懲りずにまた前編後編にわけてしまったぜ!
今回ツルギさんのヤバさと強さがなんかおかしくなってる気がします……違うんだ聞いてくれ、マッシュ君が強過ぎて意味わからん感じになっているのだ。
とりあえず本編へ、どうぞ!!
トリニティ総合学園
学園都市キヴォトスにおいて、三大学園の一角に数えられる巨大学園。
ミッション系のお嬢様学校であり、自治区内には礼拝堂や古書館、音楽堂といった施設を擁し、校舎は宮殿を思わせるバロック調で象られ、領内には水質の良い湖もあるらしい。
宿敵・ゲヘナ学園と並ぶマンモス校であり、粗暴で自由気ままな問題児が多いゲヘナとは対照的に、優雅かつ善良な生徒が多く、一見、お嬢様学校といった印象を受ける…が。
一部では生徒間で陰湿なイジメが行われていたり、派閥の内外を問わず互いの足をすくい合うような騙し合いが横行していたりと、陰謀策謀渦巻くドロドロとした人間関係も垣間見える学校である。
そして、そこにある委員会の一つ
トリニティ自治区における違反行為を取り締まる治安維持活動を担う組織。
キヴォトスの体制側にどこかしら歪みや無理が見られる(同様の組織としてはゲヘナの風紀委員会等)ケースも目立つ中では、組織として比較的安定しており、委員長と副委員長の役割分担・連携は、当人同士の友人関係もあって良好らしい。
無数の派閥が潜在する学内の他組織とも、一部を除いて円滑に付き合っている。
マッシュはシャーレの先生として、トリニティへと顔を出しその正義実現委員会と交流を深めようとしていた。
『……先生、もう慣れちゃったんですけど』
「うん?」
『やっぱりその大量のシュークリーム、持っていくんですか?』
「うん、シュークリームは万物を繋ぐからね」
『どこの古代兵器ですかそれ』
「アロナちゃん、トリニティまで案内頼める?」
『それはいいですけど……ちゃんと聞いてくださいね?』
「うん、アロナちゃんの声はいつも、どんな時でも聞こえてるよ」
『――――…先生』
「?」
『そういうところですよ』(少し照れ顔をしながら)
「え?」
マッシュはアロナの案内の元、トリニティへと向かった。
「トリニティに来たのはいいけど」
ドォォン!!
ガァァァァァァァァァァァン!!!!
「聞いてた話と違う」
アロナの案内虚しく、正義実現委員会の部室から外れた街道に至ってしまったマッシュは、現在進行形で爆発と銃撃の渦に巻き込まれていた。
『エデン条約反対!!悪魔に魂を売ったティーパーティーに裁きを!!』
『裁きを!!!!』
(怖、なんか変な仮面の人達が暴れてる……)
不気味な白い仮面と頭巾で顔を隠した集団が、戦車や装甲車を走らせて暴れ狂っている。
「どどどどうしよう!!あの人達、撃たれても怯まずにそのまま突き進んでくるよ!?」
「こっちの弾もそろそろ限界…うぅ、どうしよう」
「皆聞いて!さっき通信が来た、こっちにツルギ先輩達が向かってるって!もう少し耐えたら勝てるよ…!」
「うぅ……もう帰りたい……あの人達、怖い…」
「そ、そうは言っても―」
ドガァァァァァァン!
「わっ!?」
「危ない!」
白仮面集団から放たれた砲弾が、付近の売店に備え付けられていたサイネージに直撃し、瓦礫とともに基礎から崩れ落ちて正義実現委員会の生徒たちに降り注いだ。
「危ない」
バネで弾かれたように放物線を描いてジャンプしたマッシュは、すぐさま正義実現委員たちに駆け寄るとともに、落下したサイネージを掴み取って傘のように瓦礫を防いでみせる。
「あっ、あっ…えっ…っ?……だ、だれ…?」
「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ」
「え、あ、あの…」
「下がってて、後は僕がやる」
「え!?」
へたり込んだ生徒たちが狼狽えるのも気にせず、マッシュは落ちてきたサイネージを振り回すと、そのままハンマー投げの容量で仮面集団へと放り投げた。
「な、なんですか貴方は!!?」
「それはこっちの台詞だよ、何やってるの君ら」
「ヘイローを持たない一般人……貴方には関係のない事です!すぐにこの場から立ち去りなさい!」
「無理です。そこらじゅう大変な事になってるし、いろんな人が怪我をしてる……見て見ぬ振りなんてできないに決まってるでしょ」
思わぬ反撃に驚きながらも、怒りに任せてマッシュに叫ぶ白仮面の生徒。対してマッシュは、正実委員たちを守りながら拳を握った。白仮面生徒が手にするアサルトライフルの銃口が、マッシュに向けられる。
「―ならば、いいでしょう!我々の邪魔をする、そこにいる
白仮面達は血迷っているのか、ヘイローを持っていないマッシュへ向けて集中射撃を浴びせかけた。だが知っての通り、その程度の銃撃など、マッシュ・バーンデッドは────
「フンフンフンフンフンフンッ」
ラッシュを繰り出せば防げる。
「な、なんなのよあの人!!」
「ひ、怯んではダメです!悪に屈しては『この子達を悪魔って言ってるけど』」
バキッ!!
「君らの方が悪党だろ」
マッシュは風のように白仮面生徒達の合間を通り抜けながら、武器を取り上げて即座に握り潰していく。そして怯んだところをすかさず手刀で気絶させ、一瞬のうちに白仮面達を鎮圧した。
「トライセップス魔法・ノックダウンチョップ・ラッシュバージョン…ちゃんと決まってよかった。にしても、酷い有様だな……あっ、君達、大丈夫だった?」
「は…はい……グスッ」
「あれ、やっぱり何処か怪我してるの?無理しちゃダメだよ」
「ち…違うんです、あの人達強くて、怖くて……けど、やっと助かって…ホッとして」
「ヒグッ」
「「「うえぇぇぇぇぇぇっ!!」」」
「え、え…」
正実委員達は安心のあまり感情が昂ったのか、噴水のように涙を噴き出して大泣きし始めてしまった。対するマッシュは慰め方や泣き止ませる方法が分からず、使えそうな道具を懐や鞄から探し出す。
「じ、じいちゃんならこんな時……え、えと……い、いないいない…ば〜」
「えぐっ、ぐすん」
「だだだだだ大丈夫だよ、ね?」
「ふぇぇ…うぅん」
「あわわわわわわわわわわわ」
泣き止まない正実委員に慌てふためいたマッシュは、ある方法を思いついた。マッシュは鞄からあるものを取り出し、頭に装着する。
なので
「…やぁ。僕はシュー君!君達の味方だよ!」(裏声)
「…しゅー、くん?」
「もう大丈夫だよ、シュー君がみんなを守っちゃう」(裏声)
マッシュが取り出したのは、シュークリームをモチーフにしたキャラクター・シュー君の被り物だった。顔を隠しつつ、裏声を使ってキャラクターを演じることで、正実委員を泣き止ませると同時に親しみやすさを演出する。
遠方、崩壊した建物が並ぶ数ブロック先から、何者かの叫び声と重々しい銃声が聞こえてくる。更にその声は盛大な破壊音を伴いながら、急速にマッシュ達がいる場所へと近づいてくる。
「新手?」
「貴様ぁ――私の…後輩に……何をしているゥゥァァッ!!」
「!」
その声の主は瓦礫の壁を飛び越え、雄叫びを上げながらマッシュへと飛び蹴りを叩き込んだ。
(重たい────砲弾が直撃したらこんな感じなんだろうな)
「ヒャハハハハ!!!」
声の主はマッシュの腕を蹴り飛ばす形で振り払いながら、飛び上がった直後に空中二段蹴りを放ってマッシュを吹き飛ばす。
(しかも追撃が早すぎるな、一体何者なんだろ)
「貴様が……暴れている仮面集団の一人だな?それも幹部クラスの…」
「え」
「エデン条約が控えていると言うのに、よくも暴れてくれたなぁ?」
「いや、待ってください、何かすごい勘違いしてませんか?僕は怪しい者じゃありません」
「そんな仮面をつけている奴が怪しくないと思うか?」
「あっ、これか……確かに、知らない人が見たら怪しいかも……」
(な、納得しちゃったぁ!?)
「つ、ツルギ先輩!!待って下さい、その人は──『お前達はそこで待機していろ……奴は私が潰す』…え?えっ、ええっ!!?」
その人物──赤黒い制服を纏った生徒は、まるで茨で首を継ぎ接ぎしたようなチョーカーを付け、頭のヘイローも血が零れ落ちるような不気味な形をしている。まるで、堕天使ともいうべき禍々しさだった。
爪は黒く塗られ、制服は正義実現委員会のものと思われる型式ながら、全体に謎の赤いシミがべっとりと付着しており、裾は火で炙られたか引きちぎられたかのように擦り切れている。
彼女こそ、キヴォトス全体でも最高峰の個人戦闘力を有し、『歩く戦略兵器』と恐れられている存在。
トリニティ総合学園の3年生・正義実現委員会の委員長───
「話し合いは、無理そうですね(この人は……ただ者じゃない)」
「そう言う事…だぁぁぁ!!!」バッ!
トリニティ最高戦力と、キヴォトス最強の脳筋によるバトルが、勃発した。
先に攻撃を仕掛けたのはツルギだった。
ダンッ!ダンッ!
「っぶね」
マッシュは体を捻り、至近距離で放たれる散弾を回避する。拳で弾くことができず、なおかつ近接戦での効果範囲が大きい散弾銃は、マッシュが相手にする中では最も苦手とする武器種だ。
「キャハ!ヒャハハハ!!」
「フッ!」
蹴りに対しては腕でガードするか足で相殺し、銃撃に対しては全身を捻る形で散弾から逃れることで、マッシュはツルギの攻撃を回避あるいはパリィしていく。
「ゲヒャヒャャ…ッチ、弾切れか」
「チャンス」
ツルギがリロードしようとした瞬間マッシュは動き、足払いでツルギを転ばせようとする、だがなんとツルギは
「甘い!!」
「イテッ……銃で殴って来る人、初めてだな」
熱を帯びているはずの銃身を素手で握り、狂笑とともに散弾銃の
「潰れろ!潰れろォォォォ!!」
その威力はその攻撃を喰らったマッシュが痛みを感じるほど。その一瞬で再びグリップを握ってトリガーに指を掛け直したツルギは、マッシュを散弾で吹き飛ばそうとした───
「………フッ!!」
差し向けられた銃口にマッシュは拳を打ち込み、銃身を歪めて粉砕する。案の定、マッシュの拳を叩き込まれた散弾銃の片割れ『ガンパウダー』が、一瞬にして使い物にならなくなった。
「!」(こいつ…ショットガンを素手で、なんて怪力をしている…)
「ごめんなさい、大事な銃壊しちゃって。僕の拳、鉄鋼よりも強いんです」
「見ればわかる―だが、銃はもう一本ある、この距離で…どう隙を作る?」
ツルギが残された一挺『ブラッド』の引き金に指をかけたその時、マッシュは可能な限り姿勢を低くして這うように加速し、散弾の射角を避けながらツルギの懐に踏み込む。直後、両手を広げツルギの顔の前で。
「ピースメーカー・ソニックウェイブ…!!!」バチィンッッッ!!!!!
「っ!?」
勢いよく掌を合わせて叩いた。そう、猫騙しである。
(猫、騙し!そんな古典的なものを―─っ!しまった、背後を…!一瞬の隙を許した!!)
「スパイン魔法」グッ
足に力を入れ、マッシュはツルギを掴んだまま空へと高く飛ぶ。
「ぐっ、っ──!?(なんて、力だ!)」
「ヘル・フォール!」
かつてカイザー理事にも叩き込んだ大技、ヘルフォールを叩き込む。しかしアビドスでの戦闘とは異なり、今回はマッシュも脳天から一緒に落ちていく。
ズドン!!
弾道飛行からの着弾によって地面が大きく割れ、クレーターが生じるとともに煙霧が立ち込める。マッシュはツルギを地面に叩きつけてから、自らは空中で身を捩ってしなやかな足で着地してみせた。
「あ、頭から行っちゃったよ!?」
「ツルギ先輩もあの人も、大丈夫かな…」
脳天一撃、常人ならこれで気絶し、死に至っていても不思議ではないが──―
『――まだだ…まだ足りないィ!』
「……やっぱり只者じゃ無かった」
ツルギは、無傷だった。服は少し裂けていたが、彼女の体には傷がない。脳天から地面に激突し、全身を叩きつける形となったにも関わらず、彼女は未だ健在だった。
「正直普通ではないと思っていた、最初の攻撃を防いだ時やショットガンの攻撃をするりと避けたその時から……しかしここまでとはな」
「意外と冷静なんですね」
「お前……何者だぁ?よく見ればヘイローが無い、キヴォトス人では無い普通の人間がそんな怪力を持っているなんて、普通に考えたら有り得ない…何をした?」
「鍛えました」
「キヒヒ…そんな嘘を………いや、本当か?」
「はい、じゃあ僕からも一つ聞いていいですか?」
「なんだ」
「さっき、確実に攻撃は喰らわせたと思うんですけど……攻撃喰らってませんでしたか?」
「いいや喰らったさ、しかしもう完治した」
「ヤバ」
「――しかし脳に少しばかりダメージが入っているな、少し視界が悪い……早めに終わらせる!」
「どうぞ」
その一言がツルギに届いた直後、両者は第二ラウンド開幕と言わんばかりに超高速の乱打戦へと雪崩込んだ。乱射される散弾を掻い潜るマッシュの拳がツルギの腕に防がれ、対してツルギの鋭い蹴りがマッシュの腕や足に防がれ、砲声のような衝突音と衝撃波が一帯を揺るがしていく。
この戦いに介入できるような存在は、キヴォトス全体を俯瞰しても僅かに数えるほどだろう。まさに二人は鬼ごっこ状態だった。
「は、早すぎて見えないよ!」
「なんであの人、ヘイローもないのにツルギ先輩と戦えているの!?」
「ハスミ先輩早く来て〜…」
鬼ごっこをしている中、ツルギは考える……このままでは埒が開かないと。
(どうする、奴の体力はおそらく私よりも上…このまま逃げ続けては先に私の体力が無くなってしまう、詰めるしか手はないな)
ツルギは冷静だった、次、マッシュが突っ込んできた瞬間引き金を足元へ向けて引く…そう決めた
はずだった、マッシュがある事をするまでは。
ズン!!
「地面に…手を?」
「フン!」ズドッ!!
マッシュは舗装面を抉ってめくりあげると、ツルギめがけて剥がれた舗装面を倒していく。持ち上がった地面が、津波のようにツルギへと伸し掛かろうとした。
(地面を抉りこちらに倒し、強引に逃げ道を防いだ!真正面は…もう突っ込んできているか!)
そしてマッシュは、倒した地面に真正面から突っ込み、壁となった舗装面を粉砕しながらツルギへと接近する。ツルギは迎撃のために愛銃を構えるものの──―ツルギは撃つことを躊躇った。
(ダメだ、一度逃げるしかない…逃げ道は、右か左かの二択)
スッ!
(右……反射では対応できないと察して賭けに出たな、だが残念だったな……!)
マッシュは右にずれたと思わせて左へと移動し。
これはボディフェイント、上半身を大きく揺らして相手の意識をズラし、反対方向へ切り返す。
スポーツの基本中の基本。
(だ…が、甘い!!僅かに届かないだけの距離は稼いだ、私を掴むことは不可能―)
ビキビキビキビキッ!
「小指―─だと!?それだけで…私の、制服を」
「フンッ!」
マッシュは小指の力だけでツルギの制服を掴み、そのまま地面へと叩きつけた。
ゴッ!!
(こんなバカげた力を持つ者が…この世界に居ただなんて……)
ツルギはそのまま倒れ、ショットガンを手放した。
マッシュは息を整えツルギに問う。
「まだ、やりますか?」
「……いや、背中にダメージが行き過ぎた―もう動けん」
「………手加減、してくれてましたよね」
「………」
「さっき、僕を撃とうとした時、戸惑ってましたよね。それに体じゃなくて足に向かってでしたし」
「気づいていたか」
「はい」
マッシュはツルギに手を差し伸ばす、ツルギは何をしているんだ?と戸惑っていたが、マッシュは言う。
「僕は敵じゃありません。シャーレの先生、マッシュ・バーンデッドって言います」
「―──シャーレ…の…先生?」
「とりあえずお話しをしませんか?」
「……あ…は……はい…」
ツルギはしゃがんだ状態でマッシュの手を握る、だがその時、その瞬間を邪魔するかのように
『ばけ―もの!!』
「―!」
『消えなさい!!』
偶然意識を保っていた白仮面生徒の一人が手榴弾のピンを抜き、マッシュに向けて投げた。すぐにツルギが動くが、それをマッシュは止めてツルギを守るように体を覆う。
「大人しく、して!」
「ぐっ!…で、ですかこれであの二人は―――――――へ?」
正実委員が手榴弾を投げた生徒の背中を抑えて拘束するが、すでに手榴弾は空中にあった。
「あっっつ、手榴弾ってこんなに熱いんだ……皆よく耐えられるなぁ」
「は…ぇ…ぁ…ぅ」
「怪我は無いですか?」
頬に煤が付着したマッシュが、ツルギに振り返る。
「―キ…ぇ……あ…わ…あわわわ…あわわわわわ……/////」
「?」
「き、キィィ…!」
「顔赤いですよ?とりあえず誰――」
「キェェェェェェェェェッッッッ!!////////」
「オブッ」
ツルギはあまりの羞恥に耐えかねて奇声を上げながら腕を振り上げ、マッシュの顎に向かってアッパーを撃ち込んでしまった。
「正義実現委員会です!!大人しく投降を………」
「えーーと……なんすかこの状況」
「先輩が赤面しながら照れていて、おそらくシャーレ先生であると思われる方が地面に倒れていて……?」
「―――痛い」
この日マッシュは、人生で初めて(そして恐らく生涯で唯一)女性からアッパーカットを喰らうこととなった。
ツルギさんの口調やデレってこんな感じで大丈夫ですか?難しいんだからが………乙女なツルギさん本当大好き。あのギャップに脳が焼かれちゃったんです。
励みになりますのでコメントと評価!どうぞよろしくお願いします!
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