リアル遅くなりました………同時進行でラビット二章も執筆しておりまして、やっとひと段落を終えたので投稿を開始していきます。
とりあえずは本編へ……どうぞ!!
あの日先生は……大怪我をして、帰ってきていました。
なんでそんな怪我をしたのか、エデン条約のお仕事で何があったのかを聞いても──先生は、何も話してくれませんでした。寧ろ何かをひた隠しにするような、誰かの秘密を守っているような、強い意志を感じました。
トリニティでのお仕事を続ける先生はどこか……顔つきや態度が……どんどん大人らしく、これまでの幼気な雰囲気が消えていくようにも見えました。
「ごめんねソラちゃん、お話はまた今度でいい?ちょっとこれから大変なことがたくさんあってね」
シュークリームや、筋トレの話題にも食いつかないほどに……先生は変わってしまっていました。私の大好きな先生ではなくなっていく……どんどん、手が届かない遠い存在になっていくような……そんな気すら、していました。
「行政官……どうしても…ダメですか?」
「………申し訳ありませんが、首席行政官として、その質問にはお答えはできません」
「先生と連絡がつかなくなって……もう、3日です。エデン条約の調印式会場にミサイルが撃たれたって聞いて…!私、もう、我慢できなくて…!!」
「お気持ちはわかりますが……エデン条約の詳しい内容な安全保障に関わる重大事態です。外部に話すわけには、いかないのです」
「私は…シャーレの一階で働いている生徒です!それでも…ダメですか…!?」
「……なおのこと、いけません」
「どうして…!!」
先生がいる場所に……エデン条約の会場にミサイルが放たれたってニュースで流れ……激しい戦闘が発生したらしいことが報じられました。戦闘が一時終息したとの一報で…安心はしましたけど。
プルルルルルルルルッッ……プルルルルルルルルッッ……
(お願い……出て……出てください…!!)
話せばあなたはそこへ行こうとする、それは危険で……先生を悲しませると言われて………何も言えず…動けなかった。ならせめて連絡をと思って…何回も何回も電話をかけても、繋がらない………胸が張り裂けそうな気分でいっぱいだった。
『――はい、もしもし』
「先生……先生!聞こえてますか先生っ、先生!」
『はい先生です、ソラちゃんお久しぶり……どうしたの?何かあった?』
「何かあったのは先生のほうですよね!?先生は大丈夫なんですか!?調印式会場が空爆されたって……何週間も連絡がつかなくて……私、心配で心配で……」
『あー……僕は平気だよ。別に大した傷もないから』
「……いつ、帰ってこられますか?」
『そうだなぁ――悪い奴を、ぶっ飛ばした後ぐらいかな』
「………」
『―安心して、ソラちゃん…僕は絶対に負けないから』
その言葉の通り、先生はエデン条約──そして、条約を奪取しようとしたアリウス分校──を滅茶苦茶に掻き回した敵を倒したらしく…いろんな人を救い…英雄って呼ばれる程の存在になりました。
調印の最中も、先生の身に何かが起こっている時も……私は何もできませんでした。
やがてアリウス分校の生徒さんや、災厄の狐と呼ばれる人、忍者を目指している人もシャーレに所属し、このエンジェル24に来店するようになってからは、お店はますます忙しくなっていました……でも、先生とは…なかなか顔を合わせることができずにいたんです。
(………寂しい)
先生と会う前まではそんな事を考える事もしなかったのに……先生と会ってからは…ずっと、ずっと寂しいと思う様になっていっていたんです。
お客さんはいても……一緒にいてくれる人はいない、お店は繁盛していても…全然、満足できなかったんです……ぽっかりと…何かの穴が空いた気がしていました。
―――私のこと……忘れちゃってるのかな……
「今日からしばらくの間、ここで働くことになった…現・シャーレ所属、元アリウス分校の生徒数十名だ。よろしく頼む」
そんな時、先生と話し合った連邦生徒会からのお達しで、先生が助けた生徒さん達が社会復帰の一環としてエンジェル24で働くことになりました。
「ソラ───先輩。止まっていた品出しは全て終わらせておいた」
「ソラ先輩、在庫無くなりそうだったから注文しておいたよ」
「ソラ先輩、休憩してきたら?レジはこっちでやっとくから」
「ソラ先輩……余ってしまったお弁当は食べていいんですよね?…えへへ」
「ソラ先輩、不審者がいたので仕留めておきました」
思っていた数倍心強くて逆に「私いりますか?」ってなっちゃってましたけど……とにかく心強くて、頼りになって、年も私の方が下なので…お姉さん肌っていうんですかね…そんなふうな感じがあって、一緒に働いていてとっても楽しかったんです。
「ソラ先輩」
「先輩なんて……ソラって呼んでもらっても、大丈夫ですよ?」
「なら…ソラ、すまない。急に我々をここで働かせてもらって」
「全然大丈夫ですよ。店長もいいって言ってくれていましたし…それよりもお仕事はどうですか? 突然のアルバイトで困惑してたり、困っていたりしてませんか?」
「強いていうなら……これが本当の仕事なんだなと、思ったな」
「本当の仕事…?」
「………深くは言えないんだが、私たちアリウスの生徒達は今まで真っ当な仕事というのをしたことがなかった。給付金も勿論ないし、休みやさっきみたいな廃棄寸前のお弁当を貰えることなんて無かった」
――本当に、本当に私が想像もできない様な経験をしてきたんだ。仕事を…ただのアルバイトをここまで誇り高く楽しくしている人なんて初めてだったんです。
「だからこそ思うんだ……私達に、この仕事をする資格があるのかって」
「それって、どういう意味ですか?」
「………私は、多くの人を…悲しませた」
先生からある程度の事情は聞いていました、悪い大人の人に操られ好き勝手にされ、先生と敵対して戦って…傷をつけてしまって……キヴォトスを大変な目に合わせかけたと。だから、シャーレに所属させて大丈夫なのかと…思っていました…でも。
「何を受けたといえど罪は罪だ……殴られ、蹴られ撃たれようとも構わなかった。先生にだってどんなことをされようと受け入れるつもりだった……でも先生は、我々を、社会で…真っ当に生きるようにと道を作ってくれた」
「先生…らしいですね」
「闇の中でしか生きられなかった我々を…拾い、光へと導いてくれた。先生は私達の恩人だ、だからその先生への恩を返すために、我々はあの人の元で働くと決めた…あの人への罪も、償っていかなければならないからな」
真剣で…本気の目していました。私はずっと悪い人がそう簡単に変われるわけがないって思っていたんです……でもそれも先生によって壊されました。先生は誰にだって手を差し伸ばして、救って、光の中で生きられる様にと背中を押し続けていたんです。
「だから……ソラ、しばらく世話になってしまうが…許して欲しい」
「そ、そんなの気にしないでください。どんな経歴や過去を持っていようとも…ここではただのアルバイト、私の後輩ですから」
「後輩………か、悪くないのかも…しれない」
「はい、ですので……えっと、色々ありますが――ここでは罪の事とか、辛い事とか考えず、前向きに、楽しくお仕事をしましょう!」
先生を傷つけてしまったことに対しては、完璧に許したわけじゃありません……でもそれでこの人達を嫌って邪険に扱うのは…違います。この人たちにだってそれなりの理由があってやらなければならなかった…そこを割り切らないと、私も前には進めません。
シャーレに所属生徒なら、私と同じ先生のお友達なんです。だから…信じてみることにしたんです、その人を―先生が助けたみなさんを。
「すまない……こんな初歩的なミスをしてしまって」
「よくあることなので気にしなくても大丈夫ですよ!切り替えていきましょう!」
「―貴様、ソラに対して今なんと言った。もう一度言ってみろ」
「さ、サオリさんストップです!!お客さん!お客さんなので!」
1ヶ月程、同じ場所で働いて…とっても楽しかった。先生がいないとは悲しい…けど、孤独感は徐々になくなっていって、その時私も…救われた気がしました。
災厄の狐さんも時々ここへきて色々なお話をしたりしました…ほとんど惚気話の感じもありましたけど、それでも、助かっていました。
私の方が先に先生とお友達になってましたよ?とは……言えませんでした、言いたかったんですが。
「ソラ……本当に、色々とありがとう。おかげで社会を…仕事を知れることができた」
「そ、そんな……普通のことを教えただけですから」
「この借りは必ず返す……100倍にしてな」
「そこまでしなくてもいいですよ!!?」
それからサオリさん達から……その、頼れる&尊敬している先輩判定を貰っていて、過保護になってしまいましたが……そ、そこはもう、割り切りました。
「やっほソラちゃん、お久しぶり」
「先生…!!!!」
「ごめんね、色々ありすぎて中々顔が出せなかったんだ」
「い、いえ……会ってくれただけで…とっても嬉しいです」
そして、先生がミレニアムのお仕事からから帰って来て……やっと顔を合わせられました。
「サオリさん達のこともありがとう」
「頼まれたことをやっただけなので…それに私も、みなさんのおかげで―――」
そこで、気づいたんです……先生はもしかして、私が寂しい思いをしない様にと…サオリさん達をエンジェル24で働いてもらっていたんじゃないかって。それを先生に告げると
「い――いいいいやややや?そそそんなことととととないいいいよよ?」
「ものすごく動揺している!?」
「その理由もあるけど、本当に一度他の場所で働いてもらおうって思ってたんだよね。何事の経験って大事だし―何よりも、みんなに紹介したかったんだ。シャーレでできた初めての友達のソラちゃんを」
忘れてなんて……いなかった。
「ソラちゃん、実は色々とひと段落ついて、暇を持て余すくらいに余裕ができたんだ。だからさ───久しぶりに、何処かへ遊びに行かない?今までずっと心配をかけさせちゃったお詫び、ってことで」
ずっと……私のことを考えてくれていた、気にかけてもくれていた……―――嬉しい…とっても…嬉しい。
「…先生」
「?」
「こんな私でも…先生の役に立ちたいんです、何か…ありませんか?」
「何言ってるのソラちゃん、ソラちゃんはこの世界にいてくれている時点で色んな人の役に立っているし、僕も助かってるんだよ?」
――先生………ううん、マッシュさん
「それって…みんなにも言ってるんですか?」
「ソラちゃんが初めてかも、あんまりこういうこと言っちゃダメだって色んな人に止められてるんだ………皆には感謝の気持ちを伝えたいのに、なんでだろ」
色んな人の先生なのは仕方ありません――でもせめて……このシャーレの…エンジェル24の中では…
「マッシュさん―大好きです」
「………?僕もソラちゃんのことは好きだよ(友達として)」
私の先生で、いてくださいね。
「ソラ、何かあればすぐに呼んでくれ。我々シャーレがどんな問題でも対処しよう」
「ソラさん、先生のご友人ということなので、このワカモを頼ることを許しましょう……それ相応の問題ならば、の話ですが」
「ソラちゃん、安心してね。ソラちゃんに手を出す奴は本当に地平線の彼方までぶっ飛ばすから」
でもとりあえずその過保護具合はなんとかしてくれませんか!!?
シャーレ所属(アリウス)生徒からのソラへの思い。
尊敬している先輩、社会のこととかを色々と教えてくれた恩人。自分たちよりも年下なのに頑張ってくれた様で、そこにも尊敬の念を抱いている。
なので彼女に何かあれば被疑者を追い詰めてフルボッコにする気満々。
次回は魔法界でのじいちゃんが、この作品に登場し、一度退場したとあるキャラと会合します。そしてそれが先の物語に繋がりますので……ぜひご覧くださいませ。
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