……パヴァーヌがラビット編以上に早く終わりそうなことにびっくりしている作者です。
それでは本編へ……どうぞ!‼︎
『――それではみなさん、作戦を再度確認いたします。この作戦の目標は"アリスちゃんの内部にいる存在の一時的な活動阻止"です』
『Divi:Sionの残骸、それをアリスに触れさせ…一時的に暴走させる…失礼、表にその存在を引きずり出す。その存在は元々、才羽モモイのゲーム機の中に潜んでいたことは確認済み』
『その存在はいわば世界終焉の
「つまりそれは被害なんて気にせず思う存分暴れていいんですよね!?」
『味方や防衛陣地への被害が出ない程度でお願いします!』
『ハッキングとか好き勝手にやっていいんだよね!?』
『逆にプログラムへの侵入や介入を許したりコントロールを奪われないようにしてくださいね!?』
「初手からグッダグダなノリだけど大丈夫かな…?」
「大丈夫だよモモイちゃん、いざとなったら僕がなんとかするから」
「先生がやらなきゃいけない時点で大丈夫じゃないじゃん!!」
リオが秘密裏に作り出した要塞都市・エリドゥの防衛戦線にて、各部活が割り振られたブロックで待機していた。シャーレからは特殊部隊アリウススクワッド改めシャーレ・スクワッド、アリウス分校生徒により構成されたカスタード・ソーダ・ストロベリー・チョコレートの各チーム、狐坂ワカモ、そして久田イズナが派遣されている。
ミレニアムからはC&C、エンジニア部、トレーニング部、そしてゲーム開発部と、マッシュやアリスが関わってきたほぼ全ての戦力が揃っていた。ヴェリタス、セミナー、そしてリオやヒマリは、エリドゥのセントラルタワーに位置するコントロールルームからマッシュたちを支援する。
『……というか、何故ここにゲーム開発部が?』
「友達のピンチに駆けつけない友達はいないじゃん!世界を滅ぼす存在とか……あんまりよくわかんないけど、とりあえず止めなきゃダメなのはわかるし!」
「アリスちゃんはゲーム開発部の仲間です。アリスちゃんが皆のために頑張ってくれるなら──」
「わ、私たちも戦わないと……気が済まなくて」
『……でも』
『心配すんなよ会長、こいつらはただのガキンチョじゃねえ。伊達にアイツのパーティーメンバーやってねぇんだ……んでもって、ちゃんと強え』
『……貴女が言うのなら、でも,危ないと感じたら即逃げるのよ?』
「OK!」「分かりました!」「は、はい…頑張ります」
『本当に大丈夫かしら』と心配しつつも、リオは作戦リーダーの1人として、仲間達の状況を把握するため通信を続ける。
『ユウカ、ノア、各所の状況はどうかしら』
『D-4ブロックの
『先生とは少し離れた場所にいるアツコちゃんとサオリさん、そしてC&Cのチームも準備は完了しているみたいです……会長』
『……ユウカ、私は』
『今更、何を言ったって遅いのでとやかくは言いません……… でも、一言相談はして欲しかったです。セミナーの後輩として、信用してもらえていなかったことはショックです』
『…………』
通信越しに聞こえる不貞腐れているユウカの声、何も説明せず横領して都市を作りアリスを破壊しようとした……ユウカからしてみればもっと説明して欲しかったのだろう、仲間として。
『………でも、……これ以上、貴女を責め立てるのは違う気がします……だから、終わってから!たっぷりをお話をしてもらいますからね!』
『私もユウカちゃんの同じ意見です、しかし今はアリスちゃんの為、キヴォトスのため、いつものように貴女に従います』
『……ありがとう、感謝するわ。貴女達がセミナーにいてくれてよかった。それからコユキ……貴女にも、申し訳ないことをしたわ。本当にごめんなさい』
『もう気にしないでくださいよ、私よりもちゃんとしたことにお金使ったんですし。こうして役に立ってるんですから、結果オーライです!』
『……ありがとう』
いつもの調子を取り戻しつつある事を確認し、リオは各チームへと確認の連絡を入れる。
『エンジニア部、そっちの状況はどうかしら』
『勿論さ代表、"ゴリアテ君Mk.3"の準備は完了。ハッキング対策の最終調整も終わっている』
『ここからなら安全に遠隔操作できますし!なんなら実物を目の前で観察できるので!』
『……あー、援護射撃もぜんぜん大丈夫。ヒヨリも私も準備万端だよ』
『了解よ』
『ところで代表、そのDivi:Sionの残骸は我々は回収しても』
『ダメよ、あんな危険物のオーバーテクノロジーをおいそれと利用させるわけにはいかない。下手なことをしようものなら部費全額を即座に打ち切るわ』
『しょぼん……』
『そんな顔してもダメよ』
マッシュがいる大広場。そこを見下ろせるビルの上空にはヘリが待機しており、ヒヨリ・ミサキ、エンジニア部が援護射撃の準備を整えていた。
『ちなみにヴェリタス、準備はもういいよ』
『ありがとうございますチーちゃん。久しぶりの再会がこんな形なのは、なんだが違和感がありますが』
『いいよぜんぜん……寧ろ噂の先生をこの目でしっかりと見れる時点で大助かり』
『でもコタマちゃんが彼を盗聴していたことについては、しっかりと叱ってあげてくださいね』
『もうした』
『頭と耳が痛い……』
『同じく』
ヴェリタスも準備万端、合法的にハッキングを行えるのでむしろテンションは大アップ。何気に初登場の部長代理(副部長)の各務チヒロは、すでにマッシュと軽い挨拶をしてある、ちなみに第一声は『筋肉やば…』だった。
『こちら錠前サオリ。秤アツコ並びにC――いや、メイド部も、準備は整っている』
『よろしくね、チビメイドさん』
『誰がチビメイドだ!?美甘ネルだ、ちゃんと名前で呼べ!!あと敬語も忘れんな!!』
『わかった、ネルパイさん』
『略すんじゃねえ!!!』
『まあまあリーダー、落ち着いて』
『先生、少し騒がしいと思うが……気にしないでくれ、大丈夫だ』
「本当かな…?」
新たな諍いが起こりつつあるが、戦力としては十二分といえるサオリ・アツコ・C&Cからなるチーム。マッシュに次ぐ実力者たちが集うこのチームを打ち破れる存在はいない、というのがリオとヒマリの結論だった。
『それから…トレーニング部の、スミレだったかしら?貴女は……なぜ先生の元に?』
「トレーナーと後輩のピンチと聞き飛んできました、それだけです」
「先生から少し離れていただけませんか? 私だけの伴侶なのですから」
「トレーナーは私だけのトレーナーです」
「先生この2人話噛み合ってないですよ?」
「も、もう姉様!仲良くしないとメッ、ですよ!」
「……イズナが言うのであれば仕方ありませんね」
「では貴女も一緒に筋トレを」
「遠慮いたします」
「また今度一緒にやらない?」
「是非ともご一緒させてくださいませ♡」
『………災厄の狐ってこんな感じだったかしら』
「先生に影響されただけだから安心してくれ」
愛に生きる者はみんなこうなるんですよリオ会長……そんなことはさておき。イズナ・ワカモ・ニーナ、そしてスミレがマッシュの近くにいるのは、マッシュの援護に来た……というわけではなく、単にマッシュについてきた、あるいはゲーム開発部の護衛としてやってきただけである。
ケイの実力はおそらくアリス以上、さらにデカグラマトン並の力を保有しているとなれば……ベアトリーチェやビナー・ヴェンデッタ、そしてトキのように、魔法を使って攻撃してくる可能性も十分に存在する。なので安全のためにゲーム開発部は守るべきなのだ。
「アリスちゃん、行ける?」
「勿論です、少しの怖さはありますが……こんなにも、たくさんの仲間がいるんです。負ける気はしません」
「よし……ヒマリさんにリオさん、何かあった時の指示、お願いします」
『任せてちょうだい、合理的に』
『安全に、貴方を導きます』
「やだ、僕の先輩心強すぎ」
同じ部屋にいるヒマリとリオはお互いに見合い、少しの笑いを見せたあと。
『足を引っ張らないでくださいね、リオ』
『こっちのセリフよ、ヒマリ』
そう言い、お互い配置についた――そして時は来た、残骸の方へと近づき、アリスは手を出す――その前に少しだけ後ろを振り返った。
「皆さん……―作戦は、ガンガン行こうぜ、そして命を大事に、です!!」
『了解!』
『任せろ』
『OK〜‼︎』
「アリスちゃん、一緒に頑張ろう」
「――はい!……では…いざ…!!」
アリスの指先が残骸に触れた瞬間、彼女の意識は電源を切るように止まり――そして糸が切れた人形のように項垂れ、肩を落として動かなくなった。
「──……アリ、ス?」
「……いいえ、才羽モモイ。もうすでに、アレはアリスではありません。イズナ、才羽ミドリのそばにつきなさい。モモイは私が守ります」
「はい!」「よろしくお願いします、イズナさん」
「ユズちゃんはスミレさんの方についていってね、アリスちゃんは僕に任せて」
「は、はい…」
『おいおい……ここからでもとんでもねえ気配が伝わってくるぜ……本当に魔王でも相手にしてる気分だ』
突如、アリスの体が張り詰めたように立ち上がり、光の剣を握りしめた。アリスと入れ替わる形で彼女の体に降り立った「それ」が、瞳を開き――突如、自らの身体と光の剣を宙に浮かび上がらせた。
『エネルギー反応を確認!波形解析……完了、これって…!?』
『間違いないわね、レグロ氏やビナー・ヴェンデッタが発していたエネルギーと等波長……つまり、あれは紛れもない魔法。しかも、ビナーとは比較にならない高エネルギーの……』
『待って!なんかすごい勢いでエリドゥに向かってくる反応があるんだけど!?エネルギー量だけじゃない、数と移動速度もやばい!!』
『こ、こちらヒヨリ!!空から大量の機械の群れが!!』
『色々な形があるね……もうなんでもありだよこれ』
「……お出ましだ」
アリス……いや、アリスの意識を刈り取った者の後ろに、まるで召喚されたNPCのように出現し、機械的に並び立つDivi:sionの軍勢──通称『無名の守護者』の数々。
「――跪きなさい」
その一声で、divi:sionは一様に、平伏したように地へ伏せた。そして振り返ったその者の瞳は、ヘイローは、まるでアメジストを思わせるピンクへと変わっていた。
「……マッシュ・バーンデッド。あるいは、この世界と魔法界における、最大のイレギュラー……この世界に存在してはいけない危険因子――よもや、ここまでやるとは」
「声は一緒なのに雰囲気や気迫は別物……君が、ケイ」
「ケイ……そうです、わたしは、key。私の個体名は<Key>。王女を崇拝せし無名の司祭たちが残した修行者であり、彼女が戴冠する玉座を継ぐ『
光の剣が禍々しいマゼンタの光を纏う中、ケイはゆっくりと辺りを見渡す。自分に向かってくるのはマッシュだけかと、どこか納得が行ったような表情を見せる。
「マッシュ・バーンデッド、私の目的は貴方の」
「その前に少しだけいいですか?」
「………なんでしょうか」
「貴女の事って、なんて呼べばいいですか? ケイさん?ケイちゃん?」
「……理解ができませんが?」
「先生それ今重要!?」
「いや、もし年上なら敬意を払わないと」
『先生、貴女が生まれる前に作られた存在なのよ?』
「じゃあ…ケイさん、でいいですかね」
「………意味がわから――はい?『ケイちゃん』がいい?……王女、変な事を……っ、わかりましたから、駄々を捏ねるのはやめなさい、王女よ……!!」
(――意識残ってるな、アリスちゃんとお話できるんだ)
「…王女の意向です、今に限り『ケイちゃん』と呼ぶことを許しましょう。……もっとも、程なくして貴方たちの口は動かなくなる以上、関係のないことになるでしょうが」
ケイは、浮遊する光の剣を自分の周りに巡らせ、何処か怒っているような声と表情で告げる。
「――貴方は王女にとって有害、ここで排除すべき存在……そして私を作り上げた存在が、最も畏怖する暴力の化身」
「最後言い過ぎじゃない?」
「貴方は、排除すべき存在」
「2回言った」
「王女の……王女の役割を、貴方は阻害している。そんなことは許せません――王女の存在意義を消しつつある貴方を、絶対に排除します」
ケイが光の剣にエネルギーを貯め出した、その時。思わず声を上げたものがいた。
「ねえちょっと!!好き勝手言い過ぎじゃない!?」
「…?」
「そっちだよそっち!!貴女に言ってるの!!なんなの、先生が危険とか害とか、アリスの邪魔をしてるとか!!」
「王女に名は必要ありません、彼女は」
「そんなわけない!!アリスには、アリスっていう名前が絶対に必要なの!!」
『モ、モモイ!!待ちなさい、変に刺激しちゃダメ!!』
『何やってんだモモイ!?さっさとワカモの後ろに引っ込め!!』
「ううん!こればっかりは言わせて!もうあったまきたんだから!」
モモイはズンズンと歩みながら、マッシュとケイの間に立つ。そんな大胆不敵な態度に敵であるケイはおろか味方全員が驚愕していた。
「アリスに悪影響…? そんなわけないじゃん!!アリスは先生のお陰ですごく立派になったんだよ!」
「否定。彼は王女の在り方を勝手に書き換え、アリスと言う存在であることを強いた……今の彼女は、その男や貴女方に押し付けられた『アリス』という役割を演じ続け、その枷の中で生きていくことを強要されているだけです」
「それがそもそも違うってば!!アリスは変えられたんじゃない――変わったの!!!」
「………変わった?」
「自分で、自分がどうすべきかを考えて変わったの!これはプログラムでもバグでもない。自分の頭で、自分の心で、やりたいことやなりたいものを考えて、求めて、今のアリスになったの!」
「………理解できません、彼女にそんなことが──」
「できる!できるったら、できるの!!」
怯みもしない、怯えもしない、先程まではマッシュの側から離れず、少しばかり怯えていた彼女が今や全くそんな気配がない。ケイは逆に恐ろしくなった……自分にそんなに凛々しい気迫で迫ってくるモモイに。
「貴女も……存在の目的と本質を乱す、外敵」
「目的と本質って……誰が決めたの?」
「そうなるように、我々は造られているのです。それが我々の存在意義であり、生み出された理由。ならばそれに従うのが―」
「そんなのぜっったいにおかしい!!自分がこの先どうするかとか、どう動くかとか、それを考えるのは自分だけじゃん!!」
「…!」
「アリスの事を大事に思ってるのはよくわかった……でも、アリスの大事な先生に酷いことばっかり言って、アリスの気持ちガン無視で事を進めて行って、先生を消そうとしている……それって……それってさ!!」
モモイは堂々と、胸を張ってケイに向かって叫んだ。
「そっちが一番、アリスの人生の邪魔してる外敵じゃん!!!」
「―――黙りなさい」
「絶対に黙らない!!貴女がアリスと同じでも……別の人格でも構わない――アリスはアリスで、ケイはケイ!!貴女達に何かを矯正させることなんて、誰にも出来ないんだからっ!!」
「黙りなさいと……言っているでしょう!!」
「アリスの存在意義も、貴女の存在意義も、自分自身で決めるべきだよ‼︎」
「――――っっ‼︎」
「決めれないって言うんだったら、私が……私たちが、手伝ってあげる!!」
ケイは痺れを切らしたのか、レールガンの光弾をモモイに向けて放った。他の者たちは背筋が凍り、戦慄のままモモイのもとへ駆け出した。だがモモイは直立不動だった……なぜなら。
「えいっ」ビタンッ!!
「マッシュ……バーンデッド……!!」
「私には先生がいるもん……怖くなんてない……ごめんやっぱり嘘、超怖かったぁ〜〜〜っ!!」
「よく言ったねモモイちゃん。でも、危ない真似はこれっきりだよ。あとは僕に任せて、ね?」
「……うん、ありがと、せんせ……」
「――そういうわけだから、ケイちゃん」
マッシュはモモイを下がらせてワカモに預けると、改めて構えをとる。続いて複数のゴリアテがマッシュの両脇を固め、Divi:sionへと射線を定めた。
「僕は、二人を助けるために闘うよ」
「…………貴方も、貴方の仲間も――排除します」
名も無き神々の王女の鍵 vs マッシュ・バーンデッドの特別パーティー 。今、戦いの火蓋が切られた。
モモイちゃんはあまりにも光属性すぎるので,もっと輝かせました。
月曜日です……憂鬱ですね、であれば我が作品でそれを飛ばすように努力してみようと言う事を,思ってみたり!!私とってはこれを書く事が憂鬱を飛ばせる手段です。
次回もお楽しみに
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