透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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⚠︎閲覧注意(後半)

多分コレを見たら、三男坊が別ベクトルでイカれてるとわかると思います……はいー



プリン狂信者とエリートメイド

 

 

 

 

「そこから一歩でも歩いたら……撃つからね!」

 

「おや、撃てるのですか?弾丸一発で死ぬ体の人間を、殺める覚悟がお有りなのでしょうか」

 

「そこまでするとは言ってない、動けなくなってもらうだけ……撃ち方によっては、やりようならいくらでもある。私だって、馬鹿じゃないもん…!」

 

「ふむ……つまりアレのことは知らないのですね、でしたら対処はいくらでも可能です」

 

 

 無人の広場、隠れ場や遮蔽物は皆無。

 
 向かい合うは、悪魔の五つ子が一人、エピデム──
 
 対するはCleaning&Clearing、コールサイン01・一之瀬アスナ。

 

 既にアスナの愛銃はエピデムを捉えており、エピデムの手にはプリンの皿とスプーンが握られている。マッシュの幻を解いたエピデムは、表情一つ変えずにアスナに問う。不気味な空気を前に、エピデムを睨むアスナの顔が引きつる。

 

 

「しかし不思議ですね、どうして私のことを偽物だと気づいたのですか?認識阻害は完璧だったはずですが……もしや、それが噂の勘の力なのでしょうか?」

 

「ご主人様は……話していて、楽しいの。言葉の一つ一つがあたたかくて、側にいるだけで安心する――でも貴方からはそれが全く感じられなかった……むしろ逆……今こうして喋っていても寒気と鳥肌が止まらないの…!」

 

「…ふむ、よくわかりませんが、それも神秘による力なのでしょう。ますます気になりますね」

 

 

 

 

 エピデムの心に、愛や友情などという言葉は一切存在していない。彼の心には研究と好奇心、そしてプリンというスイーツ以外存在しない……無論家族へ対しての情なども一切無い。

 

 そんな彼から、マッシュの温もりが、優しさが感じ取れるわけもなかった……彼が理解できるわけがなかったのだ――マッシュとアスナの内にある温もりを。

 

 

 

 

「しかしどうするおつもりですか?まさか私と一対一で勝負をする……なんてことはしませんよね? 私と貴方の実力者を理解できないほど貴方はおバカではないはずです」

 

「例え一対一でも、負ける気は……ないよ!!」

 

 

 

 アスナがその身を震わせながら姿勢を低くし、まっすぐ感情のままに突っ込んだ……その次の瞬間、何かが高速で飛んでくる音が聞こえ、エピデムはすぐ横に体を向け……なんと持ってきた銀のスプーンで飛んできたソレを弾き飛ばす。

 

 そしてアスナの身柄は横から来た何かによって一瞬で担がれ、大きくエピデムと引き離される形で着地する。

 

 

 

 

「アスナ先輩、お気持ちは非常にわかりますが──ここは冷静に」

 

「あっ……アレ、トキちゃん? 何で?」

 

「今、先生が囚われているこの状況でアスナ先輩はきっと冷静でいられず、好き勝手に動いてしまうであろう……ということで、アスナ先輩の服にGPS発振器をつけさせていただきました」

 

「うわっホントだ…!」

 

「普段のアスナ先輩ならば気づいていたはずですが……見抜けなかったということは、そういう事です」

 

「………リーダー怒ってた?」

 

「私も怒ってますよ、もうぷんぷんです。――ちなみにネル先輩はもう勝手に何処かに行かないようにと首輪をかける事も検討しています」

 

「リーダー?」

 

「半分冗談ですよ」

 

「もう半分は何!?」

 

 

 アスナの身を動かしたのは自身の魔法によって加速したトキだった、精神的に不安定な状況に陥り、好き勝手に動いてしまう彼女を見失わないために、彼女はこっそりとアスナにGPSを仕掛け、不審を感じたためすぐさまそこへと走ったのだ。

 

 エピデムの方へと飛んできたのは彼女が全力投球で投げつけ、更に魔法で加速したマガジン。戦闘で歪んで廃棄予定だったものを一本持ち出し、牽制用の飛び道具に転用したのだ。

 

 

 

「トキ…ああ、貴方が加速の魔法使い、トキさんですか」

 

「そう、私があの超絶完璧美少女メイドの、トキです」

 

「そこまで言ってませんけど」

 

「貴方は……そのお髭、いいセンスですね」

 

「コレは魔法のアザなんですが」

 

「そして見た感じ貴方は……アラサーですね」ビシッ

 

「28ですよ、ソレから人に指を刺しては失礼ですよ」

 

「あとあと」

 

「はぁ…まだあるんですか」

 

「上空注意です」

 

 

 

 すると、今度は何かが飛来する音が聞こえエピデムはすぐに後ろへと飛ぶ。

 地面が揺れ、煙が晴れた瞬間エピデムが目にしたのは――イカれている彼でさえも絶句するレベルのデザインの巨大なロボ、アバンギャルドくん。その肩に乗っているのは…残るC&Cのメンバー達。

 

 

 

「……昔ファーミン兄様が書いた落書きそっくりですね」

 

「アスナァッ!!お前帰ったら覚えてろよ!」

 

「ご、ごめんってリーダ〜…アハハッ…!でも、来てくれて嬉しいー!」

 

「アスナ先輩!良かった……間に合ったのですね」

 

「アスナ先輩、帰ったら……本当に、説教!!」

 

『アスナ……無事で何よりだわ――でも、今後は…本当にやめてちょうだい…。ヒマリ――ええ、見つけたわ……アスナを狙う、悪党が』

 

 

 カリンだけがアバンギャルド君の方に乗り、アスナとトキの元へネルとアカネが急いで向かう。アバンギャルド君のについては、リオが制御を行いつつアバンギャルド君自身の意志で動かす半自動操縦に切り替えている。エピデムはプリンを食べながらメガネのブリッジを指で押上、事態を把握したように語った。

 

 

 

「ミレニアムの最高戦力と手合わせができるとは……コレはいいデータが取れますね」

 

「データなんざ取れたとしても、テメェは二度とソレ見れねえかもしれねけどな」

 

「強気ですね」

 

「喋れなくなる前に答えろ……テメェは、何もんだ」

 

「…ああ、そういえばちゃんと名乗っていませんでしたね」

 

 

 エピデムはプリンを食べ終えると、また新たなプリンを皿の上に乗せ、悠々と、余裕を浮かべた雰囲気で自己紹介。

 

 

「私の名前はエピデム、無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)の一人です……ああ、つまりはこのキヴォトスの脅威の一つにして───ついで、と言ってはなんですが……貴女方が『先生』と呼ぶあの不完全な青年の血縁者、ということです」

 

「そうかよ……なら――遠慮なく、ぶっ飛ばす!!」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ネルが飛び出すと同時に、他メンバー達も合わせて動く。全員がエピデムを囲う様に配置につくと、ネルはそのまま攻撃を開始。

 

 

「撃つなら私だけにしてください、プリンに罪は無いのですから」

 

「最初からそのつもりだ!……つか戦闘中にプリン食ってんじゃねえ!!」

 

「人が息をするのと同じ様に、私がプリンを食べるのは生きるために必要なものなのです」

 

「時と場合は考えやがれ…‼︎」

 

 

 エピデムはスプーンを持っている右腕の前腕部でネルの打撃を防いでゆく、弾丸はプリンに当たらない様に最善の注意を払いながら優雅に避ける。そこから反撃をしようと右手を動かそうとするが、そう簡単に敵を動かさないのがC&C。

 

 

「!」

 

「させませんよ」

 

「リーダーだけに意識を向けていたら、痛い目を見るぞ」

 

『アバンギャルド君、近接準備』

 

『リョウカイ!!』

 

「お見事な連携ですね……ホラ、プリンも褒めていますよ」

 

「調子狂うからやめろそれ!!」

 

 

 

 常に彼を囲う様に動きながら、魔法を発動させないために意識を散らしていく。そこへネルの連撃と隙を見てアバンギャルド君の攻撃を叩き込む……戦法としては技巧を凝らしたわけでもないが、連携の完成度が高く対処が難しい身のこなし。

 加え、トキの固有魔法による各メンバーの加速バフ、圧倒的な加速力と慣性制御による超機動により、その機動力とスピードは人間に捉えられる域を超える。

 

 

 

「…いい加減しつこいですよ」スッ

 

「あめえ!!」

 

「―ああっ、プリンが…!」

 

「よそ見…してんなよ!!」

 

 

 ネルは銃についているチェーンをエピデムの首に巻き付け、そのまま引っ張り彼の頭に向かって頭突きを叩き込む。一瞬意識が遠のいた隙をつき、今度はカレの胸を踏みつけながら地面へと叩きつける。

 

 

「とりあえずは一発だ…歯を食いしばれ!!」

 

「や……やめてください、そんな一撃をされては…大怪我をしてしまいます」

 

「怪我が怖えなら最初から戦おうとすんじゃねえ!!―リオ!準備しとけよ!」

 

「ヒィッ…や、やめてください…!」

 

 

 

 そのまま後輩に何かをしようとした相手に対して、容赦なくネルは顔を踏みつけようと左を上げ、そのまま振り下ろす

 

 

 

『―――待ってネル!!その男、何かを仕掛けているわ!!』

 

「…!」

 

 

 

 しかし時すでに遅し、野太い音と共に、骨が折れる様な音が聞こえた。アスナ達は最初ネルが彼の顔を踏み潰し顔を骨を折ったと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「――イッテぇな……テメェ…!」

 

「だから言ったじゃありませんか、大怪我をしてしまうと」

 

 

 エピデムの頭を守るように出現した金属の塊に、ネルは躊躇いなく足を振り下ろしたことで逆に負傷していた。彼女自身も傷の程度は理解している。確実に、腓骨に亀裂が入っている。

 

 

「だからなんだってんだぁ!?」

 

「おや、マジですか」

 

「ウラァ!!」

 

 

 ネルはすぐさま体制を立て直し、エピデムの横腹を蹴り飛ばす。しかしその瞬間にも鮮血が飛び、エピデムは怪我がない状態で吹き飛ばされるも、立ち上がってしまった。

 

 

「……貴女本当に人ですか? この私を魔法諸本吹き飛ばすなんて、ドゥウム兄様以来ですよ」

 

「そんな……リーダーが怪我…?」

 

「鉄なんて簡単に壊せるあのリーダーが…!」

 

「……言いですね、貴女達…実にいい。キヴォトス人が強力なのは知っていましたがまさかここまでとは……特に、ネルさん、貴女のその威風堂々したその姿――ソレが…どう崩れるか、ぜひ気になります」

 

 

 するとエピデムが手を挙げると、地面が裂け何かが現れた。ソレはまるで、何かを閉じ込めているかの様なガラスの球体

 

 

 

「私は科学者でして、自身の好奇心に従って研究を行うのが大好きなんです。そして最近ずっと行っている研究がありまして…ぜひ、キヴォトスの皆さんに感想を聞きたいのです」

 

「研究……?」

 

「ほら、見てください。私は――」

 

 

 

 その球体に入ってる物に気づいた瞬間―――その場にいた全員の背筋が凍り、思わず息すらも止まってしまった。

 

 

 

 

 

 

「モルモットを飼っています」

 

 

 

 

 

 

『ォッゴォォッッォォッ…!!』

 

『ガガガガガバッムム…!!』

 

『ダッ、ダジィ…デ…!ダジ…デェ…!!』

 

 

 

 

 彼は――人をモルモットとして保存していた。人だけではない……獣人やオートマタなど、キヴォトスに存在している者達が異形に作り変えられてガラス球の中にもがき苦しみ、生きている、と呼べるのかも怪しい状態で閉じ込められている。

 

 

 

「あっ、ご安心ください。ここに居る者達は皆、私の世界のモルモットと、こことは別時空の物ですので」

 

「――人の……する事じゃない…!!」

 

「命を…なんだと…!!」

 

「……すみません、少しだけ…吐き気が………」

 

「いいよ、大丈夫。気にしないで…当然だよ、こんなの」

 

「……おい、聞かせろイカレ野郎」

 

「はい」

 

「お前――――アスナを連れて帰ってどうするつもりだった」

 

 

 その質疑に、エピデムは『ああ、コレはいけないと』態度を改めて口を開く。

 

 

「ああご安心ください、別にアスナさんはそこらのモルモット達とは違いますので、ちゃんと丁寧に扱いますよ」

 

「――分かった…よく分かったよ」

 

 

 

 

 

 ネルは銃口を向け、静かに告げる。

 

 

 

 

「テメェは、この世にいちゃ行けねえ外道だ」

 

「勝てますか? この私の魔法――『オリハルコス』に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ーまあ……私の策に気づかなければ、勝ち目などありませんが)





ね?この人おかしいでしょ?


次回!アバンギャルド君、漢を見せる!!

百花繚乱後に見たい話

  • まだ交流がない生徒との話
  • アイデェア箱から選んだお話
  • ラビット2章
  • 愛が重い生徒との話
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