透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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パヴァーヌ完……濃かったですね。


マッシュ・バーンデッドとゲームクリア

 

 

 

 

 

「ズルいよケイー!私たち手作業なのに一人だけ魔法を使って楽するなんてー!」

 

「貴女達と違ってこのボディには指がない以上、仕方ないでしょう。持っている力は使わないと損です。さあアリス、後はこれを好きに捏ねるだけですよ」

 

「えこひいきだぁー!」

 

「えこひいきー!」

 

「本来私はアリスに付き従う者なのです、なのでこれぐらいやっても問題は」

 

「ケイ、贔屓はダメですよ?」

 

「仕方ありませんね──才羽姉妹、ユズ。私が手伝って上げます」

 

「わかりやすく態度変えた!」

 

 

 

 

 

 恒例のシュークリームパーティーを行うためのシュークリーム作り、それをゲーム開発部はミレニアム内の厨房で行っていた。

 ケイの新たなボディは魔法の行使にも対応しており、固有魔法・シールズの発動に留まらず、一定のテレキネシスによって物体を動かすことも可能となっているらしい。

 

 

 

 

 

「適量…ってなんなのかしら、ちゃんとした分量を数値で示してもらわないと困るわよ」

 

「いやそこは好みか目分量でいいんだよ……後、お前なんで指矩(さしがね)とノギス持ってきてんだ

 

「え?だってここに、生地の大きさが書かれているからそれに従おうと」

 

「大体の目安なんだよそれは!そこまで真面目にやらなくてもいいんだよって待て待て待て待て!!切る手の逆の手は猫にしろ!

 

「猫……猫とはどんな形なのかしら?」

 

「猫の手だよバーカ!!」

 

 

 

 

 

 リオはネルによる監視の下、シュークリーム作りに取り掛かっていた。

 私生活がポンコツというかもはや壊滅的なリオが料理という最難関問題に挑むには、確実な制止と指示を行う監督者が必要となっている。シュークリームパーティーで地獄は見たくないというのは、全員の共通認識だった。

 

 

 

 

 

「ワカモちゃん達も一緒にパーティーをしてくれればよかったのにな〜」

 

「『我々はあくまでも先生の協力者、ミレニアムのパーティーはミレニアムだけでやるべきだ』……なんて、カッコつけちゃってましたね」

 

「帰ったらお疲れ様会みたいなのは開くみたいですけどね」

 

「先生はシュークリーム作りに参加なさらないのですか?」

 

「僕はもう十分すぎるくらい作っちゃったから、もう十分です……それと、ここからみんなを眺めている方が良いです」

 

「そうですか……では、私に食べさせる仕事をお願いしたいです。ほら、あーんって」

 

「後でね」

 

「……むー」

 

「怪我人だからってわがままが全部通るわけじゃないよ」

 

 

 

 

 マッシュとトキは、ミレニアムの厨房でシュークリームを作っているセミナー、ヴェリタス、ゲーム開発部、トレーニング部を少し離れた場所からトキと共に眺めていた。

 ただし、足を負傷しているトキは車椅子で移動している状態だ。

 

 

 

 

「足、いつ治るって?」

 

「一ヶ月程度と言ってました、流石は私です」

 

「ホントに自己肯定感高いね」

 

「先生も人のことは言えませんよ?」

 

「……ノーコメント」

 

「あっ、ずるいです」 

 

 

 

 

 お互いに傷を負いながらも、敵同士ではなく味方、友達同士として喋る二人。そこに負の感情は一切なく、ポーカーフェイスながらも会話はどんどんと弾んでいった。

 

 

 

 

「リオ会長は正式に横領の件を謝罪し、しばらくの間ヴァルキューレのお世話になることを本人が望んでいましたが……ミレニアム生徒達が全力で止め、休みなしの労働ということで手を打たせました」

 

「世界を救ったんだからもっと胸を張ってもいいと思いますけど」

 

「それは私も思います……でも、それが会長なんです。リオ会長という人なのです」

 

「……そっか」

 

 

 

 

 

 罪を償うと言って断固として意見を変えないリオに対し、ヴァルキューレへ行くことではなく他の道を示したミレニアム生徒達は、心の底からリオに感謝していた。

 リオがいなければ今ごろミレニアム、いやキヴォトスが滅んでいた可能性すらあったのだから当然だ。

 

 

 

 

「エリドゥなんですが……ミレニアムの観光地の一つになっちゃいました」

 

「壊すの勿体ないもんね」

 

「ミレニアムが誇る防衛都市、としてキヴォトス全体に広めるらしいです。我が校の技術力を他学園に示すにもうってつけ、と」

 

「ほうほう」

 

「ケイは正式にミレニアムの生徒として学籍登録されました。ミレニアムでは初となるロボット生徒として一躍有名となり、可愛いと大評判です」

 

「よかったよかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついでに言いますと、アリスが先生と会長の隠し子もしくは妹であるという噂が学園内を席巻しています」

 

「なんで?」

 

「そもそも会長はあんまりミレニアムの校内に顔を出したことって無かった人でしたし、今回の件で初めて姿を見たと言う生徒が多数おり、その姿がアリスに似ていたので……まあそんなふうに」

 

「隠し子って何さ、僕とアリスちゃん一歳差だよ?」

 

「この話ってシャーレの皆さんに話したほうがよろしいですか?」

 

「ワカモちゃんが暴れるから絶ッッッッッ対にやめてね」

 

 

 

 

 

 何はともあれ、リオはミレニアム生徒達に受け入れられ、ケイも何事もなく馴染めつつある。どれとこれも生徒達が頑張らなければ達成しなかったこと。マッシュがリオを止めなければ始まらなかったこと。

 

 

 

 

 

「……私は会長が、みんなと仲良く、笑顔に暮らせれば良かったんです。その他はそんなに望みません」

 

「本当にリオさんのことが大好きなんだね」

 

「はい。会長は優しく、真面目で、偉くて、綺麗で……頼れる先輩です――そんな先輩だからこそ、私はあの人に惚れたんです」

 

「だからこそあの人には幸せになってほしかった……そのために、この魔法を身につけたんです。たとえ自分の肉体が悲鳴を上げようとも、関係ありませんでした」

 

「その覚悟は伝わってきたよ」

 

「……言い方を変えれば、会長以外は、そんなに気にしていなかったんです。会長…会長さあ幸せであればそれで……と」

 

 

 

 

 

 

 ある意味トキも愛が重い生徒の一人なのだろう、リオという側につくこと事によって安心できる存在、誰よりも崇拝し憧れを抱く存在。ネルとはまた違った尊敬の念を、彼女に抱いていた。

 

 

 

 

 

「けど今は……そうですね、ここミレニアムが会長の次に大事です。会長が守り抜いている…ここが」

 

「…僕も好きだよ。頭のいい人たちの集まり,それでもそれぞれ個性があって,違った意味での天才達も多く集まる……そして味方にいてくれたら安心できて、毎日がワクワクドキドキする……ここミレニアムが」

 

 

 

 

 

 アリスとケイを救い、リオを救い、ミレニアムとキヴォトスを救ったマッシュ・バーンデッド。彼の脳や心にはあの眠っていた時に告げられたこの世界の真実があり続けていた。

 

 

 

 

 だとしても、そうだとしても

 

 

 

 

 

「おーいみんなー、そろそろ焼き始めようよー」

 

 

 

 

 

 彼がここを見捨てることも、逃げることもせず。自分が罪人達の末裔であったとしても彼は闘う……何のために?

 

 

 

 

「ハッピーエンド、そのために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計仕掛けの花と筋肉のパヴァーヌ編・第二章
勇気・友情・筋力、そして光のロマン

 

 

LEVEL COMPLETED

 

 

 





一体いつから、愛が重い対象が生徒ではないと錯覚していた…?

次回なんですか、小話というか閑話をやります、内容はいわゆる好感度のあれこれみたいな感じです。マッシュくんから見た生徒、生徒から見たマッシュくん、のような。


何でこれをやるなかって? 休憩です……体育祭前にあるイベントを挟まなければいけないので……イブキちゃんごめんね,やっと出番だよ

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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