透き通る世界に拳を一つ   作:六科

271 / 363


ガッチガチの重要回です、どうぞ見て覚えてください。

もやし炒めって結構美味しいんですね


明星ヒマリと調月リオ

 

 

 

 

「あら……超天才清楚系病弱美少女の来訪を、電気をつけずに迎えるなんて……来客をもてなす気がこれっぽっちもないと言う点、とてもあなたらしいとは思いますが……しかし、暗い部屋でモニターをつけていると目が悪くなりますよ……リオ」

 

「ちょっと待っていてちょうだい……今、終わるから」

 

「人を呼びつけておいてなんですかそれは……全く、一体何を見て──」

 

「見てはダメよ!!」

 

「そんな本気で怒鳴るほどに見られたくないんですか…?」

 

 

 

 

 

 ミレニアムサイエンススクール・会長室。ミレニアムの全知こと明星ヒマリと、セミナー会長・調月リオの密会。呼びつけたのはリオである。

 

 

 

 

「……本題に入りましょう」

 

「ええ、わたしもさっさと帰りたいので」

 

「まず、お互いの認識のすり合わせを。前回、"鏡"を巡ってミレニアム生が起こした一連の騒動……あれは私たちが仕掛けた事だったわね」

 

「ええ。私が"鏡"という手段を用意し、リオが『C&C』という危機を提供する……珍しく我々の目的と手段が一致した物でしたね♪――マッシュ先生の戦闘力は完全に想定外でしたが

 

あんなもの誰も想定できないわよ……なんなのよ、対物用ライフルを蹴り飛ばしたり投げたりするなんて……何より、何故あのネルに勝てるのよ…‼︎」

 

「お互い、理解できなさすぎて何回も議論しましたものね」

 

 

 

 

 

 2人で仕込んだ例のゲーム部の事件、C&Cを凌駕し実質ミレニアムを単騎で攻略したマッシュを当時モニターで見ていた2人は、あんまりにも理解ができなくて何度も検証と議論を続けたそうだ。そして結論として『強すぎる』ということで解決させた。

 

 

 

 

「アリス……彼女の正体を明かすと共に、先生の正体も明らかにすることにしていたけれど……これ以上は、もう何も言わないでおきましょう」

 

「…そうですね」

 

「彼女の正体への解釈は、もう結論が出ているのかしら」

 

「勿論です。無名の司祭……それなる存在が崇拝するオーパーツであり」

 

「はるか昔の記録に存在する、名も無き神々の王女……つまり、あの存在の本質は」

 

「……ええ」

 

 

 

 

 二人が互いに近づき、目を合わせながら双方の結論を告げた。そこに嘘はなく、真の目しか存在しなかった。互いに、これから告げる結論に偽りや誤りは存在しない。

 

 

 

 

 

「世界を終焉に導く兵器」

「可愛い後輩ですね⭐︎」

 

 

 

 

 

 リオはアリスを危険すぎる存在と、ヒマリをただの可愛い後輩と結論告げた。互いに何を言っているのかわからず、しばらく沈黙が続いた。

 

 

 

 

「……本気なのかしら、ヒマリ」

 

「本気ですよ、あの子は世界を滅ぼす危険な存在なんかじゃない。ただの可愛い後輩、天童アリスちゃんです」

 

「デカグラマトン、それの危険性はよく理解しているはずよ」

 

「貴女こそ理解しているはずですよ、そのデカグラマトンを単騎で倒せる存在がここにはいると」

 

「……だからこそよ」

 

 

 

 

 リオは力強く手を握り、鋭い視線でヒマリに告げた。間違っているのはわかっている、やろうとしていることの重大さも。

 

 

 

 

「だからこそ、その力を使って、あのオーパーツを破壊してもらうのよ」

 

「その言葉の意味を、重さを、理解しているのかと……私は何度も貴女に問いただしたはずです」

 

「オーパーツの力は未だ未知数、恐ろしい事態に発展するその前に、破壊するのが一番合理的よ」

 

「貴女は彼に、マッシュ・バーンデッドに人殺しの汚名を着せる気なのですか。あんなにも優しい子に対して‼︎」

 

「……1人で背負わせるだなんて誰が言ったかしら」

 

「なんですって…?……リオ、まさか、貴女!」

 

「人殺しの汚名……その一つや二つ、いくらでも背負ってやるわよ。キヴォトスを、ミレニアムを守るためならね」

 

 

 

 

 

 覚悟が決まっている目、ヒマリは理解できなかった。殺人の罪を背負うところではない……どうしてそこまでして、彼女を破壊させようとするのかをだ。

 

 

 

 

「リオ、冷静になってください。この世界には先生がいらっしゃるのですよ? 仮にアリスちゃんが暴走したとしても、彼が止めて―」

 

「一度暴走して止めて、それで安心するつもり?暴走が一度きりで止まるはずがないでしょう?………それに、それにあのオーパーツは……恐ろしすぎるのよ」

 

「……リオ、貴女は何を知っているんですか。それを教えてください…でないと納得できません、貴女はまるで『アリスを止めることは先生には不可能』と言っているようではありませんか」

 

「………先生の実力は認めている、デカグラマトンや、あの魔女すらも単騎で倒しキヴォトス全体の抑止力となっているほどの存在……それはわかっているわ」

 

「なら『でも!』

 

「アレはそんなレベルの話では無いの……アレは、本気で世界を終焉に導ける、そんな力を秘めているのよ」

 

 

 

 

 

 リオは手元にあるタブレットを操作し、プロジェクターから映し出された映像を空中に映し出す。それを見て……ヒマリは戦慄した。

 

 

 

 

「まさか……リオ……そんは」

 

「わかったかしら……これが事実……」

 

「こんなものが事実だなんて……リオ…」

 

「信じるしか無いのよ…それしか、道は無いの」

 

「そんなリオ……まさか、まさか―――まさか貴女に」

 

 

 

 

 

 

 

 

「他人から老けて見える少女の気持ちがあっただなんて…!」

 

「………?一体なんのはな……はっ‼︎」

 

 

 

 

 

 映像は映像でも、よくネットに上がっている『周りから老けて見られる時の対処法』などが大量に現れていた。リオは急いでそれをしまおうとするが、ニヤニヤしながらヒマリがそれを遠隔操作で止める。

 

 

 

 

 

「よく誰かのお母さんに見間違えられますものね〜、年齢詐欺だなんてよく言われているぐらいですし〜」

 

「ち、ちがうのよ。これはたまたま目に入ったものであって別に私が悩んでいるわけでは」

 

「安心してくださいリオ、男の人というのは包容力を求めているとは言いますし……母性を求めている人にはたくさんモテるはずですよ。ふふふっ」

 

「………人のことを棚に上げてよくもまぁバカにできるわね――周りから老人の相手をしているみたいだと言われているくせに」

 

「私はそう接しているようだと言われているだけで、老けているとは言われてきませんので……まあ? その無駄に育った体が褒められていると解釈すればいいのでは?

 

「貴女の体だって、ある一定の者には需要があるはずよ――まあ、心配されて最後まで発展しないのは目に見えているけれど

 

 

 

 

 

 お互い額に青筋を浮かべながら煽る煽る、しかしここは全知と会長、冷静になり話を戻す。リオが咳払いを行い、ささっとある画像を見せる。

 

 

 

 

 

「……これは、文字?」

 

「はるか昔の文献に記されていた記録を元に、私が解析と翻訳を試みたデータよ……編纂の結果、ある事実が判明したわ」

 

「…それは?」

 

「はるか昔の、ここに住んでいた者は……神秘を自在に操れる者がほとんどだったの」

 

「神秘……我々の体に流れているという?」

 

「そう……そして文献にはこう書かれているの、『神秘とは体の中にある秘めたる力、空想を現実に変える』と」

 

 

 

 

 

 全知であるヒマリは、その文字だけを聞き何かを察した。それはマッシュの祖父レグロ・バーンデッド、彼が使う……魔法の存在だ。

 

 物を浮かせ、光弾を放つ……誰しもが思い描いた空想を、彼は、魔法を使えるものはできる。

 

 

 

 

 

「…魔法と神秘は、等価」

 

「我々の中にある神秘は、世代を超えて年々弱体化している。詳細な原因は不明、恐らくは複合的な環境要因によるものである可能性が高いけど────その証拠に、我々は魔法を使えない。神秘は一定量に止められている……しかし」

 

「その中には、恵まれた神秘を持つ者がいる。仮にそれらがなんらかの影響で覚醒すれば……魔法が使えるようになる……と言うことは──」

 

「……あのオーパーツも、"覚醒"の可能性があるのよ。考えても見なさい……ただでさ驚異的な力を持っているデカグラマトン、それと同格かそれ以上の兵器が魔法に目覚め、覚醒するのよ?―――それだけでも、生じうる影響は計り知れない」

 

 

 

 

 

 ベアトリーチェが覚醒しとんでもない力を手に入れたい事例があるように、アリスも覚醒すれば、それに見合った力に覚醒する可能性が大いにある。それが暴走でもしたりなんてしたら、大惨事もいいところ。

 

 

 

 

「まだそうと決まったわけではありません」

 

「可能性が少しでもあるのなら、それを先に阻止するのが合理的かつ、安全なのよ」

 

「……仮に先生一人で勝てなかったとしても、貴女が彼と協力したならば、勝てると?」

 

「可能性は大いにあるわ」

 

「そもそも先生が、友達を殺すことに手を貸すとでも?」

 

「しないでしょうね……彼ら、お人好しなのだから……そして私とぶつかるでしょう」

 

「………先生を倒し、封じ込め、貴女一人でアリスちゃんを殺す…と?」

 

「―─その通りよ」

 

 

 

 

 

 突如、リオは周りには大量のロボットが出現した。ヒマリを抑えるかなような囲い方だ。

 

 

 

 

「先生でしかオーパーツを倒せないと言ったけれど、それはあくまでも協力してくれたらの話。しないとではあれば……私と彼は敵と同士となり、争う関係になる」

 

「馬鹿な真似はよしてください、貴女が彼に勝てるとでも思っているのですか。それにあの先生はやる時にはしっかりとやる人なんです!!最悪、貴女を再起不能にまでする可能性だってある!秤アツコ(ロイヤルブラッド)が拉致された際、あの魔女がどんな末路を辿ったのかは見たはずでしょう!?友達(生徒)を殺そうとしているのなら、尚更です!」

 

「覚悟の上よ……私は、もうこれ以上―――あの子が責任を負う姿を、見たくないのよ」

 

「……リオ……リオ、話を…!」

 

「――トキ」

 

 

 

 

 

 背後からいきなり手を回されたヒマリは、口元にハンカチを押し付けられる。強烈な圧迫感とともに揮発するエーテル麻酔に、程なくして病弱なヒマリは抵抗の暇もなく意識を失った。

 

 

 

 

(――貴女、その、は……!?…―…先…――生────)

 

「……落ちました」

 

「そのまま、彼女を例の部屋へ」

 

「かしこまりました」

 

「……ごめんなさいヒマリ、もうこれしかないの」

 

 

 

 

 リオはじっと窓の外を見て、力強く、唇から血が出るほどの力で口を噛み、必死で自らの感情を抑えながら告げた。

 

 

 

 

 

「あの子はきっと、生徒の前では本気を出せない。例え中身(本質)が違ったとしても……彼は腕輪を外せない。そんな彼が、覚醒したオーパーツに勝てるとは到底思えない。それに……もし止められたとしても、それは彼女を殺すことになる」

 

「…………」

 

「その罪を背負うのは、突然ここに巻き込まれた彼ではない。元からここに住んでいて、その力がある……私がやるべきなの……それしかないの」

 

 

 

 

 

 マッシュに人殺しの汚名を着せる気はない、たとえ協力してもらったとしても、その罪を背負うのは自分1人でいいと本気で考えていた。それが世界を救う方法だから――それしかないと確信してきたから。

 

 

 

 

 

「個よりも私は全を取る……私一人を犠牲にしてでも、ここを守ってみせる」

 

「……最期までお供いたします、会長」  

 

「ありがとう……トキ、でもとりあえず」

 

 

 

 

 

 C&Cの()()()・飛鳥馬トキが、一礼をして告げる。トキもリオと共に、その身を犠牲する覚悟でここに立っていた。

 

 

 

 

 

 

「その目の下のアザは化粧で隠しておきなさい」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 

――彼女の頬、その右目の下には、二本の黒いアザが走っていた





トキちゃんのアザは、原作マッシュくんの顔に書いたようなあのジグザグなやつです。

とりあえずある一定数の強い生徒は目覚める可能性があると知っておいてください。そして大いに想像してくれて結構です……多分大半が当たってるので。


よろしければ感想と評価の程、どうぞよろしくお願いします。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。