先に謝罪をさせてください。前回の後書きで……次回がおそらく脳破壊の場面になると言ってたのですが……無理でした。
次回!本当に次回!脳破壊&精神崩壊のお話になりますので、どうかお待ちを!
一応……その、愉悦部の方々はお楽しみに。
「……えっ、と?」
「きゅ、急に何の話……?」
「………」
アズサの告白、それを聞き届けた補習授業部の反応は困惑が殆どを占めた。マッシュは一度は驚き唖然していたものの、過去にある人との会話を思い出し、なんとか気持ちを持ち直す。
アズサはマッシュから離れ、話を始める。
「……私は、元々アリウス分校の出身だ、今は書類上身分を偽って、トリニティに潜入している」
「あ、アリウス分校……?」
「な、何それ、そんな校名聞いた事も……」
「アリウス分校――」
戸惑う二人をフォローする形で、ハナコが口を開いた。
「嘗てトリニティの連合に反対した、分派の学園です……その反発のせいで現在のトリニティ総合学園とトラブルとなり、その後はキヴォトスのどこかに潜伏していると聞いていましたが――」
「そうだ、私は此処に来るまで、ずっとアリウス自治区に居た……今はアリウスとしての任務を受けて、こうして学園に潜入している」
「潜入……」
突然の告白に、ヒフミは頭が回らず脳の思考回路が停止…しかし、友として、アズサの事情を何とか呑み込もうとする。
「あ、アズサちゃんが元々トリニティの生徒ではないという事は分かりました……でも、それが裏切り者と、何の――」
「その、任務と云うのは」
ヒフミの声を遮り、アズサは声を張る。
その表情は、酷く強張っていた。
「――ティーパーティー、桐藤ナギサ、そのヘイローを破壊する事」
『―っ!?』
「ナギサさんを……殺害するために、ここへ?」
「………そうだ」
「う、嘘でしょ!?」
「……彼女を、殺す為に私は此処に居る…そして、先生」
アズサはマッシュの方を見て、マッシュにとって最悪な、非常な事実を伝える。それはマッシュの夢の一つを潰すような物。
「アリウスは……私の、仲間達は――先生を殺す気だ」
「……………」
「こ、ころ!?」
「どうして……先生は、アリウスと和解しようと」
「無理だ、アリウスはすでにシャーレの敵であり……先生は、抹殺対象なんだ」
「ガーン…」ガーン!
嫌悪されているとは思ったが、そこまでとは……と内心ショックを受ける。まじか……そこまでか……うわぁ、とかなりダメージを負っていた。
「……アリウスは、ティーパーティーと先生を消すためならば、何でもしようという覚悟でいる」
「そ、そんな……」
「アリウスはまずティーパーティーのメンバーであるミカを騙して、私をこの学園に転入させた、詳細は知らないけれど、きっとトリニティと和解したいとか、そういう嘘を吐いたんだと思う」
「……成程、ミカさんを――確かに彼女は政治には向いていないと云われていましたが……本命は、事が終わった後に罪をミカさんに被せる為でしょう……それで内紛など勃発すれば、トリニティは自然と割れます」
「うん、多分そうなる事を計算して動いていたんだと思う」
内輪揉めによる破滅、トリニティらしいなんとも言えない結末をアリウスは願っていた。
「そして――それを口にするという事は、アズサちゃん、あなたは……」
「ま、待って、待ってよ!」
ハナコとアズサの会話に割り込む形でコハルが声を上げ、二人の間に手を広げ割って入った。
「きゅ、急に何の話をしているの……!? ティーパーティーのヘイローを破壊するとか、先生を抹殺とか……あ、アズサが、その、アリウス? っていう所に所属していたっていうのは分かったよ! でも――
アリウスの事は良く知らないけれど、それが私達補習授業部と、どういう関係があるのよ……!?
アズサは何で、急にこんな話をし出したの……!?」
アズサは、そんなコハルの叫びを聞き届けながら目を瞑る。アズサは白、そう信じる声であり、その言葉がまたアズサを苦しめてしまう。
「――明日の朝、アリウス分校の生徒がナギサを狙ってトリニティに侵入する」
「っ!」
「……私は、ナギサを守らなければならない、アリウスの企みを阻止する為に」
「あ、明日の、朝……!?」
「本館には戒厳令が出ている状態……最後の試験でのナギサさんの無茶もあって、正義実現委員会は本館にいないタイミング――えぇ、要人襲撃には最適な日ですね、アリウスにも優秀な参謀が居る様です」
「な、何でアズサがそんな事する必要があるのさ……? それに、明日って、試験は――」
「それは――」
「アズサちゃんは、最初からその目的でトリニティに来た…そんな、感じ?」
マッシュの穏やかな口調。アズサが、どこか悲し気な視線をマッシュに向ける。
「……先生」
「最初から、ナギサのヘイローを壊すつもりも、僕をどうにかしようとする気も無かった、そうでしょ?」
「……アズサちゃんはナギサさんを守るために、この任務に参加した――謂わば、二重スパイ、という事ですね」
「……ハナコ」
「アリウス側には連絡係として常に問題ないと嘘の報告を流しながら、本当はずっと土壇場で裏切る準備をしていた、違いますか?」
「……いや、違わない」
「ならば――どうして、ナギサさんを守ろうとするんですか? それは、誰の命令ですか」
「これは……誰かに命令された訳じゃないんだ……これは、私自身が…そうすべきだと思ったから…だから、そうするんだ」
ハナコの真剣な問いかけに、アズサはそう答えた。これは誰の命令でも、お願いでもなく、アズサ自身の意思だった。
「桐藤ナギサがいなければ、エデン条約は取り消しとなるだろう、あの平和条約が無くなればこの先、キヴォトスの混乱は更に深まる――その時、アリウスの様な学園が再び生まれないとも限らない」
「キヴォトスの平和の為に、という事ですか」
「……結局の所、私の様な生徒を増やしたくないだけ、これは私のエゴ――けれど、そういう想いが無い訳じゃない」
「成程、良く、分かりました」
ハナコの穿つような視線が、アズサのそれを直視していた、アズサとハナコの間に、冷たい空気が流れる。
「……えぇ、とっても甘くて、夢の様な話ですね、エデン条約と同じ位、虚しい響きではありませんか」
「は、ハナコちゃん……?」
「アズサちゃん、あなたは嘘つきで、裏切り者だった」
「うん」
「トリニティでも本当の姿を隠し、アリウスでも本音を隠し続けて、アズサちゃんの周辺には、あなたに騙された人達しかいなかった」
「……うん」
「私達も含めずっと周りを騙し続けて、結局私達に見せていた姿も、全部偽物だった――そういう事で、合っていますか」
「…………」
「シュークリームを美味しそうに食べていた時のあの表情も、先生とまるで兄妹のように意気ぴったりだったことも……全て、嘘だと?」
その容赦のない言葉の羅列に、アズサはぎこちなくも頷いて見せる。泣きそうだった……しかし泣くのは駄目だと我慢した。
一番泣きたいのは、怒りたいのは先生やみんなのだからと、自分に言い聞かせて。
「いつか、云った通りだ……私は皆の事も、皆の信頼も、皆の心も、裏切ってしまうことになると――補習授業部がこんな危機に陥ったのは、私のせいだ、裏切り者の私を探して、桐藤ナギサはあんな無茶をした」
告げ、アズサは深く頭を下げる。
「本当に、ごめん……謝って許される事だとは思っていない、どうか私の事を恨んで欲しい、この状況は全て、私の齎した事だから――全ての責任は、私にある」
「あ、アズサちゃん……」
「そ、そんな……」
「……先生…も……ごめん……なさい、先生が倒れたのも……先生が死ぬかもしれなかったのも…全て…全て―私のせいだ……」
そう言ってマッシュにも、頭を下げながら謝る。罪悪感で押しつぶされそうになり、今にも逃げ出したい……けれどそれは許されない。
「お願い……先生…私を……私をどうか……本気で…殴ってくれ」
「な、殴るって、あんた正気!?」
「先生の本気パンチなんてくらったら、アズサちゃんは!」
「いいんだ……むしろ、殴られないと気が済まない―――…私は…一つの命を危険に晒したのと…同じなんだ……だから……お願い…私に罰を与えてくれ…」
アズサの意思、生徒の願い……ならばそれを断る理由が何処にあろうか、先生なら――生徒の願いを聞き届けるのが当たり前。
「わかったよ」
「先生!?」
「それが、アズサちゃんの願いなら」
「ま、待ってください!確かにアズサちゃんはずっと嘘をついてきました…で、でも!」
「ヒフミちゃん、ストップです」
「どうして止めるんですか!?このままじゃ―」
「落ち着いてください……先生を、信じて」
「ぅ……」
マッシュがアズサに前に立つ。
アズサの身長は149cm、対してマッシュは171cm、体格差は自分の倍であるため……軽く、アズサは恐怖する。
「…アズサちゃん」スッ
「っ」
マッシュがアズサに手を伸ばす、平手打ちだろうが、グーパンだろうか……アズサはなんでも受ける気でいた、それで罪が許されるわけがないが――それでも、贖罪の一つにはなるだろう…そう思い。
「っ!」
アズサは顔にグッと力を入れ覚悟を決め、この現実を受け入れる。
――これでいい……いいんだ………
罰が来る………………と、思っていたその時、アズサにやってきたのは。
ペチッ!
「いつっ!―………?」
「はい、これでアズサちゃんにはバツを与えた。これでお仕置きは終了、もう僕が倒れたこととか気にしないでね? そもそもあれは僕の責任だし」
「…………え?」
「この後どうしようか……まぁ、先にナギサさんの問題を解決するのが先だよね」
「……ま…まて、待って…先生……い、いまのは」
「いや、その前に腹ごしらえだ……ふふん、最近また新しいレシピが出たから、それを使って――」
「今のは、なんなんだ!先生!!」
「…え、デコピン」
マッシュはアズサの額に向けて軽くデコピンを放った、それなりの痛みはあったが……それだけ。それだけでアズサへのお仕置きは終了した。
「そんな、そんな物じゃ罰にはならない!もっと、もっと苦しむような!」
「それってアズサちゃんに必要? 少なくとも僕はいらないって思ってるよ」
「なんで……どうして?」
「実はさ、ある人にアズサちゃんが裏切り者だよ……って、教えられてたんだ」
「っ!?」
「けどこれで確信した―アズサちゃんは、悪人じゃないって」
「悪人じゃ……無い?」
「だってほら、アズサちゃんがやったのって最終的に―――みんなの笑顔を守るため、でしょ?」
「!!」
マッシュの言葉に、ハッとする一同。アズサは確かに裏切った……―しかし最終的にはナギサを守る事に決め、エデン条約を守ろうとした……つまり
平和のためにアズサは動いていた。
「まぁ少しばかり動揺して、まじか〜…って思ったよ?―けどそれだけ、本当に」
「しかし…私は!」
「それにさっき、全責任は私にあるって言ってたよね?」
「そうだ…私が」
「アズサちゃんが全部悪い?―ううん、それは違う……責任は、先生である僕が取るべき事だから」
それは、先生の持つ絶対的な概念。
どれだけの罪を犯したとしても、過ちを犯しても――生徒が責任を負う世界なんてあってはならない。それを背負うのは、先生である自分の役目だから。
「ナギサさんも、ミカさんも、ほんの少しだけ、相手を信じることが出来たら……こんな事にはならなかったかもしれない、誰かがほんの少しだけ優しかったら……仲良くハッピーになれたら、これはそれだけの話だよ」
「そうですね、そうかもしれません……今のナギサさんの様に、誰も信じられなくなってしまった人を変える事は大変難しい事です、そもそも他者を信じるという行為自体が困難な事でしょう――ですが」
ハナコはアズサに駆け寄り、優しい顔を見せる。
「アズサちゃんは、私達にこうして本心を語ってくれました、黙り続ける事も、このまま姿を晦ませる事も出来た筈なのに……こうして、直接私達と顔を合わせて謝ってくれた」
「それは……」
「……先程はごめんなさい、アズサちゃん、どうしても意地悪がしたくなってしまったんです、アズサちゃんの真っ直ぐな顔を見ていると、何だか心が落ち着かなくなってしまって」
「……別に、気にして無い」
「誰にも気づかれないように消える、そういう手段やタイミングは今まで幾らでもあったでしょう、けれどアズサちゃんは、最後までそうしなかった――その理由を、私は知っています」
そう告げ、ハナコは笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「……補習授業部での時間が、余りにも楽しかったから――ですよね」
「っ――」
「先生と、みんなと一緒にあれこれをやった時間が………幸せ、だったんですよね?」
「……ああ」
「目標に向かって皆で努力すること、そしてヒフミちゃんとコハルちゃんと先生と、皆で知らなかった事を学んでいくことが、楽しかったから……だから、最後まで抜け出せなかった――違いますか?」
「――……うん、そうだ、その通りだ」
全身から、力が抜けた。
認めてしまえば、本当にあっさりと、すとんと、感情が胸に落ちて来た。
「何かを学ぶという事、皆で何かをするという事……その楽しい時間を、私は手放せなかった――誰かを頼って、誰かと一緒に何かを食べると言う時間が……最高に…幸せだった」
「その気持ちは、良く分かりますよ――同じように想っていた人が居ましたから…その人にとって、全ての事は無意味で、無駄で――学校を、辞めようとしていたんです、何せ、そのまま生活を続ける事は監獄にいるのと同じでしたから」
(…それって)
マッシュは何かを察したがあえて何も言わない、ハナコはトリニティが嫌い……けれど、補習授業部だけは―大好きだった。
「けれど、その人とアズサちゃんは違ったんです――アズサちゃんは、アリウスからナギサさんを守った後、どうするつもりでしたか?」
「っ――」
「アリウスを裏切り、トリニティをも欺き……最後に、帰る場所が無くなってしまう筈なのに……けれどアズサちゃんは、補習授業部でいつも一生懸命でしたよね」
「………」
「その人は試験をわざと台無しにして学園から逃げようとしていたのに……アズサちゃんは、ほんの僅かな時間、刹那の様な学園生活でも、常に全力でした」
「……それは」
「どうしてそこまでするのでしょう? そこに、何の意味があるのでしょう……? アズサちゃんがいつも口癖のように云っていた通り――全ては虚しい筈なのに」
「―――全ては虚しく…意味は無い」
そう、そうだこの世界は…Vanitas vanitatum et omnia vanitas.
全ては、虚しいもの。
いつか消えてしまうもの。
何の意味もない行為。
例え此処で頑張ったって、時が来れば失われてしまうと理解していた。
でもそれは――もう過去の話。
「全ては虚しいもの……そんなの、違うって…教えてくれた人がいた」
「…」
「…初めてシュークリームの作り方を先生から教えてもらった時、上手く作れなくて……悲しくなって、虚しくなってしまった――でも」
『大丈夫、失敗なんて誰でもあるものだから……もう少し、頑張ってみない?』
『―すごいやアズサちゃん、完璧なシュークリームだよ……諦めずに続けて、よかったね』
「初めて成功したその瞬間……悟ったんだ…全ては虚しいのかもしれない――けれどそれは――
抗う事を止めるべきじゃないから…全てを諦めていい理由には…ならないから!」
「――えぇ……その通りです、漸く、その人も気付いたんです、友人と過ごす、学園生活の楽しさに」
何かを頑張ることの喜び、好きなことをやれる素晴らしさ……それをアズサはここで知った。ハナコも……この世界はまだ捨てたものじゃ無いと、決められた。
「みんなを危険に晒すのが怖い、アズサちゃんはそう思っているんだよね?」
「…うん」
「だったら――安心してほしい、アズサちゃんには……自分で言うのは恥ずかしいし驕ってるけど……」
マッシュ服を脱ぎトレーニングウェアにすぐさま着替えるとグッと力を貯め始める。そしてトレーニングウェア越しに鍛え抜かれた筋肉をアズサに見せ。
「アズサちゃんには僕がいる、そしてこの僕には……この筋肉がある。
――僕の筋肉は誰にも負けない、絶対に」
そう強く言い放った……その言葉に、救われた、守られたような気がしたアズサはしゃがみ込み、顔を手で覆う。
「………しょ、正直、どういう事なのかわかんないし! 何だか大変な事になっている気がするけれど……で、でも! アズサがトリニティに居られなくなるのは嫌だし、退学になるのも嫌だから! 何とか出来る手段が、方法があるなら、私も、手を貸す!」
「グスッ……こ…はる……」
「わ、私もですよ!」
「ひふ…み……まで……っ」
「その、私なんかに出来る事があるか分かりませんが、此処まで来たんです、皆で力を合わせればきっと、どんな事でも乗り越えられるって、信じていますからッ……だから!!」
「私は、私に出来る事を、全力で……成し遂げます!」
「ふふっ、流石部長ですね♡」
「うん……よ、キヴォトス一のツッコミ役」
「関係ありませんよね!?雰囲気が台無しですよ!!」
「み、皆……」
「もう……最後の最後で……アハハッ! でもこれが―補習授業部よね!!」
「…うん」
最初は補習授業部が大嫌いだったコハルだが…今は違う
むしろ、ハナコと同じように……この部活を、メンバーを愛していた。
ヒフミもマッシュも同様に、ここを愛していた……ならばこそ。
「さてみんな、感動の後に悪いけど………反撃と行こうか」
『―賛成!!』
そこを守るために、反撃する、もしくは逆襲する事にした。
「アズサちゃんが言った様に、ナギサさんへの襲撃はなんとしてでも阻止する、けれど勿論、試験も受ける、試験会場に辿り着き、皆で九十点以上を取って堂々と合格するんだ――後からどんな文句も受け付けられない様に、完膚なきまでに」
「アリウスの襲撃は……まあ、先生で一人でどうにかなるだろうしね」
「その通り」
(普通は無理なんだけどなぁ)
「問題はナギサさんの方……ここで暗殺されそうですよ!って連絡しても信じてくれないよね」
「ええ…きっとガチャ切りをされて終わりでしょう」
「じ、じゃあどうすればいいの?」
「簡単ですよコハルちゃん……これまで様々な嘘や策略の中で弄ばれてきましたが……今度は、私達が仕掛ける番です」
「し、仕掛ける……ですか?」
「えぇ、何せここには正義実現委員会のメンバーと、ゲリラ戦の達人と、ティーパーティーの偏愛を受ける自称平凡な生徒と、トリニティのほぼすべてに精通した私が居ます」
「へ、偏愛……」
「その上、ちょっとしたマスターキーの先生までいらっしゃるのですから、この全員で力を合わせればきっと――」
「トリニティ程度、半日で転覆させられますよ♡」
「は、はい!?」
「えっ、ちょ、な、何する気!?」
「……転覆?」
「物騒…」
ハナコのそれは嘘に聞こえず、本気でそうできるのだろうという確信がマッシュにはあった。怒らせると怖い……と言うか、敵に回したく無い相手にハナコは君臨した。
「ふふっ、何をするも何も、試験を受けて合格するだけです♡ 重要なのは、そう――演技力!」
「え、演技……」
「りょく……?」
「えぇ、作戦内容は私に任せて下さい、我に秘策アリです」
「……ハナコちゃん、その、さっきの話を聞いて少し不安なんだけれ ど、それは――」
「先生、大丈夫です――私を信じて下さい♡」
「――…………そっか、そうだよね。信じるって決めたんだ――よし、ハナコちゃんに作戦は任せるよ」
「ありがとうございます♡……ではでは…さぁ、始めましょう、ヒフミ部長!」
「え、あぅ、えぇ!?」
「いつもの号令です! 此処はびしっと決めて頂かないと!」
「あ、わ、は、はい!」
ヒフミは補習授業部の部長として、皆の士気を上げるため……強く、凛々しく、カッコをつけて宣言する。
「さ、作戦は良く分かりませんが、でも、きっと私達なら大丈夫な筈ですッ!」
「う、うん……ッ!」
「うん、その通りだ」
「えぇ♡」
「かっこいいよ、ヒフミちゃん」
「私達……そう、私たちの絆は誰にも負けません!行きますよみなさん…合わせてください!」
ヒフミは拳を強く振り上げ、叫ぶ。
「補習授業部!ファイヤー!!」
『ファイヤァァー!!!!』
皆の気持ちが、本当の意味で一つになった……そう、ここからが本当の反撃、逆襲の始まり。
全てに決着をつける、運命の瞬間だった。
「それではみなさん、早速準備に取り掛かりましょう……先生、必要なものを集めてきてほしいのですが…よろしいですか?」
「全然OK、何を持ってくればいい?」
「ケチャップ…いちごジャム……そうですね、とりあえず赤い液体を大量に用意してください」
「え?」
「そして後はボロボロの服ですね、以前爆破によってかなり悲惨な事になったものがありましたよね?それをこちらへ」
「えっと……それで、何する気?」
「それから……お化粧の道具は私のを使えばよろしいので、後は写真ですね!…どう撮りましょうか…角度や部屋の様子も大事なので………ふふ……ふふふっ」
「ハナコちゃん?あの、本当に何をする気なんですか?」
怪しくに笑うハナコにビビりながらも問いかけるヒフミ、今のハナコの雰囲気は……何かを企む魔女か、ラスボスの雰囲気。
「……我々は今まで散々、散々やられてきましたよね?――主にナギサ様に」
「えっと……まぁ…?」
「心身ともに追い詰められもしました……ので、今度はこちらの番です」
「ね、ねぇあんた…なんか変よ?」
「肉体面に関しては少しすれば治ります、しかし……精神面はどうでしょうか―答えは一つ……なかなか治りません♡」
「せ、先生、今のハナコは…さっきよりも怖いの、だが」
「奇遇だね……僕もちょっと怖い」
「世界にはこんな言葉があるそうですよ?」
ハナコは愉悦を感じているような、何かとんでもないことを企み、それが成功するのを楽しみにしている……そんな表情を見せながら言う。
「やられたらやり返す……
倍返し………と♡」
次回、倍返しされるナギサ様! デュエルスタンバイ!!
ハッピーエンドには持っていきますが、それはそれとして、ほんの少しばかりはお仕置きをしないとな〜と思ったので、次回はちょっとお仕置きをします。
励みになりますのでコメントと評価!どうぞよろしくお願いします!!
次回、本当に愉悦部の人はお楽しみに。
百花繚乱後に見たい話
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ラビット2章
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