次のお話で終わり……いやあと二話くらいですね、その後が体育祭となります。そしてお知らせなのですが、体育祭と前夜のお話、あのミレニアムで起きたイベントと本番をガッチャーンコ!させます、長くなるので。
それと同時に、せっかく1周年を迎えられたので何か特別なことがしたいな…と思ったので、マッシュ・バーンデッドとSPセレクション、並びに連邦捜査部S.C.H.A.L.E.と読者からの質問コーナーを開催したいと思っております、詳細はまた後ほど。
「ぶ、物資を奪えていないだけでは飽き足らず貴重な武器まで失うだなんて…!何を考えているんだ!?」
「仕方ありませんでしょ?相手はあの先生なのですから、こうなるのも必然です」
不良グループの本拠地。マッシュ達と交戦した生徒達を叱責して怒鳴るニャテ・マサムニェに、アケミの反応はさらりとしたものだった。
「なんのためにアレだけの人数を集めたと思って…!こんなところで戦力を削ぐわけにはいかないというのに…!」
「だから、強奪はもういいと私は何度も言ったではありませんか……なのに無視をしたのは貴方です」
「っ、それは…!」
「さっ、終わりましたよ。持ち場に戻り休んでいなさい」
「は、はい!」
「強欲……その言葉は貴方のような大人に相応しい物ですね」
そう言ってアケミは体を伸ばし、自身のペットであるムササビの「カルレス君」を肩に乗せ、その場をさろうとする。
「っ……子供に……あんな目で見られるとは…!……全て奴のせいだ…!―あの……権力に胡座をかいているだけの小僧が…!!」
「――」プツン
次の瞬間、アケミが爆発的に移動してマサムニェの首を右手で掴み上げると、強烈な威圧感をもってマサムニェに対して殺意に似た圧を掛けた。握りつぶさないように加減をしているとはいえ、小悪党に耐えられるようなものではない。
「今……なんとおっしゃいましたか」
「ぐぅ…ぇ…………な……なにを……」
「権力に胡座をかいているだけの小僧……それを本気で言っているのであれば、貴方の目はやはり節穴です」
「な…ぢ…ぃ…!?」
「彼が打ち立てた功績に目を向けず、無為に彼を妬んで品のない発言をする……実に腹立たしいですわ」
「なぜ、お前が怒るんだ…!?」
「彼は私の敵……しかし好敵手です。私にとって強い戦士は友であり尊敬すべき相手……特にマッシュ様はフィジカルだけの強さだけではなくその心の強さまでもが本物――そんな彼を貴方は侮辱した」
敵であるマッシュを認め、心の底から尊敬し友と認めているアケミは、彼への侮辱の言葉は何者であろうと許さない。アケミはそのまま、マサムニェを雑に路傍へと放り投げた。
「……失礼、少々お下品な真似でしたわね」
「―――っ………けほっ…ごほっ……!」
「カルレス君もごめんなさい、怖かったでしょうに……お詫びに今日のおやつはたくさんあげますわ」
マサムニェは忘れていた。口調がお嬢様、なおかつ淑女なアケミだが…彼女は七囚人。逮捕・脱走に至るまでの経緯は単なる不良生徒とは全く異なるのだ……侮れない。侮っては、いけない。
(しかしあいつをうまく利用すればチャンスはある…!奴を……あの小僧がアケミに負けるように仕向ければ……!)
ならば大人らしく子供を利用してやろう、そう、考えるマサムニェ。
「――皆さん、近いうちに先生御一行様はこちらへとやってきます……お客人はもてなすのが道理――最高級の準備を整えておきましょう」
そしてアケミは、マッシュらを真正面から迎える気満々。しかしそれは忍者研究部への準備……マッシュとは自分の手で決着をつける。
(殴り合いじゃなくとも……貴方が申し込んできた勝負ならば――どんなものでも受けますよ……マッシュ様)
「えーと、今までのことを踏まえまして……もう直接真正面から突っ込むことにしました」
「他に何かない!!?」
「変な小細工はアケミには効かないって私らが証明しているんだ………もうこれしかない」
「弾丸や爆薬が効くビジョンが見えませんし……」
「イズナの巨大手裏剣はいかがでしょうか!」
「多分破壊されるよ、ワンパンで」
百花繚乱からの助っ人としてやってきた不破レンゲも加えて、マッシュ達は作戦会議を行ったのだが……『マッシュとレンゲがアケミとその他不良を惹きつけて,その隙ににゃん天丸を拐う』しか思いつかなかった。それだけアケミという生徒が強くて恐ろしいのだ。
「アケミさんの狙いは僕との決着、ならその隙に忍者研究部のみんなが動くのが1番いいと思うんだ」
「私の仲間にキキョウっていう参謀を担ってる生徒がいるんだけどさ……そのキキョウが徹夜して考えた策が全部アケミに覆されたんだ。こっちの一歩を読んでの陣形と作戦……はっきり言ってこっちしか方法ない……私以外の百花繚乱は今動けないしな」
「みんなどうなってるの…?」
「さっき言ったキキョウは自分の作戦が次々と破られたことが悔しくて、今ずっと一人でどうにかする策を練っているところなんだ。私の声なんて全く聞かないほどのな」
「他の人たちは?」
「ユカリって生徒はシンプルに負傷をし戦線離脱、ナグサって生徒は………まぁ、色々あって戦闘に参加できない。残って助っ人として動けるのはわたしだけ」
「百花繚乱がそうなる相手で、先生が強いと言える相手…………」
「ツクヨ殿……怖いのですか?」
「…怖い……とっても怖い」
百花繚乱はゲヘナでいうところの風紀委員、トリニティでいうところの正義実現委員会であるため、相応の戦力を持っている集団なのだが……それが破られたとなると、百鬼夜行に暮らしている生徒達はもちろん不安は恐怖が募っていく。
「……でも、他に自分がやれることなんてない。わたしにはそれしか……忍術しか取り柄ない…から、頑張りたい――忍者研究部,正義の忍者として…!」
「ツクヨ―――私も、私も超怖い!ものすごく怖い!けどここで目立てば忍者研究部が正式に認められるし、派手な忍者にも近づける……それに怖いものを超えてこその忍者!」
「部長、流石です!」
「――私、イズナがものすごくうやましかったの」
「ふえ?」
「少し前まではちょっと身体能力が高い忍びって感じだったのに,今じゃ戦闘のプロみたいな動きができて、本物の忍者に近づけていっている……誘ったの私だけど……こう、なんか、後輩に追い抜かれたスポーツ選手の気分だったの!」
「わかる気がするなぁ」
「だからこそ目標がはっきりとしたの、派手な忍者になるために必要なのは……それだけの経験なんだって―だからお願い先生!私達にやらせて!」
「それが君たちの意思ならば、それを尊重するよ」
ミツルはイズナの成長に少し嫉妬をしていた、しかしアケミと少しだけ戦ったマッシュを見て感じたのだ。彼女が誰の元で動いていたのかを……全ては経験、経験を積み自分を鍛えることこそが強き忍びへの道。ツクヨも薄々とそう感じていた。
「百花繚乱は完璧に負けた、それは覆られない事実。……けどよ、私たちは百鬼夜行を守るために動く集団だ……舐められるのはごめんだ」
「名誉挽回、だね」
「ああ…!雑魚兵達は私が引き受ける、先生は思いっきしあいつと戦ってくれ!」
「任せておいて」
「あとこれが終わったら、噂の先生のトレーニング?って奴をやらせてくれ! 噂じゃ最高の青春行動って聞いたからさ!」
「一週間くらいまともに動けなくなりますし、身体中が筋肉痛になって大変なことになるから軽い気持ちでしないほうがいいですよ」
「イズナがいつもの元気溌剌な顔から真顔&マジトーンで止めてる!?」
「そういえばイズナちゃん、初めてあった時よりも腹筋と背筋がしっかりとついているような……」
「僕とワカモちゃんが鍛えました」ドヤッ
レンゲは汚名返上と治安維持、忍者研究部は更なる高みへ、マッシュはアケミとの決着とニャン天丸をぶん殴るために動く。
「先生と会ってまだそんなに時間は経ってないけど、意外といい奴そうで安心した」
「意外と、というと?」
「いやぁ戦意喪失している相手に無理やりサクラ大福を食べさせたって聞いててさー、敵に容赦ない奴なんだなって思ってたんだよ」
「……………………………………………」
「えーーーーと………」
「……えっ,当たってんのか????」
「戦意喪失はしてなかったと思う………うん」
「敵に容赦ないのはそうですね!」
「さーて話を次に進めるよー」
「おい待て!?サクラ大福を詰め込んだのはマジなのか!?」
「次の議題は僕の青春、筋肉についてだったね」
「1mmもそんな話出てなかったろ!?――あと青春の話はする!!」
何はともあれこれで作戦は決定し、一通りの準備を整えることができるようになった。あとはマッシュがどのようにしてアケミと戦うかだが……そんなのは決まっている。
「僕の本気を貴方にぶつけます、先生としてではなく。貴方の筋肉の好敵手として……手加減はしません」
「――何と……何と素晴らしき肉体……何と、気高き闘志! ――ああきっと貴方ならば私に、私の夢を見せてくれるでしょう!――超えるべき相手がいるという夢を!!!」
小細工無しの、戦闘だ。
恋愛感情とかでは無いがマッシュ君のことをめちゃくちゃ気に入り、良き友良き戦友良き好敵手と見ているアケミ姉さん……好感度90は普通にありますね……彼女もまた彼にクソデカ感情を持っているのです。
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