次回でパヴァーヌは終了です…名残惜しいなぁ
「作戦は大成功、キヴォトス終焉の危機も回避、さらにケイとアリスの和解成立……私達の、勝ちですね」
「ですな……イヤァ、大変だった」
「それもこれも、全て先生のおかげよ。ありがとう」
「リオさんのおかげでもあるんです……いや違うな、みんなのおかげかな」
「私も……?」
「当たり前ですよ、ご褒美だって貰えるくらいの」
「………そうよね……甘えてもいい、のかしら」
「そうですそうです」
「ならば先生……………」
「ケイの新たな
「だそうですが」
「断固として拒否します」
「そんな…!?」
「僕はケイちゃん本人の意見を尊重致します」
ケイを救出し、事件が済み始めている頃。リオはケイの新たな体を自分に任せて欲しいと懇願しているのだが、ケイがそれを断固拒否。マッシュはケイの意思を尊重し、無粋なことは言わない。
現在のケイはアリスの中でスイッチを切り替えるように、彼女と意識が入れ替わるような形で存在している。だがこの状況はいつまでも続けられるようなものではない。
「魔力による影響なのか、アリスの身一つでは魔力消費を含めた負担がかなり大きいわ。先のゲームズを見た通り、双方お互いに足を引っ張るような形になってしまう、これでは非合理的よ。ここで私が新たなボディを作り、ケイの精神を転送して独立した存在とする……それでは不満かしら」
「新しいボディが手に入るのは……えっと……アリスと……一緒にゲームができるから賛成です…アリスもそう望んでいます――でも貴女にデザインを任せるのはとってもいやです」
「すごい、めちゃくちゃ冷たい目だ。まるで機械のような……機械か」
「アバンギャルド君は気に入ってくれたのに…‼︎」
「あれと同類の機体に入るのは嫌です。私のボディならエンジニア部に頼めばいいはずです」
「自爆装置も取り付けられるけど大丈夫?」
「前言撤回です」
はっきり言ってしまうとまともに頼れる者がいない、性能面や強さに関してはリオもエンジニア部も言うまでもない………だがリオはデザイン面、エンジニア部は余計な機能をつける等のアレコレでケイは彼女らの力を頼るのを拒否っていた。
「アリスは現在スリープモード──いわば休眠を行っています……いいですか、アリスがわたしの新たなボディを見て泣くようなことがあれば、私はミレニアム生徒の服のチャックを全て開けて回りますよ」
「割と洒落にならない。特に僕が、教員としての立場が」
「なので先生、貴方がどうにかしてください」
「筋肉しか取り柄のない僕に?」
「貴方の手際の良さはよく理解しています、なので先生がわたしのボディを作ってください。性能は他に任せてもOKです……あっ、ボディはアリスが"可愛らしさ"と"かっこよさ"の両方を味わえるデザインがいいです。それから身長はアリスと同じ、ボディはアリスと対になるよう黒にしてください」
「僕機械とかあんまり作ったことないんだけど……まあ生徒の頼みだし、やるだけやってみるよ」
「なら、私は制御OSを組みつつ武装や性能を考えておくわ……何か要望や要求性能はあるかしら」
「特に…………いえ、二つだけ」
「「?」」
ケイは少し言いづらそうに、恥ずかしがりながら二人に告げる。それは今ケイがどうしても欲しい機能。
「アリスと一緒にゲームができるような、デバイスの操作機能と……アリスの体温が伝わるような、人間の温感に可能な限り近い、感覚系を…」
「エンジニア部にロボのあれこれを教えてもらってこなきゃ」
「体温機能と遠隔操作機能を追加できるようにプログラムを組み込むわ」
そしてこの時、二人の目は意欲と気合に燃えた。
「ってなわけでさアロナちゃん、聞いてたと思うんだけどなんとかならないかな」
「うーーん……アリスさんの体はシッテムの箱と同じ、文字通りの同じオーパーツですから……一般的な工業製品だけでは絶対に作ることはできませんね」
「そりゃそっか……どうしようかな」
マッシュはエンジニア部に話を聞きに行ったのだが、長文&余計な知識&いらない知識まで組み込まれて教えられていて話が進まなかったのでアロナに色々と助言をもらうことにしていた。
アロナもオーパーツの一種、オーパーツのことはオーパーツに聞くのが1番早く1番効率がいい。なので彼はシッテムの箱を起動しその内部でアロナと話をしていた。
「僕は木工品しか作ったことないし。建物の修理くらいはできるけど、一から人の形をした機械を作るのはちょっと難しい」
「あの守護者達の部品は……使えなさそうですよね」
「聞いた話、完全に反応が消えたらしくてさ。いつの間にか消えてなくなっちゃったらしいんだよね……となると、ケイちゃんの居場所がなくて本格的にまずいわけでして」
「魔力が生じる負荷を耐える部品……そんな物都合よくあるわけがないですし……うーん」
「連邦生徒会長さんが何か残してくれていたらいいんだけどね〜」
マッシュは椅子に座り、顎に手を置きながら考える。先生としてアリスの友達としてケイの願いを聞き届けてあげたい、だが先生モードを使ってもケイのボディを作ると言うのはあまりにも難しい。
「連邦生徒会長……………――あ!!」
「うおっびっくりした、どうしたの?」
「先生! ひとつだけ、一つだけ方法があります!」
「マ?」
「マジです!シャーレの地下階、最初にワカモさんと話した部屋に向かってください!!」
「オッケー」
突然のアロナの言葉にびっくりしながらも、マッシュはシッテムの箱から出て、シャーレの地下へと向かう。彼は実に数ヶ月ぶりの地下で懐かしんでいた。
『あの部屋に石のような装置がありませんか?』
「えーと…どれどれ……あっ、あった。なんかあった」
『それです!それにこのシッテムの箱と、先生の手を認証させてください‼︎』
「シッテムの箱と……僕の手…こうかな」
謎の機械にシッテムの箱と、マッシュの指紋を認識させると、その機械は青い光を発しながら起動。初めて触るその機械にマッシュは興奮していた。
「おおすっご……で、これって何?」
『はい、シッテムの箱と同じオーパーツの一つ。クラフトチェンバーです』
「クラフトチェンバー…何か工作に使うのかな」
『私の統制の下で使うと、様々な種類の物質を作ることができる機械です』
「なにそれすっご、そんなにすごい機械があったのならもっと早く使えばよかったのに」
『――そこは、あれです』
「アレ?」
『大人の都合ですね!!』
「なら仕方ないか」
あまりなも便利すぎるので扱いに困っていた代物*1、クラフトチェンバー。あらゆる物資を生成という、実に汎用性の高いチート性能を有した装置だが、当然デメリットもある。
『しかしこれは便利すぎるが故にあまりの時間がかかり、作られる物もランダム生成。特定の装備や物質を狙って製造することは極めて難しいんです』
「成程……まあそんな魔法もびっくりするほどの機械が、都合よく使い放題な訳ないよね……」
『私の統制の下にあればいくらでも作れるのですが、なんでも作りたいものを生成するときは相当に強い思いや力が必要なんだとか』
「イメージってことか……よし」
マッシュは両頬を叩くと、自分の思い描いたケイのボディを構成するための部品を生成するためクラフトチェンバーを起動。念を送るようにイメージを重ねながら完成を待った。
「日々の雑務に比べたら超楽勝、やってやるぞコノヤロー。アロナちゃん、ギアあげていこう」
一方、仕事を任されたアリウス生たち。
そして遂にすべての部品が揃い、生成終了まで一週間が経過した。
「―――完成だ」
マッシュが思い描き、彼女のことを思って作り上げたそれが────今、完成した。
「……プログラム良し、データ移行準備完了。これよりケイの意識を、この新たなボディに移行するわ」
「よろしく頼みます」
「まさかシャーレの地下にそんなオーパーツがあっただなんて……外部に漏れなくて正解だったわ。それはそれとして邪念が生成した代物はどうしたの?」
「食材はアリウスの皆やアズサちゃんと一緒にシュークリームを作るために使って、二日で全部消費しました。トレーニング器具はアリウスの皆に使ってもらうことにしました。皆が平等に使える数が揃ったので結果オーライです」
「そ、そう……それはいいのだけれど、先生は少し休みなさい。目が真っ赤よ」
「これが終わったら休みますよ」
リオは『…―全く』と思いながらも手を動かし、眠っているアリスの体から、眠っているケイをマッシュが作り出したアリスのボディへと移行させる。
「――これでよし……ケイ、起動するわ」
「……ケイちゃん、起きれる?」
『――システム――起動――………先生に、リオ?……もう終わったのですか?』
「うん…その体どうかな、アリスちゃんと同じ体をそっくりそのまま作り出すのは流石に無理だったけど。要望通りにしてみたよ」
『………これは……中々……本当に先生が?』
「うん。僕が思う限りで、かっこよさと可愛らしさを両立してみた。」
ケイの、新たな体。
アリスの丸く青い目とは対照的な、マゼンタの瞳を持つ切れ長の目。頭には、外観をアリスの長髪に似せるために可塑性のパネルが与えられ、頭頂部から後頭部を覆いつつ背中に向かって垂れ下がっている。そして頭の上にはピンク色のヘイロー――その形は、アリスと同じく四角が寄り集まったものだった。
「何回か詰まっちゃったから、ゲーム開発部のみんなに手助けをしてもらったりもしたんだ。どんな感じがいいのかとかこうしたらいいんじゃないか、とかね」
『この浮遊能力は…?』
「アリスと常に一緒にいられるように、あるいは緊急時において即座に移動できるようにするためのものよ。速さ……そうね、本気にならばアビ・エシュフよりやや抑えた程度のスピードで移動できるようにしたわ。姿勢制御については習熟が必要ね」
『魔法の出力も問題なし…………まさか、ここまでとは』
「どうかなケイちゃん」
『……とっても…気に入りました――しかし、アリスがなんというか……』
「――じゃじゃーん!アリス、先生とリオ先輩に呼ばれて参上です!先生、クエストの受注、を、……あれ……もしかして……ケイ、ですか??」
『――……はい、アリス。私は、ここですよ』
「…………ケイ………なのですか?」
アリスの目の前に少し浮かぶ、黒の機械。ピンク色のヘイローと声と呼び名を……それはまさしくケイの物。少しの沈黙の後、アリスは
「――かっこ可愛いです!!」
「ほっ…」
「ゲームに出てくる相棒ロボみたいな感じで,まさしく戦うロボット!しかもゆるキャラらしい愛くるしさもあって……凄いです!」
『…そう言ってくれると、とても嬉しいです』
「これで、これで……ケイは――ずっと一緒なんですね…!」
『この体があれば、貴女に触れ、貴女とゲームをすることができます………やっと……生きることの実感を得られました』
「―――ケイ〜〜っっ!!!!」
『アリス……!』
二人は強く抱き合う、片方は嬉しく,片方は感動の涙を流しながら、強く強く抱きしめる。そんな様子をマッシュとリオは微笑ましく見守る。
「先生は、ついに命を与えしまったわね」
「僕はあくまでケイちゃんが入る器を作っただけです。ケイちゃんに体を作ってあげたいと考えて、プログラムをしたのもリオさんです――だから、命を吹き込んだのは間違いなく貴女です」
「……私にも作れたのね……人を、笑顔にする機械が」
「優しい貴女だからこそできることですよ――胸を張ってください。リオさん」
「―――ええ、そうさせてもらうわ……本当に」
破壊の兵器、終末の兵器から、ただの友達、ただの仲間に作り変えた二人。
器も、中身も、全てはそれをどう使うかによって変わる――少なくとも
「ケイ! さっそくみんなに紹介しましょう! ほらほらー!」
『待ってくださいアリス、まだ動作が』
「ならアリスが背負っていきまーす!」
『ア、アリスー!?』
この二人がもうキヴォトスに牙を向くことはない。勇者とその相棒として、キヴォトスを守り続ける光になることだろう。
本当にクラフトチェンバーは使い所がありすぎて困っていたので今出しました。普通にチートすぎて森が生えます
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