透き通る世界に拳を一つ   作:六科

258 / 363



次回……お風呂会です。過激なことは書きませんよ、この作品は18禁ではありませんので……振りじゃないですからね!!


マッシュ・バーンデッドと風呂準備

 

 

 

 

「マグロにイカ、貝まで……よりどりみどりだな!」

 

「今晩は豪華なシーフードBBQですな」

 

「食料調達で海に行ってくると聞いた時は、『キャンプなのに海⁉︎』と驚いていたが……案外悪く無いな」

 

「途中サメに襲われかけたけどね」

 

「多分キヴォトス中を探しても先生だけだぞ、サメに向かって突撃する奴。サメのやつ、先生にどつかれて逃げてったし」

 

「フカヒレ食べられそうだったんだけどなぁ」

 

「食う気だったのか、逃げてよかったなあのサメ」

 

 

 

 

 

 

 取った漁獲類をクーラーボックスの中に入れ、子うさぎ公園へと向かう2人。クーラーボックスの量はだいたい4つ程、これだけでしばらくの食費は持つレベル。

 

 

 

 

「水中で魚に追いつける人間なんて先生だけだぞ、どこであんな泳ぎ方を覚えたんだ?」

 

「ここに来てからなんとなくで泳いだら、泳げた」

 

「泳ぎってなんとなくで行ける物じゃ無いんだがな……と言うか、そっちの世界には海はなかったのか?」

 

「あるにはあったんだけど、そもそも海に行ったことがなかったんだよね。僕山育ちだし」

 

「先生は、どこで育ったんだ?」

 

「山奥にある小さな家、そこで僕はじいちゃんに育てられたんだ」

 

 

 

 

 

 マッシュの言葉に引っかかるサキ、山育ちだからあそこまで強いのか……ど納得している一方で、祖父に育てられたと言う点が気になってしまった。

 

 

 

 

「……先生の親は、何してるんだ? どんな親なんだ?」

 

「え〜〜……とね(雰囲気が暗くなってきたな…これはまずい、また変な感じになる、それは嫌だ。……よし、なんとか上手いこと紛らわせよう)」

 

 

 

 

 

 

『世界的犯罪者で、自分の心臓を欲しがってるよ』なんてもちろん言えるはずもなく、なんとかして、うまいこと誤魔化そうと考えたマッシュは、なんとか言葉を捻り出す。

 

 

 

 

 

「お爺さん以外に家族はいないのか?」

 

「いないことは、ないよ。でも育ての親はじいちゃんだけ。じいちゃんも、僕の実の親のことは家族とも思ってないし」

 

「……自分の息子なのにか?」

 

「アレとじいちゃんの血が繋がってるわけないよ」

 

「―――つまり先生は捨て子なのか?」

 

「あっやべ」

 

 

 

 

 ついつい口走ってしまったマッシュ。何がなんでもアレとレグロが家族なんて思いたくも認めたくもなかったために、全力で否定してしまった。しかし、あまりにも情報を露見させすぎたせいで、サキの表情が暗くなる。

 

 

 

 

 

「捨て子って言ってもアレだよ? 別に必要ないからって捨てられたわけでも無くて*1、嫌われたわけでは無くて*2……な、なんて言うのかなぁ」

 

「………生まれ持った肉体のせい、なのか」 

 

「そうとも言うし、そうとも言わないけど……うーん………うーん」

 

 

 

 

 ここまでくるといよいよやばい、マッシュも生徒が曇るような姿は見たくない。どうにかしようとクーラーボックスを持ち替えながら考えていると、サキが口を開いた。

 

 

 

 

「私は……ミヤコよりも弱い」

 

「そう……そうかな?」

 

「勿論先生にも弱い……そんな自分が、悔しい」

 

「負けたくなって思うんだね」

 

「……ずるいとも思った、そんな才能を持っている2人が」

 

「才能……才能か」

 

 

 

 

 マッシュの肉体は才能といえば才能とも言えるのだが、彼自身が鍛えまくった結果とも言えるし、そもそも魔法界ではマッシュのこの肉体は『呪い』とも言えるのだが……ここは伏せておこう。

 

 

 

 

「ミヤコのあの戦闘においての才能、何度やっても、何度鍛えても、何度努力しても……超えられなかった。今もだ……今も…一番先生に勝てそうなのは……ミヤコで」

 

「努力をすればなんとかなる、そう言う言葉もあるけどさ。違うと思うんだ」

 

「努力は……意味が無いと?」

 

「そうじゃ無くてね。僕は努力するって言うこと自体、努力ができるって言う才能だと思うんだ」

 

「努力をするのが才能……」

 

 

 

 

 マッシュは『そうそう』と言いながらサキの持っているクーラーボックスを片手で持ち、自分の持っていた方をその上に乗せる。

 

 

 

 

努力をしろと周りは言うが、努力と言うのは簡単にできる物では無い。めんどくさいこと、しんどいこと、そう言うのを分かった上で行動する。これは簡単にできる物じゃ無い――努力をすると言う行動こそ、真の才能だ………とまぁカッコつけて言ってみたけど、僕はそう思うな」

 

「……頭は悪いのに、そう言うセリフはポンポン出るんだな、先生は」

 

「本能のまま喋ってるだけだよ」

 

「いつか本当に刺されるぞ」

 

「刺さらないよ?」

 

「そうだった肉体ダイヤモンドだった……」

 

 

 

 

 

 努力をする事自体がすごいとマッシュは本能でいい、何気なくサキを褒める。自分のことを指導していたSRTの教育者はそんなこと言わなかったぞ…と、心底思いながらも

 

 

 

 

 

(……Sが羨ましい)

 

 

 

 

 そんな先生を持つSを、羨んでいた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……臭ってきたね私達」

 

「食事の後に言うのかそれを」

 

 

 

 

 夜の海鮮料理らを食べ終えた後、食器を片付けていると突然モエがそんなことを言い出した。Sは一度シャーレに帰りシャワーに浴びることにしている(ありとあらゆる医療部に入れと怒られていた)ので、問題ない。

 

 マッシュがシャンプーやリンスをあげようとするも、それを拒否ってきた彼女達……つまり、言い方を少しマイルドにするのならば――今の彼女らは臭うのである。

 

 

 

 

「うっっ……それを、言われる……と」

 

「イヤァ事実じゃん?ここにきてから……一週間くらい?ずっとお風呂とか入ってないし、水浴びもほぼやってないじゃん、サキはさっきやってきたみたいだけど」

 

「海水があったからな」

 

「衛生的に、そろそろまずいですからね……」

 

「シャーレのシャワー室ならいつでも使っていいけど」

 

「えーなにー?シャワーを浴びせてその隙に何かしようと企んでるんじゃないの〜?」

 

「先生はそんなことしない」(顔面黒塗り青い眼光)

 

「ご、ごめんってSさん、冗談だって、しない!しないんだね!分かったから!!」

 

 

 

 

 

 銭湯を使おうにもラビット小隊には資金がない、シャーレのシャワー室を借りれば住むのだが、それは彼女ら自身が拒否。かと言ってこのまま風呂に入らないと言うのは問題。

 

 

 

 

 

「臭いを抑える方法なら知っているぞ?」

 

「っそれはぜひ聞きたいです!!」

 

「流石はSさん‼︎」

 

「そ、その方法って?」

 

「なるべく実現可能な物で頼む」

 

「ああまかせろ、1年間温水に触れたこともあるからな。こう言う時の対処法は熟知しているんだ」ドヤッ

 

 

 

 

 

 衣服は着ているのに、背筋が凍り、空気も凍った感覚がしたSはハッとしながらラビット小隊とマッシュを見る。

 

 

 

 

『――――――』(唖然&絶望&困惑の顔)

 

「…………」(やっちゃったなぁ〜と目を伏せるマッシュ)

 

「――先生すまない!!ドラム缶を五つ用意してきてくれないか!?」

 

「任せてください」

 

「さ、さあ‼︎みんなで温水に浸かる事にしよう‼︎ ドラム缶風呂と言ってな、かなりいい物だぞ‼チームの仲も良くなるしな︎………ま、待て、入る、私も入るからその顔はやめてくれ‼︎」

 

 

 

 

 

 Sのトンデモ発言に泣きそうになったラビット小隊達、年下の涙はサオリにとってキツイので話を切り替え、ドラム缶風呂に入ることを決めた。

 

 マッシュは本気で走り、近くの工場からドラム缶を買い、爆速で戻り用意を開始した。

 

 

 

 

「用意してきました」

 

「先生がいるとほんととんとん拍子に事が運んでいくね」(立ち直ったモエ)

 

「後は水と薪」

 

「水も買ってきたよ」

 

「薪は」

 

「あるよ」

 

「私は怖いよ先生!!」

 

 

 

 

 

 超人的な力を持つものが動けば物語はすぐに終わると言うが、まさしくその通り。マッシュは1人でドラム缶の用意から風呂の用意まで済ませた……俗に言う人をダメするタイプのスパダリである。

 

 

 

 

 

「とりあえず周り見張っとくね」

 

「みんな安心してくれ、先生は……そう言う教育がわかってないし興奮もしないタイプの人だ」

 

「それはそれでどうなの?」

 

「あと、興奮されないってのも変な気分だぞ」

 

「は、恥ずかしいのは恥ずかしいです…」

 

「そう……ですね、先生はともかく、周りをウロウロと歩いて回って貰えれば助かります」

 

「オッケー」ビュン!

 

「だから行動早いって………ハァ疲れた、もう準備をしてさっさと入ろう」

 

 

 

 

 過ぎ去っていってマッシュを見送ったあと、五人はそのまま協力して風呂の準備を整え、ささっと自分の体を温水につからせ、休むことに決めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お、おい。本気で行くのかよ…?」

 

「うるさい‼︎もうこのタイミングしか無いんです……これしか、私たちが生き残る術はない!」

 

「け、けどよ……風呂に入ってる女に脅しをかけるとか……」

 

 

 

 

 

 その頃、ドラム缶風呂を準備中のラビット小隊とSを遠目から監視しているもの達がいた。容姿はオートマタ兵士とは違い、旧型、古いタイプのロボットだとわかるような容姿。数はだいたい二十人ほど

 

 

 

 

 

「ならこのまま野たれ死ぬしかないと言うのか……違うはずです。例え人情に反しても……我々は、任務を遂行するんだ‼︎」

 

「…………やるしか、ねえよな」

 

「そうだ、生徒がなんだ、風呂入り中の……女子がなんだ――生きるためには仕方ねえ‼︎」

 

「つか子供の体とかあんまり興味ないしな、正直……俺らロボットだし」

 

 

 

 

 

 やましい気持ち一切無し、しかし生きるためには仕方ないと心に決めたロボット達。そもそも彼らはロボットなので……人間相手に欲情はしない、けれども無防備な生徒を襲うのは…と考える者達もいた。しかし彼らの状況は一刻を争っており、これはいたしかないこと。

 

 

 

 

「行きますよみなさん……あいつらを襲い――食料と寝言、物資を確保するんです!!!」

 

『おおー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

 

 

 

 

 だが……そんなこと、この男が許すはずがない。

 

 

 

 

 

 

「僕の生徒に何する気だ」

 

 

 

 

 

 

 生徒を手を出そうとする者がいるのならば、何がなんでもその相手をぶっ飛ばす。

 

 

 

 

 

「お前ら全員、地獄行き」

 

 

 

 

この男が。

*1
むしろめちゃくちゃ必要(素材)されている

*2
好き嫌いの感情すらも持たれてない








さーて、次回は人生初の試みだぞー……頑張ろう

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。