透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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お待たせいたしました……ファーミンの強さってほんとにわかりずらいんですよね…だって原作での戦闘描写たったの2話だけだし………

とりあえず、ベアトリーチェ戦とビナー戦、そしてトキ戦の過去のお話を、今、見返して欲しいのです……まじで。それだけ、お願いいたします……まじで。


錠前サオリと解放のピエロ

 

 

 

 

I N N O C E N T - Z E R O
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F A R M I N
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「――お前……いいな、本当に……本当に…面白い…!」

 
(変則的なトランプに加えて……殺気を感じずらい、戦闘の中で殺意を隠して攻撃をしてくる…こんな高等技術を後も簡単に)

 

「けどそれで終わりじゃないはずだ……まだ何かお前は縛られている」

 

「何を…!!」

 

「だから俺がお前を解放してやる、お前を縛っている全てから」

 

 

 ファーミンとサオリの戦闘が開始してから、およそ10分程度の時間が経とうとしていた。素早く変則的な動きで飛んでくる見えないトランプを、サオリは聴覚で位置を把握しながらナイフと銃撃で叩き切りながら突き進み、ファーミンに攻撃を繰り返す。

 

 しかし、対するファーミンは単に面白くないと判断したのか、トランプを無造作にサオリへと投げつけると、背中から何かを取り出した。

 

 

(剣……しかも、両刃か)

 

「…!」

 

 

 そしてその武器をファーミンが手にした瞬間、動きの鋭さが明確に変わった。圧倒的なパワーでありながら滑らかな動きでサオリの前まで踏み込むと、剣を突き上げ、さらにそこから振り下ろしてサオリの首と腕を狙う。

 

 

(さらに回転し―― っ急な振り上げ……っ!動きが読みづらい…!型をはっきりとさせない……違う…そもそも我流か、流派など最初からないのか!)

 

「やっぱりこれ楽しいな、使ってていい気分だ」

 

(遊戯……つまり、ただ楽しんで剣を振るっているのか…!しかもこの男……体が…柔らかい!)

 

 

 ファーミンはマッシュと血のつながりのある実の兄弟、デリザスタが近接戦を得意としていた様に……ファーミンもまた、近接戦闘に一定の心得があった。

 キヴォトスの教育カリキュラムに組み込まれてきた戦闘教義(ドクトリン)とは乖離した、まさにエゴイズムの極地を反映したような変則的な動きは、予測困難な斬撃を振るってサオリを追い詰める。

 

 

「自由はいいぞ、なんでもできる。好きな時に好きなように生きる、こんなにも幸せなことはない」

 

「好きなことばかりして生きられるほど、世の中は甘くないぞ」

 

「そんなことあるわけがないだろ。現に俺は、好きな様に生きて今がある」

 

「周りの人間を踏み躙ることに…貴様らは何も感じないのかっ!」

 

「……?───意味がわからないな、どうしてそこで他人が出てくるんだ?」

 

 

 

 ファーミンは連続で突きを繰り出すが、サオリはそれをナイフで弾きつつ、最低限の回避で反撃を試みる。しかしそれを見通すかのようにファーミンの突きが加速し、更に刃が纏う魔力の影響か、サオリの肌にはその風圧だけで赤く細線が滲んでいく。

 

 

 

「見ず知らずの他人のためにどうして気を使う必要があるんだ。自分が楽しく自由に生きられさえすれば、それでいいだろう」

 

「それで他が不幸になったとしてもか!」

 

「当たり前だろ、一番大事なのは自分なんだから……俺は他人のために我慢なんてしたくないし、我慢なんてものをする必要は無いと思っている」

 

「それは自由ではない──自分勝手、自己満足と言うんだ。まともに我慢一つできず、節制を知らないような人間が、人間同士で形作られる世界で生きていけるものか!!」

 

「そうして生きてきた人間がお前の目の前にいるだろ?俺は我慢をしなかったから強くなれたし、現にお前を圧倒している……―それに」

 

 

 

 ファーミンは切り上げながら回転し後ろへと下がると、無表情のまま告げた。

 

 

 

「俺が唯一従う相手は、俺よりも強い存在、つまり俺の父親だけだ。俺は父親からこの生き方を否定されたことなんて一度もなかったし、直接怒られたこともなかった。弱い奴から何をどれだけ奪ったって、雑魚をどれだけ殺したって、別に構わないだろ?」

 

(!…………そういうことか)

 

「おい油断するな、死ぬぞ」

 

「!」

 

 

 ファーミンの刃がサオリの腹の皮を裂く。深さ数センチ、帯のような真一文字の傷がへそ上に刻まれた。咄嗟のバク転で回避したことで内臓に傷を負うような致命傷は避けられたが、このままでは劣勢のまま力量差に押し潰されてしまうだろう。

 しかしファーミンは勝利にすら興味がないと言わんばかりに、サオリの戦いぶりについて自分からの評価を下す。

 

 

「透明なトランプを撃ち抜くどころか、ナイフで弾き、尚且つそのままこっちに向かって進んでくる……そして」

 
スパッ……!

 

 

 音を立て、ファーミンの頬が大きく切れる。バク転で刃を回避した際に、サオリはその一瞬でファーミンの頬をナイフで切り裂いていたのだ。

 

 

「一瞬の爆発的な判断力とそれを行動に移せる力……魔法界にもなかなかいなかったぞ、お前の様な奴は」

 

「それは光栄だな」

 

「……だが奴らとお前には、決定的な違いがある」

 

「当たり前だ、魔法界の人間と私は」

 

「それは―――本気で俺を殺しに来ていない所だ」

 

 

 するとファーミンは懐から何かを取り出しそれをサオリに向かって投げつける、すぐにサオリが弾丸でそれを撃ち抜く――が。

 

 

「っ!?(閃光弾!視界が…!)」

 

 

 サオリは目を覆いながらもファーミンから離れようと後退する――その直後、ファーミンが彼女の体を素早い動きで切り刻んでいく。

 

 

「ほら、本気で殺しに来い。じゃないと、お前が死ぬぞ…ほら」

 

(先ほどとは比べ物にならない動き…!遊ばれていたのか…!)

 

「お前の技術を見て把握した、お前は他者の命を奪う力にこそ真の強さがある。しかしお前を縛っている"ソレ"が、その力を不完全な状態のまま封じ込めている」

 

「勝手なこと…を、言って…くれるな…!」

 

「錠前サオリ、俺はお前を助けたいんだ」

 

「なん……だと…!」

 

 

 サオリはファーミンの刃をナイフで受け止めるが、強引に振り抜かれる怪力によって体全体が後方へと飛んでしまう。体制を立て直すも、次に襲いかかってくるのは……弾丸の痛み。弾丸すらも透明、さらに付け加えれば、ファーミンは極限にまで殺意を消している………否。

 

 

「お前のことはアイツから聞いていた。自身を助けてくれた恩人への恩義、これまで迷惑をかけて来た者たちへの贖罪、その為だけにいる。――見るに耐えない」

 

(この男………違う…!そもそも、他者の命を奪うことに対して何の抵抗も無ければ…罪の意識すらない!――私に対して…殺意が無い…!こうして撃っているのは……もはや奴にとって…ただの作業──いや、暇潰し程度の道楽に等しいのか!)

 

 

 彼にとって攻撃はただの作業にして、遊び。いわば彼はサオリを遊びに誘っていたのだ……一緒に遊ぼうと、楽しもうと、何の罪悪感も嫌悪感も無くだ。

 

 

「さっきも言ったがそんなのただただつまらないだけだ、お前の人生はお前だけの物なのに…どうしてわからないんだ」

 

「あぁそうだ、だから私は、私が納得できる人生を選んだ!それに、私と貴様は…他人だ!今日知り合っただけの赤の他人だ!それなのに…何も知らずして、知ったような口利きをするなっ!!」

 

「お前は、ずっとお前を隠している……中にあるもう一つの自分を…俺が今それを解き放ってやる。安心しろ、人間の目覚めさせ方はよく知ってる」

 

「良い加減にしろ……貴様の、その意味のわからない言動にはウンザリだ!」

 

 

 刃に慣れて来たサオリはその攻撃を避けつつも、ファーミンの体に弾丸を叩きこもうと引き金に手を入れる――しかしそこへ、ファーミンが懐にまで入り拳を叩き込む。

 

 

「―グッァッ!!」

 

「お父様がよく言っていた、口でわからない奴には手でわからせるって」

 

(重い……だが…!先生の一撃はもっと重い…!まだ私は―――)

 

「口でわからないのならば手………そうだ、最初からそうすればよかったんだ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マッシュ・バーンデッドの首を今すぐにでも取ってこれば、お前は晴れて自由に身になれる。回りくどいやり方をした、そこは素直に謝る………いや、放っておいてもどうせ空腹か感染症で衰弱死するだろうし、わざわざ俺が手を下すまでもない、か」

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間……その言葉を聞いたサオリの中で―何かが切れた。

 

 

 

 

 

ザシュッ!!!

 

 

 

「――やっと……やっと見れた、本当のお前を」

 

 

 

 肉を切り裂き、貫く音が聞こえたかと思えば、ファーミンは目を大きく見開く。

 彼の腹に……深々とサオリのナイフが突き刺さっていた。しかしそれに留まることはなく、サオリはナイフをファーミンの胸骨へと切り上げると、縦に捌かれた胸腔目掛けて弾倉一本分の弾薬をフルオートで撃ち込んだ。

 

 空になったマガジンをリリースすると、リロード終了とともに一度ファーミンを地面へと叩き伏せる。

 

 

 

 

 

「―その口を、閉じろ」

 

「……ハハ―ハハハハ――無理に決まってるだろ、こんなにも楽しいのに……笑えないなんて、勿体ない───ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

 

 

 

 サオリはファーミンに対し、黒く濁った冷徹な目と殺意を突き立てながら呟き、再度ナイフを握り直すとともに、今度は近接戦向けのハンドガンを構えた。

 サオリのナイフには、刃の全面にファーミンの血がべっとりと付着しているが……今の彼女は怒りの余り、命を奪うために傷を与えた事実にすら自覚がなくなっていた。

 

 対するファーミンは即死してもおかしくない傷を受けていたが、数秒後にはその傷がなかったかのように立ち上がり、膨大な出血は引き潮のように消えていった。

 彼もまたイノセントゼロ幹部の一人として、魔心臓による回復能力を持ち合わせていたのだ。

 

 

 

 

(常に空腹だった私達の腹を満たしてくれたマッシュを、健康に生きられる世界を見せてくれた、暖かくかけがえのない居場所と時間をくれた恩人……マッシュを…殺す………させない…その前に……私がこいつの命を刈り取る)

 

「いいぞッ…いい目だ……それだ、お前の本当の目は、顔は、闇に生きていた人間が善人だなんてくだらないものに成り下がるはずがないんだ。闇に生きている人間こそ、真の自由人」

 

「黙れ。もう、喋るな」

 

「他者をまとめるリーダーとしてお前は本音や気持ちを押し殺して来た、辛かっただろ、苦しかっただろ……けどもう大丈夫だ――俺がそれから解放してやる」

 

「二度と奪わせはしない、誰も傷つけさせない、私の友と家族には指一本たりとも手出しなどさせない、死ぬべきはお前だ、私が…お前を……お前の息の根を止める」

 

「もっと怒れ、もっとお前を解放しろ――受け止めやる。お前が俺を倒せるのは…それを解放し切っている時だけだ」

 

「二度と、朝日を拝めるとは思うな!!!」

 

 

 

 サオリはもはや止まらず、そのまままっすぐ突き進む。だが怒りで我を忘れている者が勝てるほど……ファーミンは甘く無い、サオリの動きに合わせ、隠していた武器で彼女の足を狙って攻撃しようとする――

 

 

 

 

 

パンッッ!!!!!

 

 

 

 

「……はっ…何処から」

 

 

 

 その瞬間、ファーミンの手からその武器がこぼれ落ちる。突然の奇襲には流石の彼も驚き、サオリも同様に驚き立ち止まってしまう。

 

 

 

「――アッハハ、ダメでしょ〜サオリン!そんなひどい顔をしてたらせっかくの綺麗な顔が台無しだよ?」

 

「その…声……」

 

「……今、最高にいいところだったんだぞ?邪魔しやがって……(……遠くの方に一人…スナイパー?…ってのがいるな。錠前サオリの仲間か)」

 

「そんなの知らないよ〜⭐︎ というか正直言って、貴方が何処の誰かとか、何でそんなおかしな格好をしているのかとかどうでもいいし⭐︎……それよりもさ」

 

 

 

 

 

 

ドンッ……

 

 

 

 

ベキッ!

 

 

 

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

ベキッ!!!

 

 

 

 

 

 

「私の大事な───大事なお友達に、何してるの?」

 

(……私は二度も……お前に、助けられてしまったんだな)

 

「言っておくけど、私はサオリンや先生みたいに優しくないからさぁ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――骨、砕け散ってなくなるって思った方がいいよ





ファーミンの教育方法《イノゼロバージョン》


1、人を殺したり、人からものを奪っても怒りません。


2、我慢をさせません


3、そもそも悪いことといいことの判断すらも教えません、勝手に覚えさせます。


4、そもそも教育ということ自体全くしませんし、面倒すらも見てません。

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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