天井まで回しちまった…………出なかったし………おおうっ。
とりあえず気分転換に、このお話を……どぞ
『忍者研究部……恥を偲んでお願いしたいことがあるの。このお願いは私個人としてのお願い、そして口外しないでほしい事なの』
『そのお願いって?』
『祭りの日、必ず何かが起こると私は踏んでいる……その何かが起きた時に狙われている者を助けて欲しい』
『先生とか…陰陽部の人達じゃないんですか?』
『私は先生や修行部、それから私たちの意識を祭りに集中させ…別の場所を襲う作戦だと思っている』
『そ、その襲う場所って…?』
『………そこは――』
「キキョウ先輩の言うことがここまで当たるなんて…凄いことだけど、当たってほしくなかったって思っちゃうなー!!」
「い、イズナちゃん!本当に私達は、お祭り会場に行かなくていいのかな…!?」
「イズナも、できれば会場で主殿の護衛をしたいです……でも……でも何か、嫌な予感がするんです!このまま放っておけば、もっと大変なことになる予感がするんです!」
「イズナの勘はいっつも当たってるもんね!――イズナ、私たちはイズナについて行くよ、ニンニン!」
「よろしくお願いします!」
祭り会場が炎に包まれる中、忍者研究部は爆破が始まったと同時に走り出し、会場を飛び出してキキョウに指示されていた場へと向かっていた。その場所は───
「勘解由小路家のお屋敷なんて――なんであそこが襲われるのかまだわかってないんだけど、イズナは分かるの?」
「いいえ、わかりません!――でもさっきから、あのお屋敷に近づくたびに、耳としっぽの毛がざわついたり…逆だったりして……とにかく、普通じゃありません!」
「言われてみれば…」
「――ふ、二人とも!ストップ!」
二人の後ろを走っていたツクヨの声を聞いた二人が急ブレーキをかけてストップ、しかしツクヨはブレーキしきれずそのまま二人を巻き込んで前へて転んでしまった。
「あいったたた……もーうツクヨー!止めるんだったらそっちも止まってよー!」
「ご、ごめんなさい……―と、と言うよりも、二人とも、前に何かいるよ…!」
「前?―――ニョワァ!?」
「も――物怪!?」
立ち止まった忍術研究部の前に、無数の妖怪が屋敷を取り巻くように蠢いていた。唐傘、化け提灯、一つ目小僧など、絵本や巻物でしか見なかったような物の怪が集まり、屋敷の周りを蠢いている。
「なにあの怪物!?何あの見た目!?」
「ほ、本物…?」
「作り物にしては、あまりも精巧すぎます……ふ、二人とも、ここはゆっくりと…裏に回って、お屋敷の裏口から近づきましょう!」
「「賛成……!!」」
マッシュのように正面から突っ込んで行ってもいいと考えるのは脳筋のみ、イズナ達は身の安全と効率の問題を考え妖怪達に見つからないように裏から回ろうとする。
(抜き足)
(差し足…)
(忍び足……)
(抜き足…!)
(差し足…!)
(忍び足…‼︎)
(抜き足…!!)
(差し足…!!)
(カタカタカタッ…)
(忍び足!!)
「「「―――ん?」」」
「…カタカタカタッ」
「「「――――――うわァァァァッっ!!!?」」」
いつのまにか三人の中に紛れ込んでいた化け傘が、震えながら光り出す。三人は化け傘を蹴り飛ばすと、一目散に走り出した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!??」
「お、おおお化け達がいっぱいぃぃぃ!!」
「ごめんなさいぃぃ!!嫌な気配はしてたんです!!でも後ろにいたのには気づかなくてぇぇ!!殺意とか敵意とかも感じなくてぇぇっ!!」
「全然いいよー!こう言う時こそフォローをする!それこそ部長の役目ぇぇぇっ!!」
ミチルは懐に手を入れ、取り出した矢を後方に連投する。それらは全て焙烙火矢、焙烙火矢は妖怪達を舞い込み大爆発、三人も爆風で前へと飛んだ。
『わぁぁぁぁぁっっ!!!?』
爆風で前へと飛んだ先、そこに待っていたのは待機していた妖怪達。三人は忍者特有の軽快な動きでうまく回転し、なんとか体勢を立ち直した。
「くっ……こうなれば仕方ありません。シャーレ流忍法の奥義を使います!」
「えっそうなのあるの!?」
「はい!イズナがシャーレの皆様、そしてワカモ姉様と共に学び身につけた奥義…!!」
イズナは銃を持ちながら飛び上がり、妖怪達へ向かって――飛び蹴りをした。
「イケイケドンドン!の術です!!」
「それ有するにゴリ押しって事じゃん!?」
「イケイケドンドーーーン!!!です!!」
「――ツクヨ!イケイケドンドンで行っちゃおう!!」
「ええっ!?」
「こうなったらやるしかない、ゴリ押しで突破してやるー!!」
「えぇぇっ!!?」
忍者研究部vs妖怪達の戦闘が開始、妖怪にダメージは通るがとりあえず固く三人は苦戦を強いられることがほとんど確定していた。
「であれば……主殿のように!壊れるまで攻撃をするだけです!」
「脳筋バーサーカーの思考! でもそれしかないよね!」
「い、イケイケ…ドンドン!!」
なので壊れるまで攻撃の手をやめないことに決定した。妖怪達は作られ呼び出された存在、いわば機械と似たような物なのだが……忍者研究部に対してまあまあな恐怖を感じてしまったのであった。
「……もう50もメールをしているのに、イズナからの返信がありません―――何かあったに違いありませんね」
そして後にもっとひどい恐怖体験をするのだが、今はひとときの平穏のために黙っておいてあげよう。
「フンフンフンフンフンフンフンフンフンッ」ドガガガガガガガガッッ!!!!
「なんて……力なの、物理耐性がある妖怪達をあそこまで簡単に倒せるなんて―――腕増えてない?」
襲いかかってくる妖怪のその拳を使い粉砕していくマッシュ、傘だろうと提灯だろうと彼の前ではただのガラクタ。障害にすらなっていない。ナグサはそんな光景に驚きと引を見せながらも妖怪らを撃ってゆく。
「なんであの爆発を喰らってピンピンしてるんですか…!!?ありえましぇんよねぇ!?」
「それよりも強い爆発とか攻撃とか喰らいまくっててさ(本当はアロナちゃんがバリアを展開してくれたんだよね……お陰で服すらも無事だ)」
「きいぃぃっ!!」
化け傘の足を持ち妖怪達を薙ぎ払うかのようにして振るうマッシュは、早いところこの場の敵を片付けてシュロを捕まえようとした。
「―また爆発…‼︎」
「………そうですよねー? 気になりますよねー? いいことを教えてあげます!――あの爆発はここが燃え尽きるまで止まりませんよ」
「化け傘…いったいどれほど忍び込ませて…‼︎」
「そりゃあもう!この会場の至る所に……しかも、そればっかり気にしている暇もありませんよ、木造建築が多い百鬼夜行において火はあまりにも天敵――ほら、見てください…あたりがドンドンと火の海になっていく光景を!!」
屋台に使われている油や火器などに次々と火が引火、火はどんどん強まり止まることを知らない……さらに広まる速度はまさしく電光石火。
「鎮火しないと」
「無駄ですよー、いくら貴方といえど水が無い状態でここら一体を鎮火するなんて不可能……竜巻を起こすのならばどうぞ? その代わりに火も巻き込まれてもっと大変なことになりますけどね!!アッハハハ! 大人しく見ててくださいよ、ここが燃え、巫女がそれに身を預ける瞬間を!!」
消化しようにも水が無い、あるとすれば少し離れたところにあるリゾート地の海……だがそこから百鬼夜行の、しかも祭りの場所まではかなりの距離がある、持ってくるのは時間がかかるし、不可能だ。
「はぁーこの状況をどうするんですか先生〜?まさかとは思いますが……僕が海の水を運んで消化する!!なんて言いませんよね〜」
その言葉は取りに行った瞬間からもっと妖怪を出し人々を襲わせ、爆発もより強力にすると言う脅しでもあったが…
「成程、確かにそれなら確実に消せるね」
「は?」
「海水って使っても大丈夫ですか?」
「大丈夫………だけど……本当に、やる気なの? 祭りの会場だってかなりの広さがある、妖怪達を避けながら水を運んで鎮火なんて…できるわけが」
「水を海から運んでこればいいんですよね?――なら簡単ですよ」
マッシュは両腕の腕輪をは外し地面へと置く、地面に埋まりヒビを入れたその腕輪にナグサやシュロをだけではなく妖怪達も『――はっ?』となっていたが……それまだ早い。
「あとは杖を、バケツに変えてっと」
「はぁぁぁ!!!?法則を無視しないでくれましぇん!!?」
「アロナちゃんリゾート地の場所は……ここだね――よしっ」
その次の瞬間、マッシュの体が突然バグったかなようにゆがみ始めた。それは彼が高速で動いている証拠だ。
(―はっ、ハッタリですよ、それにいくら早く立ってそんな短時間で水を運んで鎮火させれるわけが無いです!!とにかく今はナグサちゃんを――)
バシャアッ!!
「ちべたっ!!?」
「あっごめんかかっちゃった」
「手前は何をして――――――はぁ…えっ?」
「――――先生が……そこらじゅうに…いっぱい………と言うか…これは――」
マッシュが何をしたのか……それはシンプル、市民が使う消化活動においてもっとも効率が良く、もっとも早い行動
シャカカカカカカカカッ!!!!!
「バケツリレー!!?」
「一人で!!?」
バケツリレーだ、マッシュはバケツを一人で使い、海からの水をバケツリレーで持ち運び祭りの会場の沈下を始めた。―しかもおかしいのはそれをたった一つのバケツで行っていると言うこと。
「――――――――」
(―――えっ……あの……あれっ…バケツリレーって、複数人でやることなんじゃないの…? あと、リゾート地の海岸からここまで…数キロはあるんだけど……えっ?)
海水をすごいスピードでバケツで回収しそれを百鬼夜行の祭り会場まで運び火が出ている場所に向かって水をかける、この工程を高速――いやもはや音速と言えるレベルの速度で行い、今現在祭り会場では1000を超える水バケツを持ったマッシュがそこらじゅうにいると言ったえげつない光景が広がっていた。
そんな光景を見てシュロもナグサも言葉を失い唖然、しかしシュロだけはなんとか思考を切り替え
(――ふざけないでくださいよ、こんな……こんなしょうもない――品性のかけらもない行動で火が鎮火される…?――そんなコメディみたいなお話、百物語には必要ないんですよ!!)
シュロは化け傘達をマッシュに差し向けようとする、だが本気モードのマッシュは危険すぎる形態。
「触れただけで破壊された…⁉︎」
「車にぶつかった人のように……勢いよく吹き飛んで行っている………火もどんどん弱くなっている…!!」
「――やめ、止めてくださいよ!!こんな、こんなくだらない始まり方なんてありませんよ!!百物語が、私もコクリコ様のお話がこんな……こんなのって!!」
「君達のお話……僕たちはその登場人物でモブキャラってことなのかな」
ハッとした瞬間、マッシュはすでに両腕の腕輪を付け直しており、バケツも杖に戻っていた。周りを見渡すシュロとナグサ――火は無くなっていた、それも完璧にだ。
「でもそれは違う、この世界の話の主人公は自分自身。君達だけなんかじゃない」
「こんな始まりなんて認めませんよ…!百物語がそんな薄っぺらい、ご都合主義のハッピーなお話なんて認めません!そんなつまらないお話なんて……手前が全部やり直してあげますよ!!」
「そうなんだ、じゃあさ」
マッシュはスッと親指を自分に向け、自信満々に告げた。
「物語を書いている僕の
「―――あぁもうほんとうに,大嫌いですよ……そういう、青臭い、薄っぺらい、風流も何もない……つまらないお話は!!!」
シュロは両手を合わし、また新たな妖怪を呼び出し始めた。マッシュは本気モードの後遺症を感じながらも、力一杯握りしめ、それらを破壊すべく戦いを続行。
(――嫌な…予感がする。………まさかこれは…揺動……⁇――だとしたら狙いは何? 他に狙うものなんて―)
一方、自分もマッシュの援護をしようと思っていたナグサであったが……心から、心の底から嫌な予感がしていた。胸騒ぎが止まらず、思考を巡らせた。
『ここが燃え、巫女がそれに身を預ける瞬間を!!』
「―――まさかっ!!?」
ナグサはある場所へ向かって、走り出すのであった。
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