透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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お待たせいたしました。


すみませんワイルドハントの子達可愛過ぎません?我々先生一家全員心臓撃ち抜かれたんですけど



けどもこの作品で関わらせるタイミングがむずっい……それを考えていたら遅れました、すみません


プリン狂信者と根性と勇者

 

 

「アバンギャルドっ……!!」

 

「よく動けましたね、かなりの威力を放ったはずなのですが。流石は学園都市の科学力」

 

「アバンギャルド君…!!」

 

 

 崩れたアバンギャルド君の機体は槍衾に貫かれ、激しいスパークを散らして沈黙していた。

 血飛沫のように舞う火花とともに、頭部の口からは吐血するように黒色のオイルが流れ落ち、その動作も限界に近づいていた。
 
 今となっては、アバンギャルド君はただの兵器ではない。心を手に入れ、まるで生徒の一人のようにミレニアムの中で活動を始めた、生徒たちにとってのれっきとした友人の一人となっていた。
 そんな“友人”が身を挺して自らを庇った末、近づきつつある不可避の“死”に瀕する危機を前にして、C&Cには明確な動揺が走る。

 

 

『何故……どうして…!!?操縦権限は私が持っているはず! それなのに…!』

 

『―ゴメン……ナサイ――皆ト、戦ッタ時ノヨウニ、モードヲ、キリカエマシタ―ケイ、ノ…影響デ、自分…ヒトリデ』

 

『分かったから…!怒らないから…!そのまま待機して…!』

 

「クソッ…!!おいトキ!アスナ達連れて早くここから―――――ゲボッ!ゴホッ!」

 

「ネル―――ゴホッ!コホッコホッ!…これは……一体…!」

 

 

 

 エピデムに銃口を向けてアスナを対比させようとするネルとトキ───が、突如として二人の呼吸器に痛みが走り、咳嗽が止まらなくなった。喉と口を抑えて悶えるトキは、一頻り咳き込んだ上で口を抑えていた右手を見た。

 
───赤黒い血糊が、溢れている。

 

 

「ああ、やっと効いてきましたね」

 

「テメーか…!!」

 

「キヴォトス人は常時、神秘と呼ばれる力の恩恵を受け続けています。それゆえにキヴォトス人はまさしく鋼をも超えた肉体を保有できるのですが……そこで一つ好奇心が湧いてしまいまして――キヴォトス人に対して、魔法界の毒魔法は効くのかと

 

「毒……って、いつ…?」

 

「私のモルモット達をお見せしましたでしょう?あの球体は単なるカプセルではありません。彼らに感染してその肉体を改変すると同時に、その体を宿主として繁殖する一種のウィルスが満たされています。皆様はお気づきにならなかったようですが、カプセルには圧力弁などの開口部がありますので、当然ウィルスはこのエリア一帯に微量ながら放出されるに至りました」

 

「お前ッ!」

 

「命の取り合いなので、卑怯だなんて言わないでくださいね。馬鹿正直に戦って勝てる存在なんて、ドゥウム兄様くらいしか知りませんし」

 

 

 

 ウィルスは人には見えない存在、それを作り出せてしまうほどにエピデムという男は恐ろしいのだ。そんな男がゆっくりと近づいてゆく。

 

 

 

「ああ、ご安心ください。ウィルスが効果を持つのは、あくまでもこの領域だけです……ウィルス自体、遺伝子操作に加えて私の魔力を帯びさせて制御していますので、抗体を持つ私の意思一つで自在に操ることができるのですよ」

 

「アスナを連れ去ろうとして、アバンギャルドをこんな目にして、おまけに生物兵器とはな…!よりどりみどりかよ…!」

 

「うーむ……そんなにもあの機械が大事なのですか?……いや、これは失礼を。大事な兵力を失えば、怒らないわけがありませんよね―――ああそうだ」

 

 

 ポンッと手を叩くと、エピデムはスプーンを振るってオリハルコンを粘土のように操りはじめ、設計図も何もない状態で記憶のみを頼りに、アバンギャルド君の造形を模したオリハルコンの像を作り始めた。

 微細な調整を終えたエピデムが、表情人使えないままC&Cに向き直って告げる。

 

 

 

「こちらを差し上げましょう、オリハルコン製のロボットです。中身は違いますが、喋りますし、動きますよ?」

 

「お前ッ…!!」

 

「お気に召しませんか?……残念――ああそれなら」

 

 

 

 別のオリハルコンを操り、作り上げたのは―――マッシュ。

 

 

 

「ほら、代えの先生を用意しますよ?強くて抑止力になる存在なんていくらでも我々は用意できます、犬を買い換えることと変わらないでしょう? こちらを差し上げますので、大人しく」

 

 

 

 

 次の刹那、目の前には銃を構えたネルとトキが襲いかかってきていた。エピデムは瞬時にオリハルコンの壁を作り上げ二人の攻撃を止めようとする――しかし二人の速度は爆発的な速さを手に入れていた。

 

 

「――いい加減黙りやがれッッ!!アバンギャルドの代わりだ? 先生の代わりだ? そんなもんいるわけねぇだろうがっ!!」

 

「ネル先輩、覚悟決めてください。例え体がバラバラになろうとも、この男だけは何がなんでも、ここで潰します」

 

「無理は禁物ですよ? 私のウィルスは強力ですからね」

 

 

 トキの固有魔法によって加速したネルと、同じく加速したトキがエピデムへと攻撃を仕掛け続ける。エピデムは相手が動けなくなるまで耐えれば勝ちだと思っていた

 

 

(――おかしいですね、そろそろウィルスが身体中に蔓延し始めるはずなのに…。全身が痺れ、身体中の筋肉に力が入らなくなって行く、それがウィルスの効果……なのに、何故この二人は動けているのでしょうか)

 

「考え事とは余裕だなぁっ!!」

 

(しかもこのパワー……意味がわかりません、魔力の力を弱める薬、つまりは彼女らの神秘そのものを減殺するはずなのですが────神秘による奇跡の力であっても、説明は……)

 

 

 

 すると、エピデムの首にネルが両足を回し力を入れて固定。そのまま頭を後ろに動かした後、勢いよくエピデムの顔に頭突きを繰り出す。

 

 

「ウッッラッ!!!」

 

 

 のけぞったエピデムの髪を掴み、そこから膝蹴りを叩き込み。さらにネルは銃口を彼の腹に向かって発砲しまくり彼自身を後ろへと飛ばす。

 

 

(あの、トキという名の生徒の魔法は対象の速度を上げる力………そして今現在、私の動体視力でも追いつきにくい速度で動いている。しかしそれは肉体が悲鳴を上げるレベルのはず)

 

「C&Cを―舐めんじゃねえ!」

 

(なのに何故……ここまで動ける)

 

 

 エピデムには一生理解できないであろう、今、彼女ら二人を動かしているのは神秘による力は特殊な能力なのではない。

 

 数々の悪行とエピデム個人に対しての激しい怒り、それもしっかりとある……しかし一番動かしているのは、たった一つのシンプルな物。

 

 彼女らの友、マッシュ・バーンデッドがよく使っている一つの言葉―――その名も。

 

 

 

 

 

 

――根性

 

 

 

 

 

「ミレニアム生の根性舐めんじゃねえ!!根比べと行こうじゃねえか……!!どうせテメー自身体弄りまくってるから簡単には死なねえだろうしよぉぉ!!」

 

(ハイになりかけている……こうなった戦士は実力の有無に関わらず、とことんまで面倒臭いんですよね)

 

「そうですよ、このまま貴方をボコボコのフルボッコにしてやります。ばーかばーか、そのメガネにあってませんよばーか、後ついでに変なヒゲ」

 

(こっちはただの悪口………疲労でおかしくなってるのでしょうね―――)

 

 

 エピデムが魔力を貯め、二人をさらに追い詰める一手を出そうとした。しかし今度彼を襲ったのは、右肩への鋭い痛み。何が起こったのかと思う必要性すらなく、その答えはすぐにわかった。

 

 

「――大嫌い、この世で一番…大嫌い!!!」

 

(―立ち直るとは……そこは予想外ですね。しかしそれでもこの状況は変わりません……私が今ここで、サモンズを使えば)

 

 

 

 

 二度あることは三度ある、仲間のピンチには必ず助けが来る。

 

 

 

 

「今だよ!!アリスちゃん!!!」

 

(アリス……―――まさか)

 

 

 

 

 

「エネルギー充電、100%。命中制度、100%…破壊力、最大!!!」

 

「トキッ!!」

 

 

 

 ネルとトキはすぐさまエピデムから離れ距離を取る、そしてエピデムが体勢を立て直すも繰り出されるのは、まさしく光。

 

 

 

 

「――光よォッ!!!」

 

「ッッッ!!!?」

 

 

 音速を軽く超える光の刃が放たれ、エピデムをオリハルコンごと包み込んだ。直後起きる爆発と風圧は凄まじく、周りに存在していたオリハルコンが吹き飛ぶ程だ。

 

 

「メッセージが来て、急いで飛んできました!遅れてしまってごめんなさい!です!」

 

「――遅えよ、チビ………けど、よく来てくれた」

 

「耐久戦は我々の勝ち……ですね」

 

「現状のことは、リオ会長から詳しく聞きました。……みなさん、もう大丈夫です!何故かって?」

 

 

 

 

 アリスはスーパーノヴァを地面へとつけ、威風堂々を胸を張った後、マッスルポーズを決め叫ぶ。

 

 

 

 

「アリスと、最強の相棒が来ましたから!!」

 

「…………」

 

「ケイ!ほら!早くポージングを!」

 

「やりません」

 

「ええだ!?どうしてですか!?こういった場面ではからなずカッコイイポーズをとりながら格好をつけるのが鉄板なのに!」

 

「それがカッコイイポーズだと絶対に認めません、後私のキャラ的に絶対に有り得ません。それからこういう場面でふざけるのは良くないのですよ?」

 

「ふざけてなんていません!!だってこれは先生の真似ですから!!」

 

「お巫山戯以外のなんだというのですか!!?!?!?あの人の『真面目』ほど信じられないものはないでしょうが!!?!?」

 

 

 

───光の勇者と、その鍵にして相棒が戦場へと降臨した。

 
 アリスの頬には、青く光を帯びるスタンバイシンボルのようなアザが浮き上がり、ケイの頬にもネオンサインのようにマゼンタの光を帯びたパターンが浮き上がっている。全身からあふれる魔力と神秘の対流から見ても、その戦意に疑いの余地はない。

 

 

 

「リオ。アバンギャルドの損傷は、私の力で損傷箇所を閉鎖の上、最低限修復しました。それに死んでもいませんよ、ゴースト含む内部データについては厳重なプロテクトと破損回復の上、既に安全な場所へと移動させています」

 

『ありがとう―ケイ……アリスも…ありがとう』

 

「これぐらい当然です!!」

 

「アリス、相手は今までのどんな敵よりも強大です……が、なんの問題もありません」

 

 

 

 少ししてから、オリハルコンの殻から出て、フラフラとしながら歩くエピデムを睨みつけながらケイの言葉に、アリスは優しく微笑み───

 

 

 

「わかっています、私のケイのコンビは────誰にも負けません!!!」

 

 

 

───強く、宣言した。

 

 








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