謎の生徒、S……誰なんだ????
ガチ戦闘を期待した方々、すみません、ギャグです。
「難しい…………」
「頭おかしくなりそう……よくこんな問題作れるよね、先生の知り合いって人」
「う、うん……」
「しんどいしめんどくさい! これならミレニアムの兵器の設計図とか見た方がましだってー‼︎」
「……所で……あれ、いつまでやってるんだろう」
「さあね……サキって負けず嫌いだからね〜」
モエとミユの出番が終わり、次はサキの出番。サキは常にSRTの戦術が書かれた教範を持ち歩いており、SRT内では学業成績も優秀である。なのでその知識を活かしチェスでマッシュに勝負を挑んだ。
「―――なんで……だ。なんで……これでも…」
「そろそろ20分は立つけど……どうする?」
「ま……まだだ、まだ、まっただ…‼︎」
「うーむ、困ったな」
しかし勝てなかった。正確には駒を進めない、最初の頃はサキが優勢であり勝ちと確信していた……しかし徐々に駒を取られていき、次第に逆転不可能なところまで追い詰められてしまった。
聞いていた話とは違う、頭が悪いんじゃなかったのかと心の中で愚痴るサキ………これに関してはあんまりにも初見殺しなため仕方ない。
「ヒマリさんとハナコちゃんとのチェス、すごい所で役に立ったなぁ」
「経験積みとは聞いていが……ここまでとは……ヒマリ、もしや明星ヒマリか?」
「正解」
「ミレニアムの全知じゃないか……――そんな相手によく勝てたな」
「いや、一回も勝ててないんだよね」
「……なに⁉︎」
「本当に無理なんだよね、運が働いても実力で押し潰されちゃうんだ。ハナコって子も同じだよ」
「先生でも勝てない相手……さぞ、凄いやつなんだろうな」
「……………………………」
『チェックメイトです――フフンッ、どうですか先生。肉体では絶対に勝てませんが知識では絶対に貴方に勝てます……なぜなら私は天才美少女完璧ハッカーですから‼︎ さあさあ!まだまだもの足りませんよ‼︎思う存分楽しみましょうね!』ドヤッ
『ごめんね先生、これで50回目だけど気が済むまで付き合ってあげて。部長と戦って体力が持つのって先生くらいだから』
『チェックメイトです♡――先生、これで20回目……そろそろお願いを聞いてくれますよね? 私のことを、抱きしめてくれると言ったお願いを♡……ええ、ええ、先生が勝てばその願いは無かったことになりますが……この通りです――諦めてくださいね……先生♡』
「……ウン、イロイロトスゴイヒトタチダヨ」
「何があった⁉︎ なんで顔が真っ青になってるんだ‼︎」
「ううん、大丈夫だよ。100回でも1000回でも付き合うよ」
「流石に体が持たないからな⁉︎」
「チガウンデスミカさん、何もやってないんです、なのでその敵意を見せまくらないでください。ツルギさんも真顔はやめてください怖いですすすすすすすすすっ」
「おい誰かぁ!!先生が!!先生がぁぁぁっ!!!」
マッシュのみに何があったかはわからないが絶対に何かが起きたであろうトラウマ、が再発してしまったので、勝負は無しとなった。しかしあのまま続けていれば確実にサキは負けていたので……実質マッシュの勝利である。
―――――――――――――――――――――――
「――フッ!!」
「突きからの足払い、いいコンボ」
「まだ、まだ!!」
続いてミヤコの出番、挑む勝負はまさかの近接戦。ルールはマッシュに一撃でも当てればいいと言ったシンプルなもの、最初からクライマックスの力で彼に向かっていったが、お察し通りマッシュはしっかりとそれを避けていた。
「早いねー二人とも、まさしく脱兎の如く」
「………………」
「おやおや不服そうだね〜サキ」
「…別に」
「もしかして、自分よりもいい感じに戦えてるミヤコに嫉妬しちゃってる?」
「ち……違う‼︎そんなんじゃ…」
「隠さなくてもいいって……私も少しだけ妬いてるし」
「…お前が?」
「わ、私も…」
ラビット状態の中で、一番いい勝負ができているのがミヤコ。自分たちの得意分野で戦うと言ったもので、彼女は何の迷いもなく近接戦を選び戦っている……それもしっかりと、相手にされている。
「私は必死になってもあそこまでやれなかった、みてよ先生の顔……余裕ないでしょ」
「変わってないようにも見えるが」
「ミヤコはさ、確実にこの中じゃ一番強い……同じ同期なのに、ここまでの差は何なんだろうね」
「……………」
「先生は余裕がなさそうな顔をしてるけど……しっかりと、避けているよ?」
「アレも誰かとの経験だろうね〜」
誰か、と聞かられば候補が多いので説明に困るが。ミヤコのような近接をとってくる生徒は沢山いた、その時の経験が、その時の記憶が、戦っている最中の彼の脳にはずっと流れているのだ。
「ミヤコちゃんが疲れるまで、いくらでも付き合うよ」
(避けながらのこの余裕………先生はまだ、本気を出していない―――悔しい、まだ、舐められている‼︎)
「あら、勢いがついてきた」
喉を貫く勢いの抜き手、頭をカチ割る程の勢いで振り落とされる踵、不意をついた足払い……その全てが避け続けられた、しかもマッシュはまだ本気を出していない、正確には出せない……のだが、それをミヤコは知らない。
「―――まだ、まだ!!」
(………どうしてそこまで食いつけるんだ)
(なんでそんな目をできるんだろうね)
(なんで、勝てないってわかってるのに続けるんだろう……)
諦めない、最後までその首元に食らいつくミヤコ、その姿を見て他のメンバー達は……疑問と、同時に恐怖も覚えしまった。
――――――――――――――――――――――――
「……先生は?」
「寝た、ぐっすりだよ」
「……ま、負けちゃったね…みんな」
「完敗……でした」
ミヤコが敗北し、正真正銘ラビット小隊はマッシュに敗北した。経験の差が違いすぎる、潜ってきた修羅場が何もかも違う……そうわからせられた時間だった。
「とにかく、今日の教訓を生かし…次へと」
「次なんてないでしょー絶対」
「モエちゃんの、言う通り……かも……相手が、悪すぎるよ」
「何弱気なこと言ってるんだお前達は‼︎ ここで諦めてどうするんだ! ここで諦めたら、SRTの誇りや正義は!」
「サキはそうかもしれないけどさ、私たちは違うわけ。私はSRTみたいな武器を扱える場所ならどこでも良い……でも、このままじゃヴァルキューレにもどこにも行けないから、ここでデモを行ってるわけ」
「静かな場所なら、どこでも………」
モエとミユは完全に諦めモードに入ってしまっていた、壁が高すぎるのだ。それに二人は一番の得意分野で挑んで惨敗した、心が折れても仕方ないことだとは思う。
『初日でこれとは、先が思いやられる』
「――⁉︎」
「っ戦闘体制!!」
何者かの声が聞こえ、ミヤコが叫び全員が武器を持つ。ラビット小隊が使っているテント、その前に、その人物は立っていた。
「考えていることはバラバラ、それでは先生には勝てないぞ」
「誰だお前は‼︎所属と名を名乗れ!」
「シャーレ所属の、ただの生徒だ」
「シャーレ…所属…⁉︎」
「ンアッ………え?」
ヘルメットを被っているが、その容姿ははっきりと身に覚えがあったマッシュ。長髪に、腹が出ている服装………確実に、あの人だと。
「……何やってるんですか?」
「仕事の手伝いをしに来た」
「何を?」
「そのウサギ達を鍛えに」
「ええ……みんなに黙って?」
「許可は取った」
「ええぇぇ…」
「正確には勝ち取った、敗者の狐は今妹に捕縛されている」
「ええええぇぇ……」
「時間になれば帰るから、安心してくれ」
ヘルメットを被ったその生徒はラビット小隊に近づき、それぞれをその面を確認した。悪く無いと思いつつも、はっきりと言った。
「個人で動き続けていては、先生には勝てない」
「で、でもルールは……」
「お互いの勝負を、お互いでカバーし合うんだ。ポーカーならどう先生の目を掻い潜るのか、かくれんぼならどう気持ちを落ち着かせ、どう逃げれば良いのか。チェスならどの駒を置けば先生の行動を制限するのか――戦闘なら、他の視点から見た意見を述べる……とかな」
「要するにみんなで話し合え、ってことですね」
「その通り」
話し合い、お互いに支え合えば全てうまくいくとヘルメットの生徒は言うが。ラビット小隊の面々はまだとても仲がいいと言うわけでもなく、ただ上から部隊を組むようにと言われたから組んでいるだけと言う認識。
「私から……こいつに教えられることなんてあるわけがないだろ」
「どう逃げるかって言われても、逃げるルートとから本人にしかわかんないわけだし」
「わ、私なんかの意見なんて、みんな必要ないだろうし……」
「私が指示を出しても、それに従ってみんなが勝てるか……どうかするも……それならば、個人で動いた方が……」
「……よくわかった」
今のラビット小隊は、『相手に意見をしても受け入れてもらえるはずもなく、それで上手くいくとも限らないのならやる必要ない』と言う考えに至っている。
サキはミヤコに教えることはないと諦め、モエはほかに興味なし、ミヤコとミユは自分の意見なんて参考にしても何も変わらないと思っている……これではダメだ――これではチームとは言えない。
「私がお前達の、チームワークを鍛える。先生の助手としてな」
「はっ……かっ、勝手に来て勝手に決めるな、私達は先生と勝負してるだけで、シャーレとは別に」
「ありですね」
「――はあっ!?」
「サオ―――Sさんは、チームワークとか、誰かに何かを教えるって言うことに関してはきっと僕以上に上手いから、任せちゃおう」
「任せちゃおうって……言っとくけど、やる気なんて『ならこのまま終わらせるのか』……」
Sはその場に座り、はっきりと断言する。――団体で挑まなければマッシュには勝てないと。
「このまま個人でやり続け負けるよりも、新たなことに挑戦した方が勝率は確実に上がる。何かを変える意思があるのならば、まずそれをやらなければ意味がない、確かにお前達は成り行きで決まったチームなのかもしれない……だがな」
Sは少し和らいだ口調で、まるで己に起こったことのように告げる。
「そう言うチームだからこそ、お互いを知れば、より強く、より仲を深められるんだ。誰にも負けない、負けるわけがない……そう自然と思えてしまう」
「……プラシーボ効果ってやつ?」
「どうだろうな――それで、やるのか、やらないのか」
「――――私は……いえ、みなさん……やりませんか?」
「本気…?」
「彼女の言っていることは、とても嘘や適当とは思えません………それにチームワークを大事にすると言うのも、これから先動いていくのなら大事だと思います」
ミヤコはSの前に座り、自分の考えを告げていく。
「絶対に勝てないと思ったから、私達は協力してデモを起こしている……違いますか」
「……わ、私は、ミヤコちゃん達が一緒に動いてくれるって言ってくれたから……ここにいる……感謝もしてる」
「………みーんな、ヴァルキューレに行きたくないってのは一緒。SRTを取り戻したい気持ちも一緒……か」
「――――あーーーもう!!わかったよ!その話、乗ってやる‼︎ただし、適当な事を言ったら……即座に止めるからな‼︎」
「……これは思わぬ助っ人だ」
Sは自分の前に座るラビット小隊を見て、どこか懐かしい気持ちになった後、キリッとした表情で告げた。
「これからお前達にチームワークを教える、Sだ。チームワークを鍛えるには、お互いをお互いでサポートをする必要がある……故に――
今から私vsお前達で、ジェンガをやってもらう」
「なんでそうなる!!!!!!」
「僕レフェリーやりまーす」
その日の夜は、謎の生徒S vsラビット小隊のジェンガ勝負が続くのだった。
そもそもなんでSさんがここにいるのか、なぜ向かうことになったのか、それはまた次回ということで……。
さーて、明後日の透き通る世界に拳を一つはー?
1.わがまま狐と勝ち取った姉
2.先生とあっち向いてほいバトル(弾丸あり)
3.Sと鬼ごっこ‼︎
でお送りいたします。
百花繚乱後に見たい話
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まだ交流がない生徒との話
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ラビット2章
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愛が重い生徒との話