透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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もう少し……もう少しで終わりなので、注目してくださいぃ…!!次回は月曜日ですぅ……


マッシュ・バーンデッドと続く乱戦、手に取る鉄拳

 

 

 

 肌がひりつき、空気が凍りついていく。寒気などという生易しい物ではなく、腹の底から全てが凍りつくような感覚を、見る者に強いる光景が広がった。

 

 

「魔法……先生とレグロおじい様がお住まいの世界に存在している、神秘なる力───同じ力を扱える生徒がいるとは聞いていましたが……これ程とは」

 

「み、耳が痛い…」

 

「さ、寒気が止まらない……!!」

 

「あの黒い猫は一体……!?」

 

「おやおや……飼い主を変えてそっちに着くんやねぇ。悪い猫や事」

 

「……黒い……炎…太陽―――あぁぁ!!もしかして…あの猫、伝説というか、昔百鬼夜行の地域に起きた災害ってやつなんじゃないの!?」

 

 

 かつてマッシュと七囚人の一人であるアケミが戦った場所、百鬼夜行から少し離れた城のある場所。そこに現れたと言われている黒い太陽、その正体こそ……目の前にいる黒い炎の身を持つ、複眼の怪猫。

 

 

「成程、妖怪を生み出せる力を持っている花鳥風月部……貴女達ならば、あのような怪物を生み出せる――犯人は貴女ですか、コクリコ」

 

「大正解、花丸や……その昔、大預言者のクズノハに全部止められてしもうたけどね」

 

「く、クズノハって……百花繚乱を作ったっていう?」

 

「おっと…ちょっと喋りすぎたわ……まあなんでもええ。今は…アンタらを掃除して、はよ――あの愚鈍な童を葬らんと……下手をこく前にね」

 

 

 

 コクリコがそう告げ、怪異を作り出せる本を持ったまま新たな存在を作り始める。すると

 

 

 

「――成程成程……貴女の正体は、それですか」

 

「流石は百鬼夜行一の問題児……なんかわかったんやね」

 

「下がってください…あまり前に出過ぎないように」

 

 

 クズノハの前に立つ影の前にワカモは歩み寄り、くすくすと笑いながらはっきりと、恍惚とした顔で告げた。

 

 

「つまり貴女は、かなりの長い年月を生きている存在……フフフッ、――いわば乙女を装った…妖怪婆…という事ですね♡」

 

「――――――」

 

(サラッと!!)

 

「はっきりと……」

 

(めちゃくちゃに‼︎)

 

(『毒を吐いたぁぁぁっっ!!?』)

 

 

 ピシッと、その場の空気が違う意味で凍った。シュロは血相を変えて大慌てで彼女を宥める。

 

 

「こ、ここコクリコ様!わ、罠です!!罠ですからね!?」

 

「………ウチはな、長い間時間が止まってる世界に封印されとったんや。歳を食ったわけやない」

 

「同じような物では?苦しい言い訳を見るに……実はかなり気にしていらしたのですね」

 

「よお喋る狐やなぁ――大概にしときや、女狐が」

 

「貴女こそ……我が愛しのマッシュ様に対して愚鈍などと…ふざけないでもらいましょうか、毒蜘蛛!!」

 

 

 キャットファイト、姑と嫁の喧嘩とでも言おうか。

 大人の風格を持つ生徒が怒ると本気で怖いとはよくいうもので、味方であるシュロや忍者研究部の皆は両者の怒りの激突に慄かされるばかりとなってしまった。

 

 

「………フフッ――援護ならしても構いませんよ。ただし、前に出過ぎないように」

 

「思う存分やったりや……特に、あのキツネは入念に…!!」

 

「イズナ、援護は任せます。影との戦闘は私に任せておきなさい」

 

「で、でも」

 

「姉妹とは一心同体……共に、戦うのですよ」

 

「――はいっ!精一杯頑張ります!お二人とも、妖怪達は任せます!」

 

「火力使いまくっていいって言われたからね! 存分にやるよー!」

 

「頑張る…がんばる!」

 

 

 ワカモとイズナは並び、影へと構える。そんな二人を影はじっと見続ける、静かに…ただ静かに、二人を見つめていた。

 

 

「………イザナミには、イザナギと言う夫が存在します。二人はとても愛しあい、子にもたくさん恵まれたそうです」

 

(急に何の話を…?)

 

「しかしある時、二人の恋は真っ二つに別れてしまったのです……そしてイザナミは、イザナギを愛していたが故に、裏切られたことに怒り、呪いを世に放ったと言います」

 

 

 影が持つ刀身に宿るは赤黒き炎、背後にいる黒いキツネは狐姉妹と影を囲うようにして走り黒炎の炎陣を展開。

 

 

「妖術の名はラヴ(LOVE)アンド(AND)カースズ(CURSES)。それは愛と…呪いの力を扱う物――その力は」

 

「イズナ!クナイを構え、しっかりと足を踏み込みなさい!」

 

「はい‼︎」

 

 

 影はワカモとイズナを本気で殺める勢いと気迫を伴って飛び出し、赤黒い炎を纏わせた刀でワカモに切りかかった。

 

 

「愛対する相手への愛と呪いの感情……それらで火力と刀身の力が変わるという物ですよ―――〇〇…

 

(いま――なんと…‼︎)

 

「―――!!」

 

「背後からも……――フフフッ…退屈、しませんね!」

 

 

 

 影&黒い狐vsイズナ&ワカモ、互いの信念や目的を賭けた戦いが今始まった。

 

 

 

「――シュロ、今のうちにアンタはデリザスタの元へ……ほんの少しでもいいから隙を作り」

 

「御意に…!」

 

「ついでに――その猫、クロカゲも連れて行き」

 

 

 


 

 

 一方その頃、マッシュと百花繚乱はデリザスタと交戦を続けていた。デリザスタも以前と比べて本気、矛となった杖、アテナを用いた白兵戦で彼と対峙する。

 

 

「あの野郎、先生との戦闘に慣れてきてやがる!」

 

「先生と同じように、戦闘時のIQは高い……お互いに相手の動きを覚えさらにはその予測、そして戦いの方法も進化していっている――認めたくないけど…確実に先生の兄弟故の物」

 

「さらに先生と戦いながらもこっちに向かって正確に剣を飛ばしてくる……厄介すぎる」

 

「んんんーーも!!ややこしいですわぁ!!」

 

 

 激しく鳴り響く金属がぶつかる音と発砲音、打撃音。百花繚乱は背中合わせでお互いを守りながら、マッシュの援護にもまわっていた。

 

 

「なあマッシュ・バーンデッド!お前の他の兄弟のこと、教えてやろうか?」

 

「興味ない」

 

「末っ子がテメェで、一つ上の兄貴……つまりは五男の名前は『ドミナ・ブローライブ』。雑魚だから安心しとけよ」

 

「話聞いてよ」

 

「ちなみにキレたら止められなくて、相手を殺しても止まんねえぞ」

 

「ヤバい人じゃん」

 

 

 

 巨大な剣がマッシュを挟み込んで切ろうとして来るので、マッシュは飛び上がりそのまま二つの剣が重なったタイミングを見計らって両足を落とし、剣二つを破壊。

 

 

「四男が俺、そしてその上の三男の名前は『エピデム』頭のおかしいやつだ」

 

「人のこと言えないだろお前!!」

 

「そして次男の『ファーミン』、頭がイカれてる奴だ」

 

「頭のおかしい奴…二人いない?」

 

「そして長男――俺達の中で一番強え、はっきり言って別次元の怪物、ドゥウム。ある意味頭がおかしい」

 

「何で僕の兄弟って揃いも揃っておかしい人たちばっかなの?」

 

 

 親の教育だろうね――失礼。

 

 アスカロンの刃先を人差し指と中指で止め、そのまま勢いに乗せデリザスタに投げつけた後、近づき回し蹴りを顔に叩き込み、そのまま顔を殴りつける。

 

 

「仲は正直どうでもいいって感じだ、兄弟って言っても愛なんてくだらねえ物はねえ……むしろ殺してやりてえと思った事もあるくれぇだなぁ…!」

 

(我慢の顔……ハイになってきてるな)

 

「ドミナはテメェのことを心底憎んでたが他は興味がねえって感じだった……ドゥウム兄様は興味津々だったけどな! 」

 

 

 地面からアスカロンを飛びさせ、それを蹴り飛ばしマッシュを攻撃。

 マッシュはそれを避け飛び蹴りを放つ、そこへ向かってアスカロンを撃つも、キキョウ、ユカリ、ナグサの射撃で飛翔軌道が明後日に向く。

 

 

「血が繋がっていようが、お前らみたいな兄弟とか興味ないから。僕の家族は、僕を拾って育ててくれたじいちゃんと、ワカモちゃんとアリウスの皆だけって言ってるだろ」

 

「─――なら、その爺さんってのを俺達が誘拐したって言ったら……どうするよ?」

 
「……どういう意味だ」

 

「どうせ魔力の少ない雑魚だったんだろうよ……軽く捻ったらすぐに――「おい」

 

「じいちゃんに何をした――答えろ」

 

 

 マッシュの動きが、怒りのノイズにかき乱されて単調かつ粗雑になった。力任せに拳を振るうばかりで、動きが単調になってしまった……そして、デリザスタはその「隙」と「甘え」を見逃さない。

 

 

「――弱い奴はすぐにキレて、もっと弱くなる」

 

「先生!」

 

(やっ―)

 

「ギガントマキ『させねぇぇ!!』――ッチ!」

 

 

 デリザスタがギガントマキアを繰り出そうとした瞬間、両者の間にレンゲが割って入り、杖ごとデリザスタにけりを入れて体制を崩させ、続けて百花繚乱が一斉射撃で動きを止める。

 銃創で丸く身体を抉られたデリザスタだが、彼がその場から飛び退いた頃には傷は消えていた。

 

 

「先生、挑発に乗っちゃダメ!!そもそも……先生のおじいさんは殺されてない」

 

「……どうして、そう言い切れるの」

 

「さっきアイツは、魔力の少ない雑魚……とだけしか言ってなくて、しかもどうせって言った。つまりアイツは先生のおじいさんのことを知らない」

 

「先生の精神を揺するための嘘……先生、落ち着いて」

 

「―――ごめんみんな。ちょっとおバカすぎた」

 

「…これだから群れてる奴は嫌いなんだ。物事ってのがいつもうまく進まねえ……本当に気に入らねえ」

 

 

 デリザスタは笑いながらアスカロンをまた大量に出し、狙いをマッシュと百花繚乱へと向ける。

 

 

「―っ…!…また…!」

 

「……なあマッシュ。取引しねえか?」

 

「はい?」

 

「そこの、ユカリって女をこっちに渡せ。そうすれば助けてやる」

 

「この後に及んで何を…‼︎」

 

「足手纏いがいちゃ勝負に何ねぇだろ? だから…これはフェアな戦いがしたい俺なりの気遣いだよ…なぁ?」

 

「嫌だ、誰が渡すもんか」

 

 

 マッシュは懐に手を入れながらそう告げ睨みつける。するとデリザスタはもっと笑いながら、バカにしながら告げた。

 

 

「渡さねえってんならお前のじいちゃんって奴を殺す……けど悪いな、俺って手加減できねぇタチなんだわ」

 

「―――よくわかったよ」

 

「…あ?」

 

「お前はただのクズ、もう何も……加減なんてする必要も慈悲を与える気も失せたよ―――だから」

 

 

 

 マッシュは懐から久しぶりに、鉄杖・プロテウスを取り出す。そしてそれを握力だけで変形させ───

 

 

「ボコボコじゃない、完膚なきまでに叩きのめす」

 

「アレは―――メリケンサック!!?

 

「何をどうしたらそうなった!?」

 

 

黒光りするナックルダスターを指に嵌め込み、拳を打ち付けて音を確かめると────熱い炎と鋭い眼光を灯した目で、デリザスタを睨みつけたのだった。





ヴィジランテと言う作品を見てたらやりたくなってしまって……。

個人的にまともな五つ子ランキング。

一位ドゥウム
二位ドミナ
三位デリザスタ
四位ファーミン
五位エピデム

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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