だって………なんか、かわいそうじゃないかって思ったんですもん……救いたかったんですもん……!!!!
レグロ・バーンデッドとまさかの邂逅
「――だーめじゃ、さっっぱり思い出せん。あの時に見た謎の光景と声……ワシも完全に歳じゃなぁ」
レグロ・バーンデッド、75歳。
(イノセント・ゼロの情報は手に入らず、あの世界の情報や噂すらも書物などには書かれていない。めちゃくちゃ古い本も買ったんじゃがなぁ)
彼の息子が働く学園都市・キヴォトスを目にして以降、かつて存在したらしい魔法界との繋がりについて探ろうとしていたレグロ。しかしそれは、決して「困難」というありふれた言葉で表せるような難易度ではない。
何より魔力容量が小さなレグロの能力は魔法界において中の下であり、上級魔法を扱うような魔力量や身体能力は持ち合わせていない。
(ワシには時間はまだまだ残っておる、それを無駄にせんためにもしっかりせんとな。……時間といえば、この道も随分と長い間歩いておるのぉ)
老い先短い命にあって、マッシュに出会ってから初めてやり甲斐を見出して張り切っていたレグロは、いつも通っているその道を見渡しながら歩いてゆく。
(懐かしいのぉ……マッシュを連れてあの家で暮らそうと張り切っていたあの日を。まさか2日目にして家が半壊しかけるとは思っても見なかったし、野生のクマをマッシュがぶっ飛ばして来た時は流石にびっくりして腰をいわしたこともあったの)
見慣れた木々、見慣れた動物達。
(――――――ん?…今、変なのいなかった?)
見慣れた木々、見慣れた動物達。
「ちょっと待って誰か行き倒れてなかった!!?」
二度見したレグロの前には、間違いなくとんでもない存在が倒れていた。体にタイトフィットする漆黒の礼装を着た、身長200cmを軽く超えるような体躯の女性が獣道に転がっていたのである。
「もしもし!聞こえておるか!?…聞こえておらぬか……怪我の方は―――!?」
倒れていたその人物の手に触れた瞬間、レグロは背筋が凍りついた。
(……生きて…おるのか?辛うじて呼吸はしておる……ならばまだ助かるはずじゃ!!町の医者に……いいやダメじゃ、きっとろくに扱ってくれんじゃろう。ならばワシの家しか…えぇい、仕方あるまい!)
レグロは魔法でその人物を浮かせ、急いで自身の家へと運び出した。
「もう少し頑張るんじゃぞ!生きるのを諦めちゃいかん!」
彼が、マッシュ・バーンデッドの祖父である以上……誰かを見捨てることは、絶対にしない。
―――暗い
「……フフッ……フフフフフッ…!!これが聖女バルバラ……なんと美しく、なんと素晴らしい神秘なのでしょう。まさしく……この私に相応しい兵器です」
―――誰なのでしょう……この方は………口が動かせない、呼吸も…している感覚がない……暑さも寒さも、感じない。空腹も、眠気も、感情すらも……湧かない。
「痛みをさほど感じず、体力もほぼ無限と言っていい容量であり、耐久性も最高潮。こんなにも素晴らしい兵器が手に入るとは…マエストロには感謝をしないといけませんね」
――兵器……私が兵器………私は……バルバラ……その名しかわからない。覚えているのは……私について来てくれた…みんな………アレ…いっぱい…いる。みんな…いなくなったはずなのに
「…なるほど、バルバラ以外の耐久力はそこまでありませんが。並の兵器では太刀打ちはできない強さですね…フフフッ、素晴らしい……聞きなさい、バルバラ。貴女には重要な役割を果たしてもらいましょう。崇高なる大人として世界を救うこの私を守り──シャーレの先生、マッシュ・バーンデッドがここに至ったときには、奴を消しなさい。それまでは、貴女の配下の者たちが任務に当たります。その時まで待機するように」
――消えて…また増えた。
――辛いはずなのに……その実感も感じられない――わからない……もう…私が誰なのか……わからない。
『バルバラ……今の貴女は…ただ、操られてるだけのお人形……そんなの、かわいそうだよね……だから私達は、貴女のために祈って』
『貴女のために――貴女を倒します』
――本当に…?本当に私を……この枷から解き放ってくれるのですか?
―――痛い……痛みを感じる――あの二人の攻撃は……しっかりと感じられる……あぁ…今…やっと、行きている実感が湧きました……もっと…もっと…もっと!私に、もう一度、「生」を感じさせてください…!!
―――操られて、何も感じられず、何もわからない…何の感情も湧かない……そのはずなのに、ひたすらに苦しい。
『………
――そんなに、悲しそうな顔をしないで。…誰かはわからない…名も知らぬ殿方……あそこにいる、羽の生えたあの子……傷だらけの少女たち……
――私はバルバラ……ユスティナの聖女、バルバラ……トリニティの生徒、ユスティナ聖徒会を率いる役を拝命した生徒……やっと、思い出せた……ありがとう、未来の人たち。
『―ぁ……り―――が……と……ぅ』
私を…私に戻してくれて……ありがとう。
生まれ変わった日には、たとえ叶わぬ夢だったとしても―――いつか私も、人並みの女の子のような………恋を―――――
「回復魔法…………んー、難しすぎるのぉこれ……やはり無難にポーションを買って来た方が良かったか?いやでも、あの子に効くかどうか……」
「…………?」
「―お…?…おお!起きたのか!よかっ──っって、ヘイローが付いとる!!?まさか君、キヴォトスの生徒さんだったのか!?」
「……………?????」
――どなた………??
マッシュ君とミカさんに倒されたバルバラさん、その行き着く先は魔法界。
今回のお話は、悪い大人に言いようされたバルバラさんがいい大人の手本であるレグロおじいちゃんに拾われ、人としての色々と取り戻していくお話。恋愛とかではなく、祖父と孫娘みたいな関係
全2話(予定)、お楽しみに。
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