”正当性”を保証するものではない───正しいか、正しくないか。そんな違いは存在しない───ということを。
「……ワカモ、お前には伝えておかなければいけないことがある」
「不知火カヤの事でしょうか」
「ああ、奴は私の上司に当たる存在だ。最近は妙に大人しいがな」
「彼女の下にFOX小隊がいるという噂は?」
「………教えてはくれなかった、だが…おそらくは本当だ」
「…そうですが」
場面は変わり、ワカモとカンナは帰りの廊下を歩きながら話をしていた。不知火カヤ……その人物をワカモとカンナは疑い、敵視もしていた。
「今、キヴォトスで一番彼の事を敵視している生徒は……不知火カヤで間違いない」
「よくわかりませんね、何故そうまでして先生のことを恨むのか」
「よく言っていたのは『メンツが無くなる』、それから『行政官のお気に入りだから』とかだな」
「……あの二人は同期でしたか?」
「そう記録に残っているから間違いない」
「……何となく掴めてきましたが、より一層意味がわからなくなってきましたね」
「それは…そうだな」
同期の生徒、連邦生徒会の幹部、その位の違い……これで大体のことは察しがつく。不知火カヤという人物は七神リン行政官のことを嫌っていて、そのお気に入りというマッシュのことも嫌っている……要するにリンの全てが嫌いということ。
だがそれはワカモにとってどうでもいいこと、問題なのは彼女が何故嫌い、ではなく敵視しているのかだ。
「自分はキヴォトスの防衛室長、キヴォトスの治安維持の責任者であり、長い間その役職を誇りに思い仕事をしてきた……しかし」
「あなた様の登場により全てが無駄になってしまった。キヴォトスを守っているのは自分ではなく、今まで頑張って来た自分よりも、ぽっと出の男が守っていると言われ腹が立っている……でしょうか?――笑ってしまいますね」
「気持ちがわからないわけでは無い……だがそもそも、彼女のやり方は……あまりにも…な」
「……まあ、この際そこは一度置いておきましょう。それで話とは」
「…そうだった、話が脱線していたな。……これを」
カンナはある一枚の書類をワカモに渡す、そこに書かれている内容を一文字も逃さず読みこむ。その内容に思わず目を疑い、呆れも湧いて来ていた。
「……防衛室長が、カイザーコーポレーションと深い繋がりがある。それも……良い意味では無い方の……これは」
「確定では無いが、疑いは確実だ。しかしその証拠が今のところ一切見つかっていない……おそらくは隠蔽、もしくは彼女自身が持っている」
「……これを私に話し、どうしろと?」
「正直、迷っているんだ。この話を先生にしてもいいのかと……先生は全ての生徒を信じると、愛すと言っている人……いや、子供だ。そんな子供に……こんなことを…『カンナさん』」
「それは、先生を甘く見過ぎです。誰かに嫌われる…そのような経験を、今まで先生が味わったことがないとお思いですか?」
ワカモは貰った資料を折りたたみ、懐にしまう……カンナは迷っていた。自分が信じている、守っている生徒から嫌われている自分を命を狙っている企業と深く繋がっているという事実を伝えるべきか否かを、伝えて彼を傷つけてしまうのではないか、そう思ったかていたが――マッシュはそこまで弱くはない。
「彼の方は、生徒に嫌われていようと、その生徒を助けるために命を懸ける方です」
「……それゆえの、アリウス…か」
「この件は貴女の口から仰ったほうがいいでしょう、私はカイザーを調べておきます」
「───小隊には」
「言わないほうが吉です、正義が今の暴走している彼女らに言うのが今一番危険です」
「…わかった」
「あなた様はキヴォトスで一番成長を果たしたと言っても過言ではないお方です、なので彼の方を信じ、真実をお話しなさい……先生は」
ワカモは何処か悲しそうな声と表情で
「マッシュ様は……人に嫌われることに慣れてしまっている方なのですから」
「―――それは、どう言う」
「それでは、またご連絡します」
そう告げ、駆け足でヴァルキューレから去っていった。人に嫌われ慣れている、アリウスや他学年の何人からかは嫌われていたと聞いていたが……慣れている?その発言に思わず唖然としてしまったカンナ。
「………調べることが、一つ増えたな」
そう呟き、自分の持ち場へと戻ってゆくのであった。
「……………」
「……………」
「…いくよ」
「……」ゴクンッ
『叩いて被ってじゃんけん、ぽん‼︎(ぽんっ)』
ピタンッ!
「っ…‼︎」
「はいまた僕の勝ち、話を続けさせてもらうね」
「もう一回、もう一回です」
「ええ〜もう10回目だよ? そろそろ本題に入りたいんけど」
「勝負を持ちかけておいて勝ち逃げは許しません…!」
「それはそうだけど……まあいいよ、あと一回だかね」
場面は大きく変わり、マッシュはミヤコのいる部屋へと訪れ。その中で『叩いて被ってじゃんけんぽん』を行っていた。理由は単純であり、ミヤコ自身が何故が自分と話そうとしないので、勝った方のいうことを聞くというルールで彼が勝ちまくり、質疑応答を続けていた。
しかしそこは負けず嫌いな所もあるミヤコ、何とかして食らいつき、勝つまで勝負を続けていた……相手がマッシュでなければありえない光景である。
「あうっ…!……じゃんけんでは勝てるのに…‼︎」
「一回チョキでグーに勝とうとしたよね」
「サキ相手にはこれは通じたのに…!」
「僕のグーの前では全てが無力」
「くっ…!」
「くっ、じゃないよ。はい、お名前は?」
「……月雪ミヤコです」
「所属は」
「SRT特殊学園、RABBIT小隊所属」
「おっけ」
「軽いですね……」
負けに負け、仕方なくミヤコはマッシュに聞かられたことに答えた。それを彼を書き写し、続けていく。
「えーと……SRTから取り寄せた資料も問題無し……小隊長を任される程度には優秀な成績、素養も十分、筆記も実技も、周囲の交友関係、友人や先輩方からの評価も上々――……ヴァルキューレに入りたくない理由は何かな」
「読んでてめんどくさくなりましたね」
「いや、頭こんがらがって来て」
「それだけの文章で?」
「要するに、強い、賢い、優秀ってことだよね」
「端的がすぎますよ…‼︎」
「それで、何で?何でヴァルキューレは嫌なの?」
「……興味がありません」
真正面から投げかけられたマッシュの問いをミヤコはばっさりと切り捨てる。口調は断固としたもので、本気なのだと分かった
「どんな提案をされたとしても、どんな評価をされても、何を対価にされたとしても、私達のSRTに対する気持ちは変わりませんから」
「ふむふむ…えーと……これか、ヴァルキューレは嫌いですか?」
「それは勘違いです。特段ヴァルキューレが嫌いだったから転校を拒否したのではありません、私達が嫌なのはSRTを去る事です」
「ヴァルキューレと、SRTの違いとは」
「掲げる正義です」
嘘はない、ヴァルキューレが掲げる正義と彼女の正義は違う。そう彼女は豪語していた。
「正義の違い」
「はい、SRTにはそこにしかない、確かな正義があります」
「………」
「ヴァルキューレにもまた、生徒達自らが信じる正義があると思います、それを私は否定しません……ですが、それが本当の正義と呼べるかと問われれば、否です」
「ではでは、ミヤコちゃんが掲げる正義とは」
「正義とは――理にかなった正しい道理の事」
あの日抱いた想いと信念、湧き上がる憧れを胸に、ぐっと握り締め、両膝の上に置いた拳に力が籠る。
「その道理は真理に基づくものです、であるならば相手や状況によって変わるものではありません」
「はい、キヴォトスに於ける各所の治安組織は、様々な利害関係の中で『正義』というものを自分達独自に湾曲し、都合の良い様に解釈しています、相手や状況で罪の軽重を変え、時には見て見ぬふりをする、その秤は決して一定ではない」
「…………成程ね」
「…おそらくは、先生の思っている正義とは違うでしょう。SRTは――あの学園だけは学園間の関係や利害の問題に左右されず、自らが信じる正義を実行していました、時と場所を選ばず、相手が誰であっても同じ基準で、掲げられた一つの、絶対的な正義を信じ……そんなSRT特殊学園に、私は憧れたのです」
「……ふむふむ」
彼女の言っている事はある意味もっともである、自身に利益を齎す存在であろうと、どんな素晴らしい肩書の相手であろうと。一定の基準で、唯一にして絶対的な正義を掲げ、任務を遂行する。つまりは屈強な正義……そこに関してはマッシュも同じだが、違う面は一つ。
マッシュは罪を償う意思が、行動を起こすのなら温情を掛ける。アリウスの罪を背負ったように、トリニティでミカの罪を背負ったように、彼は優しさを胸に正義を行って来た。
屈強な正義と情の深い正義、どっちが正しいのか……そう問われたらマッシュはこう答える。
「どっちの正義にも答えや正しいなんてないよ、正義なんて人それぞれだし」
「……人それぞれ」
「今までいろんな人を見て来たからな〜、後輩を守るために身を犠牲にしようとする人、仲間と居場所を守るために動く人達、友達を守ろうと、蔑まれて来た人たちを守ろうとした人や自分の学園を何が何でも守ろうとした人……とか、ほんとに色々」
「その人達からは感じたのですか?……正義が」
「もちのろん……みんな、いい子なんだ」
慈愛の眼、今まで見たことが一切なかったその目を、しっかりとミヤコは目視した。だからこそ知りたかった、ならばこそ知りたかった。
「私は、貴方のことを正義の味方だと思ってます……思っているからこそ、理解できません。何故、そこまで彼女を……災厄の狐を気にかけているのか、仲間に引き入れているのかを」
彼女にとって、彼女の正義に反するものである災厄の狐と呼ばれる存在を、何故味方にしたのかを。
「あの子は僕の大事な生徒で友達なんだ、それと細かいようだけど―――災厄の狐じゃ無くて、狐坂ワカモちゃんだよ」
「七囚人……でも、罪人でもですか」
「元、ね。それに七囚人だろうと何だろうが見捨てないよ、見捨てちゃダメなんだ――見捨てたその瞬間、僕は先生としても、英雄としても、人としても死ぬ」
「……‼︎」
「助けを求めているのなら、救いを求めているのなら……たとえそれらが必要として無くとも、生徒を、友達を助ける――それが僕の正義だよ」
まっすぐな、熱い目。一年年が上なだけな存在だと思っていた……だが、だがマッシュからはとても16とは思えないほどの貫禄と、熱意が見えていた。……それでもなお、自分は彼を信じられなかった。
「だから君らのことも助ける。何としてでもね」
「……私達が、貴方と争っても……ですか」
「うん」
「私たちは私たちの正義を胸に、貴方と戦います」
「いいよ、いくらでも相手になってあげる。気が済むまでね」
「私は貴方のことは嫌いではありません……でも、信用も、信頼も、できません」
「よかった、大嫌いとか言われたら僕立ち直れないかもしれなかった」
「心はオリハルコンじゃなかったんですか」
「時と場合によります」
マッシュは『よーし、これで全員分だな』と呟き、その場で立ち上がり体を伸ばす。終わり……これで話は終わり――なのに何故が、ミヤコは彼を引き止めてしまった。
「先生」
「はいはい」
「最後に……一つだけ」
「?」
「貴方は、何者なのですか」
「ただの脳筋男子だよ、何処にでもある……あっ、お人好しがすぎるとは言われてるかも」
ちょっとおバカで、優しい……しかしやる時はがっつりやるし、悪党、それも救いようがない改心する気持ちも無い相手には容赦をしない男――それぞ、マッシュ・バーンデッド。
「またね、ミヤコちゃん――僕はいつまでも君の味方だから」
「っっ…‼︎」
ミヤコが生まれて初めて、本気で、『勝てない…』と思った相手である。
「……ミヤコちゃん達って獣人じゃなかったんだ、にんじん持って来た意味なかったな」
弟先生『ぶっちゃけブルアカで一番可愛いのはホシノでは?』
妹先生『なんだァ…てめぇ』(ヒナ推し)
私『こらから喧嘩しないの、どっちも一番可愛いでいいだろう』
弟先生『ホシノの別衣装、無課金でゲット。水着サオリ、五十連ゲット。今回、九十連でゲット……兄者はほとんど天井』
私『嫌味か貴様…ッ‼︎』
妹先生『こんの……馬鹿ッ!!!』
ほぼこんな感じの会話を今朝やりました……ちくしょう
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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アイデェア箱から選んだお話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話