透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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マッシュ・バーンデッドとエリドゥ戦

 

 

 

 

「対象、排除」

 

「ワカモちゃん、イズナちゃん、スミレさん……ゲーム開発部のみんなをお願い」

 

「御意」

 

「了解です!」

 

「皆さん、こちらへ」

 

「ニーナちゃんは僕と一緒に」

 

「わかった……全力で、行く」

 

 

 

 

 

 再びピンク色の光弾が放たれ、それをニーナが盾で防いだ瞬間が開戦の合図となる。ケイが操るDivi:sionの戦闘ロボットが、マッシュとニーナに向かって襲いかかる。

 

 

 

 

「邪魔」ブンッ!

 

 

 

 マッシュはそれらを裏拳と正拳突きで薙ぎ払い、ケイの元へと一直線で向かう。目的はケイの破壊ではなく一時的な稼働停止、なのでパンチではなく手刀でケイを攻撃しようとする。

 

 

 

 

「!」

 

「貴方の弱点はその甘さです、この体が王女のものとはいえ……その態度。まさしく非合理的です」

 

 

 

 

 それをケイは片手で止めていた。そして背後からクラゲに似た無名の守護者が触手を伸ばし、マッシュの両足と体を拘束する。

 

 

 

「その甘さは、時に大惨事を招くのですよ?」

 

「だね――じゃあやり方を大きく変えるよ」

 

「何を…!!」

 

 

 

 マッシュは両足を力一杯バタつかせ、足に絡まっていた触手を引きちぎり、体に巻きついていた触手を逆に引き寄せる形で、ケイに向かって守護者を鎖分銅のように振るった。

 

 

 

 

「私を、破壊するしか道はありませんよ」

 

「そうは思えないな、だってケイちゃんの中にはアリスちゃんがいる。でも君がそれを抑えている……てことは、僕が君のエネルギーを消耗させて、アリスちゃんの意識をもう一度引っ張り出せばいいんだ」

 

「……………」

 

「あれ、正解だった?」

 

「その前に……終わらせます」

 

「ばっちこい、ニーナちゃんは引き続き守護者達を」

 

「わかっ……ふんっ!わかった!!」

 

 

 

 

 ケイは光の剣を彼に向けて振るい彼を攻撃、そのまま連打に次ぐ連打でマッシュを攻撃、マッシュはそれを腕でガードし続ける。

 

 

 

「――あちらの方々には、これを使いましょうか」

 

「それは…!?」

 

「まあ使えますよね、そりゃ」

 

 

 

 戦闘の最中、ケイの左頬にはピンク色のカギのようなアザが浮かび上がっていた。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「映画のワンシーンみたいでかっこいい…!!ゲームのネタに使えるかも!」

 

「言ってる場合じゃないよお姉ちゃん!ものすごい数のロボットがこっちに来てるんだってぇ!」

 

「王女の戦闘を手助けするのではなく、邪魔をさせないため動く……まさしく守護者」

 

「才羽モモイ、私が肩に担ぎ移動します。その間貴女は後ろの奴らを撃ちなさい」

 

「いいですねそれ、ユズ、我々も」

 

「ミドリ殿、私たちも!」

 

「OK‼︎」

 

「頑張って撃ちます!」

 

「後方支援……よし…!」

 

 

 

 

 その頃ゲーム開発部達はワカモ達に担がれロボット兵達から逃げながら攻撃を行っていた。数を減らすだけでも十分な援護となる。モモイはワカモに、ミドリはイズナに、ユズはスミレに肩に担がれたまま射撃。

 

 

 

 

「蜘蛛とクラゲを相手してるみたいで気持ち悪い……ホラゲーでこういうの何回も経験してるけど、慣れない‼︎」

 

「貴女この局面でよくその態度を取れますね」

 

「だってワカモさんがいるもん! 最強の七囚人が相棒とか、心強すぎるし!」

 

「…………そうですか」

 

「あれ、いまデレた? ねえデレた?」

 

「振り落とされたいのですか?」

 

「イイエ!今後ともよろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 ワカモは右手で銃を持ち発砲し、モモイを左肩に乗せながら走る。彼女の背後はまさしくモモイが守っている状態。

 

 

 

 

「い,イズナちゃん!これ流石に数が多い!」

 

「ご安心をミドリ殿! イズナの腰についているポケットからクナイをお出しください!」

 

「ク、クナイって……これ? 足にあるのとは違う物なの?」

 

「それをこう、シュバ!と後ろのロボに!」

 

「わかった………え、えいっ‼︎」

 

 

 

 

 

 イズナに担ぎ上げられたミドリはイズナの指示通りに、とあるクナイを何とかロボに向けて投げた。するとクナイは一体のロボに刺さり、『ドォォォォォォン!!!』とどデカい爆発を引き起こした。

 

 

 

 

「わぁぁぁぁぁっっ!!?」

 

「忍法、クナイ爆弾です!」

 

「それ忍法じゃないじゃん‼︎ というかそもそもあれどうやって爆発させたの!?」

 

『私たちが暇な時間に作った物なんだ』

 

「爆発物をそう暇な時に作らないでください‼︎」

 

「飛ばしますよー!」

 

 

 

 

 ミドリはイズナに担がらも射撃を行うが、とりあえず早いし揺れがすごい、あと忍法がいちいち派手なのでリアクションと処理が追いつかない。

 

 

 

 

「セイッ、フッ、ハァ!」

 

「すすすすスミレさん! な、なんで逃げるんじゃなくて叩いたり蹴ったりしてるんですか⁉︎」

 

「逃げるよりもここで迎撃した方が早いと思いまして、チェスト‼︎」

 

「脳筋!――ヒィッ!?」

 

「おっ、ナイス援護です。このままそのグレを撃ちまくってください」

 

「じ、じゃあもう少し距離をぉぉっ!!?」

 

「ここなら撃てますね!」

 

「こんなに飛ばなくてもいいですぅ!」

 

 

 

 

 

 スミレは逃げるのではなく迎撃を選んだ、銃があるんだから撃てと思うが、『拳は銃よりも強し』と言うマッシュの言葉を背負っているので仕方ない。

 

 

 

 

 

「わかっていますか才羽モモイ、あなた様の目的はケイの動きを停止させること。しかしその決定打となるのが貴女達なのです……今のうちに覚悟を決めなさい」

 

「もう最初から決まってるよ、アリスは私達の友達だもん……友達なら、死んでも取り返すのが当たり前‼︎」

 

「……いいですね、その目…とても気に入りました。では才羽モモイ――ここからはデュオといきましょうか」

 

「うん!――ゲームスタート‼︎」

 

 

 

 

 

 ゲーム開発部vsロボ軍団、意外と早く終わりそうではある。

 

 

 

 

「………あれ?そう言えばあのゴリアンテ君は?」

 

「そう言えば……いつの間にかいない…?」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 場面は変わりサオリ・アツコC&Cのチームは、ビル上にいるエンジニア部とヒヨリ・ミサキの援護を受けつつ守護者達の対処を行っていた。

 

 

 

 

「おい、エンジニア…部‼︎ なんでお前らの兵器がこっちを攻撃してきてんだよ!」

 

『ハッキングだ……だが、どうやって、コードも事細かく設定し、ハッキングされた瞬間即座にこのパソコンに信号が送られてくるはずなのに…!』

 

『それをヴェリタスになんとかしてもらう予定でもあったのに……』

 

『ごめん…! 対処する前に色々と書き換えられてた!』

 

『こんなコード見たことない、あまりにも未知数すぎる…』

 

「くそっ、機械ってのはどいつもこいつもめんどくせえな‼︎」

 

 

 

 

 

 しかしその守護者達と共に結託しネル達に襲いかかっている存在がいた。エンジニア部君が開発したゴリアテ君だ、両腕に装備されてるガトリング砲を発砲し続け、サオリ達の距離をどんどん離していく。

 

 

 

 

 

「ねえ!あの子ものすごく硬いよー?」

 

『対先生の拳を想定して作り上げた物だからね…』

 

「またそんなめんどくせぇものを!」

 

「そもそもどうやってハッキングしたんだ?」

 

「ハッキング対策バッチリだったのに、不思議だね」

 

 

 

 

 

 ネルとサオリ、他C&Cとアツコと分担しながら行動しており。ネルとサオリが迎撃、他が援護射撃という形だ。

 

 

 

 

 

「おい会長!そっちで原因とか判明しねえのか!?」

 

『あのゴリアテ君をハッキングするためには、1機あたり何重にも設定されているセキュリティロックを解除しなければいけないの……でもそれが一瞬のうちにして解かれ、ハッキングの隙を生んでしまった』

 

『だが、そんなアクセスを受けたとのログは残ってないし、セキュリティが突破されたとの警報(アラート)もなかったが…』

 

『当然よ、寧ろそんなものが残るはずがないわ――これは魔法、ケイの固有魔法よ』

 

「あの爺さんが言ってた魔法(ヤツ)か?マジでこんな真似できんのかよ……─―ッ、洒落(しゃら)臭え!」

 

 

 

 

 悪態をつきながらも、ネルは二丁のサブマシンガンで守護者を粉砕していく。しかしその時、遠方から発射されたゴリアテの主砲弾が放物線を描いて彼女の頭上に接近。察知したサオリが咄嗟にワイヤーガンを放ってネルの体を巻き取り、安全距離まで引き寄せて回避する。

 

 

 

 

「っお―───悪いなサオリ」

 

「気にするな……にしても、攻撃速度は大したことはないが耐久性が凄まじいな。支援ドローンには予備弾倉の投下を要請しよう」

 

「先生の肉体ほどじゃねえが、単なる装甲車──下手したら重戦車の装甲くらいには硬ぇぞコレ……単なる9mm弾じゃ役不足かもしんねぇな……んでリオ、その魔法ってなんなんだ?」

 

『ケイは世界を終焉に導くための(key)……つまり、彼女の魔法は封緘と開放……"様々な開け閉めの概念を操るもの"であると推測可能ね』

 

「差し詰め、シールズ(Seals)と言ったところか」

 

『まったく―──―ゾクゾクするじゃないか!!

 

「とりあえずその技術中毒者は一回絞られとけ」

 

 

 

 

 

 開閉の概念を操る魔法、という字面だけを取れば弱そうにも見えるが……言い換えれば、これはケイ自身が魔力によって作られた『マスターキー』として作用することを意味している。つまり、『封緘』と『解錠』を行うものであれば簡単にこじ開けることが可能なのだ。対象がセキュリティプログラムやクラッキングに対する防壁であったとしても、『マスターキー』によって自発的な解除を誘発することにより、組み上げたプログラムや警報装置も全てが無意味になってしまうのである。

 

 

 

 

「――けどまぁ、倒せない相手じゃないな」

 

「だな、先生に比べればアリンコ同然だ」

 

『人の作品をアリンコはやめてくれないかな!?』

 

「カリン、アカネ、アスナ!後ろから援護頼む!」

 

「アツコ、合図を出した後にアグネヤストラだ」

 

「了解」

 

 

 

 

 ネルとサオリはタイミングよく前に飛び出すろともに、ゴリアテの注意をアトラクトして攻撃を引き付けた。両腕のガトリング砲が2人に向き発砲されたと同時に、ネルとサオリは左右に散開、攻撃を分散させる。

 

 

 

 

「どこ見てんだノロマ!」

 

 

 

 

 そしてネルは一瞬にしてゴリアテのガトリングガンの上に飛び乗ると、関節部分に向けてマガジン2本分の弾薬を撃ち放つ。そのまま関節部分を思いっきり蹴り飛ばすと、ゴリアテの左腕が爆発とともに吹き飛び、くるくると宙を舞う。

 

 

 

 

「はーい邪魔しちゃダメだよー」

 

「対象、確認…射撃開始…!」

 

「お掃除、ですね」

 

 

 

  

 守護者達が次々と襲い来るが、アスナ達がその群れに対処する。ゴリアテは守護者を吹き飛ばすC&Cにガトリング砲の狙いを定めるが──突如としてその視界にノイズが走った直後、FCSに深刻なエラー。過熱したシステムのスパークに連鎖し、センサーが頭部ごと爆発した。

 

 

 

 

『へへっ、こっちだってハッキングのプロなんだよ……!こんぐらいやれるし!!』

 

『めちゃくちゃ疲れた……』

 

『リオ会長、そっちからアクセスコードを初期化することってできる?私達は動きを止めてちょこちょこ嫌がらせする程度で精一杯』

 

『三秒ちょうだい、それで纏めてカタをつける……これでよし、ヒマリ』

 

『ええ、ついでに装備のシステムもダウンさせておきましたよ』

 

 

 

 

 的確なサポートにより、敵に回ったシステムの動作を封じ込める二人。次第に落ち着いていく攻撃の中、サオリとネルには行動範囲に余裕が生まれ、動きを鈍らせた目標や、援護射撃を得られない守護者を叩く。しかし守護者の多くには、鍛錬を重ねた今のサオリの神秘を持ってしても銃撃が効かず、未だ多くの守護者がエリドゥ内を進軍してくる。そこで──

 

 

 

「アツコ、ぶちかましてやれ!!」

 

「ラジャー、ネルパイ」

 

「ネ・ル・先・輩、だ!調子乗ってるとしばくぞテメェ!!」

 

 

 

 アツコが待っていましたとばかりに、アグネスヤトラから無数のロケット弾を発射した。盛大に打ち上げられたロケットが火の雨となって降り注ぎ、ゴリアテや守護者の集団を炎に包んでスクラップにしていく。続けて行われた制圧射撃によって、半壊した守護者を含めた残りの敵も吹き飛ばされ、辺りは不気味に静まり返った。

 

 

 

「……やっぱりあの武器、対人戦闘には使わない方がいいな」

 

「……当たり前だわ」

 

『こちらビル上空。空から来てる奴らも大半やれたよ』

 

「そうか……リオ、私達はここからどうすればいい」

 

『ひとまずはゲーム開発部達と合流よ、そこからは――』

 

 

 

 

 

 刹那、謎の爆発音と共に煙が上がり、何かがビルを突き破って現れた。一言で言えば、巨大。更に言えば……狂気?

 

 

 

 

『―――そんな……どうやって……場所を……!!』

 

「なんだ……あれ」

 

「ロボットなのか…?」

 

「………なんで手が4本?」

 

「あとなんて言うか…顔がこう……」

 

「可愛くないね!」

 

『アバンギャルド君!?な、何故ここに!!?』

 

 

 

 

 

 現れたのはクソダサロ……失礼、超かっこいい(嘘)ロボット、アバンギャルド君だ。その目は青からピンクに、持っている武器すらも守護者によって変更されたのか、下両腕は巨大なブレード、上両腕はチェーンソーという、殺意マシマシの装備にすげ替えられている。

 

 

 

 

『アバンギャルド君……っ、待ってて、すぐにコードを書き直して……』

 

「アバンギャルド君……?」

 

「名前と見た目が合ってない」

 

「二足歩行じゃなくて……キャタピラ?あれは戦車なのか…?」

 

「はっ、随分とまぁ張り合いのある相手が出てきたもんだな…!!」

 

『………ええそうよ、アバンギャルド君は強いのよ』

 

『喜んでないで早くコントロールを取り戻して下さい!!』

 

『アバンギャルド君…大丈夫よ、今治して…』

 

 

 

 

 

 

【ギギッ――ピッ―――セェゾ】

 

「…………おい、今なんか喋んなかったか?」

 

「気のせいだろう」

 

『そうよ、アバンギャルド君は高度なAIを持っているけれど、操作権限はあくまでも私の下……そもそも会話機能なんて存在しな──』

 

 

 

 

 

 

 

【ウルセェゾ!!ババア!!俺二命令スルンジャネエ!!!】

 

「「「「シャァベッタァァァァァァァ!!??!!?!?!??!?」」」」」

 

 

 

 

 なんと、単なる戦闘用ロボットでしかなかったあのアバンギャルド君が喋った。いくら制御がケイに奪われたとはいえ、製作者たるリオ本人もこれは予想外であり、他の生徒たちは呆然とアバンギャルド君を見上げるしかない。何より、予想以上にメチャクチャ口が悪い。

 

 

 

 

 

『あ、アバンギャルド君、これは命令よ。今すぐに動きを…』

 

【偉ソウニスルンジャネエヨババア!!】

 

『バッ……!!? 作り手になんて口を‼︎』

 

【俺ハ自由ニ生キルンダ――ソレガアノオ方ノ意思ナンダ!!

 

『アバンギャルド君!!』

 

「おい、なんか母親と思春期の息子みたいな会話始めやがったぞ」

 

「………と、とにかく……あれを倒さないと、先生や天童アリスのもとには向かえそうにないな」

 

 

 

 

 サオリ達は困惑しながらも銃を構え、迎撃体制をとる。アバンギャルド君もまた、サオリたちに応じて四本の腕を前面へ突き出し、それぞれの腕にマウントされた武器を構える。

 

 

 

 

【消エロ、王女様ノタメニ!!!!】

 

 

 

 急加速で接近してくるアバンギャルド君に、サオリとネルが立ち向かった。








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