試験回です、次回がちょっとシリアスよりなので今回のギャグで中和しました。
他に書くこともないので、本編へ……どうぞ!
補習授業部・放課後の自習時間。
活動を開始した補習授業部は毎日放課後の時間帯に補習授業と自習を行う事になっており、その前半部分はマッシュがテスト対策として用意した例題や教科毎の解説行うこととなっていた。
「それじゃあ始めるよ」
(目がギンギン、クマが濃く、顔色もすごく悪い)
「始められませんよ!?」
何があったのか、マッシュは死にかけているような状態で教室に入ってきた。いつも無表情だった顔はやつれ、目の下の隈の濃さは病人にしか見えない。
「…え、なにが?」
「『なにが』じゃないが?」
「せ、先生?一体…昨晩、どうされたのですか…?」
「あー……うん、気にしないで。ちょっと夜遅くまで筋トレをしてただけだから」
「筋トレだけでそうなりますか!?」
「フ、フンッ!自分の健康も管理できないなんてね!……そ、そんな感じでずっといられるのも迷惑だから、休んだら?」
「心配ありがとうコハルちゃん」
「心配なんてしてないわよ!」
「けど本当に大丈夫だから、初日みたいなことにはしたく無いし」
初日、とは補習授業部の活動を始めて開始した日のことであり、その日マッシュはかなりの失態を見せてしまっていた……それについては、ある意味仕方のないことなのだが。
「確かに初日の先生は……確かに色々とひどかったな」
「問題を数秒見ただけで気絶してしまいましたし」
「その後自分の不甲斐なさに嘆きながら……一緒に授業を受けましたものね」
「そんなことになってたの?(……もしかしてあの先生……私よりも下?…ふ、ふふふっ!勝ったわ!)」
「でも安心して欲しい、今日はちゃんとした資料を作ってきたから」
「資料?」
「いわゆるテスト対策見たいな物……これを元に色々説明するね」
「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫大丈夫……じゃあ…解説、始めるよ」
そう言ってマッシュは黒板に文字を書き解説を始める、ヒフミは心配で仕方なかったが……なんとマッシュの解説はBD映像とは比較にならないほどわかりやすく、すらすらと頭に流れ込んでしっくり腑に落ちる。
「───〜〜〜て、感じだけど……どう?何かわからないとこはある?」
「先生、質問いいか?」
「どうぞ」
「ここなんだが……」
「そこは……え〜と…ページ40…の…あった、ここはね」
マッシュが持ってきた資料はかなりの分厚さがあり、マッシュはそれをめくりながら色々と説明していく。今までとは一味も二味も違うマッシュにヒフミは驚いていた。
(先生って意外と説明上手だったんだ……人は見かけによらないと――ん?)
「ここはこうで……こゔ…で…ね゙……」
(違う! 無理してる!? 先生すごい無理してる!! 資料を説明してる最中、脳がパンクしそうになってるけど! それを頑張って先生は我慢してる!!!)
「ああそうか…!ありがとう先生、理解した」
「よかった……ウプッ」
「あの〜マッシュ君?あまり無理をなされては…」
「大丈夫大丈夫……こう言う時のための……シュークリームだ」
マッシュは懐からシュークリームを取り出し震えながら口にする、一口、たった一口食べただけでマッシュは
「完全復活」
『嘘だ!!!?』
「シュークリームには体力回復の効果もあるのか?……ふむ、これは使えるな」
「騙されないでアズサちゃん、あれができるのは先生だけですから!!」
「では続きと行きますか」
「わけ……わけわかんない…」
しばらくその解説が続き、補習部一同はその内容をしっかりと記録した。
「……ゴプッ」
無理をしているマッシュのためにも。
―――――――――――――――――――
後半は生徒各自の判断による自習時間。
自習時間に関してはマッシュへの質問などは省き*1、マッシュは休息を取っていた。
「ハナコ、この問題はどう解けば良い?」
「どれですか? ――あぁ、成程、こういう時はですね、倍数判定法を用いて、このように……」
「――そっか、うん、理解した……」チラッ
「…フフッ、マッシュ君が心配ですか?」
「……ああなられたら、誰でも心配する」
「…………………………………」(机に突っ伏している)
アズサとハナコの二人は机をくっつけ、真剣な面持ちで問題集を捲りながら学習を進めていて、マッシュは机に倒れ込んでいる。
「えっと、コハルちゃん? 何か分からない問題でもありましたか?」
「い、いやっ、別に?」
「因みに今見ているそのページ、今回のテスト範囲ではありませんよ」
「えっ、うそっ!?」
「うふふ」
「やっ、ちが……っ! し、知っているし!? 今回の範囲は余裕だから、先のところを予習していただけ!」
「あ、あはは……」
ヒフミは相変わらずな彼女の態度に苦笑を零す。
一人で黙々と勉強するコハル、二人組で効率的に学習するハナコとアズサ。ヒフミは少し安心しながら自分の分を行っていた。
「こ……この様子なら、問題なさそうだね」
そしてなんとか復帰したマッシュはヒフミへと近づきそう言う。
「はい! ハナコちゃんが何だかとってもすごくって……! それにアズサちゃんも学習意欲たっぷりです!……コハルちゃんは実力を隠していたそうですし、これならもしかして、余裕で合格できてしまうかもしれません……!」
「だと……いいけど…」
「きっと大丈夫ですよ! ……実は、すっごく心配してたんです……。……ナギサ様から、もし1次試験で不合格者が出てしまったら、合宿をしてくださいと言われてまして……」
「……初耳なんだけど」
「はい、そうなんです……それに、もし3次試験まで全て落ちてしまったら……あうぅ……」
「何かマズいことに……?」
「な、なんでもありません……! 心配は杞憂で終わりそうですし、暗い話はこの辺りにしておきましょう、兎に角、試験は問題なさそうです!」
マッシュの声に、慌てて顔を上げたヒフミは取り繕った笑みを浮べる。何かを隠している、しかしマッシュは深く追求するのはやめておいた。
「……そう云えば、ハナコちゃんは凄く勉強が出来る感じなのですが、どうして落第してしまったのでしょうか? 私みたいに、テストを受けられなくてとか、何か事情が――?」
「うーん………あ、この前言ってたあの単語をやっちゃってたとか?」
「――水着を着用していましたし、強ちそれが正解な気も……あ、あはは」
「違います! 違いますからね!!」
「大丈夫、何があっても僕はハナコちゃんの味方だから」
「かっこいいセリフなんだけど……カッコつきませんね」
「うぅぅぅもぅぅ……」
コハルは思った、『正義実現委員会にハナコを任せるのではなく、最初から先生に預けておけばよかったのでは?』と。
――――――――――――――――――――――
そしてあっという間に時間は過ぎ、第一次特別学力試験当日を迎えた。
会場はいつもの補習授業の教室。しかし、皆が纏う雰囲気だけはいつもと異なる。
「ふふふっ」
「え、えーとここの公式で……この単語は……えーと…」
「むむむむむ………」
最後のその時まで必死に暗記しようとしているコハル、いつも通り仏頂面で問題集を眺めるアズサ、そしていつも通り満面の笑みのハナコ。
「はい、時間だね、それじゃあ皆、ノートとか教科書の類は鞄に仕舞ってね、机の中は空っぽに」
「先生、シュークリームの供給を要求する」
「許可します」
「よし✨」
「アズサちゃん………今、どこから出したんですか?」
「……?バックだぞ?」
「………………(ツッコむの、やめよ)」
アズサがマッシュと同じようなことをし出したので、ついにヒフミはツッコミを放棄。シュークリームを食べ終えたアズサは元気いっぱいになりふんすと自信満々な顔つきになる。
「じゃあ、解答用紙を配るね」
配られたプリントを見つめる表情は少し程度の差はあれ、ある程度緊張しているのがヒフミとコハル、反対に全くそれらしい色が見えないのがアズサとハナコだった。
「よし皆、問題用紙と解答用紙に不備は――ないね、それじゃあ……」
マッシュの言葉に続く形で、トリニティ中に響き渡る鐘が鳴った。
「試験……開始」
「ッ――!」
宣言と共に、一斉にプリントを捲る補習授業部。ここに、第一次特別学力試験が開始した。
――――――――――――――――――
実は今回の第一次特別学力試験、なんとレベルが基礎レベル。マッシュの授業や問題集で解いた内容。決して難しくは無いが油断は禁物、しかしこの問題を見て勝ちをヒフミは確信していた。
「――みんな、採点結果が届いたよ」
「み、みなさんお疲れさまでした……!」
解答した問題は試験が終了した後、即座にその場で回収され、マッシュがその場で解答をスキャン、トリニティの採点担当官へと送られる。
マッシュ本人が担当しても良かったのだが、自信がないと言うことでトリニティに任せておいた。
そして採点担当官に解答を送信してから――十分後。
マッシュの端末に、第一次特別学力試験の結果が送られて来た。
「ふんす✨」
「よし、よし!」
「うふふっ…」
「…………………」
自信満々な顔を浮かべているヒフミとアズサ、変わらずの笑顔を浮かべているハナコに死にかけのコハル。
「えっと、百点満点で六十点以上でしたら合格だそうです! 高得点は取れなくても、取り敢えずそのラインだけ超えられたら大丈夫なので……!それに内容も結構簡単でしたし、ケアレスミス何かが無ければ大丈夫だと思います! ――では、結果発表と行きましょう! 先生、お願いします!」
「じゃあ、採点結果を発表します」
先生は端末を操作し採点担当の生徒らから送られてきた者をマッシュが読み上げる。
「あれま」
マッシュは一瞬『わお』と驚くが、すぐに気持ちを切り替え結果を発表。
「ヒフミちゃん――79点・合格」
「あ、ありがとうございます! 何だか無難な点数ですが、一先ず合格出来て良かったです! では、次に……」
ヒフミは勝ちを確信してガッツポーズを取る、そしてアズサ達の方を向いて喜びを分かち合おうとするが……それは叶うことはなかった。
「アズサちゃん――三十八点・不合格」
「え、は? ――はいぃ!?」
「ちっ、紙一重だったか……!」
「ま、待って下さい! 何でそんな惜しいって感じの雰囲気出しているんですか!? 紙一重って点数じゃないですよ!? 結構足りてないですよ!? 合格ライン、大体この点数の倍ですよ!?」
アズサに詰め寄るヒフミ、そして悲報、絶望はまだ始まったばかり。
「コハルちゃん――十七点・不合格」
「!?」
「コハルちゃんんんッ!!!? ち、力を隠していたんじゃないんですか!? 今回はちゃんと一年生用の試験を受けたんですよね!? ま、まさかまた二年生の……いえ、この点数、まさか三年生用の試験を受けたんですか!?」
「えっ、や、その……! か、かなり難しかったし……」
「すっごく簡単でしたよ!? 小テストみたいなレベルでしたよアレ!?」
「あらあら……」
「それで次はハナコちゃん」
「だ、大丈夫……ハナコちゃんは―」
「ハナコちゃん――……二点」
「に――……」
「あらら」
「二点!?!?」
「あっ、そんなに乱暴にしないでください❤️」
「んもぉぉぉぉぉっっ!!!」
飛び上がり、ハナコの両肩を掴み激しく振るヒフミ。そこには最早理解不能な存在を見る色しか残っていなかった。
「二点、二点ですか!? 二十点ではなく!? いえ、二十点でも駄目ですが……! 寧ろ何が正解だったんですか!? と云うか待って下さい、ハナコちゃん物凄く勉強が出来る感じでしたよね!?」
「確かに私、そういう雰囲気があるみたいですね、まぁ成績は別なのですが」
「雰囲気!? 雰囲気だけだったんですか!? 成績とは別ってどういう事ですかっ!?」
「まあまあヒフミちゃん、冷静に冷静に」
「こんな時にできません…よ……あぅぅ……」
ヒフミはそれを見た瞬間にフラッと体を揺らし、そのまま力が抜けたように倒れ込んだ。
「あぅぅぅ…」
「しっかりヒフミちゃん」
マッシュはヒフミを支えながら点数が記載されている端末をじっと見ながら。
「………壁は大きいな」
そう呟くのであった。
はい全員不合格、まだまだ一緒だね!(無常)
ちなみに資料に関してはマッシュ君一人で作った物ではありません、しかし一緒に作った人に関してはまたいつか。そして寝不足の理由もまたいつかということで。
励みになりますのでコメントと評価、どうぞよろしくお願いします!
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