透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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言い忘れてましたが、めちゃくちゃ大事な回なのです。割と本当に捏造&妄想です、ご了承くださいませ。



それでは、どうぞ‼︎


"時計仕掛けの花と筋力のパヴァーヌ編・第二章"
マッシュ・バーンデッドとセイアの仮説


 

 

 

 

 

 ある日のキヴォトス。マッシュはトリニティ総合学園生徒会(ティーパーティー)会長(ホスト)・百合園セイアに呼ばれ、トリニティへとやってきた。

 久しぶりとなるトリニティ訪問に少しテンションが上がっているのか、手には膨れるほどシュークリームを詰めた紙袋を抱えている。

 

 

 

 

「えーと、セイアさんの部屋は……あれ?」

 

──チュン

 

「セイアさんのそばにずっといた鳥だ、確か……シマエナガだっけ。どうしてこんなところに」

 

──チュンチュン

 

「あれ、二匹いたんだ。親子だったり………えっ」

 

──チュンチュンチュンチュンチュンチュン

 

「なんか十匹くらいに増えたんですけど」

 

 

 

 

 10を超えるシマエナガはマッシュの肩に並ぶとともに、ついてこいと言わんばかりに鳴き続け、まるであそこへ行けと指示を出すように羽を広げていた。

 

 

 

 

「行く、行くよ。そっちにセイアさんがいるんだね……あっこらダメだよ、あとでちゃんと分けてあげるから、つまみ食いはダメ」

 

 

 

 

 頭や肩、そして胸筋の上に乗りながら鳴き続けるシマエナガ、さながらマッシュがソレらを操っているかのようにも見えるその光景。

 どこぞの夢の国で登場する作品の王子様の中にいそうだが……いやいない、こんなに強い王子は多分あそこにはいない。姫であったとしても多分いない。

 

 

 

 

「ここだ……すみませんセイアさん。僕です、マッシュ・バーンデッドです。入りますよ?」

 

 

 

 

 セイアの部屋の前までやってきて、呼びかけるも返答がない。マッシュはそっと部屋を開ける………そして中にいた―─否、あったのは。

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 物言わぬダンボールの箱だった。丁度(ゲーム開発部の部室に置かれていた某ステルスアクションゲームよろしく)人が一人入れる大きさ……いや、そもそも既に入っている。

 ガムテープで封された箱の上面から、セイアのヘイローがはみ出してしまっているのだ。

 

 

 

 

「セイアさん?何やってるんですか」

 

「……流石は先生だ、私の隠密をこうも簡単に見破るとは」

 

「いやヘイローガッツリ見えてましたし、部屋の雰囲気と合致してませんよ?」

 

「……はっ、盲点」

 

「とりあえず出てから喋りませんか?」

 

「……ふふふっ、このセイアバリアーを破れるものなら破ってみよ!」

 

 

 

 

 マッシュは普通にダンボールを片手で持ち上げ、セイアを箱から引っ張り出した。思っていた以上にセイアが軽かったために、いつか背負ったサオリを思い出したマッシュは一抹の不安と心配を覚えたが……──

 しかし、それ以前に彼が驚かされたことがあった。尻尾と髪が整っておらず、ボサボサだったのだ。

 

 

 

「何があったんですか?」

 

「実は寝不足でね、しっかりと起きられなかったんだ。呼びつけておいてこれはないだろう、と思ってね……余計に顔を合わせられなくて」

 

「成程、じゃあ僕が整えてあげましょうか?」

 

「おや、いいのかい?……いや、そもそもできるのかい?」

 

「いつもワカモちゃんやイズナちゃんの毛並みとか整えてあげたりしてるので、全然楽勝ですよ」

 

「ふむ、なら遠慮なく頼ませてもらうよ」

 

「御意に」

 

 

 

 マッシュはセイアからクシやヘアピンなどを借り、彼女の身支度を整え始める。

 ボサボサの髪や尻尾の毛を優しくブラシで整え、花柄のヘアピンは傷つけないよう丁寧にハンカチで包む。

 

 

 

「……先生、私は赤ん坊じゃないんだからそんなに緊張したくてもいいんだよ」

 

「だってセイアさんすぐ壊れちゃいそうで怖くって、ミカさんだって似たようなこと言ってましたし……」

 

「そう簡単に壊れたりしないさ、なんてったって私はStrikerだからね」

 

「何の話ですか?」

 

「そして人権アンドぶっ壊れだからね」

 

「セイアさん?」

 

「はは、こっち(4周年記念での実装)の話さ。こうして私の声を君に届けられるというのも、素晴らしいことだと思わないかい?」

 

 

 

 

 手早く彼女の身支度を整えていくマッシュ。絵面は完全に、姫の身支度をする執事だ。しかも多分黒執事……力技で何もかもを解決しそうな執事ではあるが。

 

 

 

 

「でもセイアさんが寝不足って意外ですね、そんなイメージなかったのに。何か楽しいことでもあって寝付けなかったとか?」

 

「……実は、そのことで先生を呼んだんだ。とても、大事なことだからね」

 

「セイアさんの言う大事って、結構な大事ですよね」

 

「はっきりと言ってしまうが、今回の事はあくまでも私の仮説であり確証はない……でも、状況証拠を見れば大いに可能性がある、そんな話題なんだ」

 

「やりながら聞きましょう」

 

 

 

 

 セイアはゆっくりとその憂いを唱え、神妙にその内容を語る。疑われても、信じられなくても、とにかく彼には伝えておかなくてはいけない内容だった。

 

 

 

 

「先生の世界には、神がいるらしいね」

 

「なんかそうらしいですね。僕みたいな例外を除いて、人間は神様から力を与えられた……とかなんとか」

 

「そして先生の世界、魔法界には…文字通り魔法がある、と」

 

「その神様が授けてくれた力……ってじいちゃんは言ってました」

 

「………その、魔法についてなのだが。ソレには魔力と呼ばれるものを使うのだったね?」

 

「はい」

 

「その魔力はもしかしたら――私達ヘイロー持ちの生徒も、皆が持っているものかもしれないんだ

 

「―――はい?」

 

 

 

 

 思わず、マッシュは手を止めてしまった。

 何故そんなぶっ飛んだ仮説が思い浮かんだのか、マッシュには理解できなかった。いや、マッシュでなくても理解は難しいだろう。

 

 

 

 

「……なんで、そう思ったんですか?」

 

「我々に宿っているヘイロー、並びに神秘は生まれつきのものなんだ。そして我々の中には……ごく稀に、その神秘が強力だったり、濃密だったり、特定の能力を発揮に必要不可欠だったりする者がいる──というのは、生徒と拳と銃火を交えた君なら、身を以て理解しているだろう」

 

「まぁ……ミカさんやアツコちゃんとか、ホシノさんみたいな?」

 

「その通り。他にもツルギやミネ、ゲヘナの空崎ヒナ…あとはミレニアムだと、美甘ネルは勿論のこと、一之瀬アスナの"勘"だったり、黒崎コユキの暗号解除能力などが挙げられるね……かくいう私も、かつては予知夢を利用していたくらいだ」

 

「もしかして……その神秘ってヤツは、魔力と同じようなものなんですか?」

 

「……これは、本当に仮説なんだが」

 

 

 

 

 

 セイアはゆっくりと、詳らかに自分の推測を語っていった。

 その仮説はセイアがこの世界について色々と調べ上げてきたときに、辿り着いたもの……
 そして何より、あのイノセント・ゼロとの接触により得られた情報から導かれた、ある意味では望ましくなかった結論だった。

 

 

 

 

「ベアトリーチェは、秤アツコの神秘を吸い上げてあの力を手に入れ、そこからイノセント・ゼロに鍛えられた技能を用いて魔法を利用した……先生、ここで考えてみてくれ。神秘を使えば、ミカのように特殊な能力(スキル)を発動することも出来るだろうが──例え神秘があったとて、ヘイローも持たない大人があんな大掛かりな魔法を行使することは不可能に等しいはずだ。だがここで、神秘と魔力が等価である、と解釈したらどうだろう」

 

「……言われてみれば」

 

「キヴォトスと魔法界は……本当に、偶然繋がっただけなのだろうか――私は、そうは思わない。きっと先生がここに導かれたことは必然であり、二つの世界はもともと繋がっていたんじゃないか、とも考えているんだ」

 

「えっと……つまり?」

 

「単刀直入に言おう、先生。魔法界で神と呼ばれている存在は――」

 

 

 

 

 

"忘れられた神々""名もなき神"と称される存在────つまるところ、私達の先祖に相当する『キヴォトスに住んでいた神格』──あるいは、それらと起源を同一のものとする存在である可能性が、非常に高い

 

「………………マジですか?」

 

「マジだ。(おお)マジだ」

 

 

 

 

 天もびっくりするレベルの衝撃、仮説とはいえマッシュは思わず言葉を失ってしまった。

 それがもし本当ならば、魔法界で信仰されている神様はキヴォトス人の同族に等しいと解釈できるばかりか、杖に宿っている神の力はキヴォトス人の神秘と等価の力である、ということになってしまう。

 

 

 

 

「ベアトリーチェの神様は、なんというか鋳像みたいで……まるで人工物でした、あれってやっぱり……無理やり引き出したから?」

 

「あの魔法は彼女自身が作り上げた紛い物(偽の神)だからね」

 

「つまりあれですか…?カスタードシュークリームと、カスタードドーナッツの中身が同じなような感じですか?」

 

「例え方が独特だが、間違ってはいないな。どちらも中身はカスタード(本質的には同じ存在)、というのが私の見立てだ」

 

「………でも、やっぱり分からないことだらけですよね。仮にセイアさんの言う通りだったとして、どうしてその神様たちが魔法界に移住しちゃったのか、その状態でどうやって今のキヴォトスが出来たのか、どうしてベアトリーチェが魔法界に立ち入ったり、逆に僕やじいちゃんがキヴォトスにやってきたりしたのか───説明がつかないことが多すぎると思うんです」

 

「それについては、私にも分からない………でもこれがもし仮説ではなく、事実ならば――我々生徒は皆……神の名と姿を持った怪物、ということになるんだ。君を死に瀕する危機に曝した、あの偽の神(ヤルダバオト)と同じように───私達は、君達の敵と呼ぶべき存在になってしまうかもしれない」

 

 

 

 

 

 これに起因する不安こそ、セイアが眠れない理由であった。

 自分達はただの生徒(人間)ではなく、怪物に近い存在だという仮説……こんなことを知って、普通でいられるわけがない。

 

 

 

 

「怪物なんかじゃない」

 

「しかし……だね」 

 

「たとえそれが事実であっても、僕がみんなを嫌ったり避ける理由になんてならない」

 

「仮に、だ。誰かが我々のことを"少女の皮を被った怪物"だと言ったら、どうする?」

 

「明日の朝日を拝めないほどにボコボコにします」

 

「本当にやりそうだね君は」

 

 

 

 だがマッシュは、セイアの不安を決然と否定した。

 マッシュはセイアの髪を整え終えると、シュークリームの入った袋を彼女に渡す。袖で隠れている小さな手でそれを受け取ったセイアに、彼は言った。

 

 

 

 

「教えてくれてありがとうございます。今回の話は忘れません。でも僕は、みんなの正体とか気にしないことにします。たとえ真実がどうであれ、僕はいつも通りみんなを守るだけですから」

 

「本当に……頼もしいね、先生は」

 

「いえいえ」

 

 

 

 

 シュークリームを小さな口で一口齧り、クリームの味を確かめてから───セイアは一つ、彼に忠告を伝えた。

 

 

 

「これは忠告、というよりも注意喚起になるが……この先、何か特殊な力を持っているであろう相手には気をつけるんだ。さっきの仮説の通りなら……その相手は、魔法が使える可能性がある」

 

「神秘が強い人が覚醒して、あの杖とかを召喚できるってことですか?」

 

「可能性の話だが、大いになるね」

 

「あのレベルの相手がたくさん出てくるのは完全だな……まあみんなぶっ飛ばすんだけど」

 

「それでこそ、先生だ。……モグモグ」

 

 

 

 

 

 キヴォトスと魔法界、神とキヴォトス人……謎はまだまだ多いが、一つだけ絶対的な事がある。たとえ真実がどうであっても、マッシュは生徒達とこの世界を見捨てない。

 

 

 

「絶対に誓うよ、じいちゃんの名にかけて」

 

 

 

 そう彼は、強く誓うのであった。

 

 

 

──そしてこの誓いが、今回の話の(Key)となる。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

先生!!手加減してよー!!大人気ないよー!!

 

歳そんなに変わんないよ僕達

 

 

 

 

 

 

 

先生、アリスと一緒に冒険へ出かけましょう!

 

うん、とりあえずその剣は置いておこうね

 

………むぅ

 

そんなバスタードソードみたいな両手剣を持っていくのはとっても危ないので、ダメ

 

 

 

 

 

 

 

先生、ちょっと面を貸してくれ

 

ネルさんダメですよ、こんな時間に

 

何変な勘違いしてんだよ!!?初対面もこんなんだったよなぁ先生!?

 

 

 

 

 

 

 完璧最強メイドのトキです。少し足が疲れてしまったので、ソファの上で横になってもよろしいでしょうか……あっ、ポテチも食べていいですか

 

がめつくない?

 

 

 

 

 

 

 

……えっ、生徒なんですか?ごめんなさい、どうしても大人にしか見えなくて

 

……大人

 

大体25歳くらいの

 

にじゅぅ……ご………

 

あっ、あとどことなくお母さん感が

 

先生、それ以上は言わないであげてください。最近道端で会った幼稚園生に「おばさん」と言われたことに対して、本気で悩んでいたので

 

トキッ!!!!!!

 

 

 

 

 

アリスちゃんが何者でも、僕の友達なんです。その友達を、壊させたりしない……何がなんでも絶対に

 

……そう、残念だわ。先生、やはり個人の気持ちを第一に考えているのね

 

 

 

 

 

 

私も助ける……実に非合理的ね、貴女には私を見捨ててミレニアムを助けるか。私と協力してミレニアムとキヴォトスを守るか、どちらかしかないの!!

 

いいえ、道はいくらでもあります。僕はみんなを救う方に進みますよ、絶対に

 

 

 

 

 

 

リオさん、その滅びの運命に向かって僕と一緒に戦いましょう、死んでも見捨てたりしないので

 

………おかしな子よ、貴方は

 

 

 

 

 

アリスは勇者になるって決めたんです、モモイ達や先生……この世界を守れる勇者に! だからこの程度でヘコたりなんてしません!――それに何が相手でも、筋肉でどうにかします!

 

先生どうしてくれるのかしら

 

こればっかりは本当にごめんなさい

 

 

 

 

 

 

 

足を引っ張らないでくださいね、リオ

 

こっちのセリフよ、ヒマリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――何故ですか王女、何故あなたは、貴女は……なんなのですか!!

 

 

アリスはアリスです。そして貴女は貴女なんです――貴女と私も、先生の大事な生徒なんです‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリスはこの世界に生まれてよかったって本気で思っています! だって、そういう運命で生まれたはずの私に、いろいろな楽しいことを教えてくれた人にたくさん出会えたんですから‼︎

 

 

 だからこれは、アリスの、アリスだけの力です! みんなの繋いでくれた、大切なメモリーパワー……名付けて――ゲームズ(GAMES)!!

 

 

 

 

 

 

――――ゲームスタート……たくさん遊びましょうね、ケイ!!

 

 

 

 

 

時計仕掛けの花と筋肉のパヴァーヌ編・第二章
勇気・友情・筋力、そして光のロマン

 

 

 

 

 

 

 

 

開幕GAME START






パヴァーヌ二章、お楽しみに。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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