お待たせいたしました………仕事でミスしちゃいまして、色々とあって遅れてしまいました。いきてますよー!!!
エンジェル24
キヴォトスで全国展開されている、24時間営業の小規模な商業施設、簡単に言えば小売店。
そんなシャーレの1階に設置されているその施設だけは、『キヴォトスで一番安全なコンビニ』と呼ばれている。
その理由はたった一つ。
「ここに強盗とは……命知らずもいたものだ。いや、世間知らずというべきか?」
「こいつらどうする?」
「えへへっ……適当に吊るしておきます?」
「お魚食べる?トッピングはハチミツかカスタード、どっちがいい?どーせなら両方いっちゃおっか♪」
「ひぃぃぃぃすみません!!本当にすみませぇぇぇん!!!」
「みみみ皆さん待ってください!ストップです!!ストォォォォップ!!」
キヴォトス最高峰と言ってもいいセキュリティシステム──もとい、この
「ソラちゃんを拉致ってやろうと思ったわけですか――海の底かマントル付近、どっちがいいですか?」
「先生駄目でぇぇす!!」
エンジェル24でアルバイトをしている中等部の生徒・ソラと、シャーレ顧問・マッシュの出会い……それはマッシュが先生として、シャーレで生活を始めた頃に遡る。
「………アレ、何だろここ。アロナちゃん知ってる?」
『はい!シャーレの一階に設置されているこの建物の名前はエンジェル24、キヴォトスで全国展開されている24時間営業の小規模商業施設で、ここはそのシャーレ支店です!』
「つまり…?」
『必要品のお買い物ができる場所です』
「あー成程」
シャーレの内部を知ろうとさまざまな場所を歩いていた時、マッシュはその場所を見つけた。
「いらっしゃいませ!エンジェル24、です」
「えっと…大丈夫?シュークリームいる?」
「いえ、今は勤務中で…―――アレ…アレ!?男の人……も、もしかして…貴方が、お話に聞いていたシャーレの先生ですか!?」
「うん、つい最近先生になったマッシュ・バーンデッドだよ。よろしくね」
「ソ、ソソソソラ、デス!!よろしくおねが、お願いします!!」
中で働いていたのは、マッシュや他の生徒達よりも遥かに小さな生徒だった。
「にしてもアレだね――ガラガラで、品物も少ないね」
「ウグッ」
『先生流石に失礼ですよ!』
「あっごめん思った事つい口に出しちゃって」
「いや……いいんです、じ、事実ですから……シャーレの施設自体、本当に最近できたばかりで。そもそもここに立ち寄る人がほとんどいなくて……正直いうと…年中…暇でして……」
稼働当初のシャーレ本部は、連邦生徒会が新たに建設した施設の一つとしてしか認識されていなかった。
「何とかしてお客さんを呼ばないといけないんですけど……ここも他の店舗と店内の品はほとんど一緒で変わり映えがないので…難しくて…」
「それなら新しい商品を出しちゃえばいいんじゃない?」
「それも考えたんですけど……なかなかうまくいかなくて………――あの、先生!よければ、一緒に考えてはくれませんか?」
「えっ、僕のレパートリーって筋トレグッズかシュークリーム以外ないよ?」
「そ、それでもいいので!!」
「そういうことなら任せてよ」
なので、マッシュと共に新商品を考えそれを出し客を呼ぼうとした。
「このお店らしいシュークリーム………“食べたらお空へと飛んでいくシュークリーム!”──とか?」
「なるほど…!美味しさで空に飛んでいくような高揚感ってことですね!」
「いや本当に空を飛ぶみたいな」
「レッドブ◯じゃないんですよ!?レ◯ドブルも空は飛びませんけど!!」
「じゃあほっぺが落ちるとか」
「……本当に落ちるとかですか?」
「カスタードクリームが甘すぎて皮膚を溶かすとか」
「それもう酸ですよ!?」
大事なのは、見る者をそそるだけの見た目と味、そして小さなキッチンで扱える商品であることだ。二人はエンジェル24を盛り上げるためにも、必死になりながら考える。その期間約二週間、何回かマッシュの脳が爆発したり溶けたり焼けたりしながらも、遂に試作品が二人前、完成を迎えた。
「で……―できました!!」
「エンジェル・シュークリーム……ふわふわで濃厚なホイップクリームを詰めた中身に、ミルクをふんだんに使って柔らかさと甘みを与えた生地、香ばしさを引き立てるシュー皮……まさしく天使の一味──ってなってるはずなんだけど、実際に食べてみないと分かんないよね」
「でも、とっても……美味しそうです…!」
「あとは、試食だね……一緒に食べよう」
「は、はい…!」
二人は自分たちで作り上げたシュークリーム、エンジェルシュークリームを手に取り、分けて食べる――その時の二人の脳内に流れたのは、『ハレルヤコーラス』。
まさしく天に登っていくような感覚と、高揚感に包まれていく。
「旨し―」
「シュークリーム…!!」
掲載誌繋がりの某グルメ漫画のように二人の服が破け、味による幸福感に包まれていた。
「先生が味の研究をしてくれたおかげです…!」
「デザインはソラちゃん任せだったんだけどね、でもこれはいいね。これをお店に出せば大繁盛間違いなしだよ」
「で、でも…いいんですか?味のレシピは先生が考えてくれて…在庫もたくさんありますけど……それって先生を利用してお金儲けをしているような感じで…」
「それは考えすぎだよソラちゃん、ここはシャーレの一階にある施設。つまりはここもシャーレの一部で、そのシャーレは今僕の家みたいになってるんだ。自分の家で作ったのもどうしようと、家主の勝手ってやつでしょ? 」
「……あの、それって」
「ここで働いてる生徒……それはつまり、一つ屋根の下にいる家族ってこと……そんな気がする」
家族がレグロしかおらず、キヴォトスでの勤務で寂しさを感じていた彼にとっては、男女関係なく同じ場や楽しみを共有できる相手の存在が何よりも嬉しかった。自分がこの世界で一人ではないという、確かな証明でもあったからだ。
マッシュがこの世界に来て、初めて、同じ場所で過ごすことになる最初の生徒……それこそが、ソラなのだ。
「……ソラちゃんはずっと、ここに一人で?」
「い、一応店長さんもいるんですけど……忙しくてここに顔を出すことが程どなくて、バイトも私一人です」
「そっか。寂しかったりした?」
「……正直いうと、味気なくて、面白くもない……感じでした」
「なら明日から、毎日一回は最低ここに寄るよ。何なら一緒にバイトもしてたいな」
「えっ…ええっ!?で、でもお仕事は…」
「よくわかんないのがいっぱいで死にそうだから、生徒を助けますって感じなら……何とかなるよ」
困っている人を、放ってはおけない。
ほんの一瞬だけ、自分についている小さな羽が、大きく広がった気がした。
「仲間…友達………えへへっ」
「これから、たぶんたくさんお世話になるだろうけどよろしくね。」
「はい!よろしくお願いします!」
「それじゃあ早速――これください」
「かしこまりました!」
これがマッシュとソラの初めての出会い。それから時が経ち、少なくない時間が流れた。
「ソラちゃん、眠気が覚める飲み物ってない?」
「メザメールZZならありませけど…飲みますか?」
「100本ください」
「僕なら
「アビドスの皆を助けたら知名度……?だっけ、それが上がってたくさん人が集まるようになったんだ」
「な、なるほど……だから最近たくさんの人がここへ…」
「僕が活躍すればその分、ソラちゃんも助かるんだね」
「そ、そうなりますね」
「よし――今から指名手配されている人達引っ捕まえてくる」
「じゃぁそうする」
「ごめんソラちゃん匿って」
「な、何があったんですか!?」
「勉強が嫌で逃げてきたんだ。ローマ字とかよくわかんないしパソコンも何台も壊したんだ……もうやだ」
「だからってここへは……」
「せーーんーーせーーいーー!!?」
「す、すごく怒ってませんか!?どうしよう、一体どうしたら…!」
「あ、あわわわ……え、えっと…お箸はお付けしますか!?」
時に客として、時には相談相手としてマッシュの良き友となっていったソラ。中学生と高校生と同じ年代の差ではあるが……確実に、その友情は芽生えていた。
「最近、先生…全然来てくれないな……仕方ないよね、先生は今大人気の人なんだから」
やがてさまざまな事件を解決していった彼は、エデン条約の見届け役としても呼ばれるほどに信頼を勝ち取り、仕事も忙しくなりなかなかソラの元には出向けなくなっていた。
「店員さーん!これと、エンジェルシュークリーム二つー!」
「は、はい!ただいまー!」
エンジェル24も大繁盛し売り上げも鰻登り、まさしく今のソラは幸せの期間と言っても差し支えない状況にいた。
あとはマッシュという友に会えれば……何の問題もないはず。
「先生が次来た時に食べてもらう予定の、エンジェルシュークリームバージョン2……フフフッ、楽しみだなぁ」
一日、一日と時間が過ぎ、世間はエデン条約が開始されるという話題で持ちきりだった。マッシュも参加しているその条約を、早く承認されないかと待ち遠しく待っていた。
「…そういえば、さっきから上が騒がしいけど…泥棒さんでも入ったのかな………い、一応…見に行かないと…」
ソラは上の階が騒がしいのを確認し、何が起きているのか確認するために上へと向かった。マッシュの部屋、何度か招かれなことがあるその部屋の前に彼女は立った。
『イヤァまさかこんなことになるとは……明日から大丈夫かな……うん、とりあえずそれでお願い』
「―!先生!」
そして先生の声が聞こえたと知るや否や、彼女は扉を開け満面の笑みを浮かべながら中へと入っていく――――
「あれ、ソラちゃんだ久しぶり。ごめんね、なかなかそっちにいけなくて」
「――――せ…………ん……せ?」
「………あっ、えっと、この傷はね…なんて言ったらいいのかな…」
そこで目にしたのは、彼がひどく傷ついた姿であった。
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