『兄者……ヨコチチハミデヤンは酷くね?』
『仕方ないよ、あんな格好だし、うん。まあちょっとひどい呼び名だな〜とは思うよw』
『あと……なんだっけ、ゲヘナバカマコトだっけ?これもひどくね?』
『いや全く』
『兄者?兄者そんな顔久々に見たよ?……え、真顔?なんで真顔?』
『そのうちわかる……そのうちな』
てなわけで本編へ……どうぞ!
「……成程、そのような事が」
「はい、これは本当の事なんです……」
「ヒフミちゃんと先生の様子から、嘘である事は疑っていません、それにしても――残りの試験全て不合格であれば、全員退学だなんて……元々試験の仕組み自体おかしいと思っていましたが、シャーレの超法規的権限ですか」
「そういうこと………我ながら頑張って説明したウブブブブブブッ」
「先生が壊れたラジオみたいに!?」
「難しい説明を頑張って説明してましたからね……」
マッシュは慣れない事である難しい説明を、丁寧に話すといった内容をやってのけた。その反動でベットの上に座り込み、震えていた。
そしてハナコは、この補習授業部自体を彼女自身、疑問は感じていたらしく、マッシュの話を聞いて疑いが確信に変わった。
「あ、そ、そういえばハナコちゃん、本当は成績が良いんですよね? 一年生の時に、三年生の難しい試験まで全部満点でしたし……!」
「………」
ヒフミの、ふと思い立った様な言葉にハナコは思わず口をもごもごとする。その表情を見たヒフミは、はっとして申し訳なさそうに声を潜めた。
「あの、ごめんなさい、模試の為に昔のテスト用紙を探していて、その途中で、えっと、見つけてしまって……」
「そう、ですか」
「どうして今は、あんな点数を? わざと、ですよね……?」
「……ごめんなさい、知らなかったんです、失敗したら、まさか全員が退学だなんて」
そう呟くハナコの表情はとても申し訳なさそうで、かなり後悔していた。自身の成果如何によって、退学が決まるなどと、想像もしていなかったのだ。
「――いいえ、知らなかったからと云って、許されるものではありませんね……私は、私自身のエゴで、皆さんを巻き込むところでした、沢山の準備をしてくれた先生にも、ヒフミちゃんにも……アズサちゃんとコハルちゃんにも、申し訳ない事をしました。ごめんなさい、先生、ヒフミちゃん」
「い、いえ、その……」
「頭を上げてよハナコちゃん。ハナコちゃんも、何か考えがあったんだよね?」
「……ええ、個人的な……理由と言いますか」
「理由?」
「そこにはあんまり触れないでおくけど……とりあえず、あのひどい点数はわざとなんだよね?」
「…はい」
「や、やっぱり……! ハナコちゃん、どうしてそんな……?」
「先ほども言いましたように、私の、凄く個人的な理由なのです……ですが、それで皆さんが被害を受けてしまうのは、私の望むところではありません」
「ハナコちゃん……」
「安心して下さい、最低限みなさんが退学にならないよう、今後の試験は頑張りますので」
そう云ってハナコは微笑み、今後の試験に於ける尽力を約束した。マッシュは一安心……教える生徒はアズサとコハルのみ、ならなんとかなるであろうと。
「ありがとうハナコちゃん、これで対策資料の量は減るかな」
「……そういえば先生、少し気になっていたのですが……先生は勉学がかなり苦手でしたよね?」
「うん」
「しかしあの資料はとてもわかりやすく、解きやすいものでした……一体どうやって?」
「うーーん………話すつもりは無かったんだけど、ハナコちゃんにならいいかな」
マッシュは机から色々と本を取り出す、それは様々な分野の問題集であり、その量はかなりある。
「実はずっと、夜中まで勉強をしてたんだ。それでわかったことをメモして、あとはそれをどうやって解説するか考えて、資料を作った……みたいな感じかな」
「今まで……ずっと?お一人で?」
「ヒフミちゃんも途中から手伝ってくれたよ(ヒフミちゃんが帰った後、こっそりとアロナちゃんに勉強を教えてもらってるけど)」
「苦手なことを、苦しいことを、徹夜してまで………なのに私は……そんな先生の努力を無碍にして、騙して…」
「そこまで深く考えなくてもいいよ、別に怒るつもりも問い詰めるつもりもないし」
「裸で手をつくだけで足りますか先生……?」
「足りるけどやめてね?そこまでされちゃったら僕罪悪感で身投げするよ」
「身投げ…!?」
「あ、あはは……」
乾いた笑いを見せたヒフミ、マッシュは素直で嘘がつけない性格、おそらく本気でそうするつもりなんだなぁ……と思っていた。
「……ところで、この事実を知っているのはヒフミちゃんと先生だけですか?」
「えっと、そうですね、今のところは、私達だけで……」
「そうでしたか、となると、アズサちゃんの不安は試験に起因するものではなさそうですね、何か私がまだ知らない事がある、と……いえ、それ以上に今は、この補習授業部の存在そのものが気になりますね」
気持ちをなんとか切り替えたハナコはそこから、考察や考えをどんどん広げて没頭していき呟いていく。
「ミカさん、には無理でしょう、まぁこんな事を企むのは、恐らくナギサさんでしょうか? しかし、どうしてエデン条約を目の前にして、このような……今は内部、外部共に目を光らせ、目が回る程の忙しさでしょうに――」
(雰囲気が変わった……むしろこっちが本当のハナコちゃんなのかな、なんか……かっこいい)
「寧ろエデン条約が目前であるからこそ……? ある種、これは内部の引き締め……いえ、そうではありませんね、態々シャーレを巻き込んで、退学というカードまで切ったのですから、それ以上に何か、トリニティにとって致命的なものが――」
「わわ……っ」
「……なるほど……そういうことですか」
この間わずか数十秒、ハナコはある推測に辿り着く。
「この補習授業部は、大方エデン条約を邪魔しようとしている疑惑のある容疑者達の集い、というところでしょうか」
「その通り……すごいねハナコちゃん」
「ナギサさんらしいと云いますか、相変わらず狡猾な猫ちゃんですねぇ」
「ね、猫……?」
「この補習授業部に関しても、どうせなら纏めて処理してしまった方が効率的、というロジックでしょうか? 何だか私達、洗濯物みたいな扱いですね」
「……ソウダネ」
実際にナギサが言った言葉は『ゴミ箱』だったが、流石にここでいうのはまずいので黙っていることにした。
「先生も、ナギサさんにしてやられた形でしょうか?」
「……そうなるね、元々僕は成績が良く無い生徒達を助けて欲しいって言われて、この補習授業部の担任に就きましたから」
「成程、先生の善意を利用して役割を担わせ、その実シャーレの超法規的権限を利用している、先生も忙しい身でしょうに、全く……ですが、逆に云えば先生は純粋に私達の為に頑張って下さっていたのですね」
「それは、まぁ、僕は先生だし。見捨てるとか無いなって思って」
「……嘘偽りのない本当の善意……この善意を、よくもまぁ利用するとは――ふふっ…」
(ハナコちゃんから黒いオーラが……)
「……ありがとうございます、先生はやはり良い人ですね、ふふっ♡」
「僕は僕の仕事をしてるだけだから…そんなに褒めないでもいいよ」
「――御謙遜を」
ハナコはマッシュの顔をじっと見る、隠しているようだが、マッシュの顔には疲れが出ておりよく見ると少し隈もできていた。ハナコは心の中で感謝の念を抱く――マッシュは嘘偽りのない本当の優しさを、素直さを持っている、ハナコはマッシュを
「ハナコちゃん、凄いですね……ちょっとした情報から、そこまで考えられるなんて」
「いいえ、元々上層の情報には詳しい方でしたから」
「だとしてもですよ……ナギサ様は、トリニティの裏切者、それを私に探して欲しいと仰っていました」
「ふふっ、トリニティの裏切者ですか……何ともナギサさんらしい表現です。
ティーパーティーのホストである彼女の計画を邪魔したら該当する、とも考えられるロジックですし……アズサちゃんは書類の時点で怪しかったので、疑われるのも無理はありませんね。
コハルちゃんも、正義実現委員会という所属を考えると人質という観点では多少納得が出来ます、しかし――」
ハナコは疑問の顔を浮かべ、ヒフミを見る。
「ヒフミちゃんは何故ここに? ナギサさんとも親しかった筈ですし、私にはそれらしい理由も思い当たらないのですが……」
「私も……やっぱり容疑者なんでしょうか……?」
「………………………」
マッシュはどうしようかと悩む、疑われてしまったのは例のシュークリームカップルのせいでもあるんだと知っていたので、とことん焦る。
「た、確かに親しくして頂いていましたが……ど、どうして私なのでしょう? その、私にもちょっと、分からなくて」
「えーと……ね」
「先生、何かご存じですか?」
「まぁ、うん、そうだね……」
「せ、先生、私、何かやっちゃいましたか……?怪しまれるようなことをした覚えは……」
「…………シュークリーム…カップル」
「?……………………!!?」
「カップル……今カップルと言いましたか!?」
激しく動揺するヒフミに、喋るしかないよな〜と思いながら話したマッシュと、カップルという言葉に興味津々なハナコ。
「え、あ、あれ、アレですか!? アレが原因なんですかっ!?…た、確かにやらかしてしまった自覚はありますけれどもっ!?」
「ほんっとにごめんねヒフミちゃん」
「先生!カップル、カップルとはどういうことですか!? 何かわけがあるんでよね? それともやはりお二人はそのような関係で!?」
「ち、ちちちがいますからぁ!! 先生とは、ただの!ただの先生と生徒の関係ですぅ!!」
必死に弁解するヒフミにハナコは『あらあら〜』と微笑み揶揄う。
「……兎も角、アズサちゃんとは後で少しお話をしてみた方が良いかもしれません、その他についても幾つか、私の方で確認してみます」
「うん、お願い」
「何かありましたら、私達の方でも情報を共有して頂けると嬉しいです」
「分かりました……という事は私も、この深夜の密会に参加させて頂けるという事でよろしいですか? うふふっ、嬉しいです♡」
「し、深夜の密会、ですか」
「えぇ、深夜の密室で、三人寄り添って秘密の遊びだなんて……ドキドキが止まりません♡」
「そ、その云い方はちょっと………と言うかハナコちゃん? 先生にそう言うのは全く通じないんじゃ…」
「………なんとか…します」
「なんとかって…」
「っと、そろそろ良い時間だ、明日に備えて寝た方が良いね」
「ブレませんね先生」
気づけばもう時間は深夜を回っており、明日のためにも休むべきだと3人は思い、解散することにした。
しかしその後
「……あれ? ここ、先生の部屋…まだ明かりがついてる…………ちょ、ちょっとぐらいのぞいて…」
同時刻、コハルはトイレへ行くために廊下を移動していた。その時マッシュの部屋に明かりがついているのを確認、こっそりと覗こうとしたその時
「それでは先生、ありがとうございま……あれ?」
「!?」
中から出てきたのはヒフミと、水着姿のハナコ。
「ひ、ヒフミ!? こ、こんな夜遅くに、先生の部屋で一体何を……っ!?」
「ふふっ、ではまた、夜の密会を楽しみに――あら?」
「さ、三人、三人でっ、夜の密会……!? 馬鹿、ヘンタイ! 淫◯族ッ!」
「ご、誤解です!?」
「あら、ふふっ♡」
「コハルちゃん違うよ、これにはわけが」
「近づかないで!へ、変態!!」
「えぇ………」
その夜は、また少し騒がしかったようだった。
『にしても呼び名か……いいな、小さい頃はよくいろんな名前で呼び合ったものだ。兄者よ、俺にも何かつけてくれないか?』
『ブルアカホシノイゾンシャ』(ブルアカホシノ依存者)
『喧嘩なら買うぞブルアカケモミミキョウジンが』(ブルアカケモ耳狂人)
なんて気さくな会話をしながら今日はブルアカをプレイしてましたね、狂人は言い過ぎじゃねぇー?と思いましたけど、私はただシロコちゃんの耳に手を突っ込みたいっておもっ……なんでもないです。
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