結構強引にしました……ゆ、ゆるしてくださいな。
アビドス三章、更新きましたね!!
『これからは二人で頑張っていこう』
不穏すぎるってぇぇぇぇ!!!!
ゲヘナ・スラム街
治安の悪いゲヘナの中でも、特にひどい場所。トリニティとは異なる空気が漂っている。
目に悪いネオンの光が暗闇の中で点滅しており、路肩にはポイ捨てされた塵や罅割れたアスファルト、落書きなど、見ただけで治安が悪いんだなとわかるほど。
ここに入り込んだ時点で死ぬも同然、そう言われるくらいには危ない場所………そこを
ダダダダダダダダダダダダダダダダッッ!!!
『イヤァァァァァァァァァァッッ!!!!?』
『おおぉぉぉぉぉぉぉ…✨』
そこを、荷車に補修授業部を載せているマッシュが爆走していた。その速度は簡単に言えば絶叫系のアトラクションと同じ、つまりは超速くGもすごい。
「あれおかしいな、この辺のはずなのに」ダダダッッ!!
「ぜ…!!せんせえ!一度、一度止まりましょう!?ね!?」
「首取れるぅぅぅ!!!!?」
「先生ストップですぅぅぅ!!」
荷車に乗っているアズサ以外の補修授業部メンバー達は、まるでジェットコースターを乗っている気分になり恐怖を感じる。しかしアズサだけはめっちゃくちゃ楽しんでいた。
『一度とまってぇぇぇ!!!!』
「あ、ごめん」キキッー!!
『きゃぁぁぁぁぁぁっ!!?』
「やべ」ビュン!
荷車に乗っていた補修部メンバー達に止まるように言われ、マッシュは、両足を前に出し急ブレーキをかける。
その時、止まった衝撃でアズサ以外の全員が前に飛び出す。すぐさまマッシュは飛び出し3人を地面で受け止める、そしてアズサだけはそのまま綺麗に着地した。
「し……死ぬかと…思い…ました……」
「スピード出しすぎですよ!! 本当に!」
「ごめん、急がなきゃって思って」
「せめて加減しなさいよ………うぅ目がまわる」
「む、もう終わりか?残念だな」
「アズサちゃん…だけ……ゼェ…楽しそう…でした…よね……」
座り込みながらゼェゼェと息を漏らすヒフミ、コハル、ハナコの3人。マッシュは端末で時間を確認。
「うん、なんとか間に合いそうだね」
「………よし、ならばこの時間はシュークリーム補給だ✨」
「あれの後に良く食べられるわね…」
「コハルはいらないのか?」
「べ、別にいらないとは言ってないじゃない!」
「ヒフミちゃん、私たちも食べちゃいましょう。試験前の栄養補給です」
「そ……そうですね」
「今日のシュークリームは薄力粉と強力粉を使った物で……………あれま」
「…これは」
マッシュがシュークリームの入った袋を取り出し、中に入っているシュークリームを配ろうとしたのだが、なんと中に入っていたシュークリームの数は全部で四つ、一人分足りない。
「四つ?買う数間違えちゃったのね」
「うっかりしちゃってた……僕はいいから、みんなで食べてよ」
「いいんですか?」
「元々みんなのために買ってきたしね、ほら、遠慮なくどうぞ」
「そう言う……ことでしたら」
マッシュの気遣いを無駄にしないため、ヒフミ達はシュークリームを遠慮なく食べる。美味しい……試験前の緊張がほぐれるようで、何処か安心する、そんな味。
「…………先生」
「ん?」
「よいしょ……はい、これで半分こ」
「…いいの?」
「勿論、一人だけ食べれないのは可哀想だし……何よりも私は、先生と一緒に食べればもっと美味しく感じる」
「―そっか、なら、遠慮なく」
マッシュはアズサが半分に分けたシュークリームの片割れの貰い頬張る、疲れが少し飛ぶような、そんな気分にマッシュは見舞われた。
「美味しい美味しい」モッモッモッ
「美味……美味」モキュモキュ
「二人とも食べ方そっくり……ふふっ」
「まるで兄妹ですね……なんだか微笑ましいです」
二人で食べた方が美味しい、まさにその通りであり、シュークリームのうまさは倍増、その場の温かさも倍増し、ヒフミやコハルは自然と笑顔になってゆく。
その中でハナコは一人、笑顔を作りながらあることを考えていた。
(……先生が、あのシュークリーム狂いな先生が……買う数を間違えた?そんなこと今まで一切無かった……)
「…………」フラッ
(それに……先ほどから…僅かに体が揺れている……目も、なんだか眠そうに………―先生の疲れはもうすでに…限界を超えているのでは?)
ハナコはそう仮説を立てた、よくよく考えれば自分たちとは違いマッシュはほぼ毎日徹夜をしていた、それも苦手なことを無理してやりながら。
「――先生?」
「なに?ハナコちゃん」
「今日の試験が終わり次第、
「うん……うん?最初からそのつもりだよ?」
「ならいいのですが……あまり、夜更かしをしないように……ね?」
「……うん、気をつけるよ」
ハナコは遠回しに『眠ってください、休んでください』とマッシュに頼んだ、それを察したのかマッシュはゆっくりと頷く。
「……と、そろそろいかないといけないね」
「ここから目的地までは少し距離がある程度なので、そこまで早くしなくて大丈夫ですよ」
「なるほど」
「では乗り込もう、そして運ばれている時間を無駄にしないため、移動中は教科書を見たり復習をしたりしよう」
「はい、大賛成です!」
「ふふっ…ではでは先生、再度、お願いしますね?」
「バッチグー」
荷車に乗り込んだ補修部を連れ、マッシュは移動を開始。えっほえっほ…と慎重に、大事な荷物を運ぶように、目的地へと歩いて行った。
―――――――――――――――――――――
「……あれ、人が立ってる」
「えっと……検問、でしょうか?」
「あの恰好――ゲヘナ風紀委員会の制服だ」
マッシュがゲヘナの大橋の歩道を荷車を運びながら歩く事、数分、橋の中程まで進んだマッシュ達は、進行方向に検問が在る事に気付いた。
ゲヘナ風紀委員会の文字が記してある車両に、ポールと通行禁止!と書かれたテープ。その両脇と奥には複数人の武器を所持している風紀委員会の姿が見える。
「止まれ! 此処から先は現在立ち入り禁止だ!」
「…ありゃ」
「え、えぇ……た、立ち入り禁止ですか?」
「そうだ、温泉開発部の連中が暴れていてな、現在風紀委員会が対応中だ」
「お、温泉開発部……」
「………懲りないなぁ」
「うむ……というか、今日は街全体に外出禁止令が出されているだろう? 緊急の要件なら区間別対応窓口に――うん?」
風紀委員の一人が事情を話していた時、その白い制服を見て、思わず動きを止めた。
「待て、お前、その制服……まさか、トリニティか?」
「あ、あぅ」
「それに……シャーレの先生!?な、なぜシャーレの先生がトリニティ生を運んでいるんだ!?」
「…おっとこれまずいかな」
ヒフミの制服に気付いた風紀委員は、まさかと云わんばかりに目を見開き、その態度を豹変させ、先程まで下げられていた銃口がヒフミ達に向けられ、じりじりと後退しながら彼女は叫んだ。
「どうしてこんな場所にトリニティの生徒が――此処はゲヘナ自治区だぞ、ゲヘナに何の用だ? 目的は!?」
「い、いえ、その、私達は別に何かを企んでいるとか、そんな事はなくて、試験を受けに来ただけでして……」
「試験? 何でトリニティの生徒がゲヘナ自治区で試験を受ける必要があるんだ!? 意味が分からんぞ! 吐くならもっと真面な嘘を吐け!」
「な、なんて正論……」
「――ッ! その制服、お前、まさか正義実現委員会かッ!?」
「えっ……!?」
「条約締結前にゲヘナ自治区に正義実現委員を派遣だと!? 正気かトリニティ!?」
「えぇっ!? い、いや、そのッ、そ、そうなんだけれど、今は違うっていうか、う、うぅ……!」
「むぅ……」
「これはこれは……大変なことになってしまいましたね」
風紀委員達が警戒するのもわかる、こんな時間にゲヘナへ侵入しようとしているトリニティ生徒と正義実現の生徒…はっきり言おう、ものすごく不審者だ。
「みんな落ち着いて」
「まさか……シャーレの先生はすでに、トリニティに属して…!?っ、やはり噂は本当か!!」
「あの、だから」
「例えシャーレの先生……それも、ヒナ委員長と肩を並べる実力者だったとしても!!ここを通すわけにはいかん!!」
「……話聞いてくれないかなあ」
エデン前の緊迫感があるからだろうか、今その場にいる風紀委員会達はマッシュの話を聞く気はない、なんならトリニティに肩入れしているとまで考えられていた。
………こうなればいつもの手段で突破するしかない、マッシュはそう考え、いつも通り
力すぐで突破することにした。
「みんな捕まっててね」
『え?』
「お、おい動くな!動けば―」
「ハムストリングス魔法」ググッ
(―――魔法?)
(ハムストリングス……それって下肢後面を構成する筋肉の総称では?」
「ビッグバンダッシュ」
荷車についている手すりをグッと握り、足にもグッと力を貯め、マッシュはビッグバンダッシュ発動。
「んべぇ!?」
「きゃぁ!?」
「のわぁぁあッ!?」
「ぐああぁあッ!?」
周りにいた風紀委員会の生徒達は、マッシュがビッグバンダッシュを発動させ、前へと飛び出した時の突風と衝撃で吹き飛ばされる。
「なんですかぁ!もーーう!!またですかぁぁぁぁぁっっ!!!!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁハスミせんぱぁぁぁい!!」
「―――――」(飛んで行かないようにするので必死)
「おお……いいな、この風……✨」
補修授業部メンバー達はまたもや絶叫に襲われる、むしろこれで気絶しないのを褒めてほしい。マッシュはそのまま大橋を渡りきり、目的地へと急いだ。
―――――――――――――――――――――ーー
「――あうぅ……つ、着きましたぁ……!」
「うぅ、ひ、酷い目に遭った……」
「視界が……ぼやけてきますね」
「スリリングな体験だった」
「よし、全員無事だね」
「ギリギリですけどね!?」
高速道路での死闘(マッシュとアズサ意外)から、さらに数十分後。マッシュ達は目的地へと到着する事に成功。所持品もちゃんとある。
「し、試験会場は、ここ……?」
「み、みたいです、ね……」
「………ボロすぎない?」
「試験会場とは到底言えませんね」
マッシュ達の前には錆び罅割れ、ボロボロになった廃屋が一件。周囲も似たような建物が立ち並び、落書きと廃材、塵が散乱している――つまりはボロ屋敷。
「中は……ほ、本当に廃墟って感じですね?」
「でも、一応机はある」
兎にも角にも、マッシュ達は中へと入り色々と確認。机や教卓、ホワイトボードなどは一通り揃っているが、試験を行う場所として適切とは言い難い状態。
「うぅ、暗くて良く見えないんだけれど……」
「これ、電気も通っていませんね? あら、でも机にライトスタンドが――」
「これで手元を照らせって事でしょうか……あ、試験用紙とかはどうなるんでしょうか? 誰か、先生以外の監督の方が……?」
「いや、人の気配はないが」
「怪しいものも……ん?」
マッシュは教卓の裏に移動し何かないかを探していると、そこに一つの榴弾があった。
「むっ、先生それは――」
「えっと、不発弾……ですか?」
「……L118、牽引式榴弾砲の弾頭か?」
「うん、そうみたいだね」
「L118――という事は、ティーパーティー……つまりナギサさんからのメッセージの可能性が高いですね」
ハナコの言葉に頷き、先生が榴弾へと手を伸ばそうとすれば、寸前でアズサが手を翳し制止を口にする。
「――先生、トラップがあったらいけない」
「…だね、みんな下がってて」
マッシュはヒフミ達を下がらせ、一人その弾殻に手を掛ける。
「――……うん、大丈夫そう、炸薬もなければ……えーとなんだっけ、雷管?それも抜かれている、弾殻だけの張りぼてだよ」
「そ、そうですか……良かった」
「となると、完全にメッセージボックスの役割、という事でしょうか」
「あ、中に紙が……これが試験用紙という事ですね!」
「その様だが……むっ、こっちは通信機か?」
「どれどれ…」
マッシュは榴弾を引っ繰り返し、中身を全て取り出す為に軽く振る。すると用紙と、四角い端末らしきものが床の上に転がった。
「これは…?」
「と、とにかく…慎重に触ってみま―『えい』先生!?」
「先生何やってるの!?」
「……なんとなく」
「もう、バカ!!」
マッシュは軽くその端末を叩いた、すこしヒビが入ってしまったが、その端末は立体映像を補習授業部の前に投影した、薄暗い部屋の中で、そのホログラムは良く目立っている。
『――これを見ているという事は、無事に到着されたようですね』
「な、ナギサ様!?」
「えっと……この方が、ティーパーティーの……?」
投影されたホログラムはナギサの姿を象り、虚空に向けて口を開く。
『ふふっ……恨み辛みの声が聞こえてきそうですね――まぁこれは録画映像なので、リアルタイムでの意思疎通は不可能です、今の私に何を訴えても無意味ですよ?』
「普通にテレビ電話でよくないかな」
「そこは……ほら、雰囲気ということで」
『――一先ず試験会場に辿り着けた事は認めましょう、しかしあなた方にとってはこれからが本番です、第二次特別学力試験は……今より始まるのですから』
「っ……!」
『約束の時間までに試験を終えて戻って来て下さいね? 一応引き続きモニタリングはさせて頂いておりますので、その事をお忘れなく……幸運を祈ります、補習授業部の皆さん』
ティーカップを机の上に戻したナギサは、どこか薄ら笑いを浮かべ――告げる。
『どうか……お気をつけて』
最後に、彼女は妙に力強い言葉を残し、ホログラムを消失させた。
「うぅ……」
「何だか、含みのある云い方でしたね――」
「気にならないと云えば嘘になるけれど……兎に角今は時間がない、早く席につこう」
「そ、そうですね……すぐ、第二次特別学力試験の筈ですから……!」
「問題用紙は……こっちか――良し、皆、筆記用具だけを出して」
用意されてある机に皆が座ったのを確認したマッシュは、先生は解答用紙と問題用紙を配って歩く。
「――大丈夫、皆なら乗り越えられると、僕はそう信じている」
「っ……は、はいっ!」
「――えぇ♡」
「――うん」
「とっ……当然っ!」
「………よし」
これまで学んだこと、頑張ってきたこと、高め合ってきたこと、それが今、この瞬間に全てをぶつける。マッシュは祈る……無事に成功させてあげてくれと神に願う。
「よし、それじゃあ第二次特別学力試験――開始」
全員の手が、一斉に問題用紙を裏返した。
それと、ほぼ同時。
「っ!!」バッ
「きゃっ!?」
「せ、先生!?」
「な、なにしてるの!?」
「先生、一体なにを…!?」
マッシュは直感で、この試験会場で何かが起きるのを察知した。教卓から身を乗り出し、ヒフミ達を掴み、壁を蹴り破って脱出。
ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!
間一髪、マッシュ達が先ほどまでいた場所は爆破され粉々になってしまった。
(失敗した、何もかもが鈍ってた……気付かなかった―――僕の……せいだ)
補修部授業部メンバー達を抱えているマッシュは爆風で吹き飛び、全員を守るように抱きしめながら、そう後悔していた。
「おそらく、先生は今かなり疲れが出ており……少し、ほんの少し感覚が鈍くなっているはず…ならばそこを狙うまで」
「後から誰かに爆破してもらうのではなく……最初から設置させ、試験開始と同時に爆破する」
「もっともっと、慎重に、丁寧に探し出せば……こうはならなかったのかもしれませんね―ふふっ」
「先生…言ったはずですよ?
―――容赦はしないと」
すみませんでした(土下座)
こうでもしないと……その、展開が……書けなくて。でもその結果ナギサ様が結構なことをやっちゃった……ナギサファンの皆様ごめんなさい。
励みになりますのでコメントと評価、どうぞよろしくお願いします。
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