一応感動回のつもりです,つもりなのです。
「ご、ごめんなさい…どう見ても大人のお姉さんにしか見えなくて…」
「ふ……フフフッ、いいのよ、気にしないで……気にしないで……」
「そして先生よりも一歳年上……つまり先生とはおねしょt『それ以上はいけません』」
公園のベンチで座り話をしていたマッシュ・リオ・アリスの3人。なにやら危ない発言をしようとしていたアリスの口を押さえながらも、側から見れば姉弟か親子に見えないこともない……それはさておき。
「ミレニアムの会長さん、それはつまりミレニアムの王女さんなんですね!」
「王女…?…ま、まぁ…そういう立ち位置ではあるのかしら」
「そして先生はその王女様の!………えーと、守護獣?」
「せめて人間として判定してくれない?せめてそこはボディーガードとかだと思うんだけど」
「それもそうですね、メモリーに保存しておきます!」
「……予想以上に変わった子なのね」
ほとんどモモイのせいであるが、まぁそこは置いておいて。純粋な目を持つ少女……そんな子に事実を説明する、流石のポーカーフェイスの2人にも動揺は隠せない。
「先生、なぜその会長さんと先生がアリスの元に?」
「………実はねアリスちゃん、とっても大事な話が合ってきたんだ」
「お話……?―――も、もしかして…」
「……………」
「――アリスが元々ミレニアムの生徒じゃないって事がバレたのですか⁉︎」
「……ん?」
「あ、アリスのことはどうでも良いですが、モモイは許してあげてくださ!!身分の偽造は確かに悪い事です、けど、けど」
「待ってちょうだい、それはもう最初からバレているわ」
「……あれ⁉︎」
「偽造の件は……その元々バレバレだったのよ。むしろわかりやすすぎて心配になるレベル」
「あれぇ!?」
モモイがヴェリタスとともに行ったアリスの個人ID偽造は最初からリオにも露見しており、ゲーム開発部の事件の後もちゃんとマッシュが説明した上で、モモイにその危険性を伝えた事がある。
アリスは自分が偽造の生徒だとバレたのだと思い焦っていたがそこはまあどうでもいい。むしろ許したのはリオなのだから余計に、だ。
「では,いったい何のお話ですか?」
「……貴女の正体についてよ」
「アリスの正体…⁇」
「……アリスちゃん。これから話すのは、正直言ってとっても辛い事なんだ。でも君自身に関わる以上、どうしても知らなきゃダメな事だ…聞いてくれるかな」
アリスは少し悩んだ後、無言でうなづいた。震えながらも、リオは全ての事実をアリスに伝えた。彼女がはるか昔にキヴォトスを滅ぼすために作られたオーパーツである事、アリスの中に別の存在してがいること、その存在ごとリオが自分を倒そうとしていた事を告げた。
「アリスの中に……世界を滅ぼす存在が……?」
全ての話を聞き終えたアリスは愕然としてた。無理もないだろう、自分の中に全てを壊す存在がいると知れば,誰だってそうなる。
「……アリスちゃん」
「それは……つまり……」
「………っ」
「それって……つまり…」
なにも言えなかった、否、言いづらかった。フォローの言葉をかけようも上手く出ない、少しの間の沈黙……そしてマッシュが何かを言おうとした瞬間。
「アリスに覚醒フラグがたったということですよね!!」
「―――はい?」
「フラ…グ?」
「アリス知ってます! 影なる自分、記憶を失った自分が本当の自分を超えた瞬間、その人は真の勇者になれるって‼︎」
アリスは曇るどころか目を瞑るくらいの笑顔を見せた、びっくりした。しかも何処かウキウキしておりめちゃくちゃに目を光らせていた………なぜだ。
「こ、怖く無いの? ショックでは無いの? 貴女の正体ははっきり言って危険すぎる者なのよ?」
「そうだったとしても、アリスはアリスです。……確かに、そうするように作られたというのは,事実でしょう……何となく、そんな気はします」
「………」
「――でも! 先生が以前、アリスに言ってくれたんです」
『アリスちゃんはアリスちゃんのなりたい物になっていいんだよ』
「だからアリスはなりたい物、アリスは勇者になるって決めたんです、モモイ達や先生……この世界を守れる勇者に! だからこの程度でヘコたりなんてしません!」
「――それに何が相手でも、筋肉でどうにかします!」
「先生どうしてくれるのかしら」
「こればっかりは本当にごめんなさい」
筋肉に脳を支配されてしまったアリス、自分が何者だろうが力づくで乗り越えるし作り変えるし歩み変えると言う確固たる意志を,彼女は宿していた。
「アリスの事を倒そうとしていたと言う点ですが,大丈夫です!むしろ倒さないとダメな存在って……燃えます!」
「先生?」
「こればっかりは僕のせいじゃありませんからね?」
「それにもし先生が負けてアリスに牙を剥いて来ちゃった時は、思う存分争う気でしたし!」
「先生……」
「これは……半分僕のせいですね、僕に影響されちゃった」
アリスはビシッ!バシッ!と決めポーズをとりながらそう言い放っていく、何処か心配していた気持ちや不安だったものが消えた感覚なった2人。
「アリスは、自分の中にいる存在……その子も助けたいです」
「理由を聞いてもいいかしら」
「自分からそうなって行ったんじゃなくて、勝手にそうなるように作られて、放置されて、それに従って生きる……そんなの,あんまりです」
「そうだね」
「だからアリスがそれを変えるんです、モモイ達が、先生が、ミレニアムがアリスを救ってくれたように――アリスもその子を救いたいんです‼︎」
「……アリス」
その姿はまさしく勇者だった、危ない存在だというのは理解出来る……しかしまだことは起きていない。ならば変えて仕舞えばいい、自分がゲームによって変えられたように、アリスも、アリス自身の力でソレを変える。
「それにアリスには先生がついています、怖いものや恐れるもの、負ける確率なんて全くありません。それに会長さんもいるんですし!」
「まあね」
「だから会長さん、貴女もアリスのパーティーに!『………理解……できないわ』ふぇ?」
「…………私は……貴女を破壊しようとしたのよ。貴女の考えはとても素晴らしいことだと思うわ……でも、私を仲間と呼ぶのは……私は、貴女の仲間になれるような存在ではないのに……!」
自分を破壊しようとした相手に何でそんな態度を取れるのか、何故手を差し伸ばしてくるのか、なぜ仲間にしようとしてくるのか……彼女は理解できなかった。
「そんなことはありませんよ、会長さん」
「いいえ……私は…」
「だってアリスは、会長さんに何かされたわけではありません。ソレにもうそんなことをする気は無いんでしょう?」
「それでも…!」
「なら、会長を──いえ、リオ先輩を責める理由なんてありません。責めるつもりはありません。アリスはリオ先輩とも仲良くなりたいんです」
「どうして……貴女を、友達から引き剥がそうとした罪人なのよ……?それなのに……」
「………ずっと前、先生が元アリウス分校の生徒さん達に命を狙われた事がありました。でも先生は、そんなみなさんを助けたくて、自分が傷を負ってもサオリさんたちを許しました――それと同じです」
アリスは自分を責め続けるリオの隣へと座り、優しく彼女を抱きしめた。機械の体だが暖かい肌、包容力というのだろうか、リオはそれに包まれた。
「アリスはリオさんが困ってるので助けます、助けたいから助けるんです」
「……っ…!」
「とっても、辛かったですよね。でももう大丈夫です! ―アリスが、ミレニアムの生徒として、貴女の後輩として、貴女を助けます!」
「アリスちゃん、成長したね……それも、立派に」
「アリスはまだまだです。でもこれからどんどん強くなっていきます!」
「――あぁ……アリス…!」
「よしよし、これでもう仲直りですね! 先生がよく言ってくれたんです。『じいちゃんは間違ってる時は間違ってるって教えてくれて、それと同時に許してもくれた』って……だから、仲直りです!」
リオの頭の撫で慰めるアリス、マッシュはこの光景、この雰囲気を邪魔しないように少し離れ見守る。
「感無量」
そして脳内メモリーにこの光景をインプットし,邪魔する存在はぶっ飛ばすと心の中で千回は誓った。子供の成長とはこういう事なのかとマッシュはレグロの気持ちがわかったのだった。
「―─貴女の手……温かいのね」
次回はいつも通り月曜日の朝に投稿いたします……そう言えば来週の火曜日で,この作品って一周年なんですよね!
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