透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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マッシュ・バーンデッドと障害物と騎馬戦

 

 

 

『さあ続きまして―――おやっ!?な、なんでしょう!会場に一人、障害物走に出る選手の一人からとんでもない気配を感じます!!』

 

『あれは……ワカモさん、シャーレの狐坂ワカモさんです!!ワカモさんからとんでもない気迫を感じます!!』

 

『他参加しているシャーレ生徒さん達も……あっ、違います!どうしたからいいかわからず困惑しております!!』

 

『ワカモちゃーん! やる気あるのはいいけど気迫は抑えて!抑えてね!?』

 

 

 

 

 第二種目・障害物競走の開始。スタートラインに出場選手が準備を整えて並んだのだが、その中で明らかに異様な空気を纏って牽制と威嚇のオーラを噴き出す者がいた。言わずもがな発生源はワカモ、その理由はたった一つ。

 

 

 

 

(勝てばあなた様に褒めていただける!!)

 

 

 

 

マッシュへの愛から溢れる勝利への執着である。しかしそれ故の圧、共に出る予定のシャーレ生徒らが抱き合いながら震えるほどの圧。そしてもう一人、圧を出している者がいる。

 

 

 

 

「ちょっとシロコ先輩!?ホシノ先輩がなんかすごい顔してるんだけど!?何があったの!?」

 

「えっと……ホシノ先輩の『かっこいいところ見てみたーい(棒)』って言ったら、ああなった…」

 

「なんでそんなこと言ったの!?」

 

「『先生相手じゃない時に本気は出すのは大人げないよね〜』って言ってたから………つい」

 

「ついででポニーテール状態にしないでよ!!」

 

「セリカちゃんにシロコちゃん、緊張しなくても大丈夫。何があっても私がなんとかするから」

 

「ほら一人称まで変わってるし!!」

 

「ん、まずった…大祭が大事故になるかも」

 

 

 

 

 ワカモが赤い黒いオーラならばホシノはピンクのオーラ、その二つがぶつかり合いヤベェーイッ!って感じになってしまっている。スミレ、コトリ、ミヤコ、サキ、ミユ、ジュンコの出場している生徒達はその二人を見て静かに望遠本能が働いていた。

 

 

 

 

「あの二人、障害物とか全部破壊して進みそうなんですけど」

 

「今のうちに避難警告を出す準備をしておくか」

 

「警備ロボも作動させておくわ」

 

「みんなひどくない?」

 

「そうよみんな、先生という世界最強の存在がいるのにそれらのものは不要よ」

 

『それもそう(だな)(ですね)(ね)』

 

「本気のあの二人止めるとか、できないわけじゃ無いけど余波ですごいことになるよ?」

 

 

 

 

 幸いたことにホシノとワカモはアンカーという事になっている。が、それまでの猶予が短い。キヴォトス人の身体能力を持ってすればアンカーなんてすぐそこだ。

 

 

 

 

『えーとりあえず始めちゃいましょう!』

 

『ルールはいたってシンプル! 忍者用撒菱、500円玉に見えるボトルキャップ、拾ってくださいと書かれた箱に入ったぬいぐるみ、などの障害物を超えゴールした人が勝利です!』

 

『思ってたのと違うんじゃけど!』

 

『それでは皆々様、準備はいいですかー? ではでは早速――』

 

 

 

 

 

 次の瞬間、会場壁が爆発、スタジアム全体に煙が立ち上った。そして響き渡るはキャタピラの起動音。

 

 

 

 

『な、なんと!スタジアム内に突然、一つの戦車が襲来しました!スタジアムの門の方からやって来たのが幸いでしたが、なんなのでしょうかあれは!』

 

「……ミレニアムの応援合戦用ロボットよ」

 

「また貴様らかミレニアム!」

 

「またとは何よまたとは!今回ばかりは絶対に私たちじゃ無いわ、アレの作動は外部から強い衝撃を与えない限りあり得ない……それに保管場所だって内部の人間しかわからないような場所だったはず…!」

 

『――すみません会長!我々実行委員の失態です!』

 

『申し訳ありませんヒナ委員長…!この祭りを利用して物資を奪い去ろうとした暴徒を我々の独断で追い詰めたのですが…その時にあの戦車を暴走させて…!』

 

『犯人は捕まえましたが……戦車の方は私たちでは無理でした…!しかもハッキングをして止める隙もないようで!』

 

 

 

 

 戦車はスタジアムを走りながら砲口をさまざまな場所に向け続けている、いつ撃ってもおかしくない危険な状態、それが真っ直ぐにテントに突っ込もうとしてたが――

 

 

 

 

 

 

「フンッ」ゴンッ!!

 

 

 

 

 

 マッシュが軽い裏拳で吹き飛ばしそのまま戦車の背後へと回り、力一杯蹴り上げる。すると戦車は火花を散らしながら空高くで大爆発。

 

 

 

 

「……あっ、コース直さないと」

 

 

 

 

 そしてそんなことがなかったかのような態度をとったまま、ズタズタになった道を己の筋肉をフル使った道具捌きで軽く元に戻した。ここまでの時間は僅か1分。

 

 

 

「……おい、あの先生また強くなってないか」

 

「アレ力込めて殴ったりせずに軽い裏拳で宙に浮かしましたよね…?」

 

「アッハハハ! 先生さっすが〜!」

 

「観客達放心してるんですけど?」

 

「門主様、今更ながら我々ってあんな人に喧嘩売ってたんですか?」

 

「妾は売っとらんからな」

 

 

 

 

 何はともあれ競技は続行できるようになり、そのまま実行。初手進行の邪魔しようとしたシロコだったが難なくかわされ、そのまま3位と言い位置を保持し続けていた。

 

 

 

『さあいよいよアンカーにバトンが渡ります! そして障害物の量や質も大アップ!!』

 

「何が来ようと関係ありません、道がなければ作れです」

 

「その意見には同意……所でワカモちゃん?」

 

「なんでしょうか」

 

「君って先生の奥さんになりたいんだよね?」

 

「なりたいではなくなっています♡」

 

「……ふーん?じゃあさ――」

 

「ワカモさん!あとお願いします!」

 

「ぜぇ、はぁ…ほ、ホシノ先輩,あとお願い‼︎」

 

 

 

 

 三人めのアンカーである二人にバトンが渡ったその瞬間、ホシノはワカモにだけしか聞こえない声ではっきりと告げた。

 

 

 

 

「先生とデートとか、キッスとかしたの?」

 

「―――ヒャイ!?」

 

「チャンス!!」

 

「―――あっ……!この…待ちなさい!!!」

 

 

 

 一瞬の動揺,その隙をつきホシノは駆け出す。地面に敷かれたネットは少しあげその隙間を滑るようにしてクリアし、ワカモも同じようにそうしてクリア。

 

 ハードルに関してはもはや無かったというレベルで障害にならず、ワカモは超えずに破壊して前へと進んでいった。そしていよいよゴール前…というところで試練やってくる。

 

 

 

 

(このままいけば勝てる…!ごめんねワカモちゃん、後輩の為に私は―――)

 

 

 

 

ベチャッ!!!!!!

 

 

 

「ムギャッ!?」

 

『あーもホシノさん転倒!地面に巻かれている粘着性の板に気づかないほど、前に走る事に必死だったようです!』

 

「ちょっ…これ、ありなの⁉︎ や、やばっ、両手離れないし…!!」

 

「オッホホホホホッ!罰当たりな小鳥はそこで這いずっておりなさい!勝者はこのワカモです!!」

 

 

 

 

 ゴキブリホイホイとばかりの粘着性の板、しかもいやらしく地面と色が変わらない感じになったものにうっかり引っかかってしまったホシノを尻目に、ワカモはゴールしようとする……が。

 

 

 

 

(――はっ……あ…アレは…!!)

 

「ワカモちゃ……ワカモちゃん?」

 

「なんだアレは……人形? それが空から降って来て、そのまま地面に落ちていっている…?」

 

「よく見たら先生とレグロさんの―――えっちょ待ってワカモストップ!!」

 

「待てワカモ!!それは罠だぁぁぁ!!」

 

 

 

 地面、それもかなり汚れている部分へと落ちようしているのはレグロとマッシュのデフォルメされた人形。製造元は不明、しかしその二つの人形はワカモにとって最大の罠だった。

 

 

 

 

「例え人形といえどお二人を汚れさせるわけにはいきませぇぇぇぇぇん!!」ダダダッッ!

 

『おおっとここでワカモ選手足を止めて逆走し人形を救いに行ったぁ!!』

 

『ワシの人形とかそんな欲しい…?』

 

『おそらくですが、ワカモさんにとってレグロさんはマッシュ先生と同じくらい大事な存在なので、例え人形といえど守るべきものは守る…的なことかと!』

 

『怖い』

 

「あっ、そういえばこの前ワカモさんが毛糸で先生のお人形を作ってました」

 

「呪いの藁人形か?」

 

「愛の間違いでしょ」

 

 

 

 

 ここでチャンスと思ったホシノは両手両足を粘着性の板で拘束されているのにも関わらず力を入れ、両手をなんとか引き剥がす事に成功。

 

 

 

 

「やっ……と…!取れた――オリャァァァァ!」

 

『ここで逆立ちで走り始めたぁ!しかも早い――夫後ろから人形を大事そうに抱えながら戻って来たワカモさぁぁん!!』

 

「勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ!!」

 

『執念がすごーい!!』

 

 

 

 

 逆立ちと全力ダッシュ、勝ちは明確にわかっている……しかし違うが一つ、それはワカモの姿勢。ワカモは人形二つが崩れない様に、壊れない様に優しく持っている――つまりはしっかりとしたフォームをとれていないままのダッシュという事になる。

 

 

 

 

「そのままじゃ全力出せないよね」

 

「っ―!!」

 

「愛が仇となったねワカモちゃん――それと……私も、先生のこと諦めてないよ」

 

「……いい……でしょう――今回は負けですが……先生のレースだけは私がトップです!!!」

 

 

 

 

 ホシノはそのままゴール、一着アビドス、二着シャーレ,三着SRT、四着ゲヘナ、五着ミレニアムという結果に終わったのであった。

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁごべんなざいあなた様ァァァァァァァッ!!!」

 

「うん大丈夫大丈夫、気にしてないよワカモちゃん。だからせめて体全体に抱きつこ? 腰にへばりつくのは絵面がまずいから、これキヴォトス全体の放送だから」

 

「カメラ止めろぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 続いては騎馬戦、勝ち抜き戦という形の中生き残ったのはイズナ・ツクヨ・カエデ・チセの百鬼夜行チームvsチェリノ・トモエ・マリナ・そしてクマキチのレッドウィンターチームvsニーナとその他シャーレ生徒が生き残り、戦っていた。

 

 

 ルールはシンプル、騎手の鉢巻を取れば勝ち。

 

 

 

 

 

「あのクマが厄介すぎる…!」

 

「騎馬戦と言うか乗馬戦でしょあれ‼︎」

 

「落ち着くんだお前達!焦っては何も始まらないぞ!」

 

「ワッハハハハ!!我らレッドウィンター最高戦力、クマきちの力をみよ!!」

 

『アレあり!?』

 

『クマきちと言う生徒がいると言う事になってますので……ありですね』

 

「んー………困った、忍術で……なんとかなりそう?」

 

「ごめんなさいチセ姫アレばっかりはちょっと無理そう!!」

 

 

 

 クマきちの背に乗っているレッドウィンター、クマの機動力とチェリノの指揮能力の高さに他学園はなかなか手を出せずにいた。やはり自然の生物は恐ろしい。

 

 

 

(なんとかしてあのクマの動きを止めなければ………そういえばこの前、ミサキがあのクマの事を話してくれたような―――そうだ…あのクマにはトラウマがあった…!)

 

「さあゆけクマきちよ!まずは百鬼夜行だぁ!」

 

「わわわわやばいやばいやばい!!失礼だけどチセ姫のフィジカルじゃ流石に無理ぃ!」

 

「大ピンチー」

 

「け、煙で撒きましょう!」

 

「鼻いいから無理ー!!」

 

 

 

 

 そのままクマキチが百鬼夜行へと突っ込もうとしたその瞬間、ニーナは少し心を傷ませながらも大声で告げた。

 

 

 

 

「―クマきち!最近婚活どうだ!!?」

 

「―――――――」

 

「いいメスは見つかったかぁ!?」

 

「あ、や、やめろ!今のクマきちに婚活の話は」

 

 

 

 

 次の瞬間、クマきちは何かを思い出したのは大粒の涙を流しながら勢いよく立ち上がった。そのせいで背中にいたチェリノ達は後転、騎馬を崩してしまった。

 

 

 

 

「し…―しまった…!」

 

「ち、チェリノちゃんお髭お髭!」

 

「髭よりもクマきちだ!だ、大丈夫だクマきち!今度オイラがなんとかしてやるから!」

 

「グゥオオオオオオオァァァァァァッ!!!」

 

「だ……ダメだ……完全に戦意を損失している…!」

 

『えークマきちさんが戦闘不可、並びに騎馬が崩れてしまったのでレッドウィンターはここで敗退となります!』

 

『クマにも婚活とかあるんじゃな……そういえばワシも若い頃はよく数合わせで呼ばれた様な…………うっ』

 

『そしてこちらもダメージを受けている人がいます!!』

 

「クマきちまた振られたんだ」

 

「だんだん可哀想になって来た」

 

 

 

 

 残るはシャーレvs百鬼夜行、チセ自体はニーナ単体でなんとかなるが厄介なのは下にいる忍者研究部+修行部のカエデ。忍法を駆使し人形で身代わりを作ったり、煙で逃げたりするのでなかなか捕まらない。

 

 それに三人の身体能力は忍者三人と修行を積んでいる者一人、いくらシャーレといえど流石にキツい。

 

 

 

「どうすんだニーナ! このままじゃ…!」

 

「……先生は昔,ミカの猛攻を止めるためにわざと攻撃を喰らった」

 

「………!本気なの…?リスキーすぎと思うけど」

 

「いや…やるしかない、ニーナにかけてみよう!」

 

「…了解!」

 

「みんなありがとう……準備してくれ!」

 

 

 

 シャーレの生徒ら3名が足腰に力を入れ、ニーナも構えをとる。狙うは相手が自分の鉢巻を取ろうと手を伸ばしたその瞬間……そこを狙う。

 

 

 

 

(――敵を目ではなく、心で見るんだ……気配を辿れ……何も逃すな…………――)

 

 

 

 ほんの一瞬だった、ニーナの完全な死角から飛んできた百鬼夜行チーム――そこをニーナは逃さなかった、サオリやマッシュとの対面での訓練で何度も経験して出来上がった技術を、そこで使ったのだ。

 

 

 

「捕らえた!」

 

「腕、挟まれちゃった」

 

「ツクヨ!」

 

「させない!」

 

「わわわっ!そんなに詰め寄られちゃったら…!」

 

「百鬼夜行!打ち取ったり!!」

 

 

 

 

 ニーナはチセの手を脇で挟んだあと、そのまま違う方の手を伸ばし慣れた手つきでその鉢巻を奪い去る――そこで勝負は決着!

 

 

 

 

 

『勝者、シャーレチーム!!』

 

「ニーナぁぁぁぁ良くやったぞぉぉぉ!!」(泣)

 

「チセちゃんよくがんばりましたぁぁぁ!!」(泣)

 

「保護者か」

 

 

 

 

 借り物、障害物、騎馬戦と終わり続いてやって来たのは―――皆が見たいと思っていたであろう競技。

 

 

 

『さあみなさん…!やってまいりました、続いてはトライアスロン!しかもただのトライアスロンではありません、各学園からの強者達が集まる……まさしく本当の意味での決戦です!!』

 

 

 

 

 

「負けませんよ」

 

「それこっちのセリフー、泳ぎはともかく走りじゃ負けないもん⭐︎」

 

「トライアスロン……日々の仕事に比べればなんて事ないわ。だから…勝つ」

 

「00の名を貰ってるんだ、圧倒的な勝利ってやつを見せつけてやらぁ!」

 

『すみません棄権ってありですか』

 

 

 

 

 

 何ならこれから始まるのは、頂上決戦だ。







みなさん!次回はミカさん達の水着が見えますよ!!やりましたね!!

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