突然脳内に、マッシュ君と共に晄輪大祭ではしゃいでいるアリウス生徒って言うものが流れたので、いつか書きます。いや、書かせてください。
そして今回マッシュ君の出番が結構ありません、話の内容的にそうなっちゃいました。
それでは本編へ……どうぞ!
合宿宿舎
マッシュとコハルが帰宅した暫く後、一先ず不安の種が無くなったという事で夜食(シュークリーム)を皆で共にし、自由時間となった。
ヒフミはとてもスッキリした顔で部屋の中へと戻って来る。その髪は僅かに濡れ、制服だった姿は体操着へと変わっていた。
「ふぅ、スッキリしました!」
「ん、もうお風呂に入ったんだ? 早いねヒフミ」
「早めに入ったほうが、あとは勉強に使えるな〜と」
「成程成程…」
「ヒフミ、もし明日の朝、起きるのが辛かったら云って、今度はヒフミの体を洗ってあげる」
「い、いえ、それは遠慮させて頂こうかと……!?」
「じ、自分で洗えば良いでしょ! 子どもじゃないんだから!」
「効率の問題だコハル、皆で洗う事による利点は少なくない、勿論水の節約にもなる」
確かにアズサの言うことも一理ある、補修部メンバー達は全員で四人、なので一人で寂しく入るよりもみんなで入ったほうが合理的。
「大浴場は無いので、みんなで一心不乱に洗いっこというイベントは少々難しい様ですが……あ、良い事を思いつきました、今度お風呂の代わりに、みんなで裸でプールに飛び込むのはどうでしょう?」
「さらっと何云ってんの!? ダメ! そんな凄いの絶対禁止っ!」
「悪くない案だと思うけれど、それをプールでやるメリットがあるのか?」
「そうですね、解放感があると思いませんか? 青空の下、全てを曝け出して掛け合う様子を想像するだけで……うふふふ♡」
「なるほど、そういうのは確かに考えてなかった、解放感……か」
「バカバカバカ! 考えちゃ駄目、想像しちゃだめ、そういうのはだめっ!」
アズサが真面目に何かを考え始めたので必死に止めるコハル、ただでさえマッシュと関わってだいぶおかしくなったのだから、これ以上アズサがおかしくなるのは止めるべきだとコハルは考えていた。
「アズサを変な風に染めるな! トリニティの変態はあんただけで十分だから!」
「あぁ、そういえばコハルちゃんも全裸で泳ぎたい派ですよね?」
「脈絡全無視!? 無敵なの!? そっ、そもそもそんな事云ってないから!プールでは普通に水着っ、それが正義なの!あんただって昨日は水着だったでしょ!?」
「あら……?……ふふっ、良く思い出して下さい、コハルちゃん、私が昨日プールで着ていたものを……」
「え、あ、あの水着が、何だって云うの……?」
一歩踏み出したハナコは、その口元に満面の笑みを浮かべながら、そっとコハルの耳元で囁いた。その笑みはまさにサキュバスの様。
「あれは、本当に水着だったと思いますか……?」
「っ!? は、はぁ!? み、水着じゃなかったら何なのよ……!?」
「――最近の下着はデザインがかなり充実していますよね、中には防水性のものもありますし、一目で水着かどうかの判断は難しいと思いませんか? 或いは、ボディペイントという線も……――」
「え、嘘?! って、いう事は……!? あ、あの水着……!?」
「あら、どうしたんですか? あれがもし水着じゃなかったとして、何かが変わってしまうのでしょうか? ねぇ、コハルちゃん」
「え、だ、だって……」
「例えば、水着と下着の違い……それはなんでしょう? 防水機能でしょうか、それともお肌の保護の有無? 或いはデザイン、露出の範囲? コハルちゃんは見た目で分からなかったんですよね? あの場所、あの時は――あれは水着だと、そう信じていましたよね?」
ハナコの話を聞いていくうちによく分からなくなって、かなり困惑するコハル。それを見たハナコは嬉しそうに笑みを浮かべながら話を続ける。
「……そ、そう、だけれど」
「実はあれが下着だったとして……その真実かもしれない何かは、どうすれば証明出来るのでしょう? 証明できない真実程、無力なものはない――そう思いませんか?」
「え……っと、な、何を云っているのか分からないけれど……結局、どういう事!?」
「とどのつまり……ふふっ――あの水着は可愛かったですよね、というお話です♡」
「……はぁ!? 全部冗談ってわけ!?」
「はい♡困惑していくコハルちゃんの姿……とても可愛かったですよ♡」
「嫌い!!あんたほんとにきらーい!!」
もう見慣れた光景、ヒフミは『平和だな〜…』と苦笑を浮かべるヒフミ。
そんな皆とは反対に、一人だけ真剣な表情を浮かべるアズサ。ハナコの言葉を一通り聞き終えた彼女は、ぽつりと呟きを漏らした。
「――なるほど、五つ目のあれか」
「…!」
「な、なに、五つ目?」
「えっと、アズサちゃん、何のお話ですか……?」
「………」
五つ目のあれ、それを聞きハナコは目に見えて驚愕の表情を浮かべる。アズサの言葉の意味を理解出来なかったヒフミとコハルの二人は、顔を見合わせ問いかけた。
「聞いた話だけれど、キヴォトスに昔から伝わる七つの古則、確か、今の話はその内の五つ目だった筈、『楽園に辿り着きし者の真実を、証明する事はできるのか』……多分そんな感じだった気がする、残りは知らないけれど」
「つまり哲学……みたいなものでしょうか?」
「多分、そんな感じ……誰も証明できない楽園は存在し得るのか、そういう禅問答みたいなものだったと記憶している」
「アズサちゃん、どうしてそれを……」
アズサの言葉に、ハナコは震えと共に、重苦しくその口を動かした。
その表情は、「まさか」という感情が滲み出ている。
「その話を、知っているのは――」
言葉を一度止め、ハナコは彼女に唇を軽く噛み締める。その瞳と表情は、どこまでも真剣だった。
「もしかしてアズサちゃん、セイアちゃんに会ったことがあるんですか……!?」
「………」
「……セイア?」
「それって、ティーパーティーのセイア様の事ですか?」
ティーパーティのセイア、それはマッシュが以前会った聖園ミカと桐藤ナギサの二人が現在運営している生徒会のもう一人のメンバー。
「……この話はただ、何処かで聞いた記憶があるだけだ、それ以上でも、以下でもない」
「――そう、でしたか……そういえばアズサちゃんは転校生、でしたね」
不安な空気が流れていき、居心地が少し悪くなる。
「Vanitas Vanitatum……その言葉の意味、一派――という事は」
「………?」
「――いえ、何でもありません、もう遅い時間ですし、そろそろ眠った方が良さそうですね」
ハナコはそう云って、いつものように微笑んで見せた。けれどヒフミにはなんとなくその表情が陰っているように見えて仕方なかった。
そして……今日も、補習授業部の夜は――更けていく。
―――――――――――――――――――
その日の夜、マッシュの部屋にて。
これから先の補修授業部の勉強内容や方針を決めるため、ヒフミとマッシュは話し合っていた。
「先生、その、ハナコちゃんの事なのですが……」
「ふぁみ?」
不意に、シュークリームを食べていたマッシュにヒフミが呼びかける。ヒフミは苦しそうな、何かがつっかえている様な顔をしながら、そっとバッグの中から一つのファイルを取り出し、先生へと差し出した。
「……これは?」
「模範解答と、とある生徒の解答用紙です――その解答用紙は、模範解答を探している途中で見つけたのですが、昨年の試験、一年生から三年生までの全試験に於ける解答用紙がその生徒の分だけ纏まっていました、どういう訳か、その全てを回答した様でして……」
「……満点」
マッシュはそう呟き、答案用紙をじっと見る。一年生から三年生までの全ての解答用紙。その欄の全て◯がついており、マッシュがここに来てから一度も取ったことのないような点数が書かれていた。
「待って……これが本当のことなら…なんで」
「………」
マッシュは信じられないようなものを見る目でそれを見ていた。そして、本命の名前欄に目を移す。
「…………浦和……ハナコ」
「………」
その名前を聞くと同時、ヒフミはその両手がぎゅっと、強い力で握りしめ顔を下に下げる。
「昨日見つけた一年生時の成績に引き続き、盗み見る形になってしまったのですが……ハナコちゃんは去年、一年生の段階で三年生の秀才クラスでも難しいとされる学修課程を含めて、すべての試験で満点を叩き出しています……完膚なきまでに秀才、と云えるレベルです」
「………これって…」
「飛び級、どころの話ではないんです。一年時で三年特進のテストを満点でパス出来るのなら、学内のテストに限って言えば問題にすらなりません」
「………」
「……一年生時の試験結果を見て、ハナコちゃんはきっと今年になって急激に成績が落ちてしまったのだと思っていました、でも、この結果を見る限りは、そうではなく――」
「わざとイイ点数を取らず、試験に落ちている――としか考えられない…ってこと?」
「……はい」
ハナコは補習授業部の設立された理由を知らない、だから落第する事によってどのような不幸が襲ってくるのか知らない……ハナコにとってはまだ、試験の落第さえも取り返しはつく範囲だと思っているのであろう。
「ハナコちゃん……どうして」
しかし、皆が全力で、頑張っている時、彼女だけは違かったのだと知って――ヒフミは自分でも驚いてしまう程に、とても傷ついていた。
一方その頃、合宿所・ロビー。
「………」
アズサは今日も一人、制服を着込み合宿所を音もなく抜け出していた、その肩に銃を担ぎ、いつも通り、何て事のない表情で……シュークリームを一つ持ちながら。
そして、そんな彼女を陰から見守る人物が一人。
「……アズサちゃん、また見張りを――?」
バレないように、柱の陰に身を隠しながらそう口にするハナコは、深く思い悩む表情を浮かべていた。
―――――――――――――――――――ーーー
翌朝、補習授業部・教室
三日目の朝、補習授業部メンバー達はシュークリームの甘い匂いがする方へと足を運ぶ。いつもは調理場からその匂いがすると言うのに、今日は教室からしていたのでおかしいな…と思いながら、ヒフミ達は扉を開ける。
「先生、おはようござ――あれ?」
「…いない?」
「シュークリームが何故教室に……?」
「みんな、これ」
コハルがシュークリームタワーが乗っている机、その上に乗っている一枚の紙を見つけて指を刺す。そこには
『用事ができちゃったので、少し出かけます。くるまでは自習をお願い』
と書かれていた。
「一先ず、指示された通り自習時間にしましょうか」
「了解」
「う、うん」
「ふふっ」
紙に書かれている通りにヒフミ達は行動をし、マッシュを待つことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
合宿所・プールサイド
「わぁ、水が入ってる~!」
靴を脱ぎ、プールサイドを無邪気に走り回る少女、ミカ。少し前に見た時はかなり汚れていて、とてもトリニティが保有しているものとは言えないほどであったが、今は全てが綺麗になっており、胸を張って自慢できるほど。
「あはっ、ここに水が入っているのなんて久し振りに見たなぁー、もしかしてこれから泳ぐの? 皆でプールパーティーとか?」
「合宿が終わったら、そういう事をしても良いかもですね。…あ、シュークリーム食べます?」
「あ!食べる食べる〜〜!き――朝何も食べてないんだ〜」
「それはいけない、どうぞ」
マッシュはシュークリームをミカに渡し、自分もシュークリームをいつも通り一口で食べる。食べている時のミカの表情は…普通ではなく、何かを耐えているような様子だった。
「あ、そういえば……」
「…」
「ご用件は何ですか?」
マッシュはミカの方を向き、真剣な表情でミカの名前を言う。
「磯野ミカさん」
「………わぁーお☆、今日は楽しーいお話になりそうだね、先生」
マッシュは聖園と磯野を間違えた。
ラストで持っていかれたって?……ふふ、それが狙いですよ。
イベントに関してなんですが、少しだけ、オリジナルを混ぜてもよろしいでしょうか?イベントのストーリーをそのままやる!!と言うのはこう……なんか違う気がして。
励みになりますのでコメントと評価、どうぞよろしくお願いします。
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