始まりました二章……今回は少し、今までとは違う感じですので、お楽しみに。
あとコメント返信全くできてなくて申し訳ない……頑張ってしていきますので、よろしくお願いします
マッシュ・バーンデッドと見知らぬ令状
(もうこんな時間、仕事は……全然余裕がありますし、明日またやればいいわね───本当に、先生が来てくれてからずっと睡眠の時間が十分に取れて……フフッ…何から何まで、頭が上がらない)
某日・午後2300時。私──七神リンは、未だ帰らない生徒会長の代理を務めています。今日もまた連邦生徒会の会長室にてデスクワークを終え、そのまま自室へ戻って就寝する予定…でした。
(……最近はやけに、生徒会の後輩達からの反発や反抗が多いし、冷たい目を向けられている気がするけれど……今更ね。シャーレの方はなんともないし、気にしなくても………気にしてないもん)
そんな事を考えながら私は自室へ戻っていきます。同年代の生徒達との軋轢はありませんが、最近はやけに後輩の役員達から冷ややかな視線や態度をぶつけられることが増えているのが悩みです……ですが、原因かもしれない点として真っ先に思いつくシャーレの生徒達の素行に問題はありません。
……今思えば徐々にそんな目を向けてくる生徒達が増えていったような……それに最初はカヤの……―――ん?
「……!」
………誰かに見られていた気がしましたが……気のせいでしたか。……本当に疲れているんですね…早く戻って睡眠を―
ゴッッ!!!!!!!!!!
「カッッ…!――ッ……」
何……が……後ろから……なんて…痛み…!!一体……誰が……!!
「――!!?」
「……一発じゃダメ…か。流石はキヴォトス人」
「どう……して……??どうして……貴方が…!!」
「心配しなくてもいい、殺しはしない。けどしばらくは舞台から退場してもらう……そうだな、次に上がるのはあの女が消えてからだな」
「づっ…!!」
「……試しに使ってみるか。死にはしないって言ってたし……これなら確実に気絶するだろ――おやすみ、いい夢を」
「あ……貴方は…!!!」
ダンッッッッッッ!!!!!!!!!!
「――ふあ……ぁ……」
「どうしたの先生……寝不足?」
「うん……ちょっとね」
某日、いつもと変わらない連邦捜査部・シャーレのオフィス。シャーレの顧問マッシュ・バーンデッドは、今日もまたワカモや元アリウスの生徒達とともに働いている。
「もう一週間もその調子……やはりこのワカモが貴女のお傍で」
「寝不足の原因の一つってアンタじゃないの?」
「そんなわけ!!……そうなのですか?」
「違うから安心してよ、最近ちょっと夜遅くまでトレーニングをしてるってだけだから」
百花繚乱の解散危機、そして百鬼夜行燈籠祭を襲撃した謎の勢力───デリザスタとコクリコの撃破寸前まで達したマッシュ達の前に現れた男の一撃で、マッシュは吹き飛ばされて傷を負った。
「あんまり無茶しちゃダメだよ?しすぎたら拘束して閉じ込めるからね?」
「アツコちゃんその目やめよっか、怖い」
「…!」
「ワカモちゃんも『その手があったか』とか言わんばかりの顔しないの。ないから、選択肢にないから」
「そもそも先生を閉じ込めるとか無理でしょ」
「鉄格子とコンクリート程度なら紙細工みたいに簡単に裂けるほどの力を持ってますもんね…」
「姫ちゃんも先生の影響を受けましたね……それはそうとして、今更ながら……先生の筋力ってなんなんでしょうね」
体力トレーニングにおいて無理と焦りは禁物であり、どこかのアニソンのように無理をすれば沈没……とまではいかずとも、身体に有害な負荷をかけてしまうのは確かだ。それを分かっていないマッシュではない。
しかしながらシャーレはいつも通り平和。今日も何事もなく1日が終わる――そう誰もが思っていた。
「―ちょ、ちょっと待て!!いきなりそんなことを言われても……あっ、待てって!!」
「せめて一言、話を通してからにして!」
「何事?」
「ヴァルキューレ……? しかもこんなに大勢で、装備もフル…」
「一体何の御用なんでしょう……」
防弾ベストを着用したヴァルキューレ公安局・警備局の主力部隊が、シャーレのオフィスへと次々と雪崩込んできた。敵地に踏み込んだ兵士を思わせる顔つきはマッシュに注がれており、対するマッシュはその瞳の奥が不信や疑問に揺らいでいるように見えた。
「突然の訪問失礼致します。特務機関・連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』の顧問教師、マッシュ・バーンデッドさんですね」
「ですねって、僕ら知り合いですよね」
「一応、形式的な挨拶です。それはそれとして先生、単刀直入に申し上げます───」
次の瞬間、カンナが懐から一枚の紙を広げて出し、それを見せながら告げた。
「貴方につきまして、連邦生徒会長代行・首席行政官の七神リンさんに対する暴行と誘拐の容疑で逮捕状が出ています。署までご同行いただけますか」
「たいほ……じょう?……えっ僕逮捕されるんですか」
「「「「────!!!?」」」」
突然の逮捕状、知らない罪状。逮捕状を突きつけられた容疑者本人であるマッシュは当然のこと、何事かと集まったシャーレの生徒達も絶句して固まった。しかし当然、気を取り直したサオリ達が反発し、容疑を否定する。
「出鱈目を言うな!!先生が、七神行政官を襲い誘拐しただと…⁉︎先生がそんなことをするはずがないだろう!」
「サッちゃんの言うとおり。先生がそんなことをするわけがない……何かの間違いだよ」
「いきなり来て、何の冗談かは知らないけど……くだらない事言ってないで…帰ってくれない?」
「…笑えませんよ、尾刃カンナ」
「…ワカモ、我々は冗談を言いに来たわけではない。皆さんも聞いてください、これは間違いでも冗談でもありません」
「な……なら証拠はあるんですか!!?先生がやったって言う証拠は!」
「アレを」
「はい」
カンナが呼びつけた生徒の一人が、封筒を切って複数の捜査報告書と写真、回収された遺留品を広げる。防犯カメラの映像を切り抜いた写真にはマッシュに似た人影が映り込んでおり、封筒から取り出された複数の袋には、リンのものだと一目でわかる特徴的な青い髪───それに加え、生々しく血染めになったハンカチが収まっていた。
「彼女が利用している部屋の電子錠が破壊され、付近には彼女の血痕や毛髪が発見されました。さらに言えば……先生、貴方の指紋と足跡も、しっかりと残っていました」
「……リンさんが…誘拐ってどういう事ですか。無事なんですか…?」
「惚けないでください……これは、貴方ですね。防犯カメラの映像に、貴方が後ろからバットで彼女を殴打し、そのままリボルバーで頭を撃った姿が映像として記録されています……その場から彼女を連れて逃げ出す様子も、しっかりと写っています」
「そんな…!!」
「さて、ひとまずはご同行ください。………大人しくついて来ないのなら──多少の荒事は辞さないところですが」
カンナが前に出て先生の手を掴もうとしたその瞬間、その間にニーナが割って入った。急りと困惑、そして怒りを浮かべながら彼女はカンナに向かって叫ぶ。
「先生がそんな事をするわけがない!先生は、友達を傷つけたりしないし……するメリットだってない!」
「……そこを退け、さもなければ痛い目を見ることになる」
「退かない!!退かしたいのなら、撃つなり殴るなり好きにしろ……絶対に先生を、連れて行かせたり―」
次の瞬間、カンナがニーナの顔に向かって裏拳を放とうとした。すぐさまそれをマッシュがニーナの顔の真横で手を出し止める。
「何やってるんですか…カンナさん。流石に怒りますよ」
「警告はしました、聞かなかった其方が悪いのです」
「ニーナちゃんは関係ない」
「我々を邪魔をするのならば、もれなく犯罪者であり…敵です――それに先程の行動は…公務執行妨害に当たりますので…現行犯逮捕に繋がります」
「貴様…!!!!」
我慢の限界とばかりにワカモをはじめとしたシャーレの生徒達がカンナへ向かって攻撃をしようとした、しかしマッシュは、左手を上げて生徒達を制する。
「ここでカンナさんを攻撃したら、僕と同じように捕まる。だから…ここは抑えて」
「ご賢明な判断です」
「しかし先生!!!」
「お願い。今は、従って」
「っ……!!!」
「ここで逃げることも可能でしょうが──そうした場合、貴方の容疑は覆らなくなっていたことでしょう……よく考えましたね、先生」
「やって無いことで捕まったとしても、やってないと堂々としているのが一番。そう色々な人に教えてもらいましたから。それに、僕だって確かめたいことがある」
カンナはマッシュの腕を雑に前に出させ、そのまま両手に手錠と鉄の鎖、そしてさまざまな装置を他ヴァルキューレの生徒達が身体中に取り付けて拘束。
「待て!!私たちから……先生を、光を奪う気か!!」
「サオリさん」
「やめろ…やめろ!!もうこれ以上私たちから搾取するな!!例え…例え同じ子供あっても、先生が守っている存在だろうと、絶対に許しは!!」
「サオリさん」
マッシュは目を装置で覆われながらも、叫ぶサオリの方へ向き、優しく告げた。
「すぐに帰ってくるから、待っててください」
「せんせ…!!」
「大丈夫――信じて」
マッシュはついに口枷まで付けられ、そのまま連行。破壊して逃げ続けることも可能かもしれないが───それではマッシュの気が収まらない。確かめたいもののために、マッシュは敢えて逮捕される選択を取った。
無実の罪で追われ続けるような事態を避けるためにも、敢えて堂々と捕まることで、罪が晴れるまでその時を待つ。そう考えていた……もちろん、それで終わりではないが。
(あそこで逃げたら、普通にシャーレのみんなが暴れて逮捕されそうだったしなぁ。やっと闇から出られたのに、矯正局送りなんて可哀想でしょ)
シャーレの生徒達のために、彼は拳を振り上げたい衝動を抑え込んだ。戦力差は歴然、単なる警察組織と過酷な戦況を生き抜いた特殊部隊であれば、勝率は高いが……だとしてもマッシュは、二つの組織が抗争に発展して傷つけ合うような有り様を見たくなかった、ならば自分だけ捕まって事を収めるのが先決。
(………やべ、久しぶりに頭使っちゃったらめちゃくちゃしんどくなってきた―――よし、寝よう)
マッシュはそのままヴァルキューレへと連行され、シャーレの面々は
「―ぜん…せ"…い"…!!!」
「…サッちゃん」
「…………やっと、幸せになってきたのに……これ?」
「―あ……あんまり…です…!!!!!!」
「……………どうして――どうして何だ…!!」
マッシュが連れて行かれたことに対し悲しみに暮れ……ワカモは
「私から……伴侶を奪うとは…………―フッ……フフフフッ……うふふふふふふふふふふふっ…!!―――づづっづっあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!!!」
身体を焼かれたような形相で嘆き
「――あなた様…待っていてください……今すぐでも真犯人を見つけ出し……その首を吊し上げ…晒しますので」
まさしく怨恨の塊にも似た獣の姿へと変怪しつつあった。
これから始まる物語
それは真実を暴く物語
本当の正義と、光を取り戻す物語。
カンナさん、何があったんですか……なにか、嫌なことでも?
犯罪者と話している今が、一番嫌だな
マッシュ・バーンデッドは犯罪者であり……ただの破壊兵器。我々は彼を、このキヴォトスから抹消するために動いている
―――…何を、言っているんですか?
これは、我々FOX小隊の使命であり……我々を拾い導いてくれた、カヤさんの願いだ
―――やってくれたねぇ………いい度胸だね
―――絶対に許さんぞ……!!!
―――アハッ⭐︎……せんせ、待っててね、絶対に助けるから
――お前が…元凶か!!!
――お前のそのマスク……いいな、俺によこせよ。くれないなら、殺して奪う
―――お前は、絶対に許してやらない。こんなにも胸糞の悪いショーも、さっさと終わらせる
―――ショーは終わらせない、終わったら俺が遊べないだろ………俺はもっと遊びたいんだ。
そして―――彼らが本当の意味で一つになる物語。
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