ほぼ説明回です、ギャグ満載の。
時は晄輪大祭が始まる二週間前、祭りに参加する陣営のトップ達は連邦生徒会の会議室にて集まり、開催と進行に向けた会議をすることとなっていた。
アビドスからは小鳥遊ホシノが、ゲヘナからは羽沼マコトが、トリニティからは桐藤ナギサが、ミレニアムからは調月リオが、百鬼夜行からは天地ニヤが、レッドウィンターからはチェリノが、山海経高級中学校からはキサキが出席していた。取りまとめ役としては、連邦生徒会から七神リンが出ている。
今次大会では、マッシュとシャーレの支援を受けたSRT特殊学園の生徒達に加え、ヴァルキューレ警察学校の生徒達も参加するが、今回の会議では多忙につき、残念ながら出席できる人員が確保できなかった。
「では、実行委員のメンバーは早瀬ユウカさん、天雨アコさん、羽川ハスミさん、伊落マリーさんの4名、ということでよろしいですね」
「問題ない……それにしても不思議な物だな、今まで顔を出さなかった我々がここにいるとは」
「ほんと不思議だよね〜」
「パラダイス機構……何度聞いても信じられんの。あのゲヘナとトリニティが手を組み仲良くなっているとは」
『仲良くはなってない』
「素直じゃなさすぎるじゃろて」
「我が校レッドウィンターは、今回の祭りにとことん参加させてもらうぞ! 外交もかねて、他の生徒をよく知るチャンスでもあるしな!」
「えっとー、はい、百鬼夜行も楽しませてもらいますね……はい」
これまでの会議では代表者が目を合わせることもなく、話す度に牽制や皮肉の言い合いが繰り返され、中には出席しない代表者も少なくなかったということもあり、リンは眼前で平和な会議が実施されている現状に感動すら覚えていた。
「そういえば百鬼夜行にはトップらしいトップというものが存在しないから、生徒会長のような扱いをされているお前が寄越されたのだったな――我らゲヘナの運命共同体とも呼ぶべき先生を騙した天地ニヤよ」
「そう緊張なさらなくとも良いですよ、私達トリニティの恩師たる先生を危険な目に遭わせた天地ニヤさん。我々はあなたを歓迎しています」
「自分ここにいるべきじゃない、なんて湿気たこと考えたりせずにさ、気楽でいなよー?初めての任務でアビドスに来てくれた上に、私達には返しきれないくらいの恩と思い出をくれた先生に怪我をさせたニヤちゃん」
「ええ、場違いだなんて気にすることはないわ。ミレニアムの財政危機を救ってくれたばかりか、キヴォトスの未来を守るためにコツコツ努力を積み重ねている先生を騙して、危険な七囚人と戦わせて挙げ句それを傍観して楽しんでいた天地ニヤ」
「全然歓迎されている感じしませんが!!?いや…わ、私が悪いのはそうですけどぉ…あれもまた彼の実力を図るために必要だったことでして…!」
しかし残念ながら、その理由の一つが共通の敵の存在によるものである点は変わらないようだった。なお、キサキは無言ながらも蛇のような目でニヤを見つめている。
「次の議題ですが、リオ会長からの要請についてです。運動神経が悪い生徒達も楽しめるような種目を追加して欲しい、ということですが…皆さんの意見はいかがでしょうか」
「なんの問題もないだろう、今回は特別だ。どんな物を追加しても文句はあるまい」
「私も問題ありませんね……ええ本当に」
「意義なーし」
「オイラも問題ないぞ!」
「妾も異議は無い」
「私もありせんね〜」
「では決定ですね、追加の内容については…実行委員に任せるとしましょう」
「ありがとうみんな、助かるわ(主に私が)」
キヴォトスにおいて、ここまで意見がまとまった会議が進められることというのは珍しい。ちなみに、この場に正義実現委員会や風紀委員会の生徒がいないのは、マッシュに勝つためにトレーニングと訓練に励んでいるためである。負けず嫌いであることは子供らしくていいのかもしれない。
「えー次に………ここからが本題、先生の参加をどのような形にするか…です」
「む?普通に参加させるのではダメなのか?」
「逆に何故それでいいと思うんだレッドウィンター。幼稚園に大人が紛れ込んで本気で競技しているような状況なんだぞ」
「………確かに!」
そう、最大の問題はマッシュの存在。身体能力が底抜けかつ青天井というとてつもないバグキャラを競技においてどのように落とし込むのかを、各学園の協力の下に決定しなければならない。
「うへ、おじさんとかヒナちゃんとかならまだしも普通の子達はねぇ……ちなみになんだけど、先生って今回のお祭りで例の腕輪を外すこと視野に入れてる?」
「御本人は、その意志はないものと仰っていました。流石に危険すぎるからと」
「腕輪……あの腕輪を外すとどうなるんじゃ?」
「本気の力が解放されて大変なことになりますね」
「――まさか、今まで力をセーブしていたと?」
「びっくりするわよね……わかるわよ、その気持ち」
「確実に我々は負けてしまうな……どうする?」
様々な意見が飛び交うものの、晄輪大祭の大前提は「全生徒が平等に楽しめる機会を与えること」にある。最終的な指針は、「マッシュが十分に力を発揮可能かつ、生徒達が危険のない範囲で競える種目」の追加に決まった。
「そして、我々トップも関係なしに参加するのですが……皆さん大丈夫でしょうか」
「キッヒヒ…雷帝時代の生き残りの私を舐めるなよ?少しの運動なんぞお手のものだ」
「オイラも問題ないな、元から動く方だしな!」
「妾は諸事情により走り込む事ができぬ故、勘弁して欲しい」
「体が弱いんじゃ仕方ないよね〜、おじさんは全然平気だよー」
「私は………忍者研究部の皆さんと共に走らされています………おかげで両足が…」
「………………えっと、事務作業が忙しくて」
「………お、同じく」
わかりやすく目を背けるナギサとリオ、そこを見逃さなかったマコトが口を開ける。この時にリンは嫌な予感がしていた。
「なんだ、サボっていたのか? マコト様はちゃーーーんと鍛錬を積んでいるの言うのにな〜?」
「―――私は、そもそも前に出ないタイプなので。戦闘を行うタイプでもありませんし……ねえ?」
「え、ええ。そうよ…私は、支援…タイプだし」
「マコト様もそっち側だが?おかしいなー?」
「…………私には、正義実現委員会やミカさんがいるので問題ありません。彼女らの勝利は学園の勝利なので」
「まるでもう自分が勝つのが決まったかのような言い方だな」
「……おや?そう言ったのですが、聞こえませんでしたか?」
「―…ほう?」
マコトとナギサが睨み合いを始めた、パラダイス機構で仲良くなったとは言え二つの学園は競争相手同士……『自分の陣営が勝つに決まっている』と言われてこうならないわけがない。
「ゲヘナを舐めるなよトリニティ、我が校の風紀委員会は最強だ。特にそこに所属している空崎ヒナはゲヘナ最強……先生の相棒としても活躍した逸材だぞ?」
「そちらも、我々トリニティを侮ってはおりませんか? 我々トリニティには数多くの陣営があり,そのほとんどが戦闘ができる者達です……特に、ツルギさんやミネさん、サクラコさん……そしてミカさんなどは先生が認める実力者です。わかりますか?―数が違うのです」
「攻撃性で言えばこちらが上だろうに、こっちはずっと戦闘が続いていてそこで強化されておる生徒らが多数いるんだ……そっちとは違って戦闘なれしすぎている優秀なな?」
「戦略で言えばこちらの方が上ですが?少なくとも、貴女よりかはマシな作戦が立てられますが」
「やるか貴様」
「やってやりましょう」
「やめんかお主ら、ここで不毛な争いなどしてどうする」
そうですそう言ってくれてありがとうございますとリンは心の中で叫び、今度は自分が何かを言おうとするか
「ちなみに妾の陣営は拳法を使う者も多数おってな、しかも料理は絶品。そこだけ見れば負けなしじゃと思う」
(なんで今ここでそれを!?)
「料理なら我が給食部だって負けてないぞ、何故なら我が校の給食はたった二人の給食部が担っているのだからな!!」
「それは色々と酷すぎませんか」
「最近は部員が増やされたから大丈夫だ……とにかく!我らゲヘナが最強だ、他校の者達など屁でもない!」
「はいはーい、おじさん達のことも忘れてなーい? アビドスの子達だってものすごく強いよー? 先生だって認めてくれてるし」
「我がレッドウィンターだって負けてないぞ!」
「百花繚乱は諸事情で出れませんが…忍者研究部や修行部だって負けてませんよー? 自分の下にいる者達みんなが最強とか、少しだけ調子に乗りすぎでは?」
それぞれのトップ達が立ち上がり始めた、言い換えれば『自分の部下達はお前達の部下よりも凄いぞ』と言われたのだから、カチンと来るのも当然。
「それに後輩の可愛さで言えばシロコちゃん達が最強だしー?」
「ヒフミさん達の方が可愛く愛おしいです」
「………さっきから好き勝手言って……ゲーム開発部は我が校の癒しよ。それに戦力で言えばC&Cだっているのよ」
「ふん!こっちにはイブキがいるんだぞ?ついでに空崎ヒナだってマスコットとしても優秀だ!!」
「あの皆さん? ここはどうか穏便に済ませましょう、喧嘩は良くありません。どの陣営の後輩達も可愛いと言うことでいいじゃありませんか……というかこの話はやめませんか? 何故だか嫌な予感が」
「話は聞かせてもらいました!!」
「ほらやっぱり!!」
「貴女は……――妄言の狐、狐坂ワカモ!」
「羽をむしり取って差し上げましょうか?」
そんな会議へとやってきたのはワカモ、シャーレの陣営を呼ばなかったのは確実にワカモが暴れるからである。
「戦力という点に関しましては、まあマッシュ様と彼の方の妻である私がいるので話はしませんが」
『認めてないからな(ませんからね)(ないわよ)』
「お、おい!あの3人の背から謎のオーラが出ているぞ!?」
「保護者じゃったか」
「後輩のかわいさ………フフフッ、貴女達は愚か、愚かすぎます……この世で1番可愛い後輩は――我が妹イズナです」
「ギリ
この場にサオリがいればもっと暴走していたであろうが、ワカモの中で1番可愛いのはイズナ,惚れているのはマッシュと区切りがはっきりとついている。
そして大体の人は察したと思うが……ワカモ参戦により、この会議は穏便には済まされなくなっていた。
「――いいだろう貴様達……この際はっきりとさせようじゃないか、どの学園が1番先生に近い存在なのかをな!!そしてそのトップであるものが、1番凄いということだ!!」
「その挑発乗ってあげるわ、私のミレニアムが貴女達を追い抜き……かならず1番になる」
「久しぶりですね〜この感覚……ミカさんにはもう遠慮なしと言っておきましょうか」
「えーと……わ、我レッドウィンターも負けんぞ!」
「こんな争い……――楽しくないわけないじゃありませんか♪にゃはは♪」
「後で後悔しても知らないよー?」(ポニテになり始める)
「……ええいもうやけじゃ、やってやろうではないか!」
「皆さん!この祭りは先生も楽しめるそんなお祭りなのですよ? なのに喧嘩だなんて…」
「行政官、これはケンカなどではありません……ただの競い合い、ただの勝負です―天をかけた……ね?」
ばちばちと火花が散る会議室、リンは『まあ銃撃戦などにならないだけマシですか……』と諦めつつも『何故こうも』、とも思っていた。
(…………待ってください、この戦いに私参加しないとダメなんですか? 連邦生徒会でまともに動けるのハイネくらいしかいないのですが?)
(――――やってしまいました、どうしましょう…!私本気で走ったことなんて今まで一度もないのに…!)
(まずい、まずいわ……本気の運動なんて園児以来よ…⁉︎ ど、どうしましょう…それにミレニアムが勝つって言っちゃった…!!!)
(――しまった、勢い余っていってしまった………絞られる。ヒナに絞られる…!!)
(今日のおやつは……プリンだな!)
(……トップの争いに妾は出れないのじゃった、すまんの山海経の皆よ…)
(――にゃは……は………どうしましょうこれ)
(…………えっどうしよ、めちゃくちゃ喧嘩売っちゃった――まあ本気出せばいっか、わたしが)
(ここで勝てば私が、映えてあなた様の勝ちヒロインに…!!!!)
そしてトップ達のほとんどが焦り、やってしまったと本気で後悔するのであった。
オラッ、君たちも走るんだよ。
とりあえず借り物競走のお題を先に発表しておきます。
【人部門】
優しい人
問題児
顔がものすごく怖い人
身長が小さい人
なんとなく「ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」って言ってそうな人
愛している人、複数でも良い
投資に失敗してそうな人
愛が重い人
【物部門】
鉄の杖
デザインがダサすぎるロボット
なんかすごそうな兵器
喋りまくる機械
あの時に捨てた夢
先生の腕輪
の、中からどれかを出す予定です、お楽しみに。
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