透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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兄を名乗る不届者vs妻を名乗る狐

 

 

 

「無駄に硬いし数も多いしでもーーーう大変すぎるってぇぇぇっっ!!!」

 

「この妖怪たちって本当に…なんなんだろう…⁉︎」

 

「とにかく今は道を開けましょう!考えるよりも先に行動、それこそ主殿の戦い方です!」

 

「それを真似するのもどうなのかなぁ⁉︎」

 

 

 イズナの巨大手裏剣で妖怪らを蹴散らし、そこをすかさずミチルとツクヨが射撃で攻撃して破壊。その後イズナが空中でその手裏剣を手に取り、事前に仕掛けておいたワイヤーを引き寄せ妖怪らをとっ捕まえ引っ張る。

 

 

「部長ー!」

 

「忍法・火遁火走りの術〜!」

 

 

 ワイヤーに火を付けると火がワイヤーを伝い、妖怪らをワイヤー事燃やす。ワイヤーには耐火の性能はあれど熱いものは熱いし妖怪たちは普通に燃える。

 

 

「あっ、あんなにすごい……と言うか酷い忍術、どこで覚えたの?」

 

「ワカモ姉様とサオリ殿が考えた、敵を一網打尽にする物です!――しかし人相手に使うのは流石にまずいって事で封印しておいた忍術でもあります」

 

「そりゃそうだよ!」

 

「と、とにかくこれで! 道は開きました。後はツクヨ殿! お願いします!」

 

「うっ、うん!忍法……一時退散の術!」ボンッ!!

 

 

 

 ツクヨが地面に向かって煙玉を複数放ち、辺り一面に煙を濃く多く発生させる。その隙を付き忍者研究部は走り妖怪たちの群れを抜け出し城へと向かう

 

 

 

 

ズバッ!!!!!!

 

 

 

「ヒャァァッ!!?」

 

「部長!!お怪我は!?」

 

「びっっくりした!!びっくりした!!本当に刺さるかと思ったぁ!!!」

 

「そ、空から大きな剣が……?」

 

 

 イズナはクナイを出し警戒、そして降ってきた巨大な剣をよく見ると――その上に誰かが乗っていた。

 

 

「ッチ、外したか……マジで調子悪ぃわ〜。これも全部あいつのせいだわ〜……どこにいんだよあいつ」

 

「だ…誰ですか貴方は!」

 

「マッシュ・バーンデッドのお兄ちゃん…って言ったら信じるか?」

 

「―――えっ………で、でも」

 

「つーかお前どっかで見たことあんだよなぁ……―――あっ……思い出した! お前久田イズナだろ!」

 

「なんでイズナちゃんのことを…?」

 

「うっわまじか、なんつう偶然だよ! アッハハハハハッ! ……とりま…消しとくか」

 

「っ!お二人とも、イズナの手を掴んだまま離さないでください!」

 

 

 突如として現れたデリザスタが忍者研究部へと攻撃を開始、イズナはツクヨとミチルの手を掴んだまま全力ダッシュで避ける。音速を超えてくるアスカロンをなんとかギリギリで避け続けているが、流石にマッシュではないので長い間は無理だった。

 

 

「…いっ!」

 

「イズナ!」

 

「調子悪ぃ、そのまま腕ごとやる気だったんだけどなぁ。皮膚を切り付けるだけで終わりかよ」

 

「本当に……本当に主殿のお兄さんなんですか⁉︎」

 

「だったらなんだ?」

 

「信じたくないんです……だって、貴方からは暖かさや温もりを感じない……優しさだって全くない、人を…殺める事に躊躇もなかった…!」

 

「…あー,そう言う話ね。はっきり言ってやるとさぁ?――育った環境がまっったくちげえんだよ」

 

 

 デリザスタはアスカロンを生成しそれをイズナ達に向けながら、ゆっくりと進み話をし始める。それも楽しそうにだ。

 

 

「あいつ……てか、こっちのあいつは自分の本当の父親の手から離れて、魔力が少ねえジジイに拾われて育てられた。ぬるま湯の、対して裕福でもねえ暮らしの中であいつは育った…そのくせに、あんなパワーを身につけやがって――虫唾が走る」

 

「では…この前聞いた、先生を殺めようとした人って…!」

 

「そう!それ俺」

 

「なんで!?家族なんでしょ!?」

 

「家族?――血が繋がってるだけの他人だろ、それにあいつが家族であろうとなかろうと関係ねえ、ムカつくから殺す…それだけなんだよ

 

「人を、殺害しても…いいと本気で思ってるんですか!?」

 

「当たり前だろ、この世の中は殺すか殺されるかで、強い奴が生きて弱い奴が死ぬのが摂理なんだからよ……お前らってまじでいつも変なこと聞くよな。あのゴミによく似てるぜ」

 

 

 背筋が凍り、顔が青くなった……今までさまざまな悪党にあってきたイズナや忍者研究部―しかし目の前にいるのは桁が違う怪物だった。強さだけではなく、その瞳の奥にある邪悪さが何よりも恐ろしかった……人を殺める事になんの躊躇も後悔もない殺人鬼、そんなもの相手に、ツクヨやミチルは怯えていた。

 

 

「………貴方は主殿のお兄さんなんかじゃありません、家族でもありません…!」

 

「あっそ、別にそこらへん気にしてねえしなんも思わねえよ」

 

「主殿は優しくて、かっこよくて、強くって…とにかくすごい人なんです!」

 

「それが、で?なんだってんだ」

 

「――主殿の方が貴方よりも、何倍も立派で何倍もすごくて…素敵な人なんです!!だから…ゴミだなんて言わせません!!」

 

「……あっそ―じゃああいつがそっちに行くの待ってろよ」

 

 

 イズナは怒りの形相で背中にある巨大な手裏剣を構え、デリザスタはそんな彼女に向かってアスカロンを放つ、ツクヨやミチルも戦おうと武器や忍具に手をかけた。

 

 

 

パァァァンッ!!!

 

 

 

(あ"…? 俺のアスカロンが破壊された……しかも―銃弾で…誰だ…!)

 

「イズナ、よく言いました。それでこそあなた様の忍びです」

 

「―――テメェ誰だ」

 

「初めまして……私は狐坂ワカモ、マッシュ・バーンデッド様の仲間であり、友であり――妻でもあります」

 

「はっ……? あいつの婚約者?――こりゃ傑作だな!あんなゴミを好きになる物好きが―」 

 

「黙りさない。イズナに傷を付けた羽虫めが……あの方を愚弄することは、このワカモが絶対に許しません」

 

 

 現れたのはワカモ、ワカモは小細工なしの本当の実力でアスカロンを自身の銃弾で破壊。イズナ達の前に立ち、仮面の奥でデリザスタを睨みつける。

 

 

「先生のご家族はレグロお爺様のみ、貴方のような者が彼の方の家族であると言う資格はないのです」

 

「こっちだってあんな奴家族でもなんでもねえよ―――おい妖怪ども! 突っ立ってないでさっさと動け!」

 

 

 妖怪たちは束になりワカモ達へ向かって飛び出してくる、それに向かってワカモは冷静に手榴弾をまとめたものを投げつけそれに向かって片手で発砲。

 

 

「―――死にたくなければそこで大人しくしておきなさない」

 

『――!!』

 

(……作られた存在のこいつらが恐怖で動けなくなるとはなぁ――こいつ…まじもんか)

 

「…イズナ」

 

「はっ、はい!」

 

「先生の兄を名乗るこの不届きものはこのワカモがお相手をします、ついでに後ろで屯っている妖怪どもも……ですので貴女達はあの城へ向かいなさい」

 

「そ、それじゃあワカモさんが…!」

 

「ご安心なさい、このワカモ……そう易々とは倒れません」

 

 

 背後、上空から降ってくるアスカロンを冷静にワカモは避けデリザスタへと発砲。デリザスタはめんどくさそうにその攻撃をアスカロンで防ぎ、構える。

 

 

「さぁ行きなさい――キヴォトス一の忍者達よ」

 

「―――失礼します!!」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

「今度また遊びにきてくださいねー!!」

 

 

 忍者研究部の3名はその場から抜け出し城へと向かう、妖怪達がそれを止めようとするが、その瞬間撃たれ爆破されで強制的に歩みを止められる。

 

 

「―いいぜ狐坂ワカモ、わんちゃんこっち側の狐……相手してやるよ、そんでもってあいつの前に出して―『あっ、少しお待ちを』……あ?」

 

 

 ワカモは端末を取り出し、片耳にワイヤレスイヤホンを付け、何かの音楽―否、音源を流す。しかも結構は音量で

 

 

 

 

『ワカモちゃんがんばれ』

 

 

 

『ワカモちゃんファイト』

 

 

 

『ワカモちゃん、信じてるよ。勝ってね』

 

 

 

 

 

「はい!!このワカモ…何がなんでも勝利いたします!!」

 

「…………うっっっっわ……引くわ」

 

「始めましょうか、兄を名乗る不届きものよ!!」

 

「お前に言われたからねえわ――つか、初めてあいつに同情したわ」

 

 

 

 

 いつ一体何処で録音させて貰ったのかわからないが、とりあえずマッシュの声が入っている音源を聴き覚悟と勇気が100を超えたワカモは、デリザスタを本気で仕留める気で突っ込んだ。

 

 

 

(――まっ、こう言う奴が、ああなるのも分かるわな)









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