ギャグほぼ無くなっちゃった、やっぱシリアスって書くの辛え。
話は変わりますが、少し前に話した我が弟……弟先生と名付けましょう、彼は今現在パヴァーヌ一章をやり終えたところでして。色々言われているパヴァーヌを弟がやるのは結構心配だったんですか
『やあ我が兄上よ、パヴァーヌ最高だったぜ。所で他人の子を自分の妹にできる方法って知らないか?』と聞いてきました。
弟先生はもうダメかもしれません。
そんなことは置いといて、本編へ……どうぞ!シリアスが苦手な人はご注意を。
「あら、先生、お疲れさまです」
「どうも……」
「ロールケーキはいかがですか?ちょうど焼き上がったところなので」
「いただきます」
テスト終了後の夜ティーパーティーのテラス、そこにマッシュがナギサに呼ばれ訪れており、さっきのテストの結果が結果なのでマッシュは合わせる顔がなかった。
「それで……先生、結果の方は?」
「…………ナギサさんの翼って綺麗ですよね」
「あら、ありがとうございます」ニコッ
「ほっ…」
「それで結果の方は?」
「ナギサさんって美声ですよね」
「ふふっ、それはありがとうございます………それで、先生?―――――
結果の方は?」ニコッ
「…………」
マッシュは頑張って話を逸らそうとしたがナギサには効かず、テストの結果を答えるように要求してきた……これ以上は無理か、とマッシュは観念し話をすることに。
「……完敗でした」
「……実は、既にそのお話は聞いております」
「あれそうなんですか?」
「どうやら最初の試験は上手くいかなかったようですね」
「……すみません、僕の力不足でした」
「いえ、試験はまだ二回残っていますから。とりあえず、これを」
そう云って差し出される紅茶をグイッと飲み干した後、マッシュの瞳にチェス盤が映った。
「…ボードゲーム?」
「チェスです、趣味でして」
「チェス……爺ちゃんがやってたようないなかったような……」
「爺ちゃん…先生のお爺様ですか?」
「うん、僕の育ての親……一番大事な相手だよ」
「…そうですか」
ナギサは何やら考え事をしながら紅茶を飲み、マッシュを呼んだワケを話す。
「今日は私からも先生にお伝えしておきたい事があったのでお呼びしたのですが……それよりも先に、先生の方から何か云いたげな事があるように見受けられますね」
「そこまでバレてたんですね」
「ええ」
「なら早速聞いちゃいますけど……」
マッシュは皿に乗っているロールケーキをフォークで刺し口元に持ってきてから、真剣な顔である事を聞く。
「補習授業部が三回とも不合格になった場合、その処遇を聞いておきたいんです」
その問いかけを耳にしたナギサは、小さく肩を揺らした後、思考を巡らせているのか、或いは何かしら思う所があるのであろうか、ナギサはマッシュと目をしっかり合わせる。
「……情報の出所は、ヒフミさん、でしょうか」
「いえ、ヒフミちゃんは関係ないですよ。僕が単純に気になっただけです、補習授業部の先生として、友達として」
「ふふっ、確かに、先生ならば――そうですね」
「それで……処遇の方は」
「簡単なお話です、試験で不合格を繰り返す、落第を逃れられそうにない、助け合う事も出来ない――だとすれば、皆さん一緒に退学して頂くしかありません」
「……やっぱり」
「初めてお会いした時、ミカさんがおっしゃってましたよね?」
『進級できないと留年……最悪の場合…退学なんてこともあり得るな〜〜』
「と、あれは比喩でも何でもなく……事実です」
「……」
退学という処遇が適切なものなのかマッシュには判断が付かない。その処罰のラインは各学園ごとに違っており、現にゲヘナは何をしたら退学なのかわからない。
しかし、マッシュは疑問に思った……誰か一人でも合格圏内に届かなければ、その合格出来なかった一人だけではなく、全員が退学処分となる……何故だ?マッシュは不思議で仕方なかった。
「なんで……全員なんですか?」
「無論、本来は此処トリニティにも落第・停学・退学などに関する校則が存在します。ですが、まぁ……手続きが長くて面倒でして、沢山の確認と議論を経なければなりません、ゲヘナとは違って、我々は手続きを重要視しますので」
「なら全員だなんて」
「ですが今回急造された補習授業部は、このような校則を無視出来るように調整してあります、シャーレの権限を少し組み込ませて頂いたこともあり、このような特例措置が可能となっているのです。そもそもの話、補習授業部は――」
ナギサはふと目線を逸らし、星の見える綺麗な夜空を笑みを浮かべながら見上げる、そして、補習授業部の真実の一つを告げた。
「――生徒を退学させる為に作ったものですから」
「………………」
生徒を助けるため、ではなく……生徒を退学させるための部活、それが補習授業部の真実だった。
「先生、驚かせてしまったのなら……!……おや」
「……………」
「先生も、そのような表情をなさるのですね」
マッシュはわかりやすく顔を歪めていた。それもそのはず、マッシュは補習授業部を助けるためにこの仕事を受けた。しかし仕事を依頼した相手は、自分とは真逆のことを考えていた。その事実に対する驚き、そして何より、合格を目指した苦労を無碍にされたことに対する悲しみが、表情に現れていた。
「……どうしてですか?どうしてそんなこと」
「率直に申し上げますと…補習授業部の中に、トリニティの裏切者がいるのです」
「裏切り…者?」
「えぇ、その者の狙いは――エデン条約締結の阻止」
ナギサは重々しい口調でそう告げた。
エデン条約、これはマッシュにとっても他人事ではなくかなり重要なこと、これ一つでキヴォトスが大きく変わるのだから。
ナギサは、一つの書類を差し出した。真っ白な紙面には赤い大文字で警告文が書かれており、ティーパーティーと万魔殿のエンブレムの書き記されている。マッシュは、静かにそれを見る。
「エデン条約――これは、簡潔に云いますと、トリニティとゲヘナ間に結ばれる『不可侵条約』です、その核心はゲヘナとトリニティの中心メンバーが全員出席する、中立的な機構を設立する事にあります」
「中立……ってことは…連邦生徒会のような?」
「えぇ、と云ってもキヴォトス全域を管理する連邦生徒会程の権力や自治区は持ちません、トリニティとゲヘナ限定の連邦生徒会と考えて頂ければ……通称『
「…ふむ」
「この条約、機構により、二つの学園での全面戦争は回避される、そういう筋書きです……学園の規模からして、もし戦争など起これば両陣営仲良く共倒れしてしまう事になりますので――忌々しい事に、ゲヘナの戦力だけは侮れません」
「……まあ確かに」
ゲヘナとトリニティの戦力はキヴォトス最大、そんな二つの学園が少しのことで喧嘩をし、戦争にでもなって仕舞えば? そうなってしまえば、いつかその戦いはミレニアムを始めとする他学園まで巻き込み、キヴォトスは火の海になる。これは大袈裟でも何でもなく、本当のこと。
「……トリニティとゲヘナの長きにわたる敵対関係は、お互いの大きな重荷になっています、エデン条約はその無意味な消耗を防ぐための、恐らくは唯一の方法であり、キヴォトスにおける力のバランスを保つための方法でもあります、このエデン条約は連邦生徒会長が提示した解決策でもありました……彼女が行方不明になってしまい、一度は空中分解しかけたものを、私の元でどうにか此処まで立て直したのです」
「…………何となく、理解しました」
「それはよかった」
「つまりこのエデン条約は………みんなで仲良くシュークリームを食べよう、そんな感じの条約なんですね」
「シュークリームは関係ありませんが……まあそうです」
「それを邪魔しようとしている子がいる…と?」
「ええ、この念願の条約が締結される直前まで来た、このタイミングで、これを妨害しようとする者達が居ると云う情報を耳にしてしまいました……残念ながら、それが誰かを特定するには至りませんでしたが――そこで、次善の策として、その可能性がある容疑者を一ヶ所に集めたのです」
「……いつでも、その子を退学させられるように?」
「その通り、裏切者はそこ補習授業部にいます、ですが、誰かは分からない……であれば、ひとつの箱に纏めてしまいましょう、いざという時――纏めて捨ててしまえるように」
「………」
学園に潜む不穏分子、トリニティを乱す可能性がある危険な芽、それは早急に摘み取らねばならない。そこに僅かばかりの生徒が巻き込まれたとしても、学園全体で見れば圧倒的少数。
大義のために個を捨て全を取る、それがナギサの考えであった。
「……もうお判りでしょうが、それが補習授業部の実態です、先生にはその、箱の制作にご協力頂きました」
「……補習授業部は元々、僕ありきの部活だったと」
「えぇ」
「……ごめんなさい先生、こんな血生臭い事に巻き込んでしまって、私の事は、罵って頂いても構いません」
「そんなこと僕はしませんよ」
「失言でしたね」
苦笑し、目の前にいるマッシュと改めて視線を交わすナギサ。
ナギサ自身、罪悪感がゼロなわけではなくしっかりとある、しかし大義のため、平和のため、致し方なかった。
「事情は大体わかりました……その理由も理解しました――それで、僕に伝えたい事というのは?」
「……補習授業部に居る裏切者を、探して頂けませんか?―先生を、トリニティを騙そうとしている者がいます、平和を破壊しようとするテロリストです、私達だけではなく、キヴォトス全体の平和を、自分達の利益と天秤に掛けようとしている者です」
「天秤……か」
このエデン条約が結ばれなければ、そう遠くない未来キヴォトスに争いの未来が待っている。故にこれは、トリニティのみならずキヴォトス全体を救う事にも繋がる。
ナギサはマッシュのことを完全に理解しているわけではない……しかしマッシュはまごうことなき善人、その善人なら、私の考えをわかってくれる、賛同して感心してくれる、ナギサはそう考える。
「裏切者を探し出す事が、キヴォトスの平和に直結します、無論、この件に関する手助けは惜しみません、先生に、連邦捜査部シャーレとして協力して頂ければ――」
「僕は僕のやり方でこの問題を解決します」
「……それはつまり、裏切り者を見つけ『いいえ』」
「裏切り者なんていない、そう証明するために僕は動きます」
「……なんですって?」
ナギサの紅茶を持っている手が静止し、普段の笑顔からは想像もつかないほどの形相が浮かび上がる。その目がマッシュを見つめるが、マッシュは動じなかった。
「あの子達を疑うのは貴女の勝手です。よそ者の僕には、『彼女達を疑うな』なんて強くは言えません」
「でしたら」
「けど僕は、あの子達がそんな事をしないと信じてます。だから僕は……彼女達の無実を証明するために、動きます」
「裏切り者が居るという可能性はゼロではないのですよ?実際に怪しい動きをしている生徒らはいます」
「それでも……信じます」
「……そう…ですか、分かりました」
「───そんな安い考えでそんな事を?それであの子達を守ると?」そうナギサは思いながらも、トリニティの代表である彼女は政治的な駆け引きを持ち込む。
「……ですが先生、ゴミを細かく分別して捨てるのが難しい時は、箱ごと捨てると云うのも手段の一つ――そうは思いませんか?」
「全然、分別は大事だって爺ちゃんもいってましたし」
「――ならば……先生」
ナギサは作り物の笑顔を見せ、マッシュに優しく問いかける。それは教師なら、責任を取るものなら誰でも迷う問い
「先生は、個と全、どちらかを選んで助けないといけない時……どちらを選びますか?」
個を取るか全を取るか、この難しい質問をマッシュに、先生に問うナギサ……それに対しマッシュは迷いもせず。
「両方です。両方、救ってみせますよ」
「――――は」
「どっちかを見捨てるなんて僕はしません、全部救います……何があっても」
「何故そこまで?」
「何かを助けるのに、理由なんていりますか?」
子供の夢物語のような浅はかな答え、ナギサはそんなこと出来るわけがない。何かを救うためには何かを犠牲にしなければならない……現実はそう言うものだ。
「そんな……そんな夢物語を」
「例え夢物語でも、僕はそうしたい」
「それでその先、不幸なことが起き続けたとしても?」
「そうならないようにします」
「それでその先、助けた者が貴方を裏切ったとしても?」
「裏切られても、理由を聞いてちゃんと和解しようと思ってます」
ナギサは机を手で叩き立ち上がり、ギロッとマッシュに向かって叫ぶ。
「それでその先! 貴方が……貴方自身が不幸になり! 犠牲になってしまっても!! 後悔は無いと……そうおっしゃるのですか!!?」
「勿論」
ナギサの気迫に負けず、マッシュはそれだけ言ってゆっくりと立ち上がる。息をつくナギサ。マッシュはそんなナギサに背を向け歩き出す
「ナギサさんの言うことも正しいと思います、だけど僕の意見は変わりません。全も、個も、どっちも絶対に救ってやりますよ」
「……よく…わかりました――私と貴方は、合いませんね」
「みたいですね」
テラスを出る扉に近づきマッシュが扉に手をかけた瞬間
「試験については基本的に、私達の掌の上にあります、例えばの話ではありますが――『急に試験の範囲が変わる』ですとか、『試験会場が変わる』ですとか、『試験の難易度が変わる』ですとか………無論、その様な事が起きない様祈ってはおりますが――いえ、失礼しました、良くないモノの云い方でしたね」
「そんな脅しは通じませんよ」
「最後に一言……一次試験に於いて、私達の方では如何なる操作も行っておりません、この部分については、誓って嘘ではない事をお約束します」
「わかりました………じゃあこっちも一言だけ」
マッシュは振り返り力強く手を握ると
「あの子達は、僕が守ります」
それだけ言って扉を出ていった……破壊はせず、ちゃんと扉を開けて。
(………何故そんな目であんな事を言えるのですか、どうして……何故…貴方は――先生は)
(私たちと同じ子供なのに――何でそんな事を言えるんですか)
一人テラスに残ったナギサはそう心の中で叫び、じっとマッシュが出ていった扉を見ていた。
疲れました。
次回からはギャグに戻るのでご安心を!……ギャグをやらないとこっちが死にます。
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