お待たせいたしました……お待たせしすぎたのかも知れません!
エデン条約編開幕です!
先に言っておきますが、エデンは前編後編にわけます。クッソ長いので。
前編が一章と二章、後編が三章と四章という構成です……うん長い。
どうか最後までお楽しみください。それでは、どうぞ!!
マッシュ・バーンデッドとエデン条約の開幕
「――つまるところ、エデン条約というのは『憎み合うのはもうやめよう』という約束だ」
夜空に、一つの声が響く。
夜を天蓋としてトリニティ総合学園を一望出来るテラス、トリニティの生徒会ティーパーティの面々が集うトリニティの秘奥。
そこで一人の少女と、一人の少年が向かい合って座っていた。長いテーブルの上にはには紅茶が一杯……ではなく。
「……何故…何故さっきから紅茶がシュークリームに変わっていくんだ?」
大量のシュークリームが置かれていた、少女は困惑している。何故ならさっきから幾度となく紅茶を飲もうと手を出すと、絶対にその紅茶がシュークリームに変わるからだ、しかもどんどん増えていく。
「何故君の夢には……こう、シュークリームや筋トレグッズしかないんだ?もっとこうあるだろ…絶対に――コラ、シュークリームをこっちに持ってこない」
少女は出てくるシュークリームを一度無視をして話を続ける。
「話を戻そう。…トリニティとゲヘナの間で、長きにわたって存在してきた、確執にも近い敵対関係、そこに終止符を打たんとするもの、互いが互いに信じられないが故に、久遠に集積していくしかなかった憎悪を解消する為、それに代わって新たに信頼を築き始めようとするプロセス……コラ、思考を放棄しようとしない」
「つまりは……ゲヘナとトリニティの平和条約けれど、連邦生徒会長の失踪をきっかけに、この条約は何の意味も持たなくなってしまった、何せ仲介し、立ち会う張本人が居なくなってしまったのだか――コラ、筋トレを始めようとしない……難しい話なのはわかっているがちゃんと聞いてくれ」
少女は自分が話している最中に何やら変なことをしだす少年を叱る。少年は『ごめんなさい』と頭を下げる。
「――エデン、それは太古の経典に出て来る楽園の名、そこにどんな意味を込めていたのかは分からないけれど、まぁ連邦生徒会長のいつもの悪趣味だろうね」
「キヴォトスの七つの古則は御存知かな?……知らなそうだね……とにかく、その五つ目は、正に楽園に関する質問だった……そしてここからはちゃんと真面目な話だから聞くように」
「楽園に辿り着きし者の真実を、証明する事は出来るのか――他の古則もまたそうであるように、少々理解に困る言葉の羅列だ、ただ、ひとつの解釈としてこれを『楽園の存在証明に対するパラドックス』であると見る事は出来る」
「もし楽園というものが存在するならば、そこに辿り着いたものは至上の満足と喜びを抱くが故に、永遠に楽園の外に出る事はない――もし楽園の外に出たのであれば、つまりそこは真の悦楽を得られるような『本当の楽園』ではなかったという事だ」
「であるならば、楽園に到達した者が、楽園の外で観測される事はない、存在を捕捉されうる筈がない――到達した者を観測できたのなら、楽園は存在するが、真の楽園とは云えない事が証明される、しかしそもそも観測すら出来ないのであれば、楽園はあるのかもしれないし、ないのかもしれない……」
「――存在しない者の真実を証明する事は出来るのか?」
真剣な表情の声でそう言う少女の目の前に座っている少年は、その話の内容を理解………しきれていない。なんなら『???』をずっと浮かべている。
「……つまるところ、この五つ目の古則は、初めから証明する事ができない事に関する『不可解な問い』なのだよ……しかし、ここで同時に想う事がある、証明できない真実は無価値だろうか? この冷笑にも近い文章を通じて、何か真に問いたい事があるのではないだろうか?」
「エデン……経典に出て来る楽園、どこにも存在せず、探す事も能わぬ場所――夢想家たちが描く、甘い甘い虚像」
「どうだい? そう聞いて見ると、このエデン条約そのものが、まさしくそんなものの様に思えてこないかい?……さて、ここまでの話を――?」
少女の難しい話を聞いていた少年は……白目を剥きながら泡を吹いていた。
「………な、何故白目と泡を……―まさか、話の内容が難しすぎて…気絶したのか?夢の中で!?ま、まずい、起こさなければ……あーいや起こしたらまずいのか?」
少年はハッとして座り直す、ハァ……とため息をつき話を続ける。そして本当に大丈夫なのかと本気で心配する。
「――もしかしたらこれから始まる話は、君のような者には適さない、似つかわしくない話かもしれない…いや、むしろ適任か?」
「とにかく、この話は不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰める様な――相手を疑い、前提を疑い、思い込みを疑い、真実を疑う様な」
「悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような……それでいて、唯々後味だけが苦い……そんな話だ。しかし同時に、紛れもない真実の話でもある」
「だから――どうか背を向けず、目を背けず、最後の『その時』まで、しっかり見ていて欲しい……それが君の……この先を選んだ、君の義務だ」
少女はそう強く少年に言う、その目には確実な決意が、熱意が込められていた。
その少年……マッシュ・バーンデッドは疑問に思いながらも、近づき、その少女に目を合わせて答える。
『……この先に何があるか僕は分からないし、その最後っていうのも分からない――けど誓うよ』
『僕は絶対に逃げない、最後の最後まで』
力強く、本気でそう答えるマッシュ、それに少女は笑い優しくほくそ笑む。
「……フフッ、それは頼もしいな……なら、もう一つお願いしておこう」
――先生、あの子を……ミカを、頼む。
―――――――――――――――――――――
とある教室
「――もう嫌っ!」バンッ!!
そう叫び、机を叩きながら立ち上がったのはピンク色の髪に、小柄な体格の少女、
ペンを机に放り投げ頭を抱えながら彼女は訴える。
「こんな事やってらんない! わかんない! つまんない! めんどくさいッ! ―それも……これも全部!先生のせい!」
「え、僕?」
「もう、コハルちゃん、そんな無茶苦茶な事を云ったら先生が困ってしまうでしょう?」
そう云って立ち上がったのは、彼女の後ろの席に座していたのは
「あくまで先生は私達を助けるために来て下さっているんですし、そもそも勉強が分からないのも試験に落ちたのも、先生ではなくコハルちゃん自身のせいですし――……」
「うぅッ……!」
見事なまでの正論パンチ。それに反駁する術を持たないコハルは苦しい言い訳を並べ立てる。
「わ、私は正義実現委員会の一員だから! それで、授業に出られない事が多くてっ……そう、そのせいなの!」
「それは他の正義実現委員会のメンバーも同じだ、でもここにいるのはコハルだけ」
「………」
正論パンチ(2回目)を叩き込んだのは白い小さな翼を持ち、透き通る様な白髪を持つ少女――
「えーと…よしよし」ナデナデ
「か、勝手に撫でないでよ!!そ、それに異性を撫でるだなんて―え、えっちなのはダメ!死刑!!」
「撫でただけなのに?」
「なるほど、つまりアズサちゃんが云おうとしているのは、唯々コハルちゃんがおバカさんだからですよ、という事で合っていますか?」
「まぁ、それも強ち間違ってはいない、仕方ないものは仕方ない、人生は往々にして虚しいものだ」
「…二人とも、追い討ちって知ってる?」
「追い討ち……フフッ、ええ、勿論大好きですよ 」
「えっちなのはダメ!死刑!!」
「今のどこにえっち要素が…?」
「――うぅぅぅぅもううるさぁぁい!!」
コハルはとにかく叫ぶ、恥ずかしさや色んなことが合わさって我慢の限界がきたようだ。
「私のことを馬鹿って云ったらあんた達も皆一緒じゃん!? 私が馬鹿なら此処に居る全員バカでしょバーカッ!」
「あ、あはは……えっと、それはその………あの…」
そういうのは一人黙々と勉学に勤しんでいた平凡な生徒、もう一度言おう平凡な生徒、
「な、何も間違ってないでしょ!? 馬鹿だから此処に居るんでしょ!? あんたも、あんたもっ、あんたもッ!――あんたもッ!」
「ガーン」
「こ、コハルちゃん、ちょっと落ち着いて……」
「落ち着いてなんていられないわよ! 皆仲良く退学になりそうな、こんな状況で……ッ! もし退学になったら、せ、正義実現委員会のメンバーじゃなくなっちゃう……うぅ!」
「ふむ、私も退学になるつもりは毛頭ない、何をしてでも、例え惨めな想いをしてでも、乗り越えて見せる」
「まぁまぁ、退学になったからといって何もかもが終わりと云う訳ではありませんから、気楽にいきましょう、寧ろ……――」
「あ、あの……ッ!」
収拾がつかないと判断したヒフミはすぐに声を上げる、すると皆の視線はヒフミに集まる。
「えっと、その……こうして集まっているのは、そもそも退学せずに済むようにする為ですし、取り敢えず、今は皆で知恵を寄せ合って、何か良い方法を探しましょうよ……! でないと、一週間後には本当に仲良く全員退学――なんて事にもなりかねませんし……!」
「ふむ、知恵を寄せ合う……成程、悪くないですが、あまりぐっと来る感じではありませんね、もう少しこう、何か――ここは例えば、そうですね、弱くて敏感な部分を寄せ合う、という形で如何でしょう?」
「……?」
「…………?」
彼女の言葉の意味を理解出来なかったのか、アズサとマッシュは疑問符を浮べながら首を傾げる。それに対しコハルは顔を真っ赤にして怒鳴る。
「い、いきなり何言ってんの!? 下ネタは駄目! 禁止! 死刑! び、敏感な部分って、何をどう寄せ合おうっていう訳!?」
「あぁ、ちょっと分かり辛かったですか? では、実際にやってみましょうか、もう少しこう、足を開いて頂いて……」
「え、えっ……や、やめて! 近付かないで! 知りたくないし分かりたくもないしまだ早いからっ!?」
「えい♡」
ハナコが逃げようとするコハルを確保、そのまま体を押し当ててコハルの体を触れまくる。絵面的には完全にアウト。
「ふむ……成程、こういう制圧術もあるのか、白兵戦で使えそうだ……勉強になった――ただ、無駄な動作が多い気がする、私ならあとツーテンポ前の段階で関節を極めている……先生ならどうする?」
「筋肉」
「なるほど、自慢の筋力を使って考えるよりも先に動き、そのままチョークスリーパーか……ふっ、さすが先生だ」
「筋肉筋肉」
「ん?教えて欲しいかって?……勿論だ、なんなら今からやろう」
「筋肉」
「うん、筋肉だ」
アズサは勉強関係なしにマッシュの謎言語を理解し筋トレを始めようとしていた。
勉強をほっぽり出し、それぞれ別のことをやっているヒフミ以外のメンバー達。ヒフミが一人真剣にやっているのに何故こうなってしまうのか……色々考えた結果
ブチッ
『わーーーーー!!!!!!』ドカシャァァッ!!
『!?』
ヒフミはちゃぶ台返しを行い四人の目を引くと
「勉強!しないと!退学なんですよぉーー!!!!」
そう叫んだのであった。
これから始まるのは壮大な物語
始まりはここ『補習授業部』、この部活にマッシュが関与したことにより、全ては始まった。
これは平和への物語
これはみんなの物語
これは―――みんなが幸せになるまでの物語だ。
――――――――――――――――――――
次章予告
初めまして先生……こうしてお会いするのは初めて、ですね……あの、とりあえずその大量のシュークリームは仕舞ってくださいませんか?
え、無視?ひどくない?……うんひどいよね、うぇ〜ん先生〜!ナギちゃんがいじめる〜
その小さな口にロールケーキをぶち込みますよッ!?
――補習授業部の、顧問になって頂けませんか?
………………………ベンキョウ…オシエル?
あ、シューちゃん
シューちゃんはやめてください!
どうせ私に対して色んなことをするんでしょ!?〇〇同人みたいに!〇〇同人みたいに!!!
……?
Vanitas vanitatum, et omnia vanitas…全ては、虚しいんだ
僕はシュークリームと、友達と筋肉があれば虚しくないかな
先生は、個と全、どちらかを選んで助けないといけない時……どちらを選びますか?
両方です。両方、救ってみせますよ。
……なんで諦めないの?なんでそこまでするの!?
皆に泣いてほしくないから──友達にはずっと、笑顔でいて欲しいから。
ゲヘナにいる子達も僕の生徒なんです……たとえ同じ生徒でも、あの子達を消そうとするのは……僕が許さない
――へぇ〜先生、そんな顔できたんだね
骨がバキバキに折れようと、死にかけようと、僕は絶対に貴方を止めます。
貴女を、一人になんてさせない。
長編開始、主は死ぬ気で頑張ります。
多分書いている間に100行きますね……うん絶対いく。
前編が終わった後‥‥待望の水着イベントをやります。というかやらせてください。
エデンはなんとしてでもみんなをハッピーエンドに持っていきます(例外もあり、ベアオバとかベアオバとかベアオバとか)
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