久しぶりのマッシュ君の正論パンチ回です……正直マッシュに対してデカルト達は頭が上がらないとは思います。
「気にしないで、ただの覗き魔だから」
「気にする気にする!……って覗き魔⁉︎」
「しかも皆を襲おうとした無謀な野蛮人、とりあえずはボコっておいたから安心してね」
「別の意味で安心できないんだが……死んで、ないよな?」
「虫の息にはしたよ」
「ぉっ…ぅ……」
「確かに……虫の息ですね」
掠れた、もはや死にかけの声をあげているロボット達。よく見ると顔は凹み、体からはオイルが漏れている、マッシュの生徒に手を出そうとすることの意味とは、こういうことである。
「ま……待ってください……お話だけでも…!」
「…言ってみてください」
「わ、我々はただお願いがあって来ただけなんです‼︎」
「襲おうと武器まで持って来てたのに、そのセリフは無理がありますよ。食らえ、逆エビ固め」
「お゛ぉぉぉぉぉっっ!!!?」
マッシュはリーダーであろうヒッピーのような姿をしたロボットに逆エビ固めを決める。その光景に少しの情が湧いたのか、サキがそのロボに問いかける。
「その願いっていうのはなんなんだ…? 内容によっては聞いてやらんことはない」
「いいのサキちゃん」
「覗きは許さんが、話くらいは聞いてやるってことだ。それと流石に可哀想に見えて来たしな…」
「あ、ありがとうございます‼︎ 私がここへやってきたのはそう……物資を奪っ………譲ってもらおうかと思いまして!」
「前言撤回だ先生、そのままへし折ってくれ」
「御意」
「ぃだだだだだだっっ!!!ち、違うんです! 話を、話ぉぉぉ!!」
物資を奪おうとした、完全なる犯罪行為。聞いた私がバカだったと後悔しながらそのロボから距離を置く、ロボはミシミシと体から音を立てながら、もう一度声を上げる。
「まっ、まってください……! 私は、他の者達とは違います! これでも私は紳士です! 入浴中の女性を襲おうなどとは思ってはいません……むしろ私は、反対と言っていた方で‼︎」
「この人のことみんながリーダーって言ってたよ」
「先生、そう言えば最近新しい技を身につけたんだ。ロメロスペシャルというのだが、そいつで試してもいいか」
「わぁぁぁまって‼︎待ってくださいぃぃぃ‼︎」
どう言い逃れしようとマッシュは技を止めない、素直に謝り帰るのなら彼は技をやめる。しかしこのロボ自身帰るどころか何度も話を聞いてくれと頼み込んでいるのだ…―生徒を襲おうとしたくせのに。
「わ、私はこの周辺に住んでいる、『所有せずとも確かな幸せを探す集い』、通称「所確幸」のリーダーを務めるデカルトと言うものでして……!」
「ろくな集いじゃないな」
「我々はこの地域に住むホームレスで……そろそろ食料も、物資もつきそうで、仕方なく…」
「それには同情する、しかしやったことはやったことだ」
「そもそも……襲わずに普通に頼んできてくれたらあげるって選択肢もありましたよ…?」
「シュークリームを譲るので、それ持って元いた場所にさっさと帰ってくれませんか。仕事がないって言うならシャーレにください、職を探してあげるので」
「……あーいや、そ……れはいいです…!」
「…………は?」
デカルトのその発言を聞き、思わず彼から手を離しまったマッシュ。デカルトは苦しそうな息を吐きながら移動し、マッシュ達の前へと座り込む。
「先ほども言った通り我々は『所有せずとも確かな幸せを探す集い』でして、仕事をするつもりは毛頭ないのです」
「…………はぁ?」
「キヴォトスの人々は、あまりにも多くのものを所有しています。新しい戦車、高い子銃、ミサイルを防ぐためのバンカーなどなど……こう言った欲望はしかし、満たされる物ではありません。より上に、より高く、それらは最終的に、人生を疲弊させるだけなのです」
「……………??」
「真の幸せは『所有』ではなく『無所有』から生まれる物……生活に必要な最低限な物以外を全て手放し、無為自然のあり方を維持する……それこそ真の幸福に辿り着けるのです。その証拠に我々は、いつも雨風を凌げる古い廃墟に住み、廃棄されるはずのお弁当を譲り受けているのです」
長々と自分の思想を語るデカルト、訳がわからない人のために簡単に略すと………何かを欲する、何かを買うためのお金を稼ぐ、そんな欲を持つのはおかしい。なので何もせず物を貰うことを心がけましょう!!……と言うこと。
「それ要するに働かずに衣食住を手にしたいっていうことですよね」
「まさしくその通り!」
「バカなんですか?」
ようはニートであり続けたい、働きたくないと彼は言っている……これが大人の姿なのかとラビット小隊は落胆、マッシュはシンプルにバカなのかと思ってしまった。
「バカとはなんですか!私はただ真の幸福を…!」
「贅沢なものには興味ないとか欲深く持つのはダメとか言ってたくせに、ミヤコちゃん達を襲って物資撮ろうとしてましたよね。それも欲深いってことじゃないんですか?」
「……あ、あの。今着ているその服って……汚れてるけど、結構高いものですよね?」
「うわほんとだ、よくみたら他のやつはもう同じようなもの着込んでるし………ないわ、人に散々贅沢とか欲深いものはダメ!とか言ってたくせに……これはないわ」
「はっきり言いますと……ダメなやつですね」
「か、カス…⁉︎よくも、まあ、そんな口を…‼︎何様のつもりなんですか⁉︎ 貴女達だって、ろくに働きもしない社内の蛆のくせに――」
そうデカルトは大声で怒鳴る……が、次に飛んできたのはマッシュらの反論ではなく、一発のグーパンだった。
「ふごっっ!!?」
「何様のつもりだと、それはこちらのセリフだ」
「Sさんの本気のパンチが顔に…」
「お前の目の前にいるのは、お前のような無職の穀潰しが気軽に罵っていい相手ではないんだぞ……先生が人なら、お前は……その辺の石ころ以下の存在だ」
「石ころ………⁉︎」
「それに必要最低限なものが手に入っているのだろう? それでもう十分なはずだ………なのに、まだそれ以上が欲しいのか」
「い、いや。私だって、もっといい物を手にしたいし……」
「甘えるなぁ‼︎」
「ヒィッ!?」
「生き抜くことに贅沢なんて不必要だ‼︎ 贅沢ができる環境にいるくせに……文句なんてほざくんじゃない‼︎」
(ほ、本気で怒ってるSさん……怖い……)
「まさしくSさんの言う通り」
マッシュはSがデカルトを攻撃する前に止め、彼のそばによる。Sは贅沢なんてことが許されない……いやそもそもできない環境で何十年も過ごしてきたので、デカルトの存在そのものが彼女にとっての地雷だったのだ。
「贅沢をしないと人は生きていけない、それはそうです。でも贅沢ばかりするのは違いますし、そもそも明日を生きるための資金もない人が贅沢とか……正直ありえないですよ」
「え……偉そうに……‼︎ 貴方はさっきからなんなんですか‼︎ 何様のつもりなんですか⁉︎ 大人でもない、仕事の辛さも知らない貴方なんかに‼︎」
「申し遅れました、僕シャーレの先生をやってます。マッシュ・バーンデッドです」
「―――――先……生?」
「毎日バリバリ働いてます、16歳です」
「16…………」
「……あの、はっきり言っちゃうんですけどね」
マッシュはデカルトに一つのシュークリームを床に置き。呆れた様子で、冷たい声でデカルトに告げていく。
「働ける力が、時間があるくせに働きもせず、無所持を誇っているくせに贅沢をしたいと思っている大人――はっきり言ってかっこ悪いです」
「―――――――」
「あと……ミヤコちゃん達のことを社会の蛆とか、ろくに働いてないくせにとか言ってますけど……彼女ら今自分の居場所を取り戻そうと、努力し、支え合い、自分の力で勝ち取ろうとしてる強い子達なんです」
最後に彼から背を向けながら、はっきりと、声色を変えてつげる。
「矛盾だらけの貴方よりも、芯を通しているミヤコちゃん達の方が何倍も立派だ。何もせず何かを得ようとしている貴方達よりも、大人なんだ」
「――あ……あぅぅ」
「二度と、ミヤコちゃん達のことを蛆だなんて言うな。貴方にはその価値すらない」
「―――うわぁぁぁぁぁっっ!!!!!」ダッ!
デカルトは叫び声を上げながら逃げて行き、それに続くように他のロボ達も消えていった。必死に先生として働いているマッシュと、働こうともしないデカルト……もはや、比べるまでもない。
「せ……先生」
「―――チガウンデスボクハコワクナインデス」
「いや、そうでなくて………その……ありがとう、ございます。あんなことを言ってくれて」
「当たり前のことを言ったまでだよ……恥ずかしい、シリアスキャラじゃないのに、ギャグキャラなのに」
「エデンの時もそうだったのだから、何も問題はないぞ先生」
「僕は気にするの……」
やっちゃったな〜と頭を押さえながら、マッシュはミヤコ達の方へと向かって歩く。褒められたのは初めてではないが、あそこまで熱意を持って褒められたのは初めてなミヤコ達。
「先生は、悪人にも優しいと思っていましたが…」
「優しくするのはほんと、でもその前にしっかりとお仕置きはする」
「飴と鞭……いやこの場合鞭と飴か」
「さっきも言った通り、僕はみんなのことを本当にすごいと思ってるんだ……だから、これからも――一緒に頑張ろうね」
深く頷くとともに、彼女らラビット小隊はマッシュの事を敵――ではなく、かっこいい人と認識するのであった。
そもそもミヤコちゃん達って子供なのに、働け‼︎った働いてもない大人が言うのってどうなんですかねほんと……。
そろそろ終盤です、ラビット小隊はマッシュに勝てるのか、SRTは復活を遂げるのか……ミヤコはマッシュを認めるのか、カイザーの企みを阻止できるのか、どうかお楽しみに
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