次回からどんどん話を進めていく予定……です。
「おはようございます、先生」
「グオッ……ふぁ…ぁ……あっ、おはようございます」
「そんな状態でよく眠れますね」
「心を無にすれば意外と簡単ですよ」
「もともと何も考えていなかったのでは?」
「流石にびっくりしましたよ、唐突にナイフで胸を刺されるなんて思ってなかったし」
現在、ヴァルキューレ警察学校によって連邦矯正局で収容中のマッシュ・バーンデッド。
「……えーと、それで今回はどんなご用件で?」
「相部屋になることを伝えに来たまでです」
「そんな旅館みたいに言われても…………相席?」
「新たな受刑者が収容されます。貴方と一緒にこの牢獄へ投獄し、貴方共々監視をしろという上からの指示です」
「効率的にやっちゃおうって事ですね」
「ええ……それと、その受刑者は貴方にしか制御できないとも判断されましたので」
「僕にしか制御できn」
キュピィィィィィィィィィン!
突如、マッシュに電流走る。
マッシュにしか制御できない、つまりはこの状況でブレーキが壊れかけている生徒。嫌な予感が脳内を駆け巡り、思わず身を乗り出そうとした瞬間。
ガシャァァァァァァァァァァァァッッン!!!
「あ゛な゛だ゛様ァァァァァァッッッッッ!」
「牢獄の扉がっ!!!!?」
「あーうん、そうだろうなとは思ってたよ」
諦め混じり、しかし嬉しくもある複雑な思いのマッシュに、涙でぐちょぐちょになった状態で駆け寄って抱きつくワカモ。あらゆる点で何十年も会ってなかったとしか思えない在り様だが、実のところ投獄されていた期間そのものは大したことがなかったりする。
「ワカモはずっと…!ずっっと、心に穴が空いて…!!会いたくて…会いたくて、震えて…!!!!」
「そんなどっかの歌詞みたいに言われても」
「グスッ……………とりあえず今からここら一帯を焦土にいたしますね❤️」
「ステイ。ワカモちゃん、やめようね」
「しかしっ!!!!」
「ワカモちゃん、本気の顔はやめよう。ホントに心臓に悪いから」
ワカモはギャン泣きから一変し、本気で全てを燃やし尽くしてやろうかと言わんばかりのか怒りの表情を見せる。カンナは冷静にそんなワカモに言葉を投げる。
「狐坂ワカモ、わかっているとは思うがお前は受刑者だ。身勝手な行動は慎んでもらおう」
「黙りさない狂犬……貴女には心底失望しました。まさか売られた恩を返さず無碍にした挙句、こんな仕打ちを施すとは────曲がりなりにも貴女が先生のご友人の立場になければ、今この場で葬っているところですよ」
「ワカモちゃん、カンナさんは命令されたからやっただけ。お仕事なんだから仕方ないよ」
「関係ありません!!いかなる理由があろうとも、貴方様がこのような仕打ちを受けていい理由などあり得ません!!!!」
「それはそうかもしれないけど、とにかくダメ」
様々なことを経験し優しくなっていったワカモであったが、マッシュのことになるの話は別。元々は爆破や破壊が大好きだった七囚人の一人にして災厄の狐とも言われていたほどの問題児、マッシュと言う初恋の存在に嫌われたくないからとかなり長い間我慢してきているのだが、マッシュの事となるとその我慢の効果が一気に落ちる。
「……とにかく、二人には共にここで収容させてもらう。狐坂ワカモ、お前も近いうちに先生が今捉えられている物と似たような器具を付けさせてもらう」
「可愛げやロマンスの欠片もないペアルックですね」
「貴方様とペアルック……アリかもしれませんね」
「ワカモちゃんが僕みたいな目に会う必要はなくないですか」
「ワカモは全然構いません、もとより貴方様と共にここにいることが目的なので」
「けど」
「話は決まりましたね…それでは、今はコレをつけていてもらう」
ワカモの両手と両足に拘束具を再度しっかりと取り付け、マッシュを捕らえている器具に縄で結びつける。そしてカンナは破壊された扉を見て頭を抱えながらもゆっくりとその場から立ち去ろうとする。
「その扉っていくらくらいしますか?」
「弁償については考えなくて結構です、どうせその拘束具も縄もこの扉も私の給料から天引きです」
「ワカモちゃん、次からは壊さないようにしようね」
「あなた様がそうおっしゃるのであれば❤️」
「……なんのつもりですか」
「はい?」
「こんな状況になっても、どうして、そうまでして私のことを気にかけるのですか」
「友達だから、そりゃ気にかけますよ」
「………」
カンナはそのまま何も言わず立ち去る。そしてマッシュは大きく息を吐いた後、小声でワカモへと話しかける。
「ワカモちゃん、そもそも何をしてここに来たの?」
「ヴァルキューレに『先生のところへと連れていきなさない、さもなければ今この場で暴れます』と言ったらあっさりと」
「ワカモちゃんの暴れるは洒落にならないからなぁ……」
「あなた様に会いたいと言うのが本音ですが、他にも理由はございます」
「外のことを教えに来てくれたんだね」
「ええ、単刀直入に申し上げます」
ワカモは一から百まで、一切の省略なく塀の外で起きた全てについて、マッシュに懇切丁寧に伝えきった。
「サオリさんとアスナさんを連れて行こうとした挙句、僕の大切な友達を不快すぎる理由で傷つけた……か」
「…はい。それが今より一週間も前のことでして、今現在は皆回復の……―‼︎」
筋肉から血管が浮かび上がり、青筋が軋むような音を立てる。ワカモの手前、相変わらず表情一つ変わらないが、溢れ出す怒気が背筋を凍らせるようにも熱気となって吹き付けるようにも思える。
今のマッシュを一言で言い表すのならば
不倶戴天
「僕の実の兄だかなんだか知らないけど…人の友達を、そんなふうに呼んだり扱ったりするなんて……いい度胸してる」
(怒りに怒り、いつにも増して男らしいお顔に……!!―ではなく……ただ相手に怒っているだけでは無く…自分に対しても、怒っているのですね)
「ただ捕まって大人しくしていればみんなは安全だ…なんて考えていた自分を殴りたくて仕方ないよ」
「あなた様…」
「───ここから出たら、真っ先にそいつらをボコボコにする。二度と、みんなに近づかせないように」
マッシュは再び、百花繚乱との出会いやデリザスタとの戦い以来となる深い憤怒に心を焦がしていた。自らの命を狙う相手については自らの身体一つで丁寧に「応対」するだけだったが、マッシュのような力を持たず、純粋なアリウス生徒を含む生徒たちや身内を先に狙ってくる場合は勝手が違ってくる。
「…そして、今回の事件を企てた黒幕についてですが。少し厄介でございまして」
「誰かはだいたい予測できるけど、厄介って?」
「その……ですね」
少し悩みながらも、ワカモは黒幕について話す。しかしその内容はあんまりにも…厄介な代物。
「わかりやすく申し上げます。不知火カヤは自身の覚醒した魔法を使い、キヴォトス全体を統括し……名目上はエデン条約締結前の二大学園のような学園間紛争や組織衝突の伴わない、新時代の学園都市キヴォトスとも呼ぶべき世界───いわゆる“泰平の世”を作ろうとしています」
「………マジか」
「そして皆が自分を認め、褒め称えられる世界を作ろうとしています」
「…………?なんか矛盾してない?どういう事?」
「…あなた様」
「不知火カヤの内側には、既に“もう一人の不知火カヤ”と呼ぶべき別の人格が出来上がっているようです」
「―――マジで?」
伏線?回収………じゃないなこれ。
ガチャが最近終わりまくってて本当にやばい主です、助けてください。もう本当に石が無い
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