透き通る世界に拳を一つ   作:六科

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お気に入り300超えちゃった…ヒェ

プレッシャー半端ないですが頑張ります!

今回の話は便利屋との初対面ってだけで、次回から戦います。


それでは本編へ…どうぞ!活動報告もよろしくね!


マッシュ・バーンデッドと便利屋68:初対面編

 

キヴォトス某所、高層オフィスビル、最上階

 

 

 

「…格下のチンピラ如きではあの程度が限界か。主力戦車まで貸し出したというのに、まったく」

 

 

 

体格の大きい、義体。生徒ではない。キヴォトスの大人。高い社会的地位を持つその人物は、暗い部屋で一人呟く。

 

 

 

「…目には目を、生徒には生徒を、専門家に依頼するとしよう。ついでに、貸し出した分の取り立てもやってもらうとするか」

 

 

連絡を入れる。少しの間を置いて、通信が繋がる

 

 

 

「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です」

 

「仕事を頼みたい、便利屋」

 

 

 

人物は色々と内容を話し、そして電話を切る…はぁ、とため息を吐き

 

 

 

「全く…何が『一人の人間に戦車を破壊されたし砲弾も弾かれた、嘘なんかじゃない』だ…そんなことできるはずがないだろう?あの風紀委員長でさえ弾くのなんて不可能だ」

 

 

そう呟いた。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

アビドスに潜伏中のカタカタヘルメット団。まだまだ構成員はたくさんいた。だが今日、カタカタヘルメット団は全滅する…いや正確には壊滅、だ。

 

一度はマッシュに本拠地をボロボロにされて撤退、2度目は最後の勢力を使ってセリカを誘拐したが失敗しリーダーが逃走。

 

あとは本当に残り少ない兵力のみ…なので、簡単に攻略されてしまう。

 

 

 

「うわあああっ!?」

 

 

そして最後の一人が倒れた

 

 

 

『あーあー、こっちは終わったよー』

 

  

 

生徒の中では小柄な体躯、大きな鞄には『LOVE&VIOLENCE』と書かれていて。

 

獲物はマシンガンMG5

  

 

 

『こっちも制圧完了したよ、ボス』

 

 

白と黒がハッキリ分かれた髪色、服には『BORN.TO.KILL』と書かれていて

 

獲物はサイレンサー付きハンドガンP30L

  

 

 

『お、終わりました、アル様…』

 

 

 

小さな帽子を被った生徒、鞄には首吊りウサギのアクセサリーで獲物はショットガンHK FABARM FP6

 

 

 

「…ふふふ。弱いわね。クビって言われるのも納得だわ」

 

 

 

首と袖にファーの着いたコートを纏う生徒、後頭部からは三日月のように上を向く角、

 

獲物はスナイパーライフルH&K PSG1

 

 

 

「…この仕事は、私たち便利屋68がいただいたわ」

 

 

 

そう意気込んだ社長と呼ばれる者…すると倒れていた奴が掠れた声で言う。

 

 

「お…お前達も…どうせ……あいつに…―」

 

「…あいつ?…まあいいわ―たかだか数人の兵力なんて敵じゃ無いもの」

 

 

 

アビドスの勢力を知っている社長はそう言って笑う、しかし彼女は知らない

 

 

 

そのあいつ(マッシュ)と言う存在が、一人で数万…いや数億の兵力に相当するという事実に。

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「セリカちゃんが無事だったところで、早速会議を始めましょう!」

 

 

 

アヤネの号令で会議は始まった。

 

ホシノは椅子の上に胡座をかいて鯨のぬいぐるみを抱きしめていて

 

ノノミは立ってセリカの後ろから頭を撫でていて、セリカは最初は抵抗していたが諦めて頬杖をついて座り。

 

シロコは鞄の中のナニカを弄りながら席についていた。

 

 

そしてマッシュは

 

 

「ブレイクダンスで重要なのは音楽を身体で捉えてリズムを正確に表現して踊ること…ヘッドスピンか、一度やってみよう」モギュモギュッ

 

 

 

空気椅子で体を鍛えながらシュークリームを片手にブレイクダンスの本を読んでいた…なんで?

 

 

椅子の横には何かを入れている袋があった。

 

 

いつも通り自由な対策委員会…+変な人にアヤネは『――はぁぁぁ…』と小さく溜息を吐き、続ける

 

 

 

「本日はマッシュ先生もいるので…真面目にやりたいんですけど…」

 

「はーい☆」

 

「もちろん」

 

「まかせなってー」

 

「別に普段から真面目なんだけど?」

 

「今回が初めてだから、まずは雰囲気掴む所からはじめるね」

 

「じゃあブレイクダンスの本と空気椅子をやめてください、その時点で馴染めていないので」

 

「あ、ごめん」

 

「もう…。はい、早速議題に入ります。本日は私たちにとって非常に重大な議題。『学校の負債をどう返済するか』について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は挙手をお願いします!」

 

「はい!はい!」

 

 

 

勢いよくセリカが挙手をする。ついでに立ち上がってノノミの手から逃れる。ノノミは寂しそうだ

 

 

 

「はい、1年の黒見さん。お願いします」

 

「…あのさ、アヤネちゃん。まず名字呼びやめない?」

 

「セリカちゃん…その、名字呼びの方が会議っぽくて良いかなって…」

 

「カッコつけたいお年頃なんですな、僕もだよ」

 

「先生」(アヤネのドスの利いた声)

 

「ごめんなさい」

 

(アヤネちゃんのそんな声初めて聞きました〜…ちょっと怖かったです)

 

「まあまあいいじゃーん。偶にはおカターイ感じでー。じゃあ会議中は名字呼びでー」

 

「ん…先生がホシ…小鳥遊先輩とノノ…十六夜…さん、を名字呼びしてるところも見たい」

 

「わー♪シロコちゃん…じゃないですね!砂狼さんも可愛いです♪」

 

「…先輩たち順応はやいわね…ともかく!」

 

 

 

セリカが仕切り直す。壊さない程度に机をバンッと叩く

 

 

 

「対策委員会の会計担当としては、現在の我が校の財政状況は破産寸前としか言えないわ!このままじゃ廃校、ここまではいいわよね?」

 

「まあねー」

 

「毎月の返済額は利息だけで788万円!がんばって稼いでるけど、正直、この利息の返済すら間に合うか怪しい。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。このままじゃ埒が明かない……こう、ドカンと一発デカいことをかまさないと!」

 

「例えば?」

 

「これ!街で配ってたチラシ!」

 

 

 

 

セリカが大きく手を上げて、チラシを全員に見せる。そこには『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金!』と大きく書かれていた。

 

アビドス生徒達は『あー…』と声に出していた。どうみても詐欺だった、これをどう伝えるか考えていたとき。

 

 

 

『それで一攫千金になれるなら、ここら辺の人みんなお金持ちになってると思うし…わざわざそんなにすごいものを人に売ったりするのかな』

 

「………たしかに」

 

 

マッシュのマジレスが突き刺さる、これはいわゆるマルチ商法であり、悪質なものであった。

 

 

 

「騙されちゃったんですねぇセリカちゃん。可愛いです☆」

 

 

ノノミは笑ってはいるものの、スマホで何かを見ている。恐らく近々愛銃が火を吹く事になるだろう。

 

 

「まったく、黒見ちゃんは世間知らずだねー…気を付けないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかないことになっちゃうかもよー?」

 

「そうだよ、僕みたいに騙されても力でねじ伏せられるのならまだしも、セリカちゃんは僕みたいに強くないから危ないよ」

 

「注意してくれてありがとう、けど最後のはなんか腹立ったわ!!」

 

「あと騙されてもねじ伏せられるって単語初めて聞きました」

 

「ん…元気出して。今度お昼奢る」

 

 

 

シロコはセリカの頭を撫でていた。「…撫で心地がいい」とシロコは気付いた。暫くその手が離れることはなかった

 

 

 

「えっと…それでは黒見さんの意見はこの辺りで…。他にご意見のある方は?」

 

「はい!はい!」

 

「えっと、はい。3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが」

 

「うむうむ、えっへん!」

 

 

ホシノは椅子の上に立った。椅子を汚さないよう靴は脱いでいた。

 

 

「我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる5人だけってことなんだよ。生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいな超マンモス校ぐらい、桁違いな生徒数なら、毎月のお金だけでも結構な金額になるはずー」

 

「えっ…そうなの?」

 

「そうなんだよー。だからまずは生徒数から増やさないとねー。まずはそこからかなー。そうすれば、連邦生徒会に議員を捻出する余裕も出来て、連邦生徒会での発言権も手に入るし」

 

「鋭いご指摘ですけど、具体的にどうやって…?」

 

「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!

 

「は、はい!?」

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入書類にハンコを押さないとバスから降りられないようにするのー。うへー、これで生徒数爆増間違いなーし!」

 

「それ、興味深いね」

 

「割とありかも」

 

 

 

シロコの目は輝いていて何故かマッシュは納得している。

 

 

ホシノは『あ、やっば。思ってたより食いついちゃった』と冷や汗を流していた。  

 

「…まぁ途中で止めよう」ともう少し巫山戯ることにした。

 

 

 

 

「ターゲットはトリニティ?ゲヘナ?それともミレニアムとか百鬼夜行?狙いをどこにするかによって戦略を変える必要があるかも」

 

「うーん、トリニティかなぁ。お金いっぱい持ってるのはトリニティだし…。…いや、ゲヘナにしよーっと。あそこ給食が美味しく無いらしいから、柴関ラーメン食べさせてあげれば割とハンコ押してくれるかもだしー」

 

「うちにはまずその給食を作ってくれる給食部がないんだけど…。というか私のバイト先を食堂扱いしてない?ねぇ」

 

「というか、ちょっと待ってください!そんな方法で転校とかありなんですか!?それに、他校の風紀委員が黙ってませんよ!?」

 

「大丈夫、マッシュ先生がいる」

 

「任せておいて」

 

「ダメ!!です!!」

 

 

 

アヤネが叱りつけ、ホシノは椅子から降りて靴を履き直し、シロコの方を見ながら座った。

 

何故ならなんとなくとんでもないことを言うんじゃ無いかと思ったから。

 

 

 

 

「私にいい考えがある」

 

「…はい、2年の砂狼さん」

 

「銀行を襲うの」

 

「…はい!?」

 

「確実かつ簡単で短時間で行える。ターゲットは選定済み。市街地の第一中央銀行。金庫の位置、警備員の導線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握済み」

 

 

めちゃくちゃ丁寧に犯罪を犯そうとしていた先輩にアヤネやセリカはドン引く、ホシノは『うへぇ…やっぱりー』と言っていた。

 

 

 

「さっきから鞄の中身ゴソゴソしてるなぁ、と思ってたらそれ見てたんですか!?」

 

「ん。5分で1億は稼げる。覆面も用意した」

 

 

シロコは覆面を机に広げる。なんなら自分は2と書かれた青の覆面を既に装着していた。獣耳を出す穴までちゃんと開けた専用装備だった

 

 

「うわー、これシロコちゃんの手作り?」

 

 

ホシノが1と書かれたピンクの覆面を手にしながら笑っている。ご丁寧にホシノのアホ毛が出せる穴が開けられている

 

 

「わぁ!見て下さい!レスラーみたいじゃないですか!?」

 

 

ノノミが3と書かれた緑の覆面を着けて大興奮していた。サイドから丸めた髪を出す穴が開けられていた

 

 

「…形でなんとなく私のだって分かるけどなんで穴開けられてないのよ」

 

 

セリカの獣耳に合わせて他の覆面よりも先の尖った膨らみがある、4と書かれた赤の覆面を手に、セリカが不貞腐れている

 

 

「…私のもあるんですね」

 

 

アヤネが0と書かれた黄色の覆面を手にする。アヤネの尖った耳を出す穴が開かれていた

 

 

 

「ん…ごめんなさい先生、先生の分はなくて」

 

「大丈夫だよ、こんなこともあろうかと…」

 

 

 

座っていた場所の横にあった袋から何かを取り出す…それはシュークリームに顔がついた可愛らしいお面であり、マッシュはそれをつけた。

 

 

 

「仮面を作ってきたから」

 

『どんなこと!?』

 

「ん…先生すごいし可愛い」

 

「可愛く無いわよ!冷静に想像してみなさい?それをかぶって銀行強盗に行くのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

『強盗だ、金を出せ』(シュークリームの仮面をつけた筋肉質の男)

 

 

 

 

 

 

「怖すぎるしトラウマ残るのよ!」

 

「ダメか」

 

「それに犯罪なんてダメですよ、却下です」

 

「……むぅ」

 

「膨れっ面をしてもダメです!」

 

「とりあえずこの仮面はしばらく使えないか…ごめんねシュー君

 

「名前あるの!?もういいわよ!」

 

 

 

ツッコミ疲れたセリカが倒れるように椅子へと座る、そして今度はノノミが手を上げる。

 

 

 

「あのー!はい!次は私が!」

 

「はい…2年の十六夜さん。犯罪と詐欺は抜きでお願いします」

 

「今度の案はクリーンで確実ですよー!ずばり!アイドルです!スクールアイドル!」

 

「却下」

 

 

 

食い気味の却下を口にしたのは意外も意外、ホシノだった。腕までバツにして全力で拒否していた

 

 

 

「なんでー?ホシノ先輩…じゃないや。小鳥遊委員長なら特定のマニアに大受けしそうなのにー」

 

 

 

そう言ったのは今までの仕返しにホシノを弄る事にしたセリカであった。すごい快活な笑顔を浮かべている

 

 

 

「こんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて人間としてダメっしょー、ないわー、ないない」

 

「決めポーズも考えてたのに…」

 

 

 

部屋のホワイトボードの前でノノミがポーズをとる

 

 

 

「水着少女団のクリスティーナでーす♪」

 

「ダッサ!」

 

「えー…黒見ちゃんひどい……徹夜で考えたのに……それにあわよくば先生にも出てもらおうと」

 

「絶対にダメ!」

 

 

 

 

 

「黒光り筋肉団のトライセップスです」

(マッスルポーズを決める)

 

 

 

 

 

「何ちゃっかり考えてんのよ!」

 

「ん…トライセップスって?」

 

「上腕三頭筋を意味する言葉だね〜」

 

「あのー…全然議題が進まないんですけど…結論を…」

 

「じゃあ先生ー、この中だったらどれがいいー?」

 

 

 

 

マッシュは真面目に考え。

 

 

 

 

「まあ、悪いことをしないアイドルが妥当だよね」

 

「わーい!採用されました!」

 

「えー?やるのー?まぁ先生がそういうなら仕方ないかー」

 

「ん。決まったのなら仕方ない。ライブ会場を探す」

 

「わぁ、思ったより先生やる気満々だ。…え、ホントにやるの?ねぇ」

 

「ん。楽しみにしてる。私も先生の覆面、作っておくね」

 

「えっ!?本当にやるの!?これでいくの!?」

 

「ん…行動は迅速に。早ければ早いほど良い。でしょ?アヤ…奥空…さん」

 

「…い」

 

 

 

アヤネぷるぷる震えている。対策委員会は「あっ…」といつものやつだと思った、マッシュは何かくると思い構えた。

 

 

 

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

 

 

 

アヤネが机をひっくり返した、そのひっくり返された机をマッシュが片手で止め、地面へと下ろす。

 

 

「みんな…!みんな…!ふざけてばっかり!もう少し真面目にやってください!」

 

 

このあとめちゃくちゃ説教された。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

「いやー、悪かったってば。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ね?」

 

「怒ってません…」

 

 

口いっぱいに麺を啜ってアヤネはモゴモゴ言っている。

 

 

「ごめんねアヤネちゃん、ああ言う会議とか、会話とかあんまりしたことがなくて…つい楽しくなっちゃったんだ」

 

「別にいいですけど……」

 

「お詫びにこれを」

 

「いや…本当に大丈―…なんですかこれ」

 

女子でもできる!すごい筋肉を腕につける方法―って本」

 

「いりませんよ!!あと私はオペレーターですよ!?筋トレとか必要ありません!」

 

「そっか」

 

「…なんでもいいんだけどさ。なんでまた柴関なの」

 

「おいしいんだもん」

 

「安いんだもん」

 

「ん…食べやすいんだもん」

 

「セリカちゃんに会えるんだもーん」

 

「そこ合わせないで!なに!?打ち合わせでもしたの!?」

 

 

 

 

ワハハハハ〜とまた笑いが起き自然と場が盛り上がる

 

すると店の扉が開き帽子を被り、手にはショットガンを装備しているオドオドと辺りを見渡すその生徒が入ってきた。

 

 

 

 

「あ、いらっしゃいませー!何名様ですか?」

 

「あ…その…。こ、ここで一番安いメニューっておいくらですか?」

 

「…?一番安いのはー…580円の柴関ラーメンですね!特製の方も美味しいですけど、こっちも看板メニューです!美味しいですよ!」

 

「580円…!あ、ありがとうございます!4名です!少し、お、お待ちを!」

 

 

 

ガララッとその客は外に出ていく。

 

 

 

少し間を置いて、ガララッと扉が開き、4人の生徒が入ってきた

 

 

「やっと見つかったー!600円以下のメニュー!」

 

 

「疲れたー!」と、自身の体躯程ある鞄を片手に笑うマシンガンを持つ生徒

 

 

「ふふふ、ほら見なさい。何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

 

 

と傍目から見ると余裕の笑みを浮かべるスナイパーライフルを持つ真紅の髪の生徒

 

 

「そ、そうでしたか。流石社長…。なんでもご存知ですね…」

 

 

と憧れの目をしているショットガンを持つ生徒。鞄には首吊りウサギのアクセサリーが付いている

 

 

「はぁ…」

 

 

呆れと諦めの混ざった溜息を吐く、白と黒にはっきりと別れた髪をしている生徒。よく見ればホルダーにハンドガンが見える。

 

セリカが声をかける。

 

 

 

「4名様ですよね?席にご案内しますね」

 

「んーん。どうせ1杯しか頼まないから大丈夫」

 

「1杯だけ?でも…どうせならごゆっくり、お席にどうぞ。今は暇な時間帯なので、席も空いてますし」

 

「おー、親切な店員さん!ありがと、ついでにもうひとつ。箸は4膳でよろしくねー。優しいバイトちゃん」

 

「え?1杯なのに4膳?…1杯を4人で食べるつもり?」

 

 

それを聞いてショットガンの生徒が震えだす

 

 

 

「すみませんすみませんお金がなくてすみません貧乏ですみませんお金がないのは首がないも同じです生きる資格なんてないんです虫けらにも劣る存在なんです虫けら以下ですみませんやはりそんな虫けらは消し飛ばさないと…!」

 

「え、ええ!?」

 

「急にネガティブになった…大丈夫かな」

 

 

 

ショットガンの生徒が鞄から何かを取り出そうとしているのをハンドガンの生徒が手で制した

 

 

 

「ハルカ、やめな。声がデカいし周りに迷惑」

 

「は、はい…すみません…」

 

「謝らなくていいわ!」

 

「!?」

 

 

セリカがショットガンの生徒の肩に手を置く

 

 

 

「お金が無いのは罪じゃないから!胸張って!」

 

「へっ!?あっ、はい!?」

 

「お金は天下のまわりものってね。そもそもまだ学生なんだし!それでも小銭集めてこうして来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!」

 

「あっ、うぅ、はい…?」

 

「待っててね!直ぐに持ってくるから!大将ー!」

 

 

セリカが厨房へ走っていく。ショットガンの生徒はまだ困惑していた

 

 

「…なんか、妙な誤解をされてる気がする。…はぁ」

 

 

 

ハンドガンの生徒がまた溜息を吐いている

 

 

 

「まあ、うち普段から貧乏って訳じゃないんだけどねー。アルちゃんが金遣い荒いんだからー」

 

「アルちゃんじゃなくて社長でしょう?ムツキ室長。肩書きはちゃんと付けてよ」

 

「だってもう仕事終わりじゃん?ところでー、社長なのに社員にラーメンを1杯分しか奢れないのってどうなの?」

 

「うぐっ」

 

「まぁ、今回の傭兵バイトを雇うのに全財産使っちゃったからね、社長。それでも4杯分くらいは残しておけたと思うんだけど」

 

「カヨコまでっ…」

 

「ぶっちゃけ夕飯代忘れてたんでしょ、アルちゃん?1杯分残ってたのも偶々でしょ?」

 

「…ふふふ」

 

 

 

傍目から見ると余裕の笑みを浮かべるスナイパーライフルの生徒。よく見ると肩が震えている。

 

 

 

「…はぁ。まぁ、一番火力を出せる社長に敵が接近するリスクを減らす為に、耐久力があって前衛が出来る傭兵バイトに資金を注ぎ込むのは正しい。そこは同意する。でもそんなにアビドスって危険なの?

 

(ギクっ)

 

「それは…」

 

「多分アルちゃんもわかってないと思うよ?だからビビってたくさん雇ったんだろうしー♪」

 

「だ、誰がビビってるって!?全部私の想定内!失敗は許されない、あらゆるリソースを総動員して仕事に臨む。それが便利屋68のモットーよ!」

 

「でも変なこと言ってたよ?『戦車を素手で破壊する人間がいた』って」

 

「バカねカヨコ、そんな人いるわけないでしょ?それにヘイローがないって言ってたし

 

「ギクっ」(戦車を破壊できる人)

 

 

 

 

店に入ってきた者達は完全にマッシュの話をしていた、本人らはそんな人いないと思っているが…残念ながらいる。

 

 

 

そんな中、セリカがラーメンを運んできた

 

 

 

「おまたせしましたー。580円の柴関ラーメン並いっちょー!熱いうちにどう―」

 

 

コテッ!

 

 

「わ!?」

 

「セリカちゃん!」

 

「あ、ラーメンがあの人達に向かって飛び出した!」

 

「よ、避けてくださーい!!」

 

「え?」

 

 

 

セリカが転んで持ってきたラーメンをこぼしてしまい、そのままそのラーメンはさっき入ってきた者達の元へと飛んでいく。

 

このままでは全員が火傷を負ってしまう…ので

 

 

 

シュバ!

 

 

マッシュが動いた。

 

 

 

「っ………あ、あれ?」

 

「ラーメンが…来ない?」

 

「…?」

 

「ごめんなさい!転んでしまって…」

 

「いいよ、気にしないで…それよりもラーメンは?」

 

 

ハンドガンを持っていた人物がキョロキョロと首を動かすと…

 

 

 

「モグモグモグモグモグモグモグモグ」

 

(なんか…めちゃくちゃもぐもぐしてる人いる?) 

 

 

 

マッシュが何かを食べてもぐもぐしていた、その手にはさっきこぼしたラーメンの皿があった。

 

 

 

(――い…今、信じられないものを見たような?)

 

 

 

スナイパーを持っている人物が信じられないものを目にし、心の中でそれを言う。

  

 

 

(さっきあの子がラーメンをこぼして、私がハルカを守ろうと前に出た瞬間…)

 

 

シュバ!!

 

 

 

(あの男の人が飛び出してきて)

 

 

 

 

 

 

ズオォォォォォォォォォォォォッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

(あのラーメンを、肺活量で吸い込んで食べた!まるで掃除機のように!―――ーー―いや…どう言うこと?)

 

 

 

 

自分で言ってて何を言っているのかわからなくなっていた、マッシュはそのラーメンの皿を持ってきて謝る。

 

 

 

「ごめんなさい、火傷しちゃ危ないからと言って、僕が食べちゃったんです」

 

「えーいいよ全然〜……?食べちゃった?

 

「だからこれ、お詫びの代金です」

 

「全然いいのに」

 

「いえいえ、受け取ってください」

 

「あ、ありがとう…(あれ?よくよく考えたらあれってめちゃくちゃ熱いはずよね?なのになんで熱がってないの?)」

 

 

 

 

マッシュはお金を渡したあと、ささっとアビドスの生徒を連れてその場を後にする。

 

そしてラーメンを食べにきた者達も店を出る。

 

 

 

 

「ふう…いい人だったわね…それよりもさっきの子達、どこかで見たことがあるような」

 

「………」

 

 

ハンドガンの生徒は眉間に指を当てて頭痛を堪えている。

 

 

 

「アルちゃん、アルちゃん」

 

「アルちゃんじゃなくて社長でしょ、ムツキ。なに?」

 

「気付いた?」

 

「…?なにが?」

 

「まあアルちゃん視力低いもんねー」

 

「…はぁ。社長、アビドスだよ、あいつら」

 

「…アビドス。…って、今回の仕事のターゲットの?」

 

「うん」

 

「…なななな」

 

 

 

『アルちゃん』は白目を剥いている

 

 

 

「なっ、なんですってーーーーーー!?じゃ…じゃああそこに!(アビドス) あの人(マッシュ)が!?」

 

「あの人?」

 

「な―なんでも…ないわ(どうしましょう…あのなんか変な人と戦わなくちゃダメなの?なんかいや!!)」

 

「まあでもとりあえずさ〜?『情け無用』『お金さえもらえればなんでもやります』がうちの、便利屋68の、アウトローのモットーでしょ?今更何を悩んでるの?」

 

「そ、そうだけど…。…ええそうよ、このままじゃダメ。一企業の長として、このままじゃダメなのよ!陸八魔アル!…たとえあの人がヤバい人でも!!」

 

 

アルは全力で格好つけて号令を出す

 

 

 

「行くわよ!傭兵バイトを集めて!アビドスに!」

 

 

 

アビドスに脅威が迫る……かもしれない。

 

 

 

 





ラーメンが熱くても飲み込むのがマッシュ君(無理やり)

めちゃくちゃ長くなっちゃった!楽しかったんだもん。

さあ次回はいよいよ便利屋と戦います…とりあえず予告

次回・ハルカ吹き飛ぶ!アル社長、それに激突!
お楽しみに。


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