リオ会長のメモロビを見た妹先生の反応です。
『どけっ!!!!!!私がお姉ちゃんだ!!!』
「はぁ……はぁ……ったく、次また変なこと言ったらぶん殴るからな!!」
「もう殴られてます」
「うぅ……頭が痛いです……!!」
「こっちの方が痛いわ!!なんなんだよお前らの頭!石頭とかのレベルじゃねえ!……あ〜…いってェ……」
頭にたんこぶを作りながら正座するアリスとマッシュ。ゲームセンターの中で説教を受けていることもあって、はたから見れば目立つはずなのだが……今日は何故か、ゲームセンターの中にも他の生徒はいなかった。
「それにしても……おかしいです。いつもならもっと、人がいるのに……今日は全く見当たりません」
「いつもってことは、よく来るの?」
「はい!いつもチビメイド先輩と一緒に、ここでゲームをしてるんです!」
「それはそれは、アリスちゃんがお世話になってます」
「親かよ、あと勝負してるだけだぞ」
「どっちかと言うと兄ですね」
「しらねぇよ!!!」
マッシュとアリスは、立ち上がって辺りを見渡した。人払いをしたように見受けられる人影はなく……店員の姿も見つからない。
「ネルさん…今、ミレニアムで何が起こってるんですか?」
「簡潔に話すぞ。…先生、アンタはリオのやつに目をつけられてる、それも敵対者としてだ」
「一応、さっきアスナさんからも聞きましたが」
「続きがある……
「すごいショックだ」
「なら表情筋くらい動かせよ」
「ま、待ってください!?」
いつにも増して真剣な顔で、信じ難い任務内容を告げるネルに我慢ならなかったのか。アリスは会話を遮って疑問をぶつけた。
「アスナ先輩の時もそうでしたが、なぜ会長さんは先生を敵と認識しているんですか!?先生はキヴォトスの勇者なんですよ!?」
「詳しくは聞かされなかったが……『先生の力はいずれミレニアムにとって脅威になる』、ってよ」
「そんなの、おかしいです!!会長さんに直談判してきます!!」
「やめとけ、お前もマークされてんだぞ」
「アリスちゃんも?」
「……はっきり言う、リオは手持ちにある全てのリソースを割いてでもお前らを潰す気だ。本気でな」
周りのゲーム音声が、やけに静かに聞こえた。ネルの言葉は2人の驚かせるには十分であり、アリスはオドオドとしながら、マッシュはふむ……と深刻そうな顔をしていた。
「アタシらも例外じゃねぇ。『"その時"には二人を倒せ』、って言われたがな」
「まさか……ここで、戦闘を開始する気ですか⁉︎」
「話は最後まで聞け」
「じゃあ勝負しましょう、あそこのパンチングマシーンで」
「絶対に負けんじゃねえかふざけんな!」
「じゃああれやりましょう、エアホッケー!ネル先輩vs先生とアリスの!」
「だから勝てねぇって言ってんだろうが!――じゃなくて、話を聞けってんだよこの馬鹿ッ!!」
もう一発、ゲンコツを食らった2人は互いに頭を抑えながらしゃがみ込む。ネルは息を切らしながら手を頭に当てながら説明していく。
「私らC&Cは先生の敵になるつもりなんてねぇ、だからしばらくアタシらは、活動を停止する」
「それって……解散?」
「一時的にな、リオには恩がある……が今回ばかりは無理だついていけねぇ」
「行き先はあるんですか?」
「そこだ。私らは体験という形でゲーム開発部にお暇させてもらう気だ」
「――なるほど、そこで楽しく過ごすと」
「ちげぇよ! ゲーム開発部内なら合法的にアリスを守れるだろうが!」
「あっなるほど」
ゲーム開発部単騎だけなら、流石に分が悪い。なのですアリスとゲーム開発部を守るためにC&Cは体験という名の護衛をすることを決定。アリスはネルらと一緒に過ごせることに喜んでいた。
「パンパカパーン! ネル先輩達がパーティーに加わりました!」
「パーティーつっても一時的だからな?」
「その間、僕は何をすれば?」
「決着をつけてきてくれ。リオと……その部下とのな」
「部下」
「C&C、コールサイン04……私らの一番下の後輩……飛鳥馬トキ。リオ直属のエージェントをやってる」
聞いたことのない名前、ネルの表情から察するに相当な実力者であることがわかる。マッシュとしては極力生徒と争いたくない……が。
「わかりました。準備が整い次第…話をしに行きます」
「そうしてくれ…今のリオは、リオじゃない」
「人が変わったとか?」
「ああ、あいつの口調……まるで悪役のそれだ、本来のあいつは……」
ネルは少し黙った後、近くの防犯カメラに目をやりながら、大声で言った。
「後輩の失敗をすぐにフォローして、差し入れもしょっちゅう持ってきて、生徒同士の争いとかも積極的に止める奴だからな〜!」
「もしかしてちゃんとしたいい人ですか?」
「ビックシスター、だからな〜」チラッ
ネルはニヤリと笑い、ここぞとばかりに彼女のことを告げていった。彼女はわかっていた、監視カメラで自分も含めてマッシュらが監視されていくことに。
「やることなすこと全部が合理性の極み、おかげでミレニアム全体はまあ助かっててよ。例の機神の時も、あいつの機転のおかげでなんとかなったからな」
「普通にすごい人なんですね」
「その通り――だからこそ、信じられねぇんだよ。あいつがあんな演技するのが」
「……その真意を確かめるためにも、僕が直接話をしてきますよ」
「頼むぜ」
「……聞いている限り、会長がとてもひどい人とは思えません。敵キャラで良くある訳ありキャラという感じがします」
アリスは胸に手を当てながら、リオのことについて考え始める。自分のことを危険な者だと思い狙っている存在ではある……しかし、嫌いにはなれなかった。
「アリスも、会長さんとお話がしたいです。敵対者としてではなく同じミレニアムの生徒として」
「アリス……お前」
「それに、もしもの場合は――」
「一緒に筋トレをしたら仲良くなれるはずです‼︎」
「先生、これに関しては絶対にアンタのせいだからな」
「返す言葉もございません」
ネルは呆れながらも、後輩であるアリスの成長をしっかりと見ていた。弱々しく機械のようなだった彼女が……今はどこか、勇ましく見える。
「まあともかく、話はそれだけだ……じゃ、アタシは一旦帰るぜ」
「あっ、ネルさん。最後に一つだけ聞いてもいいですか」
「なんだ?」
「そのトキって人、何か……こう、変な感じになったりしてませんでしたか?」
「変な感じ?……いや、悪い、そもそもあんまり会えてねえんだ。強いていうなら、ずっと訓練場にこもって訓練してるぐらいだな」
「教えてくれてありがとうございます」
「いいってことよ……先生」
ネルはC&Cのリーダーとして、リオの知り合いとしてマッシュという先生にお願いをするため、少し頭を下げた。
「あいつを、よろしく頼む」
「――任せて」
「…じゃあな」
ネルはゲームセンターから出ていき、どこかへ走り去るようにして消えた。マッシュはチラッとアリスを見て、不安がっているのを確認……。
「アリスちゃん、せっかくだし。ここで少し遊んでいこうよ」
「―はい、アリス、たくさん遊びます!」
「よし、最初は何からやる?」
「UFOキャッチャーで景品をいっぱい取りたいです」
「オッケー」
その不安を少しでも和らげるためにも、ユウカからの説教も甘受するつもりで所持金と残る時間の全てをゲームに注ぎ込んだ。
「………………無駄なことを。私は、向こう側に行くつもりなど……」
「リオ会長、ご指示通り……先生と接触して参ります」
「トキ、頼むわ……いや待ちなさいトキ」
「なんでしょうか」
「その手に持っている漫画とお菓子は何かしら」
「手ぶらで会うのは失礼かと」
「本当に頼むわよ……!?」
次回、完璧メイドと振り回されるマッシュくん
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